2017.4.13
BAROQUE@TSUTAYA O-EAST
「SKY FITS HEAVEN」

「今回のTSUTAYA O-EASTも急遽決まった感じですけど、俺はBAROQUEのそういうところも好きなんですよ」とは先日圭(G)と対談を行ったBugLugのギタリスト・一樹の言葉だが、約1ヵ月半前に開催が発表されたライブにもかかわらず会場はバロッカー達で埋め尽くされていた。

Vifではこれまで、BugLugの一樹、そしてNOCTURNAL BLOODLUSTのCazqui(G)と、BAROQUEを敬愛する後輩たちとの対談を行ってきた。その中でも語られているようにBAROQUEには多くの人を惹きつけてやまない魅力がある。それは抜群の音楽センスだけでなく、紆余曲折を経て二人体制となった今、怜(Vo)と圭が「ある意味覚悟を決めてやっている」からであり、その真摯な思いが原動力となってライブごとに新しい驚きや感動を与えてくれるからに他ならない。

ほの暗い無人のステージ。その背面に据えられた巨大なLEDに星空が写し出され、「PURIFY」の愁いを帯びたギターが流れる。すると、メインステージの隣に設えられたサブステージの幕が開き、そこには赤いソファに座った二人の姿が。沸き起こる歓声の中、圭の爪弾くギターに怜の穏やかな歌声が重なり、清らかなメロディが静かに優しく紡がれていった。

意表を突くオープニングでオーディエンスの心を鷲掴みにした二人はメインステージへ。流れる雲の映像を背に奏でられる「DREAMSCAPE」では伸びやかな怜の声が遠く高く響き、細やかに音を刻むギターが心を浮き立たせる。続く「凛然アイデンティティ」で色とりどりのタオルがフロアに風を巻き起こすと、怜は「VERY GOOD!」と満足げな笑みを浮かべ、「バロッカーの目を見ればわかるんだけど、今日は最高の日になるんじゃねーの?」「1曲目びっくりした? キュンてした?」と問いかけ、笑いを誘った。

この日は、これまでにもサポートを務めてきたKENZO(Dr)に加え、シドの明希(B)がワンマンライブのサポートとして初めて参加したわけだが、圭の「元々友達だし、スタジオも楽しかったよね」という言葉通り、4人のグルーヴからは仲の良さ、そして全員が心から楽しみながらプレイしていることが伝わってくる。「Nutty a hermit.」では怜が明希の肩に腕を回し、圭と明希がじゃれ合いながらステージを駆け回ると、KENZOもドラムセットから笑顔を覗かせ、会場の心拍数はぐんぐん上昇していった。

そんな晴れ渡る青空のような空気を一気に塗り替えたのは、「SKY WALKER」。エフェクティブな歌声と浮遊感のあるギターが、心臓の鼓動を思わせるリズムと相まってオーディエンスを無限に広がるサウンドスケープに引き込んでいく。「SWALLOW THE NIGHT」では怜の力強い歌声と明希の極太なベースが絡み合って雄大な世界を描き、「SILENT PICTURE」では光と影が交差してシネマティックな光景を作り出した。

さらに、青い光の下、ギターの弓弾きで常とは違う表情を見せたギターソロ、静から動へと表情を変えながら寂寞とした轟音を響かせた「exit」、そして会場にいた全員をその静かで深い音世界の奥底へと誘った「MEMENTO」へ――。この曲は、歌い終えた怜に「今の『MEMENTO』は今までで一番よかった。ちゃんと目撃してくれた?」と言わしめるほどの完成度で、オーディエンスから惜しみない拍手が贈られたのだった。

そんな中、メンバー紹介からスタートしたMCではテンポよく交わされる4人のトークで会場がほっこりムードに。真夜中、圭の元に明希とKENZO からBAROQUEの曲を熱唱するムービーが送られてきたというエピソードまで飛び出し、会場は笑いに包まれた。

大いに盛り上がったトークを「そろそろBAROQUEやりたいよな? そろそろ騒ぎたいよな?」と怜が苦笑しつつ引き戻し、「魔女と林檎」をドロップ。さらに、「暴れ倒そうか!」と投下された「ガリロン」で一気に熱を増したフロアに「我伐道」を放つと「穴が開くまでジャンプしようぜ!」という煽りに圭と明希も笑顔でジャンプ! ステージとフロアが一体となって、まさに最高の「我伐道」を作り上げた。

「次でラストです。今日は今日しかないからさ、どの曲も真剣に歌いたいね」

そう言って静かに暗転した会場に、怜が手にしたライトが一筋の光を投げかける。その光が不規則に客席とステージを照らす中、奏でられたのは「CELEBRATE」。暗闇の中、芳醇な音に酔いしれていると、ふいに視界に無数の光が降り注ぎ満天の星空が現れた。繊細でそれでいて強さを秘めた楽曲と映像と光が作り出した宇宙。聴く者の視覚と聴覚を圧倒的な幸福感で満たし、本編を終えたのだった。

この日のアンコールで、夏に久々のツアー「FLOWER OF ROMANCE」が開催されることが発表された。歓喜するオーディエンスに怜は「鼻血が出そうだったでしょ?」と嬉しそうに笑う。そして「久しぶりの曲かな」という言葉と共に「何千何万何億の君への想い」を聴かせ、続く「teeny-tiny star」では明希が圭の頬にキスをして仲良しぶりを発揮し、会場を大いに沸かせたのだった。

「このメンバーで、俺らBAROQUEは二人ですげー幸せで。いろんな別れもあったけど、こうやっていろんなやつがBAROQUEになってくれて幸せなんだよね。だから俺は誰がBAROQUEをしに来てくれても全力で応えたいし、自信をもってBAROQUEの音楽を届けたいし、いろんな旅をしたい。そういう意味では年取ったのかな。死ぬまでもうちょっと歌い続けたい。一緒に旅しよう。俺はBAROQUEの曲の力を信じてます」

怜の口からそんな言葉が語られ、この日の最後を「GIRL」で飾ると、肩を組んだ4人が「ありがとうございました!」の言葉と共にオーディエンスに深々と一礼し、多幸感に包まれた最高の夜を締めくくった。

「俺らはまたもう一つ先に進むから、みんな力を貸してください」
怜は最後にそんな言葉を残しステージを後にした。今夏のツアーで我々はその言葉通り、一歩先に進んだ新たなBAROQUEを目撃するに違いない。そんな確信めいた予感を胸に、今から夏の訪れを待ちわびている。

◆セットリスト◆
01. PURIFY
02. DREAMSCAPE
03. 凛然アイデンティティ
04. Nutty a hermit.
05. 湿度
06. メロウホロウ
07. SKY WALKER
08. SWALLOW THE NIGHT
09. SILENT PICTURE
10. exit
11. MEMENTO
12. 魔女と林檎
13. 溢れるは純情
14. ガリロン
15. 我伐道
16. CELEBRATE

EN
01. 何千何万何億の君への想い
02. teeny-tiny star
03. YOU
04. PLANETARY LIGHT
05. GIRL

(文・後藤るつ子/写真・曽我美芽)


【ライブ情報】
●BAROQUE TOUR「FLOWER OF ROMANCE」
■7月23日(日)吉祥寺CLUB SEATA
OPEN 17:15 / START 18:00
info. NEXTROAD 03-5114-7444(平日14:00~18:00)
■8月06日(日)仙台MACANA
OPEN 17:30 / START 18:00
info. GIP 022-222-9999
■8月11日(金)名古屋MID
OPEN 18:30 / START 19:00
info. SUNDAY FOLK PROMOTION 052-320-9100
■8月12日(土)江坂MUSE
OPEN 17:30 / START 18:00
info. SOUND CREATOR 06-6357-4400
and more…

<チケット料金>
スタンディング ¥5,400 ※ドリンク別

<先行販売>
イープラスプレオーダー抽選受付(PC/携帯)
http://eplus.jp/flower-of-romance/
受付期間:4月15日(土) 12:00~4月23日(日) 23:59
入金期間:4月25日(火) 13:00~4月27日(木) 21:00

http://www.pigmy.jp/