優しさと凛とした強さを秘めたKayaのニューシングル『夢路』。聴き手の心の原風景を呼び覚ます新たな作品で描かれたものとは――
耽美、デカダンス、ゴシック…Kayaという人物を思い浮かべる時に真っ先に出てくるのはこんな言葉だろう。だが今回完成した『夢路』という作品では、それらの言葉の枠を超越したKayaの新たな一面に触れることができる。心の奥底にあり続ける景色、生と死、自然の優しさや厳しさ――それらをかつてないほど大きなスケールで丹念に歌い上げたこの作品、聴かず嫌いをしてはもったいない。ぜひ、底知れぬ美しさとそこに横たわる自然の厳しさを感じさせるMVと併せてじっくり堪能していただきたい。Vifにはアニメソングのカバーコンピアルバム『V-ANIME collaboration –homme-』と『V-ANIME collaboration -femme-』での桜井青との対談以来の登場となるKayaに、自身の生み出した新たな音楽、そしてより自由な未来へと大きな一歩を踏み出した今の思いを聞いた。
◆歌手として“句点”となる作品
――まずはシングルが完成した今の気持ちをお聞かせください。
Kaya:今回、今までで一番大きな達成感を感じています。耽美、デカダンス、ゴシック…そういうものをテーマに歌ってきて今年でソロ11周年になりますが、こういう大きな歌や柔らかい感情というものがなかなか歌で表現できなかったんです。それが今回「やっとこういう歌が歌えた」と思えました。
――優しくて繊細なのに強いものが奥底にあるような、包容力と芯の強さを感じる歌です。
Kaya:嬉しいです。そういう歌が歌いたかったので。
――これまでのシングルから大きく振り切った感じがしました。
Kaya:確かにこれまでの作品とは全く違いますね。自分でも「一つ抜けた」「一歩違うフィールドに行けた」という感覚があるんです。それは歌唱法や技術面の他に歌詞や精神的なものが大きくて、今だからこそ歌えた曲だと思います。5年前、10年前には絶対歌えなかったし、3ヵ月前でもダメだったと思う。これまでにも何年かごとに、等身大の自分を反映させた歌、コンセプトに関係なくリアルな自分を映した歌を出せてはいるんですが、その中でも本当に歌手として“句点”となる作品ができたという感じがします。だからこそ、この作品は、「Kayaって耽美なドレスの人でしょ?」というイメージを持っている方や、昔好きだったけど最近は聴いてない方、前やっていたバンドで知ってくれた方にも聴いて欲しいと思ったんです。
――Kayaさんというと、個人的には『ショコラ』(2008年リリースのメジャーデビューシングル)のイメージがずっとあって。
Kaya:『ショコラ』も自分の中では、“今の私”をちゃんと反映できた作品だったので思い入れはすごく強いんです。ただ、あの時は「愛」と言っていたとしても、それは多分「恋」だったと思います。愛と恋って似ているけれど全く質が違うものだと思っていて、今それが昇華されて「愛」になったんだなと。
――天真爛漫な恋が、深い愛へと変わったんですね。この作品を作る上で、これまでの作品と意図的に変えたことはありますか?
Kaya:明確に違うのは作り方です。例えば『ショコラ』を出した時は、作曲家に「次は恋の歌を歌おう。明るい曲にして」と依頼しましたし、次はしっかりゴシックのものが歌いたいと思ったら、「パイプオルガンを使ったゴシックな曲をお願いします」と依頼して、届いたものに対してさらに楽器を入れる相談をして…という作り方だったんです。でも今回は、作曲してくださった鈴木結女さんに「今どういう歌が歌いたいか」ということや、どういう感情で、どういう色で、どういう香りなのか…という細かいことも全部お話ししました。コンセプトもそうですし、メロディも「こういう感情を表すのであれば、こういうメロディじゃないと」というものを二人でよく話し合った上で作ったんです。
――Kayaさんがこの作品で一番表したかったことは何でしょう?
Kaya:ずっと私の心にあるものや景色、生と死、自然の優しさや厳しさを入れたかったんです。自然って優しいだけじゃなくて、すごく厳しい面もあるじゃないですか。そういうものも感じさせるような、優しさだけではなく厳しさのある凛とした歌にしたいというのが私と結女さんの共通のテーマでした。
――とても感覚に訴えかける曲ですよね。
Kaya:そうですね。通常はレコーディング前のプリプロは私とエンジニアさんの二人だけでするんですけど、今回はエンジニアの方以外に、結女さんと演奏のチーム全員、ディレクターのソワレさんにもスタジオに入っていただいて、時間をかけて「ここでこういう音を入れたら、こういう広がりになるね」と話し合って作ったんです。今までで一番丁寧に作りました。
――歌い方もこれまでとは全く違いますね。
Kaya:そうですね。歌唱法は今までの集大成だと思います。あえて「優しく歌おう」と思ったわけではないのに、気負うことなくすごく優しく歌い始めていて。でも、メロディも大きくて、歌唱的にはとても難しいんです。ブレスを一つ失敗すると歌えなくなるので。結女さんに「この部分が本当に厳しいので、ブレスを大きく取るためにこの音を抜いてもいいですか?」って相談したんですけど、「それだと優しさだけになってしまって厳しさが伝わらなくなるから頑張ろう!」と(笑)。現場は愛があって笑顔あふれるレコーディングだったんですけど、皆さんシビアなところはシビアで。お互い厳しく、そして優しく作りました。
――その様子が限定盤のメイキングムービーに収められているんですね。
Kaya:そうです。あのレコーディング風景はなかなか珍しいと思いますよ。リスナーの方があれを見て「どのアーティストもこうやって作っているんだ」と勘違いなさらないといいんですが…(笑)。普通はスタジオで防音室に一人で籠って、ディレクターさんとガラス越しにやり取りしながらブロックごとに録りますから。ちなみに今回はコントラバスとピアノとドラムを一緒に録って、ヴァイオリンやパーカッションは後から録っています。
――あのレコーディングの方法は、とても難易度が高いですよね。
Kaya:難しいと思います。1回失敗するともう一度やり直しなので。でも今回、あえてイージーな録り方はしなかったんです。通常通り「Aメロだけ」「Bメロだけ」と細切れに録ってしまうと、込められるはずの思いや緊張感が込められなくなる。そういうものを希薄にしたくなかったので、あえて難しい方法を選びました。この方法は技術も集中力もないといけないんですが、私がプロデュースしているイベント「新春シャンソンショウ」を4年くらい一緒にやってくださって、絶大なる信頼を寄せているチームにお任せできたので見事実現したんです。
◆曲や歌の持つ色として「夢路」のc/wというのが正しかった
――「夢路」ではアフリカの太鼓のジャンベが使われていますね。
Kaya:よくご存知で。作曲するにあたって結女さんに「原風景を投影した作品を作りたい。空や大地や幼い頃の思い出、そういうものを入れたい」と言った時に、「大地をテーマにしよう」と言ってくださって。大地を表現するためにジャンベやウドゥ(ナイジェリアの民族楽器で壺のような形をしている)は絶対入れようということで、かなり民族楽器をフィーチャーしています。
――アフリカの楽器を入れると見える景色が変わりますね。強い印象を残しつつ、それでいて決して邪魔になっていないなと。
Kaya:風景を描いてくれる音ですよね。調整にはすごく気をつけたんです。レコーディングの時にディレクターのソワレさんと、結女さんと、サウンドプロデューサーでピアニストのおおくぼけいさん(アーバンギャルド)とで細かく調整しました。ちなみに曲中で登場するウィンドチャイムは、私がやっているんです。
――ウィンドチャイムと鈴の音が懐かしい気持ちを刺激しますね。
Kaya:呼び覚ますような音ですよね。
――今回入っている音は、いずれもとても厳選されていて、無駄がない気がしました。
Kaya:すごく選別したんですよ。もっともっとたくさん楽器を用意していたんですけど「違う違う」って言って。それに、1コーラス目のサビの前に「チン」って小さい音が入るんですけど、その音もすごくこだわって何回もやり直してもらいました。TDの編集のときにも、そこにすごくこだわって微調整を繰り返して。
――とても丁寧で実直な感じがします。
Kaya:確かに実直な作品かもしれないですね(笑)。
――c/wの「Frosty Rain」は鈴木結女さんとお二人で歌っていらっしゃいますね。
Kaya:この曲は元々、昨年出したシングル『Perfana』のc/wだったんです。以前ライブで結女さんとのデュエットを披露したら、お互いのファンの方たちからその音源のリクエストがすごくたくさん届いて、「じゃあ、やろうか」と。
――一緒にレコーディングをしてみてどんな印象を持ちましたか?
Kaya:本当に歌が上手な方だと思いました。私は何回か歌うんですけど、結女さんはササッと歌って「ハイOK」。直しも全然ないんです。素晴らしくて感動しました。
――稀有な声の持ち主ですよね。
Kaya:存在もお声もあまり性別を感じさせない方なんですよね。中でも2コーラス目のサビで、先に私がハモリで途中から結女さん、とハモリと主メロで切り替わるところがあるんですが、そこでお互いの性別がよくわからなくなる瞬間があるから面白いなと思って。歌っている時はあまり意識してなかったんですけど、できあがった作品を聴いてびっくりしました。一瞬「あれ?」と思ってしまうんです。
――とても自然に溶け合っていました。お二人の声にはどこか通じるものがあるんですね。ところで、お二人はどうやって出会ったんですか?
Kaya:私は子供の頃から結女さんのことが大好きだったんです。そうしたら4年前、とあるライブハウスの方から「鈴木結女さんて知ってますか? その方がKayaさんと共演したいと言っているんですけど」と連絡があって。どうやら、ひょんなことから私のことを知ってくださったらしいんです。「『聴いてみたらすごくいい。この人と一緒に歌いたい』と言っているから、とりあえず打ち合わせに来てくれませんか?」と言われて、騙されているんじゃないかしらと思いながら行ったら本当に結女さんがいたんです。「初めまして。私Kayaさんの声を聴いて1曲できてしまったんです。よかったら聴いてください」ってCDを渡されたのがこの曲で。すごく感動して泣いてしまいました。それでその日のうちにこの歌詞を書き上げたんです。その後ライブでは披露していたんですけど、今回一緒に歌う形で音源にできて本当に良かったと思います。
――できるべくしてできた曲なんですね。そしてこの曲は「夢路」のc/wに入るべき曲だと思いました。
Kaya:そうですね。作曲者が同じとかそういうことではなく、曲や歌の持つ色として「夢路」のc/wというのが正しかった気がします。もちろん、前回の作品もとても気に入っていますし、バランスも良かったですけどね。そして、確固たるものができたからこそ遊び心を入れたくて、通常盤には「夢路 -Trance Remix-」を入れました。打ち込みものでトランスが好きなので、それを反映させたいなと思って。DJ KAYAさんには「好きに料理してください」とお伝えしました。元々できあがる前からこういう作品になるという確信があったので、絶対トランスで遊べる曲になるはずだと思っていたんです。
――狙い通りの作品になりましたか?
Kaya:はい! クラブでかかっていてもおかしくない素晴らしい作品になりました。DJ KAYAさんは90年代後期から2000年代初期のトランスレイブやムーブメントを作った方なので、そういう方に「夢路」という曲で好きに遊んでいただけて本当に嬉しいです。完成した曲を聴いて結女さんも「おもしろいですね!」って驚いてくださいました(笑)。
◆皆さんが想像する景色と私が出したい景色が合わさって一つの作品になる
――今回収録された2曲の歌詞には、たくさんの色の名前が散りばめられていますね。〈青〉〈白〉〈群青〉〈紫〉〈真紅〉…ここは意識して入れた言葉なのでしょうか?
Kaya:「夢路」は意識しましたが、「Frosty Rain」に関しては3~4年くらい前に作った曲なので自然に入っています。私、歌詞は自分の感情や思いを反映させた、叙情詩なんだけれど叙景詩にも読み取れるものが好きなんです。叙情的なことを歌っているけれど、まずはスッと歌に入ってもらうために前半で景色や状況、香りや色をイメージしていただく必要があるので、説明しすぎないようにそういうワードを入れるよう意識しています。だから色が多いのかもしれないですね。
――最初にリスナーの手を取って曲の世界に入れてくれるので、その世界がより具体的に感じられるのかもしれません。
Kaya:伝えたいことがあるから歌っているので、伝わらないと意味がないんですよね。言葉にすごく気を遣っているので、言葉選びも慎重にします。そういうところは特にAメロに反映されていて、例えば「Frosty Rain」では〈そっと降り出した雨〉という言葉で「雨模様だから曇り空なのかな?」と感じてもらえるだろうと思います。そこでそれぞれが思い描く景色は違うと思いますけど、それは全く構わないんです。「こういう景色を見て」という押し付けはせず、皆さんが想像する景色と私が出したい景色が合わさって一つの作品になると思うので。
――同じ曲を聴いても聴き手によって見える景色が少しずつ違うというのは面白いですね。
Kaya:それがアートの醍醐味だと思っていて。歌だけじゃなく、音楽、絵画、演技、全てにおいてそうだと思うんです。唯一クラシックだけは作曲者が作り上げたものを演者がきっちりやらなくてはいけないし、受け取る側も作曲者が出したかった景色を見るのが良さかなとは思いますけど、現代演劇や現代音楽というのは、それぞれの色、それぞれの価値観が重なったものが完成形だと思っているので。「Frosty Rain」を聴いて「青い曲だな」と言う人もいるし「白い曲だね」と思う人もいると思う。それこそが完成形なので、それでいいんです。50%と50%で100%にするというのが楽しいじゃないですか。
――なるほど。そして今回のジャケット写真は、ミュシャを思わせるとても柔らかな印象の1枚ですね。
Kaya:アールヌーヴォーですね。衣装さんと話していて、今までロココやゴシック期のドレスはやったけれどアールヌーヴォーをやっていないなということになって。私はアールデコよりもアールヌーヴォーの時代のほうが好きなんです。アールヌーヴォーといえばミュシャですし、過去を思い出して故郷を思う曲なので柔らかい色がいいなと。カラーとしては群青色や深い紫があったんですが、衣装でそれをやってしまうと重くなってしまうので淡い紫にしてくださいとリクエストをしました。
――シングルでこういう淡い色を使うのは2008年リリースの『ショコラ』と『Last Snow』以来ですね。翌2009年リリースの『Ophelia』以降は黒が基調になったので、そのあたりにも心境の変化があったのかなと思ったのですが。
Kaya:そこは「こういう色をずっとやっていないから、そろそろやろう」というわけではなくて、むしろ逆なんです。2008年頃は「Kayaさんってゴシックな人ですよね」と言われるのに、あまりゴシックなカラーを出していなかった。なので『Ophelia』くらいからしっかりゴシックをやろうと思ったんです。これまでずっと「ゴシックとはこういうものだ」という考えが自分の中にあったんですが、今回そういうものがなくなったというか、囚われなくなりました。Kayaが歌えばKayaの歌だという自負がしっかりできたんです。「コンセプトにもこだわらず、今出したいものを出そう。それでどんどん淡くなっても別にいいし、また黒になっても構わない」という吹っ切れた感じはすごくあります。そのせいか、カメラマンさんにも表情が全く違うって言われました。自分で言うのも何ですけど、穏やかでナチュラルな表情ができるようになったと思います。
――その表情はMVからも伝わってきました。
Kaya:ありがとうございます。ちなみにこのMVの撮影をした時、気温は-9℃だったんですよ(笑)。早朝の朝日の中で撮ったので、すごく大変でした。歌詞は夕暮れどきを歌っているんですが、夕暮れは穏やかすぎるので厳しさや大自然への畏怖を入れるためにも早朝の朝日で撮ろうということになったんです。優しくて、でも厳しいということをMVにも入れたかったんですよ。
◆“Kaya”というものに揺るぎがなく、私が歌えば私の歌だと思えるようになった
――来年は「やりたいな、と言いつつ出来てなかったことをどんどん実現する2017」だそうですが、この作品でその一つが達成できたのでしょうか。
Kaya:その一つ目という感じはしますね。これ以降にやりたいことも色々考えていて、まずは今回ディレクターで参加してくれたソワレさんと「歌旅に行こう」と話しているんです。完全にスッピンでピアニストと私とソワレさんの3人だけで車で今まで行っていないところに行って、純粋に歌だけ歌うという旅をしようと。今までやりたいなと思いながらも、それをやってしまうと“Kaya”というものに対して悪影響なんじゃないか、「スッピンでバーで歌うなんてヴィジュアル系のKayaを捨てるの?」と思われるんじゃないかと色々考えてしまって。
――確かに難しい選択ですね。
Kaya:今までのKayaがあまりにも違うことをすることに恐怖や不安があったので、手を出せなかったんです。でも今、“Kaya”というものに揺るぎがなくて、私が歌えば私の歌だと思えるようになった。メイクをしてドレスアップして歌うKayaは死ぬまでずっと続けるので、たまにそういうことをしても何も揺らがないという自信ができたんです。だから歌だけ歌う「歌旅に行こう」と思えるようになりました。
――吹っ切れたんですね。
Kaya:そうですね。あと昔、朗読会を1回やったことがあって、またいつかやりたいなと思っていたんです。これもゴシックをテーマにやっているし、バンドがあるし、事務所に入っているし…と、色々考えて躊躇していたんですがそのお話も進めています。それに、外で歌うということをやってみたくて。夜の神社で和装で歌いたいんです。ゲストに犬神凶子さん(犬神サアカス團)を呼んだりして…って勝手に言ってますけど(笑)。
――次々にやりたいことが出てきているんですね。Kayaさんの意外な引き出しをどんどん開けていっていただきたいです。
Kaya:ユニットのSchwarz Steinもやっているので、そちらで打ち込みと退廃的な歌詞はずっと続けていきます。色々やると中途半端に見えるんじゃないかと思って悩んでいたんですけど、そんな悩みも一気に消えました。もちろん、やりたいことばかりやって、飽和状態にならないように、計画性は見失わないようにストップはかけますけどね(笑)。
――さらにリリース日の3月8日には渋谷のSARAVAH東京で最上川司さんと共演する、Kayaアコースティックライブ「Cafe NOIR-シャンソン×演歌-」が行われますね。Kayaさんの交友関係の広さに本当に驚かされます。
Kaya:人間って年齢に関係なく日々成長していくものだと思うんです。そして何が一番人を成長させるかというと人との対話だと思うんですよ。いろんな方とお話することによって毎回気づくことがあるので、私は人と会話するのが大好きなんです。ミュージシャンをやっているとわからないことがたくさんあるので、例えばお医者さんのお友達としゃべっていると「そういう世界なんだ」ってびっくりしますし、役者さん、歌舞伎役者の方、弁護士さん、水商売の方や風俗嬢の方と話していても「いろんな世界があるな」「そうか、そういう価値観なんだ」と思うのも楽しくて楽しくて。
――ちなみに最上川さんとはどんな出会いだったのでしょうか?
Kaya:彼がD’espairsRayをやっていた時に、私がSchwarz Steinで2マンをしているんです。でも、お話しをするようになったのは最近で。彼との共演も今だからこそできるのかなという気がします。最上川さんも、ヴィジュアル系バンドのドラマーでありながら演歌歌手として活動してらっしゃって、私も耽美をテーマにしたヴィジュアル系シンガーだけどシャンソンも歌うから、じゃあシャンソンと演歌を一緒にやってみようと。そもそも私が歌手を目指したのは3歳のときに地域の秋のお祭りで演歌を歌ったのがきっかけなんです。
――意外なエピソードです。
Kaya:そこでスポットライトと拍手を浴びて、「ずっとこの世界にいたい。スポットライトの下にずっといたい。歌手になる!」と思って、そこからずっと変わらず今に至るんです。だから演歌も好きなので、このライブできっかけになった曲を歌おうとか思っています(笑)。
――まさにKayaさんの原風景ですね。では最後に読者へのメッセージをお願いします。
Kaya:今回、今の私を反映した、コンセプトにこだわらず私の魂そのものを反映したような曲ができました。Kayaを昔から知っている人、知らない人、皆さんに聞いていただきたいです。「夢路」に出てくる〈あなた〉というのは、リスナーの方が聴いて投影できるようにと考えています。私の中でも一人だけじゃなく、いろんな〈あなた〉がこの言葉に込められているんです。それでいて10年前、20年前の自分に対して歌っているところもあって。今回、ずっと自分の心のどこかに引っかかっていたものがやっとほどけたというか、許してあげられる曲になりました。こういう歌が歌える日が来るよ、と過去の自分に歌ってあげたい作品になったんです。今、色々抱えている方もたくさんいると思うんですけど、そういう人にも届くといいなとおこがましいながら思ったりもしています。本当に感じ方はそれぞれだと思うので、自分の原風景と混ぜながら景色をイメージしていただければと思います。
――3月18日からスタートするONE MAN TOUR 2017『Dream after Dream』、そして、ツアーファイナルの新宿ReNYでは素晴らしい景色が見られそうですね。
Kaya:ダンサーやピアニストの方にも入ってもらって、今までのKayaとは一味違った皆さんに楽しんでいただけるワンマンになると思います。ぜひ来ていただきたいです。
(文・後藤るつ子)
Kaya
<プロフィール>
2002年、元MALICE MIZER(現Moi dix Mois)のManaのプロデュースにより、ユニット「Schwarz Stein(シュヴァルツ・シュタイン)」のヴォーカルとして活動を開始。2008年、シングル『ショコラ』でメジャーデビュー。通常の概念を超えた美貌と、一度聴いたら忘れられない魅惑の歌声で魅了する孤高の耽美派ソロシンガー。耽美な歌詞とダンスミュージックを融合させた楽曲で独自の世界観を確立し、アメリカ、南米、ヨーロッパなど海外公演も多数行っている。2017年3月18日の大阪RUIDOを皮切りにONE MAN TOUR 2017『Dream after Dream』をスタートさせる。
■オフィシャルサイト
http://kaya-rose.com
【リリース情報】
『夢路』
2017年3月8日発売
限定盤
(2曲入りCD+DVD)
TK-16
¥2,000+税
通常盤
(3曲入りCD)
K-17
¥1,500+税
【収録曲】
限定盤
[CD]
01. 夢路
02. Frosty Rain (with 鈴木結女)
[DVD]
『Making of 夢路』
通常盤
[CD]
01. 夢路
02. Frosty Rain (with 鈴木結女)
03.夢路 -Trance Remix-
【ライブ情報】
●Kayaアコースティックライブ「Cafe NOIR-シャンソン×演歌-」
3月8日(水)SARAVAH東京
●Kayaアコースティックライブ「Cafe NOIR in 大阪」
3月18日(土)大阪RUIDO
●ONE MAN TOUR 2017「Dream after Dream」
3月18日(土)大阪RUIDO
3月26日(日)札幌COLONY
3月31日(金)福岡DRUM SON
4月7日(金)新宿ReNY