2024.03.30
H.U.G@赤羽ReNY alpha
「H.U.G TOUR 2024 -VERSE-」

ryo(Vo)、Karyu(G)、横山和俊(Mani&Key&Per)によるH.U.Gが、これまでもステージを共にしてきたTAKEO(Dr/PIERROT、Angelo)、初参加となるNi~ya(B/NIGHTMARE)をサポートメンバーに迎え、新たな布陣で3月に全5箇所を巡るツアー「H.U.G TOUR 2024 -VERSE-」を開催。その最終夜が3月30日、赤羽ReNY alphaにて行われた。

2022年に始動したH.U.Gは、2023年6月にアルバム『HELIOS』を発表したが、その後もツアーを重ねるごとに新曲を増やし続け、都度バンドとして変化と進化を遂げてきた。迎えた今ツアーでは、横山作曲による2曲の新曲を追加。Karyuがメロイックサインを、ryoがフロアに向けた手を、横山がスティックを大きく掲げたのを合図に、本公演の幕開けを飾った「HIDE AND SEEK」は、サビの〈I WANT YOU BABY〉の掛け合いが印象的なロックナンバー。フロアは早くも抜群のノリを見せ、満場の拳が上がった。この楽曲が5公演全ての1曲目を担ったことからも、今ツアーの重要なパーツとなったことは間違いない。

「ガラスの靴を探しに行こう」というryoの言葉から本編前半に披露されたもう一つの新曲「GLASS SHOES」は、横山作曲でありながらアレンジと歌メロの制作をメインコンポーザーのKaryuが担っており、TAKEOが打ち鳴らすドラムから始まり、Ni~yaが奏でる耳に残るベースフレーズ、横山が駆使するパッドのサウンド、Karyuによる中毒性の高いリフ、ryoの英詞でのラップセクションなど、ある意味H.U.Gらしい一癖あるナンバー。H.U.Gにとって新しいチャレンジを垣間見せたこの楽曲に合わせてオーディエンスが飛び跳ねる様子は、彼らのステージにまた一つ新たな武器が加わったと感じられるものだった。

ryo
Karyu
横山和俊

もちろん既存曲の数々でも最高の景色を見せてくれた彼ら。「HIDE AND SEEK」に次いで演奏された「HELIOS」は、楽器陣4人が鳴らした第一音から圧倒的なパワーを放ち、VJと照明の効果も相まってとてつもない起爆力を発揮していたのが印象深い。昨年6〜7月に開催された1stツアー以降、H.U.Gというバンドを端的に表す名刺代わりの1曲としてステージに欠かせない存在となったライブナンバーだが、改めて当夜、この楽曲が持つ力をまざまざと見せつけられたのだ。

そして「GLASS SHOES」に続いたのは、昨年末のKaryuバースデー公演で初披露された「ロゼ」。年末のレポートに「様々な組み方を試みた時に、どんな聴こえ方をしてくるのかも興味深い」と記したように、実際この日、個人的には少し感じ方が異なったのだ。シティポップ的な軽やかなメロディーをH.U.G流のヘヴィーサウンドに落とし込んだ、これまでの彼らにはないタイプの楽曲…と感じていたのが年末。そして当夜では、そこに儚さと切なさも感じられ、〈美しい悲しい〉というリフレイン、間奏でryoが祈るように手を組んだ場面や曲終わりに十字を切る場面があったことは、その感覚が間違いではなかったと捉えていいだろう。

その後、「熾-OKI-」「Marry of the blood」と活動初期に作られたダークサイドの2曲から、「BUTTERFLY」がグラデーションを描き、珠玉のバラードナンバー「LOVE THAT NEVER ENDS」へと繋いだ。一瞬にして空気を支配する楽曲の力は圧巻で、そこにアタック感の強い「BLOOD PIN」が放たれ、真逆の方向に場面転換させるというコントラストの強い流れは、実に潔いものだった。

Ni~ya
TAKEO

本編終盤では熱量の高いライブチューン「WHO IS THE ROMEO」「DON’T DOUBT」を立て続けにプレイし、ラストは赤の花びらが舞う映像を背景に、アルバムのリード曲でもあり〈夢のままで終わらせるか 明日に花を咲かせるのか 選ぶのはキミ以外いないさ〉と歌うメッセージ性の強い「SEEDS」で、鮮やかな光景を描き出したのだった。

さらにアンコールでは、「TAKEOさんもNi~ya君も、サポートなんだけど全員でH.U.Gを良くしようという会議に参加してくれて。皆好きーと思ったツアーでした」とKaryuが述べれば、「お客さんも一緒にツアーを作ってるなという感じが本当に最高でした」とryo。新曲の再プレイをはじめ、ダンスチューン「Flash dancers」、跳ねたリズムとアンニュイさが心地よい「VENUS」でフロアを揺らし、「最後は一緒に愛に包まれて終わりましょう。届きますように」(ryo)と、キャッチーな「HEART」をもって熱くドラマティックな終幕となった。

なお、KaryuとNi~yaは22〜23年来の仲であり、過去には対バンを多く行ってきたことから、同じステージに立っていることを「感慨深い」と話す一幕もあったが、そういった関係性を抜きにしても、当夜のステージを観る限りNi~yaのプレイはH.U.Gとの親和性が高いようだった。実際、この体制において随所でアレンジの変更もあった模様で、それが良い結果に結び付いていた。加えて、「ツアー、音源もまた一緒にやれると思っている」(横山)、「またH.U.Gに帰ってきます!」(Ni~ya)との発言があったことも付記しておこう。

最後にステージ上でメンバー同士が熱いハグを交わし、この夜は幕となったが、8月9日“H.U.Gの日”に横浜みなとみらいブロンテにて、「H.U.G day 2024-H.U.G me-」と題したファン感謝祭、さらに11月4日の西川口Heartsを皮切りに、Karyuの誕生日に当たる12月7日の渋谷REXまで、全7公演のツアー開催が新たに決定した。ステージを重ねるたびに進化を遂げていくH.U.Gが、次にどんな景色を見せてくれるのか期待したい。

◆セットリスト◆
01. HIDE AND SEEK
02. HELIOS
03. DROP
04. HUG
05. HEART
06. GLASS SHOES
07. ロゼ
08. 熾-OKI-
09. Marry of the blood
10. BUTTERFLY
11. LOVE THAT NEVER ENDS
12. BLOOD PIN
13. MEMBER CALL
14. WHO IS THE ROMEO
15. DON’T DOUBT
16. SEEDS

En
01. GLASS SHOES
02. HIDE AND SEEK
03. DROP
04. Flash dancers
05. VENUS
06. HEART

(文・金多賀歩美/写真・堅田ひとみ)


【配信情報】
●H.U.G TOUR 2024-VERSE- FINAL
アーカイブ配信中
視聴期限:最長2024年4月29日(月)23:59まで

【ライブ情報】
●H.U.G day 2024-H.U.G me-
8月9日(金)横浜みなとみらいブロンテ

●H.U.G TOUR 2024 秋ツアー
11月4日(月・祝)西川口Hearts
11月9日(土)心斎橋VARON
11月10日(日)心斎橋VARON
11月17日(日)新横浜NEW SIDE BEACH!!
11月23日(土)名古屋HeartLand
11月24日(日)名古屋HeartLand
12月7日(土)渋谷REX

H.U.G オフィシャルサイト