己龍が放つニューシングル『天照』。多彩な楽曲に、己龍の世界観をたっぷりと詰め込んだ、最新作の魅力に迫る!
アルバム『暁歌水月』で「死ぬまで己龍を続けたい」という強い意志を打ち出し、そのアルバムを引っ提げて行った単独巡業千秋楽で、集大成ともいうべき姿を見せつけた己龍。そんな彼らの新たな作品、シングル『天照』が完成した。メインコンポーザーの一人である酒井参輝(G)の「参輝節」が色濃いタイトル曲をはじめ、収録曲からは、「変わらない己龍」が伝わってくる。そんな最新作の魅力、そして「己龍」とは一体どんなバンドなのかを、Vif初登場となる5人にたっぷり語ってもらった。巡業で見せた彼らとはまた異なる己龍の魅力、とくとご堪能あれ。
◆己龍に入らなかったら激しい曲をやることはなかった(一色日和)
――以前、コメント動画で「隣の人の紹介」をしていただきましたが、今回はインタビュー初登場ということで、性格や影響を受けた音楽など、自己紹介をお願いします。
酒井参輝(以下、参輝):性格は…悪いです。
――いきなり問題発言を…。
遠海准司(以下、准司):B型なんでね、そういう意味の“悪い”です(笑)。
参輝:趣味は機材集めで、最近買ったのは中国のエフェクターです(笑)。影響を受けた音楽は今も昔もDIR EN GREYで、最近はベビメタ(BABYMETAL)をよく聴いてます。
一色日和(以下、日和):自分は、面倒くさがりの面倒くさいやつです。
准司:でも、日和はあんまり深く考えないタイプだから、俺ら的にはそんなに面倒くさくないよ。
日和:そう? 基本的に事なかれ主義ですね。争い事が嫌いで、何でも平和にのびのびやれたらいいなと思っています。よく言えばあんまり怒らない、悪く言えば言うべきことを言わない。怒って気まずい空気になるのが面倒くさいんですよね。食べることが好きで、最近はスナック菓子がブームです。おすすめはベジ●プスとカラ●ーチョ。あと今、「のりしお」ののりが3倍になっているポテチがあって、食べるのがすごく楽しみなんです!
――さすが食べるの大好き日和さん(笑)。では、影響を受けた音楽は?
日和: JUDY AND MARY、Whiteberry、LINDBERGのような女性ヴォーカルでポップス寄りなアーティストですね。自分は己龍に入らなかったら激しい曲をやることはなかっただろうな。
九条武政(以下、武政):何で入ったの(笑)?
日和:なし崩し的にね…。でも、7年間ここにいるわけだから、もう、おいそれとどうこうできないよ! 後悔してるヤツがいたとしてもダメだからね!
全員:(笑)
――では続いて准司さん、お願いします。
准司:僕は、気分屋の自由人です。
――A型らしからぬ発言ですね。
准司:Oの血も入っているので、しっかりしていないAです。
日和:しっかりしている時としていない時の差が激しいよね。
准司:うん(笑)。趣味は漫画とゲームとドラムですね。小学校の頃からゲームが作りたくて、ゲームクリエイターを目指していたんですけど、ドラムに出会って夢が変わりました。
参輝:漫画は俺と准司がズバ抜けて読む量が多いよね。ツアー中に半端なく読むから、どんどんカバンが重くなる。
准司:睡眠削ってゲームやるか、漫画読むかって感じです。
日和:寝ろ。
准司:(笑)。影響を受けたアーティストは、GLAY、L’Arc~en~Ciel、SIAM SHADEといったJ-ROCKです。そこから洋楽のメタルにハマって。ジャズもファンクも聴きますけど、僕の根本はメタルですね。でも、やっぱり一番好きなのはSIAM SHADEです。なので、名前も淳士さん(SIAM SHADEのDr)と同じなんですよ。
――え! さらっとすごいカミングアウトをされました(笑)。
◆僕、ヴィジュアル系が大好きなんです(九条武政)
――では眞弥さん、お願いします。
黒崎眞弥(以下、眞弥):ヴォーカルの黒崎眞弥です。B型で、最近無口かな。喋りたくない時は一切喋らない、気分屋で典型的なB型ですね。
武政:この人、典型的なB型が日に日に酷くなるんですよ。僕が話しかけても無視するし!
日和:彼は基本的に、会話の美味しいところだけさらっていくタイプですからね。
参輝:でもバンドとして動いている時は、眞弥からあんまりB型を感じないんだよね。自己中な感じは一切しない。
眞弥:押し殺してるからね!(なぜかドヤ顔) 元々協調性がない人間だし、そうでもしないとうまくやっていけないから。趣味は、映画を観ることです。俺、時間の使い方がすごく下手なので、今までそういう時間が取れなかったんですけど、来月からは時間の使い方にメリハリをつけて、たくさん観られるようになりたいですね。
――眞弥さんは仕事モードになると、そこに集中しちゃうタイプですか。
眞弥:そうなんです。他のことができなくなっちゃうので変わりたいなと思って。そして、それを遂に実行に移す時が来たな…と。
――遂に! お誕生日(10月19日)を境に心機一転ですね。
眞弥:…あ、いや…でもやっぱり来年くらいからかな…。
参輝:そもそも来月はツアーも始まるし、言うほど時間ないからね。
准司:彼はツアーの荷造りに半日かかりますしね。
――コメント動画で参輝さんが言っていた「不器用」というのはこういうことを指しているんでしょうか。
参輝:そうです。でも、その不器用さを見ても誰も助けてやろうとは思わないという(笑)。
准司:女の子は母性本能をくすぐられるんでしょうけど。まぁ、たまには助けますけどね。
眞弥:じゃないと7年も続かないですよね!(またしてもドヤ顔)
参輝:助けられて何を偉そうに言っているんだ(笑)。
眞弥:こんな感じで、俺は見たままの人間です。影響を受けたのはLUNA SEAで、最近はK-POPが好きです。
参輝:K-POPは家で歌っちゃう感じ?
眞弥:家で歌っちゃうし、毎日動画見ちゃうし、新しい動画が更新されてないかチェックしちゃう感じ。
全員:(笑)
武政:なんか俺と同じ匂いがする…(※武政さんは、でんぱ組.incが大好き)。
――ではそんな武政さん、トリをお願いします。
武政:えーと、俺は世界で一番優しい人間なんじゃないかと自分で思っています。
准司:よ! 世界一!
武政:ちょ…喋りにくいな(笑)。あと僕、ヴィジュアル系が大好きなんです。バンドもバンギャルもめちゃくちゃ好き。1番の自己アピールはそこかな。
――武政さんのブログには、愛が詰まっていますね。
武政:そうですね。結構素直に書いているので。趣味は、バンドをやってこのシーンにいることです。影響を受けたアーティストは黒夢先生ですね。清春さんて、聞く人が聞いたら、えっ!?ってなるような結構衝撃的な発言をしつつも、すごく正直なんですよね。あんな大きい舞台に立っている人があんなに正直ってすごくロックだなと思うんです。
――溢れる愛を語っていただきました。
准司:うん。こいつは愛に溢れてますよ。眼鏡とかグラサンがハートの時もあるし。基本、口の形もハートです。
全員:(笑)
◆「天照感が出てる。『天照』にしよ!」(酒井参輝)
――9月7日にTOKYO DOME CITY HALLで行われた単独巡業「暁歌水月」千秋楽で「天照」のPVとメイキングが初公開されましたが、客席の反応はご覧になりましたか?
参輝:初公開する時は、いつも裾から見ているんですけど、今回は黒髪からメンバーカラーに戻ったということだけでも反応は大きいかなと。ただ、まだアー写が公開されただけで、音源もあの瞬間しか流れていないので、そこまで大きな反響は感じていないですね。
――そんな今回の作品、『天照』というタイトルが、シンプルかつ意味深です。
参輝:そうなんです。歌詞を書いて、「あ、天照感が出てる。『天照』にしよ!」ということで決めました。
――ノリ、軽っ…!
参輝:いやー、基本己龍は歌詞が先で、タイトルは歌詞に出てくる単語や、歌詞全体の世界観から持ってくるんですけど、今回その中で一番刺さったのが「天照」だったんですよ。なので、「よし、『天照』!」と。
眞弥:PV撮影中にタイトル決まったよね。それまでずっと「デモ1」とかそんな名前だったし。
武政:撮影中、急に「あ! タイトル思いついた!」って言い出したからね。
――そういうことはよくあるんですか?
参輝:いや、いつもはPV撮影までに全部決まってます。ただ今回あまりにも時間がなくて、「タイトルはなくても歌詞があれば撮影はできる!」という勢いでした(笑)。
武政:夏のツアー中のPV撮影だったから、作詞作曲担当の参輝はかなり時間がなかったんじゃないかと思いますね。
――過去にも「アカイミハジケタ」のように、PV撮影に歌録りが間に合わず、参輝さんの仮歌で撮る、ということがあったようですが、それ以上だったんですね。
参輝:そうです。でも今回、僕はそれを避けるために大阪から東京に帰りました。帰って、仮歌を入れて、大阪で待機している眞弥に投げて、帰った次の日の夕方には飛行機で熊本に行くという…。
――強行スケジュールですね! そんな「天照」のデモがメンバーの皆さんに渡ったのはいつ頃だったんですか?
准司:かなり前です。参輝は貯金派なので曲を溜めていますからね。
参輝:デモをたくさん作っておきたい派なんですよ。後々大変になるのが嫌だから。
日和:夏休みの宿題は、夏休み初日に終わらせる派でしょ?
参輝:いや、夏休み始まる前に終わらせる派です。
――…参輝さん、尊敬します。では、この曲がシングルのタイトル曲にすると決めたのはいつ頃だったんでしょう。
参輝:PV撮影の前日くらいですね。
――!?
日和:最初、別の曲を推していたんです。
参輝:どっちでも行けるように僕は二つ歌詞を書いておいて、前日になって「やっぱりこっちで!」と。
日和:みんな両方ある程度備えていたんですけどね。
参輝:そしてもう1曲は闇に葬られました。
准司:前日までタイトル曲だっただけあって、良い曲だったよね。
◆僕は「天照」が大好きです!(遠海准司)
――アルバム『暁歌水月』では「死ぬまで己龍を続けたい」という、とても大きなテーマを掲げていましたが、それに続く今回のシングルをどういう作品にしようと思っていましたか?
日和:『暁歌水月』はある意味一つの区切りだったなと。今回は新しい名刺のようなニュアンスですね。曲は今回のホール巡業「雅神天照」で披露するというのを念頭に、後は1枚の音源としてのバランスをみて選びました。己龍の世界観が出ている曲が多いです。
参輝:基本的にこれからも自分たちにできることをやっていこうと思っているので、大きくは変わってないんですよ。c/wの「傷ノ声」(作曲・作詞:酒井参輝)も、レコーディング中にシンセをいじりながら「いつもの己龍だな」と思いましたからね。
――己龍らしさ満載の楽曲ですよね。
参輝:そうですね。ただ、「天照」は己龍の中では結構聴きやすい曲ですけど、そこに主軸を置くわけではないし、シングルの収録曲もジャンルは幅広いと思います。「天照」がポップなせいか、他は結構エグイなと思いましたけどね。
――c/wの「雛奉」(作曲:九条武政、作詞:黒崎眞弥)なんか特に…
日和:気持ち悪いですよね(笑)。
参輝:弾けやせん!
日和:やってる側が気持ち悪い。難しいことをやってるわけじゃないのに、曲が掴みにくいし!
参輝:覚えにくい! 面倒くさい!
武政:ちょっとやりすぎたかなー…なんつって(笑)。
全員:(笑)
――この曲、ヴォーカルもかなり大変だったのでは? 歌を聴きながら歌詞を目で追いきれませんでした。
眞弥:舌が回らないです。録っている時もすごく大変だったんですよ。あの曲だけで6時間くらいかかったかも。途中で噛んでやり直し、の繰り返しです。
日和:武政は音を詰めるからね。
――過去最高に詰まっているのでは。
武政:「朔宵」(オムニバスアルバム『Explosion showcase』収録、作曲:九条武政、作詞:黒崎眞弥)も結構詰まってたよね。
眞弥:あの曲はサビに来ると少し幅ができるんだよね。そう考えると、この曲が1番かも。
参輝:武政の曲はヴォーカルのことを一切考えてないからな。
眞弥:そう! こいつ、マジ自己満で曲持ってくるんですよ!
武政:作っている時、「この音の並び、イカス!」って感性で作っているので(笑)。
准司:曲を作る時、歌う人と歌わない人の違いですね。参輝は自分で歌うんですけど、武政は多分、歌ってないです。
――武政さんも、次回から歌ってみてはいかがでしょう。
眞弥:いや、こいつの歌、聴けたもんじゃないっすよ! 俺、それで覚えちゃうじゃないですか!
全員:(笑)
――レコーディングはいかがでしたか?
准司:今回、フレーズもレコスタで参輝と話し合いながらできたので、良いものができたんじゃないかなと思ってます。そして僕は「天照」が大好きです! 僕の好きなメタルっぽい感じが入ってるし、ちょっと早くて難しいんですけど、真ん中に予定外のドラムソロも入っているし!
――予定外だったんですか?
准司:本当はベースソロになるはずだったのに叩きすぎちゃって…
日和:スタジオで、「ここでこういうのをやりたいから頭の片隅に入れといてね」って言っておいたんですけど、頭の片隅になかったみたいです(笑)。
准司:いやー、レコスタでフレーズ考えてたら「あれ、これ良くね?」と思ってそのまま。そしたら日和がベース弾くとこがなくなっちゃって(笑)。でも、その部分、ドラムのフレーズで六連符が入っているんですけど、日和がその六連符をベースで弾けたら問題なかったんですよ。リズム隊のユニゾンでかっこよくなったはず!
武政:え、でもそれが弾けるベーシストってなかなかいないんじゃ…。
日和:すげーテクニカルだからね!
准司:でもできるようになって、俺ら、バンドキッズの憧れにならないと!
◆そのままの武政でいてほしい(黒崎眞弥)
――タイトなスケジュールということでしたが、楽しそうなレコーディングですね。
准司:俺らは曲が先にできていますからね。他のバンドだと、メロディも何もなくて、リズム指定されてRECするところもあるみたいだし。
日和:あとはレコスタで曲が来るのを待つとかね。
武政:うちは許されないよね。
准司:1か月くらい前には曲があるので幸せです。参輝がどれだけ優秀かってことだよね。
武政:参輝がいっぱい貯曲してくれているので、俺は好きなだけこだわれます。
――武政さんは貯曲しないんですか?
武政:できないんですよ。あと、参輝に甘えてる部分もある。
日和:武政は時間があったらあっただけ練るでしょ。
武政:そうだね。なかなか答えを出さない。正解を探し続けます。
日和:一回、曲を出して引っ込めて、次に出すと別物になってるからね。
――なるほど。では、作詞はいかがですか? ネタ帳があったりするんでしょうか。
参輝:ありません。毎回「テーマは何にしよう」から始まります。ただ、テーマが決まって書き始めれば1曲2~3時間で終わります。でもそこに行くまでが長い。
眞弥:僕は2~3か月かかります。武政の曲に歌詞を書くことが多いんですけど、彼の作曲ペースに救われてるんです。そのままの武政でいてほしいですね。月一ペースとかで曲を持ってこられたら死んじゃいます。今回も『暁歌水月』のツアー中からずっと書いていたんですけど、書きあがったのが歌入れレコーディング当日の夜中で。早く書けるように努力はしてるんですけどね…まぁ間に合ってるだけいいかな。
――MV撮影はいかがでしたか? いつも、暑かったり寒かったり虫がいたりで大変そうですが。
日和:外ロケが多いからね。
参輝:夏暑いし、冬寒いし…。
准司:僕らほとんど外ですからね。全部屋内なのは「夢幻鳳影」と「灯」くらいです。
眞弥:しかも大概、天気悪いよね。
准司:「天照」なのに謎の豪雨が降ったりね(笑)。
参輝:もうMV撮影は4月と10月にしよう。あと、虫も嫌だから、自然の中で撮るのはやめよう。コンクリで撮ろう。
――コンクリとは新境地ですね(笑)。さて、11月末から、いよいよ己龍単独ホール巡業「雅神天照」がスタートします。
参輝:前回に比べると長くはないんですけど、ホールでこの規模なので大々的な巡業だと思います。前回のホールツアーは、数が少ないなという印象があったんですけど、今回はまだ己龍を観たことがない人たちにも観てもらえたらというのと同時に、いつもライブハウスに観に来てくれる人には、ホールならではのライブを見せたいと思います。
――今回の4曲の新曲も、巡業が楽しみな曲揃いですね。
日和:巡業の中でどうなるのか一番楽しみなのは「三途川」ですね。
参輝:気持ちの悪い空間が作れたらいいなと思ってます。
日和:今回ホール巡業なので、ホールだからこそ、各自が新しく挑戦できることもたくさんあるんじゃないかと思います。楽しみにしていてください!
(文・後藤るつ子)
己龍
<プロフィール>
黒崎眞弥(Vo)、酒井参輝(G)、九条武政(G)、一色日和(B)、遠海准司(Dr)の5人からなるロックバンド。2007年9月に結成し、楽曲コンセプトとして「和製ホラー」、視的コンセプトとして「痛絶ノスタルジック」を掲げて活動を展開。2009年にリリースした3rdシングル『月ノ姫』から2011年リリースのシングル『叫声』まで、5作連続でオリコンインディーズチャートの1位を獲得している。2014年4月30日、4枚目のフルアルバム『暁歌水月』をリリース。11月28日の浜松市教育文化会館はまホールを皮切りに己龍単独ホール巡業「雅神天照」がスタートさせ、2015年1月16日千秋楽の中野サンプラザで単独公演300回を達成する。
■オフィシャルサイト
http://www.kiryu-web.net/
『天照』
2014年11月19日発売
(発売元:B.P.RECORDS)
TOKYO DOME CITY HALLでの千秋楽公演を成功させた己龍が放つ12枚目のシングル。タイトル曲「天照」の世界観を見事に表現したDVD(Atypeに付属)は必見!
【収録曲】
Atype【初回限定盤】
CD2曲+DVD「天照」PV・メイキング
Btype【初回限定盤】
CD2曲+DVD「天照」マルチアングルPV
Ctype【通常盤】
CD2曲+ボーナストラックA+インスト3曲
Dtype【通常盤】
CD2曲+ボーナストラックB+インスト3曲
★全タイプ共通封入特典:トレカ2枚(全10種)
★全タイプ購入応募特典:応募者全員に『己龍単独巡業「雅神天照」』ツアーパンフレットプレゼント!