Vogus Imageが活動を凍結させたのが、2005年のことになる。バンドは2001年に結成。活動は実質4年ほどになるが、相応の動員を記録し続けていたように、2000年代前半期のヴィジュアルシーンを語るうえで欠かせないバンドの一つとして、その存在を輝かせていた。爆発寸前の感情を抱え込んだスリリングなスタイルは、当時の音楽シーンの中でもスタイリッシュでダークな妖しい香りを放っていた。
ご存じの方もいるかと思うが、Vogus Imageは盟友の追悼ライブのためにメンバーが顔を合わせ演奏した2010年より不定期な形でだが活動を再開している。ライブ本数も、何時しか毎年行うようになった周年公演以外は、懇意にしている人たちに誘われ年に2-3本動いている程度のように決して多くはない。むしろ神出鬼没な活動を示している。
ヴォーカルのsho-ka自身も、「メンバーみんな、今は余計な意識を背負うことなく、それぞれが集まれるペースで、何に縛られることなく自由にバンドを楽しんでいる。昔のように、ワンマンを行えば数百人集まる環境ではない。だからこそ今は、本当にVogus Imageを愛してくれる人たちと一緒にVogus Imageの音楽を純粋に楽しんでいます」と語ったように、Vogus Imageとして歌うことを素直に楽しんでいるのが現状だ。だからこそsho-kaの中には、「改めて、本気で音楽を楽しみたい」想いや創作意欲が沸きだしていた。それが今、自身のアコースティックユニットLiving Propertyとしての活動や、ソロアルバム『making our world』の制作へと繋がった。ここからは、sho-kaの言葉をインタビュー形式でお届けしたい。
◆Vogus Imageのsho-ka、ソロアルバム『making our world』を発売。Vogus Imageナンバーもリアレンジし、収録!!
――sho-kaさんと言えば、Vogus Imageのヴォーカリストとして活動中。バンドは2005年に凍結。でも、2010年に集まったことをきっかけに不定期ながらコンスタントに活動を続けているよう、何時しか活動を再開していたんですね。
sho-ka:ふたたびメンバーが集まったのは、懇意にしていたバンドメンバーの追悼ライブのためにVogus Imageとして演奏をしたことがきっかけでした。そのときから「再始動をしよう」と強く意思を掲げたというよりも、メンバーみんなの想いがVogus Imageへ向いていたこともあって、精力的に…というよりは、不定期ながら集まってはワンマンを中心に活動を続けています。今も、毎年”周年ライブ”としてワンマン公演を行えば、誘いによっては2マンライブを行うなど年に何度か動いています。
――同時に、ソロ活動も行っているわけですよね。
sho-ka:過去にもソロアルバムを制作していれば、現在はアコースティックユニットLiving Propertyとしての活動も行っています。ただし、積極的にという意識で言えば、本当にここ最近からふたたび音楽へ力を注ぎだしたと言ったほうが正しいと思います。その一環として手がけたのが、通販と会場限定で発売するアルバム『making our world』になります。
――ふたたび音楽の血を滾らせた理由も気になります。
sho-ka:Vogus Imageを凍結していた頃とは違い、ある程度年月を重ねたことで、より純粋に音楽を楽しめている自分がいることが大きいのかな。実際にVogus Imageとしての活動も、メンバーみんなもそう。Vogus Imageとして何かを…ではなく、その都度、Vogus Imageを通して音楽を、ライブを純粋に楽しんでいるからこそ、限られた機会を大切に活動を続けられている。その機会を重ねていく中、このまま年齢を重ね中途半端に踏み出せないままでいるよりも、何かを背負うのではなく、純粋に音楽創作やライブ活動へ自分の想いを注いでみたい。そんな気持ちから創作意欲が沸き上がり、以前にお世話になっていた方にも協力していただければ、今回のアルバム制作でも、楽曲のアレンジなどを手がけてくださる方と一緒に自分の想いを具現化し始めたわけなんです。それに、今でも僕やVogus Imageを応援してくれている人たちへの。もちろん、今は離れてしまったかつてのファンたちへの一番の恩返しこそ、僕自身が今、一番純粋に楽しんで作る音楽を届けることだと思い、今回のアルバム「making our world」を作りました。
――sho-kaさんの音楽へ向きあう意識がどんどん研ぎ澄まされている、その環境はファンにとっても嬉しいことだと思います。
sho-ka:正直、まだまだダメ人間ですけど。昔とは違う充実感を覚えていれば、自分自身との向きあい方も、よりポジティブに楽しめるようになってきた。それくらい今は、余計なものを背負うことなく純粋に音楽を楽しんでいる。その姿勢でいれることが、良い作品や良いモチベーションへと繋がっていますからね。
――昔は、いろいろ背負うものがありましたもんね。
sho-ka 勝手に背負っていたところはあったなと思います(笑)。
――Vogus Imageのライブも、毎回楽しんでいるようですね。
sho-ka:昔みたいに、ワンマンを行えば何百人も押し寄せる状況ではないのが現実です。だからこそ、本当にVogus Imageを愛してくれる人たちと一緒に、純粋にVogus Imageの楽曲やライブを楽しめている面は強いなと思います。
◆当時の音源を持っている方は、ぜひ聞き比べながら、その違いを楽しんでください。
――アルバム『making our world』には、Vogus Imageナンバーも入れてますよね。
sho-ka:「絶対零度」と「act」をrearrange versionとして収録しています。Vogus Imageの楽曲を収録したのも、純粋に自分なりに今のモードでリアレンジしたいなと思ったことからです。今でもVogus Imageで演奏しているように、ソロ作品へVogus Imageの楽曲を入れるにあたってメンバーにも相談しました。もちろん、みんなOKしてくれたからこそ入れたわけですけど。今後も機会があるならVogus Imageの楽曲をソロとしてリアレンジしてみたいなと思っていますけど。でも、それをやるならVogus Imageとしてやるべきですよね(笑)。当時の音源を持っている方は、ぜひ聞き比べながら、その違いを楽しんでください。
――アルバム全体的に激しさや雄大さを抱いた曲たちが多い印象も受けました。
sho-ka:以前に作ったソロアルバムの頃と比べたら、割と元気な印象を受けるんじゃないかな。前作ではもっとスローテンポな曲調も多く、今回ほどキーの高い楽曲も入れてなかったことを思い返すと、今回はより挑戦的な面も増えれば、自分自身高揚する気持ちを抱きながら曲制作へ向かっていた理由もあって、より攻めた表情を持った楽曲たちを詰め込んだ元気な作品になったなとは感じています。個人的にお勧めしたい楽曲の一つが、「tranceparency」。まだVogus Imageが活動している十数年前に作った楽曲を、今の自分ならどんな風に解釈して形にするだろうか。その興味も持って作り上げたように、Vogus Imageの音楽性を知っている人なら、その印象を持ってこの歌を受け止めて欲しい。それが、今のsho-kaとしてのスタイルなんだと受け止めてもらいやすいかも知れないです。そしてもう一つが、アルバムの最後に収録した「色相環」。この楽曲の歌詞や曲調は、Vogus Imageとして精力的に活動していた頃の気持ちを取り戻しながらも、今なりの想いを持って作品にした歌。Vogus Imageの頃から好きな人たちなら、その当時の匂いを。今回初めてsho-kaに触れた人たちには、「こういうスタイルを表現しているアーティストなんだ」と感じてもらえるはず。もちろん、1曲1曲すべてに想いを詰め込めば、とくに歌詞へは、今の自分の心境や心情をいろんな角度から投影しているように、今のsho-kaという表現者の想いをアルバム『making our world』から感じ取ってもらえるんじゃないかなと思ってる。
◆その人の進むべき未来によって楽曲の受け止め方が変わってゆく。それこそが僕が求めている楽曲。
――アルバムを出すということは、ここから活動も活発化してくということでしょうか。
sho-ka:先にVogus Imageについて言うなら、毎年のアニバーサリー公演はやっていくけど、あとは不定期なように、先の展開の読めない姿を楽しんでください。
――ちょうど10月19日に高田馬場CLUB PHASEで「『Vogus Image「18」ワンマンライブ』」が行われますからね。
sho-ka:まさに18周年のアニバーサリーライブとしてね。この日に、アルバム『making our world』を会場先行発売し、翌日から通販サイトでも販売を開始します。
――18周年ということは、20周年も間もなくじゃないですか。
sho-ka:現状、10月19日のライブを終えたらVogus Imageとしてのライブは真っ白な状態ですけど。メンバーの誰一人「もう活動を止めよう」とは言ってないように、そういう言葉が出ない限りは進み続けるんじゃないですかね。ただし、先のことは自分でも何もわかりません。20周年へ向けVogus Imageとして新しい音源を作り出そうとするのか、「もう活動を止めよう」と誰かが言い出し、このまま止めてしまうのか…。なので、Vogus Imageに関しては見れる機会があったらぜひ見逃さずにいてください。ソロに関しては、現在行っているアコースティックユニットのLiving Propertyを軸に、そこでソロ曲たちも披露しながらライブ活動をしていこうと思っています。こちらは、そんな遠くない時期にバンドスタイルへ移行するつもりなので、そちらの展開も楽しみにしていただけたら嬉しいです。音源に関しても、アルバム先行で「絶対零度-Single-」を配信すれば、今も変わらずに新曲を作り続けているように、どんな形になるかはわかりませんが、音源も届け続けます。ただ、ライブの本数に関しては昔のように詰め込むことはなく、そこは自分なりにじっくり向きあえるペースでとは考えています。
――改めて、アルバム『making our world』についてひと言お願いします。
sho-ka:アルバムに収録した曲たちはどれも今聴いて感じる想いもありながら、その人が経験を重ねた中、後に捉え方を変えて胸に響く歌たちばかりになっています。その人の歩み方次第で、その人の進むべき未来によって曲の受け止め方が変わってゆく。それこそが僕が求めている楽曲のように、その変化を楽しむうえでも、ぜひ長く聞き続けてください。僕自身が、十数年前に書いたVogus Imageの楽曲を歌いながらその変化を楽しんでいる人ですからね(笑)。
(文・長澤智典)
【リリース情報】
New Album『making our world』
2019年10月20日(日)発売
※通販限定(10月19日(土)高田馬場CLUB PHASEにて会場先行販売)
¥3,300(税込)
01. 勝者の呪い
02. making our world
03. cataclysm
04. rebirth
05. crayons
06. 絶対零度_rearrange version
07. tranceparency
08. act_rearrange version
09. 南天簪
10. 色相環
通販サイトURL:
https://shoka.official.ec/
https://soundsource.stores.jp/
【ライブ情報】
●『Vogus Image「18」ワンマンライブ』
10月19日(土)高田馬場CLUB PHASE
チケット販売(e+):https://eplus.jp/sf/detail/2941490001
●11月10日(日)本八幡Route Fourteen
Living Property、百直、RYO from KING、唯(umbrella)
【sho-ka プロフィール】
2001〜2005 Vogus Imageとして精力的に活動。
2010〜 Vogus Image再活動をし、アニバーサリー記念公演ワンマンやイベントに出演。
2018〜 sho-kaソロ活動をし、portablerainやLiving Propertyというバンドやユニットも行いつつ、それぞれの活動にて、音源リリースやライブ活動を行っている。
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