その記憶は、少し前の2010年代に遡る。
90年代という激動の時代を生きてきた仲間たちが時の波を乗り越え、ふたたび集結。懐かしさを呼び込み、ともに青春時代を過ごしたかつての少年少女たちに、暫しの郷愁という新たな青春を授けた時期があった。
でも、ふたたび動き出したノスタルジーという存在は、前へ進むことなく泡のように消えていった。たとえ、90年代から音を止めることなく鳴らし続ける存在が集まっても、大きく膨らみすぎた思い出を新たに動かし続けるのはとても至難の技。だから、泡沫の夢と化せば、伝説は、やはり伝説であり続けるべきことも教えてくれた。
そんな時代の中でも、動かざる山のように、流れゆく景色をずっと眺めている存在があった。
その存在は、身近にどんな地殻変動が起きようとけっして動くことはなく、歩みを止めたまま思い出の歴史だけを積み重ねてきた。その存在を司った人たちは、それぞれに異なる歴史の歩みを重ねてゆく中、けっして交わることはなかった。
2005年に歩みを止めた存在は、今も伝説として語り継がれている。
最初の兆候が現れたのが、2019年11月9日のことだった。その存在の中心を担ってきた石月努、kazuya、SHUN.の3人が、「FANTASTIC◇CIRCUS」と名乗り、大地を揺るがせた。その動きに大勢の人たちが狂喜したが、その動きはすぐに鳴りを潜めてしまった。
だが、その存在は、ふたたび大地を揺さぶりだした。
最初の兆候が、2021年12月25日、「FANTASTIC◇CIRCUS」のTwitterのタイムライン上へ一つのフライヤーがアップされたことだった。日比谷野外音楽堂のような景色を映し出した絵には、「2022/5/14」の数字。そして「僕達の青春はまだ、終われない。キミガイルセカイで。」の文字が、FANTASTIC◇CIRCUS名義で記されていた。
ふたたび、2022年1月1日に告げられたのが、以下の文字だった。
FANTASTIC◇CIRCUS
-転生 TENSEISM-
2022.05.14 @日比谷野外大音楽堂
[ACT]
#石月努/#kazuya /#SHUN.
今年は、あの存在が誕生してから30年後に当たる。先に断っておくが、あの存在が動くことはない…。あの存在を形作ってきた3本の矢が組を成し、新たなCIRCUS(大混乱)を仕掛けようと、本気の遊び心に火を点けた。
5月14日、日比谷野外音楽堂を舞台に、FANTASTIC◇CIRCUSと名乗り、石月努、kazuya、SHUN.の3人が動き出す。「-転生 TENSEISM-」というタイトルが何を示すのか…。
この日のサポートメンバーには、NATCHIN(ex.SIAM SHADE)、LEVIN(La’cryma Christi)が参加する。同じ時代を生きてきた盟友たちが、3人の壮大な混乱劇に手を差し伸べた。
フライヤーには、「FtC 30th ANNIVERSARY」の文字が躍っている。その言葉が示す意味は、ここでは何も語るまい。交わることのなかった3本の矢が、ふたたび一つの鞘に納まった。その矢が放つ騒乱の合図は、間もなく放たれようとしている。
(文・長澤智典)
【ライブ情報】
●”転生-TENSEISM- FtC 30th ANNIVERSARY”
出演:FANTASTIC◇CIRCUS
5月14日(土)日比谷野外大音楽堂
OPEN16:00/START17:00
チケット料金:前売¥10,000(税込)/当日¥10,500(税込)
一般チケット発売日:2022年3月5日(土)10:00
販売プレイガイド:チケットぴあ、ローソンチケット、イープラス
<先行日程・方法>
・1次先行受付(チケットぴあ受付)
2022年1月8日(日)18:00~1月16日(日)23:59
・2次先行受付(チケットぴあ受付)
2022年1月29日(土)〜2月6日(日)23:59
・PG先行
2022年2月11日(金)~
主催・企画・制作:FANTASTIC◇CIRCUS実行委員会
協力:ソーゴー東京
お問い合わせ先:SOGO TOKYO 03-3405-9999(12:00~13:00、16:00~19:00 ※日・祝除く)