2025.02.12
浅葱@Zepp Shinjuku
浅葱 単独巡業 二〇二四~二〇二五「桃太郎伝記 ~我武者羅~」千秋楽

2024年11月に開幕した浅葱の全10公演にわたるツアー「単独巡業 二〇二四~二〇二五『桃太郎伝記 ~我武者羅~』」が2025年2月12日、Zepp Shinjukuにて千秋楽を迎えた。

その冠にある通り、本ツアーは11月9日リリースの最新シングル『桃太郎伝記 ~我武者羅~』を引っ提げて行われたもの。歴代の作品同様、今作にも多くのミュージシャンが参加しているが、音源、MV、ツアーの前半・後半で様々なメンバーの組み合わせとなったことは、一つの作品として非常に稀なケースではなかろうか。

満月の夜に開催された千秋楽では、HIRO(G/La’cryma Christi)、ギル(G/Angelo、ex.ヴィドール)、燿(B/摩天楼オペラ)、大城(Dr/D)がサポートを務め、ゲストとしてSHUSE(B/†яi¢к、La’cryma Christi)、淳士(Dr/ex. SIAM SHADE、BULL ZEICHEN 88)、いぶくろ聖志(箏/和楽器バンド、華風月)、蜷川べに(津軽三味線/和楽器バンド)、HIDE-ZOU(G/D)、Leda(G)が出演。総勢10名もの錚々たるミュージシャンが一堂に会することとなった。

最新作は、誰もが知る一般的な『桃太郎』の物語に添いつつ、浅葱によるオリジナルストーリーとして、主人公・桃太郎が鬼の血を引いているという点が特徴。自身の中の鬼と葛藤しながらも、強大な敵に立ち向かう姿を描く。その終着地となった舞台の幕が開くと、中央には風船らしきもので作られた巨大な桃が位置し、その破裂とともに浅葱が姿を現すという、あまりにもインパクトのあるオープニング演出から表題曲「桃太郎伝記 ~我武者羅~」、赤鬼の面をまるで生き物のように操り歌った「桃太郎伝記 ~鬼火~」でトップギアのスタートを切った。

改めて振り返ると、浅葱が初めて和をコンセプトに制作したフルアルバムが、2018年発表の『斑』。古語や和楽器といった日本古来の文化と現代の技術、多様性溢れるロックサウンドを融合させた本作は、当時の浅葱が「僕の一生の宝物」と述べていたように、彼のキャリアの中でも極めて重要な作品であったことは間違いない。それが現在まで続く“浅葱”の基軸となっており、当夜では『斑』から『桃太郎伝記 ~我武者羅~』までの全楽曲にあたる21曲が披露されたのだった。

「山を越え、谷を越え、海を越え、我らは旅をし、様々な困難を乗り越えて今日ここに参りました。ここは鬼ヶ島、そして今宵は決戦の日! 鬼退治だ。皆の力で大勝利を勝ち取ろうぞ!」と浅葱が投げかけたように、背面には鬼ヶ島のヴィジュアルと「浅葱 桃太郎伝記 我武者羅」の文字。『桃太郎伝記』の楽曲を含む序盤の5曲と終盤の3曲は、浅葱とサポート陣による5人編成での演奏、それらに挟まれた楽曲たちを、ゲストミュージシャンが様々に入れ替わりながら繰り広げていった。

ギルと燿に代わり、HIDE-ZOUとSHUSEが登場した2ブロック目では、「花雲の乱」「隠桜」「大豺嶽 ~月夜に吠ゆ~」と威勢のいい圧巻のパフォームでハードに攻め立てる中、HIROとSHUSEが寄り添ってプレイする眼福なシーンも。次いで、サポート陣&いぶくろ聖志と共に魅せるナンバーが並んだブロックにおいて、「アマビヱ」では水面を思わせるブルーのライトが揺蕩い、「螢火」ではミラーボールが煌めき、「冬椿 ~白妙の化人~」では白色のバックライトが照らす中、浅葱の歌声が壮大かつドラマティックに鳴り響いたのが印象深い。

そこに蜷川べにが加わり、「祭りじゃ、祭りじゃ!」との浅葱の声もありながら、まさにお祭り騒ぎとなったのが「狐華火」「白面金毛九尾の狐火玉」。前者では「たまや、かぎや」といった掛け声で盛り立て、フロアに扇子が舞えば、後者では〈こうこうこう〉の歌声に合わせて、オーディエンスによる狐の手ポーズが一斉に掲げられた。ここで大城に代わって淳士が登場し、おどろおどろしいハードチューン「妖狐の嫁入り」が放たれたのち、「今宵も愛を持って鬼を切らねばならん。我に力を!」と浅葱。白煙が噴出する中、HIRO、ギル、燿、べにが前方へと繰り出せば、浅葱が鬼切丸(刀)を振りかざし、「皆の力で無事に鬼は退治されたし!」と締めたのだった。

淳士と大城によるドラムバトル、さらに和太鼓のような音色と能に近い歌声を響かせた、ツインドラムと浅葱の特別ver.での「妖刀玉兎」という実にレアな光景を経て、5人編成に戻った終盤では、当夜の来場者にプレゼントされた最新曲「桃太郎伝記 ~祝詞呪〜」を演奏。この巡業の中で披露してきた楽曲とはいえ、あまりにも完璧なノリを見せたフロアの動きは、さすがの一言に尽きる。浅葱に向かって放射線状に輝く光の粒も美しかった、大蛇の兄弟の物語「雲の通ひ路」、オーディエンスが揺らすライトがまるで蝶が飛んでいるかのような美しい景色を生み出した「アサギマダラ」と、死生観が強く表現された2曲を歌い上げ、浅葱は深々とお辞儀をしたのだった。

そして、とてつもない音数と情報量の多い光景を繰り広げたのが、最終ブロックの2曲。当夜のステージではここで初登場となったLedaを含む出演者総出となった結果、なんと4ギター、ツインベース、ツインドラム、箏、津軽三味線という編成に。煽り曲「鬼眼羅」では10名のミュージシャンそれぞれのソロ回しで賑やかし、最終的に浅葱のターンでは「おにぎりおにぎり」や、江戸=東京の名所名物のコール&レスポンスを楽しんだ。

「幼少期、そして学生時代からずっと、たくさんの音楽に救われ、勇気をもらってきました。先駆者の方々がくれた力を、僕は少しでも受け継ぎ、そして応援してくれる皆にも元気や勇気や夢を与えてあげたい。いつかふるさとへ、錦を飾りたい。そう思ってここまで続けて来られました。これからも魂のこもった音楽を、そして歌を歌っていきます。最後、音楽という刀で鬼を退治しようぞ!」

そんな言葉から、再びの「桃太郎伝記 ~我武者羅~」で桃色のテープが舞い、白熱のラストシーンを描き出すと、「これからも音楽という最高の黍団子を皆に届けるから、お供をよろしく! 皆愛してるぞ!」と締めくくったのだった。

『桃太郎伝記』を掲げた巡業の終着地で見せてくれたのは、物語の結末と同時に浅葱というアーティスト人生の軌跡でもあった。なお、本公演の模様を収めた映像作品のリリースが決定した。そして、浅葱としては7〜8月に生誕祭を含む次期ツアーが決定しているが、それを前にした5月には、“ASAGI”名義でのニューシングル『天啓』∞『GORE』2タイトル同時発売と、SHIBUYA REX 2days公演も控えている。ASAGIと浅葱、それぞれの動向を引き続き注視していきたい。

◆セットリスト◆
01. 桃太郎伝記 ~我武者羅~
02. 桃太郎伝記 ~鬼火~
03. 月界の御子
04. もののあはれ
05. 畏き海へ帰りゃんせ
06. 花雲の乱
07. 隠桜
08. 大豺嶽 ~月夜に吠ゆ~
09. アマビヱ
10. 螢火
11. 冬椿 ~白妙の化人~
12. 狐華火
13. 白面金毛九尾の狐火玉
14. 妖狐の嫁入り
15. 物の怪草子
〜ドラムセッション〜
16. 妖刀玉兎
17. 桃太郎伝記 ~祝詞呪〜
18. 雲の通ひ路
19. アサギマダラ
20. 鬼眼羅
21. 桃太郎伝記 ~我武者羅~

(文・金多賀歩美/写真・TAKUYA ORITA)


【リリース情報】
●浅葱New Single『桃太郎伝記 ~我武者羅~』
2024年11月9日(土)発売

[数量限定盤 TYPE-A](CD+Blu-ray、ブックレット、セルフライナーノーツ、Special Limited Edition)GCR-258 ¥2,200(税込)
※ライブ会場及び、オフィシャル通販のみの限定販売
※完全数量限定。無くなり次第販売終了

[Disc-1(CD)]
01. 桃太郎伝記 ~我武者羅~
02. 桃太郎伝記 ~鬼火~
[Disc-2(Blu-ray)]
01. 桃太郎伝記 ~我武者羅~(Music Video)
02. 桃太郎伝記 ~我武者羅~(Music Video with lyrics)
03. 桃太郎伝記 ~我武者羅~(Music Video Making)

[数量限定盤 TYPE-B](CD+DVD、ブックレット、セルフライナーノーツ、Special Limited Edition)GCR-259 ¥2,200(税込)
※ライブ会場及び、オフィシャル通販のみの限定販売。
※完全数量限定。無くなり次第販売終了。

[Disc-1(CD)]
01. 桃太郎伝記 ~我武者羅~
02. 桃太郎伝記 ~鬼火~
[Disc-2(DVD)]
01. 桃太郎伝記 ~我武者羅~(Music Video)
02. 桃太郎伝記 ~我武者羅~(Music Video with lyrics)
03. 桃太郎伝記 ~我武者羅~(Music Video Making)

[通常盤](CD、ブックレット)GCR-260 ¥1,100 (税込)
[CD]
01. 桃太郎伝記 ~我武者羅~
02. 桃太郎伝記 ~鬼火~
03. 桃太郎伝記 ~我武者羅~(Voiceless)

●ASAGI New Single『天啓』∞『GORE』
2025年5月、2タイトル同時発売
※詳細後日発表

【ライブ情報】
●ASAGI「天啓」
5月2日(金)SHIBUYA REX

●ASAGI「GORE」
5月3日(土・祝)SHIBUYA REX

●浅葱 単独巡業 二○二五 夏ツアー
7月12日(土)渋谷REX
7月19日(土)高田馬場CLUB PHASE
7月20日(日)高田馬場CLUB PHASE(HIROKI BIRTHDAY)
7月24日(木)仙台MACANA
7月27日(日)札幌SPiCE
8月3日(日)名古屋ell.FITS ALL
8月9日(土)福岡DRUM SON
8月11日(月・祝)OSAKA MUSE
8月16日(土)HEAVEN’S ROCKさいたま新都心 VJ-3
8月23日(土)新横浜NEW SIDE BEACH!!
8月29日(金)渋谷 Spotify O-EAST(浅葱 生誕祭)

ASAGI solo works オフィシャルサイト