ダウト

ダウトインタビュー

ギラギラと眩い輝きを放つ、ダウト渾身のニューアルバム、その名も『歌舞伎デスコ』がついに完成! どこか懐かしく、それでいて新しい、ダウトの最新作をフィーチャー!

約1年ぶりにリリースされる、ダウトのメジャー2枚目となるフルアルバムが完成した。意表をつく『歌舞伎デスコ』というエッジの効いたタイトル、期待を裏切らない唯一無二のダウト節の数々。留まることなくその勢いを加速させ続ける彼らの今が、この1枚に純度高くパッケージされている。3月には6周年を迎え、さらには1曲のリクエスト曲をファン1組のためだけに演奏する、スペシャルイベントも決定したダウトから、ヴォーカルの幸樹、ベースの玲夏のスペシャルインタビューをお届け!

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◆『中距離恋愛』のときに見えたモードが、そのままアルバムに(玲夏)

――今回、アルバムタイトルにも、アートワークにも度肝を抜かれました!

幸樹:かなりインパクトありますよね。今回アートワークもすごくハマったなと。

――何しろ『歌舞伎デスコ』でデコトラですからね。

幸樹:そうなんですよ。でも、今回のデコトラも含め、これまで色々な写真を撮ってきて、撮り尽くしたかと思われてそうですけど、実はまだ撮影したいシチュエーションがあるんです。

――例えば?

幸樹:内緒ですけど、一つだけ教えると“フルメイクで水中撮影”。

玲夏:NIRVANAの『NEVERMIND』みたいな?

幸樹:そうそう。あれって合成なのかな。俺は、顔とか髪がどうなってようが合成なしで撮りたいんですよね。

――すごいプランですが、玲夏さんもこの案に異論なしですか?

玲夏:はい。基本的に、うちは皆面白いことが好きなんで。でも写真使えるかなー…集合写真は絶対無理っぽいよね(笑)。

幸樹:そうね(笑)。

――そんな今回のアルバムのタイトルはどなたが?

幸樹:自分が考えたんですけど、“歌舞伎”っていう単語はマストであって、“デスコ”の部分は色々候補がある中でいろんな人の意見を聞いて決めました。

――歌詞に登場する〈かぶき者〉というのは、痴れ者と紙一重のような言葉ですよね。

幸樹:そういう意味で付けました。伝統芸能の歌舞伎ではないですね。この言葉には「やってらんない」っていうその時の気持ちが出てます。そういう気持ちを俺はいつも音楽にぶつけるんで(笑)。

――そんなヤサグレた気持ちで(笑)?

幸樹:俺は基本ヤサグレてますからね(笑)。

――〈かぶき者〉という、保守的とは対局に位置する前衛的な存在に、自分たちを重ねたりはしているんですか?

幸樹:そうですね。基本、そういう姿勢じゃないとやっていけないですから。世間的に音楽は出尽くした感があるけど、その中で俺はまだ出来ることはあると思ってるんです。だからこそ潰していかないと新しいことは絶対できないなと。もっと言うと、中途半端は嫌なんで、売れるか売れないか、どっちかが良いんですよね。

玲夏:売れるっていう自信や希望があるからやっているわけで、それがなければ次にシフトしますからね。

幸樹:そこまでダラダラやる気もないし、自分たちがやりたいことをへし曲げてまで、そこにすがりたいとは思わないですから。

――潔いですね。

幸樹:うん。最近、辞める勇気よりも続ける勇気の方が意外と大変なんだなって、思うんですよ。俺たちは解散とか考えたことはないけど、辞めるって結構簡単だと思うから。

――なるほど。今回、まさにダウトにピッタリのタイトルと言えますが、アルバムを作るにあたってのヴィジョンはあったんですか?

幸樹:シングル『中距離恋愛』が、自分達の中ですごく納得がいく作品だったんです。曲だけじゃなく、色や方向性も含めて。ライブのことももちろん考えましたけど、今回は『中距離恋愛』の延長線上を、色濃く、地に足を着ける感じにしたいなと思ったんです。

――アルバムについて具体的に動き出したのは『中距離恋愛』の後なんですね。かなり前からアルバムの構成を考えていたのかと思っていました。今回収録されているシングル曲がアルバムにぴったりハマっていたので。

玲夏:俺らもシングル曲を入れる場所に悩まなかったです。前回のアルバム『MUSIC NIPPON』の時はすごく悩んだんですけどね。『中距離恋愛』のときに見えたモードが、そのままアルバムに継続されているからかも。

――違和感なく聴ける並びですよね。悩んだというアルバム『MUSIC NIPPON』から何が一番変わりました?

玲夏:細かなスキルと、あとは自信がついたってことですね。『中距離恋愛』で得た自信もあるし。『MUSIC NIPPON』の時も胸を張ってリリースできたんですけど、制作についての心意気というか内面的な部分が変わったかなと。

幸樹:今までは、ギターはギター、ベースはベースだったんですけど、周りが見えるようになって、楽曲として考えられるようになりました。五つの混ざりというか、全体を考えられるようになったというか。そのせいか、今回はちょっと歌いやすかったですね。

――着実に前進をしている感じですね。今回、シングルのカップリング曲が2曲(シングル『あいするひと』より「CAT WALK」、シングル『中距離恋愛』より「ジュリアナ」)収録されていますが、これはどういった意図で?

玲夏:カップリング曲はシングルで完結させるという考え方もあると思うんですけど、逆にアルバムのテイストに混ざることでもう一度日の目を見ることができるなと思って。ここで収まってほしくないというか。

――特に「CAT WALK」はカップリングで終わってしまうのはもったいない名曲ですからね。

幸樹:「CAT WALK」いいっすよね! 自分で作っておいて何ですけど(笑)。なかなか自分が好きな曲がフィーチャーされることがないので嬉しいです。

――ファンの方も楽しめそうですよね。ところで、今回のアルバムの曲の振り幅が狭めですが、それは『中距離恋愛』の延長で曲を作ったからなんでしょうか。

玲夏:意図的に狭めたわけではないんですけど、かといって無理に広げようと思ったわけでもなくて。シングル『ハイカラベイベ』で割と凝縮した曲を作ったんです。うちらとしては若干不安もあったんですが、それで良い反応が返ってきたので、無理に広げる必要もないんだなと。なので今回も広げていこうという話も特にしなかったし、直情的な部分と、要所要所のスパイスで一枚の作品として成立しているので。濃い作品になりました。

――すごく濃いですよね。ダウトをギュッと凝縮してギラギラさせたなと(笑)。

◆「ファンの子たちと一緒に」という気持ちが強くなった(幸樹)

――ところで、玲夏さん作詞作曲の「T.S.G」とは何の略なんでしょう?

玲夏:「THANK YOU」「SORRY」「GOOD BYE」です。この曲は綺麗事だけ言うような歌にしたくなかったから、テーマを決めることにすごく悩んだんです。全体的には悲しい歌ではあるんですけど、視線はちゃんと前にあるというか。俺の悪い癖で、落としたら落としっぱなしにしがちなんですけど、うまいことちゃんと前を向けたかなと。

――お二人の歌詞のニュアンスがまた違っていて個性を感じました。今回の歌詞もいつも以上に読み応えがありますね。

幸樹:作詞はやっぱり、すごく時間がかかりますしね。特に「歌舞伎デスコ」の、サビ頭の〈パラリラ パラリラ パラリラリライライラ〉の部分を決めるのが大変でした。ここは最初、普通の歌詞だったんですけど、インパクトというか取っ掛かりがなくて。でも、肩の力を抜いた方が出る時もあるんだなと気づきましたね。

――幸樹さんの歌詞には季節の単語が頻繁に登場しますが。

幸樹:季節感は大事にしてます。歌詞を読んだときの景色が見えやすいと思うし。

――ご自分で一番好きな歌詞は?

幸樹:全部ですかね。自分で「いまいち」だと思った歌詞は入れないから。特に好きなのは「Killer Tune」かな。

――結構毒々しい歌詞ですが(笑)。

幸樹:(笑)。こういうの結構好きなんですよね。俺が書く歌詞は、なんだかんだストレートなものが多いかもしれませんね。あまり抽象的な表現が好きじゃなくて。

――メッセージはストレートな方がより伝わりやすいですよね。そういえば前回、DREAMS COME TRUEの「LOVE LOVE LOVE」みたいな綺麗なラブソングを作りたいって言っていましたが。

幸樹:「行きずりの冬」ですね。

――書いてみていかがでした?

幸樹:最初、ハッピーエンドにするか、今はそうじゃないけどそれを思い返している切ない感じにするか悩んでいたんです。今回、〈さよなら〉という表現がうまく使えたなと。お別れの寂しい言葉なんですけど、そうじゃない、という使い方ができたので。

――「行きずりの冬」は作曲も幸樹さんですが、曲作りの段階から綺麗なラブソングにしようと思っていたんですか?

幸樹:全然! 先に曲ができたんですけど、歌詞をこんな風にしようと思ったのは後からです。

――玲夏さんはこの曲を聴いてどう思いました?

玲夏:タイトルのせいかもしれないんですけど、俺は農村でちょんまげの男性が鎌を持っているシーンが浮かんだんですよね(笑)。

――時代背景が…(笑)。

玲夏:タイトルのせいかもしれないんですけど、駆け落ちしてちっちゃな村に二人で住む…みたいな(笑)。たまたまその時、漫画の『るろうに剣心』を読んでいたからかも。

幸樹:おもしろいな。“勝手に主題歌”をやってみたい。

――“勝手に主題歌”?

幸樹:例えば『るろうに剣心』の主題歌を勝手に作るっていう(笑)。

玲夏:やってないのに!?

幸樹:やってなくてもいいんだよ。あと俺、ちゃんとストーリーに沿った歌じゃないとアニソンじゃないと思うから、『るろうに剣心』の主題歌なら「飛天御剣流」とかタイトルに入れたい。

玲夏:(笑)。

幸樹:…でもこれ虚しいにもほどがあるなー(笑)。結局、主題歌には使われないし(笑)。

――面白そう(笑)。玲夏さんは他に面白いシーンが浮かんだ曲はありますか?

玲夏:うーん、俺が聴いてパッと浮かぶ風景って現代じゃないんですよね。「花鳥風月・桜吹雪」は昭和だし。

――そういう風に聴くと、また違った解釈ができてすごく面白いですね。「T.S.G」は?

玲夏:「T.S.G」は…何だろう。ガガーリン※が出てますからね。

幸樹:ちなみに俺、ガガーリンが何だかわからないんですけど。マーガリンみたいなもんですか?

玲夏:宇宙に行って「地球は青かった」って言った人。

幸樹:そうなんだ! 俺、そういうのは出てこないわ。中学の時から理科とか化学系が苦手なんですよね。

――幸樹さんは文学系が強そうです。

幸樹:そうかも。あと俺、映画はめっちゃ観るんですよ。そこが今回のアルバムでは結構大きかったですね。感情とか妄想力を掻き立てられました。邦画をよく観てました。

――5月からは1年ぶりの全国ツアー「ダウト自作自演 武者修行ツアー上巻 -Spring Tour 2013-「歌舞伎デスコ」も始まりますが、今回のアルバムはライブでどんな風になると思いますか?

玲夏:「Killer Tune」は俺らも楽しめそうです。フロアとの一体感が感じられそうですよね。個人的には「歌舞伎デスコ」は弾いてることがややこしすぎて、楽しむどころじゃないですけど(笑)。

――「歌舞伎デスコ」では玲夏さんに注目します(笑)。ツアーの最後には3/3(日)には6周年記念祭もありますが、6年目ということを意識はしますか?

幸樹:最近はあまり気にならなくなりましたね。3年くらい前が一番意識していたかも。

――以前の方が意識していたというのは、なぜだったんでしょう?

幸樹:自分たちの自己主張というより、「ファンの子たちと一緒に」という気持ちが強くなったからかもしれませんね。

――1年ぶりのツアーの前に、Vifが当日レポートするアルバム特典イベント「SONG FOR YOU」(当選者100組に1組ずつダウトがリクエスト曲を演奏する、5分間の完全入れ替え制プレミアムライブ)がありますが。今回のイベントはまたすごいですよね。

幸樹:ヤバくないすか?

――ヤバいですよ。

幸樹:まだ他人事なんですけどね。終わったら2日間くらいオフにしてほしいですよね(笑)。

玲夏:前に同じようなイベントをやったことがあって、その時は30~40曲くらい1日でやったんですけど、それですら終演後、体が動かなかったですからね。今回その倍以上ですから…。

――終わったら勇者の称号が与えられると思います。当日が楽しみです!

<脚注>
※ユーリイ・アレクセーエヴィチ・ガガーリン。ソビエト連邦の宇宙飛行士。1961年、ボストーク1号で世界初の有人宇宙飛行を成功させた人物。

(文・後藤るつ子)


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「SONG FOR YOU」イベント告知

<プロフィール>

幸樹(Vo)、威吹(G)、ひヵる(G)、玲夏(B)、ミナセ(Dr)の5人からなるロックバンド。2011年のメジャーデビュー以来、シングル43枚、アルバム1枚を発売し、2ndシングルがオリコンシングルチャート14位、メジャー1stアルバムが18位を記録。2012年12月30日にはダウト最大の挑戦である「The 5th Anniversary yearに華咲かす為ダウトとD=OUTが手を組んだ!? 極上のダウト愛を込めて全身全霊でお贈りする見納めのドリームステージ!『THE FINALE』」を国立代々木競技場第二体育館で成功させた。5月3日からは約1年ぶりの全国ツアー「ダウト自作自演 武者修行ツアー上巻 -Spring Tour 2013-「歌舞伎デスコ」」もスタートさせる。

■オフィシャルサイト
http://www.pscompany.co.jp/d-out

【リリース情報】


初回限定盤(大)
CD+DVD
TKCA-73861
¥3,675(tax in)

初回限定盤(吟)
CD+DVD
TKCA-73862
¥3,675(tax in)

通常盤(醸)
CD
TKCA-73863
¥3,150(税込)

『歌舞伎デスコ』
2013年2月20日発売
(発売元:徳間ジャパン)
ギラギラと眩い輝きを放つメジャー2枚目となるフルアルバム。ダウトらしい楽曲が詰め込まれた必聴の1枚。

【収録曲】
初回限定盤(大)
[CD]
01.前座
02.歌舞伎デスコ
03.Killer Tune
04.中距離恋愛
05.ハイカラベイベ
06.T.S.G
07.告白と軽蔑
08.花鳥風月・桜吹雪
09.行きずりの冬
10.ジュリアナ
11.あいするひと
12.飛行少女
13.千秋楽

[DVD]
・歌舞伎デスコ全曲をライブ化!
ダウト自作自演無観客(秘)単独公演「歌舞伎デスコ育成会」
(01.前座/02.歌舞伎デスコ/03.Killer Tune/04.中距離恋愛/05.ハイカラベイベ/06.T.S.G/07.告白と軽蔑/08.花鳥風月・桜吹雪/09.行きずりの冬/10.ジュリアナ/11.あいするひと/12.飛行少女/13.千秋楽)
・「歌舞伎デスコ育成会」舞台裏映像

【封入特典】
大和撫子クリスタルケース付デジパック

初回限定盤(吟)
[CD]
01.前座
02.歌舞伎デスコ
03.Killer Tune
04.中距離恋愛
05.ハイカラベイベ
06.T.S.G
07.CAT WALK
08.告白と軽蔑
09.花鳥風月・桜吹雪
10.「修羅」
11.あいするひと
12.飛行少女
(SE)13.千秋楽

[DVD]
・MUSIC CLIP「歌舞伎デスコ」
・「歌舞伎デスコ」~メンバー主人公ver.~ 幸樹編・威吹編・ひヵる編・玲夏編・ミナセ編
・歌舞伎デスコ制作バラエティーメイキング

【封入特典】
日本男児クリスタルケース付デジパック

通常盤(醸)
[CD]
01.前座
02.歌舞伎デスコ
03.Killer Tune
04.中距離恋愛
05.ハイカラベイベ
06.T.S.G
07.告白と軽蔑
08.花鳥風月・桜吹雪
09.行きずりの冬
10.「修羅」
11.あいするひと
12.飛行少女
13.千秋楽

【封入特典】
初回生産分のみ歌舞伎ピクチャーレーベル仕様(全5種類)