メリー 2MAN TOUR「狂った夏」開催記念スペシャル対談第1弾:ガラ(メリー) × 暁(ΛrlequiΩ)
6月23日からスタートするメリー 2MAN TOUR「狂った夏」。東名阪を舞台に行われるツアーに先駆け、Vifではスペシャル対談企画を実施! 第1弾は、主催者であるメリーと、このツアーの初日を共にするΛrlequiΩの先輩後輩ヴォーカリスト対談。実に6年ぶりだというガラと暁の対談を通して、暁にとって特別な存在であるメリーへの強い思い、ガラにとって「可愛い後輩」から手強い相手へと変化したΛrlequiΩの存在の大きさ、そして互いへの強いリスペクトを感じていただきたい。
後輩というよりはライバル、もっと言っちゃえば敵バンドぐらいのイメージで。だからこそ今回一緒にやりたい(ガラ)
ガラさんと暁さんが2018年に対談していたネット記事を拝見したのですが、その中ではまだ少し距離があって、“ズケズケいく関係になるのはこれから”というようなお話をされていました。その後、お二人の関係性はどう変化しましたか?
暁:結局そんなにズケズケいってないですね(笑)。僕の地元は大阪なんですけど、ΛrlequiΩを始める前に梅田のライブハウスでメリーを見て、その時に聴いた「夜光」という曲で衝撃を受けて。それがずっと残っていて、なんかまだ近づけない。特別だからこそまだズケズケいけてないんですよね。だから6年越しでズケズケいきます(笑)。
ガラ:いい意味で距離感が変わらないというか…可愛い後輩だったのになぁという。
暁:え?
ガラ:ΛrlequiΩのライブを観に行ったり、音源をもらったりするんですけど、もう何も俺がアドバイスするようなことがないぐらい、すごいヴォーカリストになっているなぁという印象なので。
暁:距離感ってめちゃくちゃ大事じゃないですか。だけどそれを縮める喜びみたいなのを、ここ数年で分かってきて。ちなみにその6年前の対談で“最後の後輩バンド”と言ってもらったことがめちゃくちゃ嬉しくて。だから今“後輩だったのに”と言われて、ビックリしてますけど。
ガラ:いい意味でね(笑)。いい意味でもう後輩ではないというか。バンドをやっていく上で、まだ多分いろいろもがいていたりしてると思うんですよ。暁は頭の中でいろんなことをイメージして、自分とも向き合っているヴォーカリストで、すごく俺とタイプが似ているんですよ。
後輩から、いいライバルになったというイメージですか?
ガラ:そうですね。後輩というよりはライバル、もっと言っちゃえば敵バンドぐらいのイメージで。だからこそ今回一緒にやりたいなと思って、直接暁に連絡したんです。「この日、何してる?」って。ツアーがあるのは知っていたんですけど。それでもすぐに「メンバーに聞いてみます」と言ってくれたんで、ありがたかったですね。
暁:メンバーも即決でしたね、「やりましょう!」と。本当は東名阪全部行きたかったんですけど、7月からワンマンツアーがあるので東京しか出られなくて。その東京の日(6月23日)に本当は親知らずを抜こうと思ってたんですよ。
ガラ:おい…。
暁:でも、みんなが「やろう」って言うのでやることにしました(笑)。だから(歯医者には)次の週に行きます。
ガラ:ほんと? 大変だからね、親知らずは。俺も下の親知らずを切開して割って抜いたんだけど、めちゃくちゃ痛かったから。
暁:僕のは横に生えてるんですよ。「狂った夏」を乗り越えてから、切り開いていきたいと思います(笑)。
はい、お大事にしてください(笑)。それで対談をした2018年以降、コロナ禍もあり、状況が大きく変化しましたよね。バンドの在り方、ライブの在り方に変化はありましたか?
暁:(メンバーが)4人になりましたね。
ガラ:そうだね、お互いにね。
暁:コロナだったり、いろいろあったと思うんですけど、そういうのを乗り越えてバンドが強くなっていくと思っていて。多分それはメリーも一緒だと思うんですけど、どうですか?
ガラ:今まで自分らがやってきたことをあまり振り返ることがなかったんですけど、俺らもメンバーの脱退があったり、コロナもあったりして、遠回りをしたけど俺らはちゃんと一歩ずつ歩いてきたんだなっていうのを実感して。それからは、よりバンドに対する思いとか、ライブに対しての思いも増しましたね。いつ終わりが来るかわからないっていうことにも最近は直面したので、後悔することなく、ちゃんと自分たちの思いを形にして出したいなって。そういう思いが日々強くなってますね。だから常に誰とやりたいか、どこにいったら刺激をもらえるかっていうことを考えてる。誰でもいいわけではないんで。
今、メリーは対バンライブをたくさんやっていますよね。
ガラ:僕らってちょうど先輩バンドと後輩バンドの間に挟まれている世代だと思うんです。昔はよく先輩たちともやって、それはそれで楽しかったんですけど、そこにずっといるんじゃなくて、これからは俺らが新しい時代に向けてシーンを作っていかなきゃっていう思いがあって。それこそ暁たちがいろんなバンドと対バンしたり、フェスに出たりして、自分たちで切り開いていこうとしているのを観て、俺らは自分たちの活動にしか目がいってなくて、外に向かってなかったなって気がついたんですよ。だから自分たちでいろいろ動いていこうっていうことで、初めての後輩バンドと対バンする「FIRST CONTACT」っていう企画が始まったんです。酒飲んで話したりするのもいいんですけど、やっぱりライブをやる方が一番肌感でわかるんで。今はこういうシーンなんだなっていうことを肌で感じながら、バンドとしてもっと広げていけたらいいなと思って今やっているんです。
暁:ガラさんがおっしゃっていたように、刺激をもらえる場所を探すっていうのは、僕らにとっても必要不可欠というか。そういう場所にいないと淀んでいくっていうか、現状維持はすなわち停滞、もしくは下がっていくことだから、ちょっとでも前に進んでないと同じ場所にいることすら難しいなって思ったんですよね。コロナ禍を経て、またゼロから作っていくぐらいの気持ちでいて、もっともっとぶっ壊していきたいなって思っているので、ガラさんの思う“刺激をもらえる場所”に誘ってもらえたのが、すごくうれしいです。
先程ガラさんが、暁さんたちが「いろんなバンドと対バンしたりフェスに出たりして、自分たちで切り拓こうとしている」とお話していましたが、2018年よりもう少し前、メリーも違うジャンルのところにいって切り拓こうとしていましたよね。その頃は、とても疲弊しているようにも見えました。
暁:ジャンルを越えてやる大変さは、今すごくわかりますよ。
ガラ:でもΛrlequiΩを観ていると、すごく楽しみながらやってるじゃん。SNSとかでも他のバンドの人たちと絡んだり、フェスやイベントに出たりすることを楽しんでいて。俺らは本当に疲れてたね。疲弊してた。
暁:何でなんですか?
ガラ:当時は俺らも簡単に“音楽だし、ジャンルの壁なんかないよ”って言ってたけど、やっぱり(壁は)ある。
暁:そうですよね。お客さんの視点からすると、カテゴライズされているから見つけやすかったり、近付きやすかったりするんです。なんで別々のところにいるかっていうと、ノリが違って相容れないからなわけで。それをガーッと崩そうとすると、一緒に楽しんでくれる人ももちろんいるけど、それをよく思わない人も一定数いるんですよ。だから、そのステージまでにストーリーを作るっていうことが大事じゃないですかね。簡単にできるとは思ってないんで、やり続けないと伝わらないだろうなっていうのはあります。
ガラ:確かにね。一回目やってなかなか次に繋がっていかない、自分たちが楽しくても伝わらない。これは一回じゃダメなんだなってすごく思ったし、続けていかなきゃダメだっていう中で、俺らの方が気持ちが折れちゃったっていう(笑)。フェスとかにも出させてもらったりしたんですけど、当時の俺らは投げっぱなしだったんですよ。最初の頃はバンド名すら言わなかったんで。俺らはヴィジュアル系の中でやってきて、知ってもらってるっていうのが大前提だったから。だけど出ていっても無反応だし、ちょっとだけ観て帰っていく人もいるし、フェスって残酷だなぁって思った。あと、ジャンルが違うバンドとの対バンでは、チケット代の壁もあって、いろんな難しさ、厳しさに直面しましたね。あと暁がさっき言ったみたいに、自分たちが楽しいだけじゃなくて、相手のバンドとのストーリー性がないと、俺がお客さんでも観に行かないもんなって思う。だからSNSを使って暁はちゃんと発信していて、えらいなと思うんですよね。
暁:いや、まだまだですよ。もっともっとやらなきゃなって思います。相手のバンドもWIN-WINじゃないと意味ないし、出てよかったなって思ってもらえないと意味がない。お客さんにも“こんなバンドがいるんだ”って観てもらえないと意味ないし。大変ですよね。
ガラ:大変。なんなんだろうね、あの混じり合わない感じは。いろんなジャンルと対バンすることって、それこそ懐が広くないとできなくて。でもΛrlequiΩはそっち側だけに特化しないで、それこそDIAURAとツーマンツアーをやったり、MUCCのイベントに出たり、両方をちゃんとやっているからすごいなって思いますね。
暁:僕はΛrlequiΩが本腰を入れてやる初めてのバンドだったんで、ライブシーンにおいては特にヴィジュアル系のことしか知らないというか。そういう状態だったから、ちょっと外にも出てみようってなった時に、やる前はめっちゃ怖かったんですよ。でも、ライブハウスの人も周りのバンドマンも「全然カッコいいやん、やれるよ」って言ってくれて。だから「やっていいんだ」っていう気持ちになれたんですよね。で、フェスとか出てみて、改めてヴィジュアル系が好きやなと思ったし、メイクしているのも今が一番楽しい。そういうのは半端なことをしていてもわからないし、思いっきりやらないとわからんよなって。とにかくいろんな気づきがあったので、DIAURAとやっても改めて呼び起こされるものがあるだろうし、メリーとも絶対にそうなるだろうと思って、今回誘ってもらって嬉しかったんです。
私が暁さんと初めて面と向かってご挨拶をしたのが、ガラさんがseekさん、aieさんとやっていた弾き語り三人旅「さすらいのニコチン野郎達」の楽屋でのことで。
ガラ:あれは絶対に暁が来ちゃいけないイベントだよね(笑)。別に観て盗むところがないイベントと言いますか。
暁:何でですか(笑)。