2025.07.04
Luv PARADE@赤羽ReNY alpha
Luv PARADE Tour 2025「Hameln」

Luv PARADEが5月28日に最新シングル『Hameln』をリリースし、同タイトルを冠して開催したツアーが7月4日、赤羽ReNY alphaで最終夜を迎えた。

2022年11月に再始動を遂げて以降、D’ESPAIRSRAYやthe Underneathのセルフカバーと、洋楽カバーを中心にステージを重ねてきたLuv PARADEだが、2024年6月に1stミニアルバム『JOKER』を発表して以降は、オリジナル曲とカバー曲を織り交ぜたライブを展開。常に新たなレパートリーを増やしながら、ツアーごとに異なる構成で魅せている。

TAKA

今年1月開催の前ツアー「EDELWEISS」では、D’ESPAIRSRAYのナンバーが多く組み込まれたことが特徴の一つだったが、今ツアーでは一転してセルフカバーを封印。新作『Hameln』を引っ提げたツアーであることに加え、北海道、山形(TSUKASAの地元)、熊谷(ZEROの地元)、山口(Karyuの地元)への初上陸、新たなカバー曲と未発表の新曲の披露、さらに各地でのサプライズもあったりと、“初尽くし”の内容となった。

実のところ、彼らがセルフカバーを封じたワンマン公演を行うのは、今ツアーが初めてのこと。それを全8ヵ所9公演という自己最多本数のツアーの中で積み重ねてきたことは、Luv PARADEというバンドにとって、確実にまた一歩大きく前進する契機となったに違いない。実際、当夜の終盤、Karyu(G)は「このツアー、本当にいろんなことがあって、今までにないツアーが回れています。一皮も二皮もむけたなと。皆さんの一体感もこれまで以上にすごくて、バンドとしてLuv PARADEきてるなと思っています」と述べたのだった。

Karyu

最新アーティスト写真とツアータイトル、バンドロゴを組み合わせたオープニング映像を背に4人が登場し、VJによる視覚的演出も加わりながら、ファイナルにふさわしいステージが繰り広げられたこの夜。KaryuとZERO(B)がメロイックサインを掲げ、TSUKASA(Dr)のカウントを合図に楽器隊のユニゾンで「Hameln」の第一音が放たれると、「行くぞ東京!」というTAKA(Vo)の叫びとともにハットが袖へと投げ込まれる劇的な幕開けとなった。

バンドの圧倒的なパワーを見せつけた序盤ブロックを経て、ラヴパ流ロックアレンジが魅力の「Poker Face」(Lady Gaga)で場面転換を図ると、妖艶な色気を纏いつつ重厚なサウンドを響かせる「Toxic」(Britney Spears)へ。いずれもLuv PARADEのアレンジ力と表現力の豊かさを象徴するナンバーだ。異なるカラーを持ちながらも、大きく分ければダンスチューンに当たる2曲でフロアを揺らした。

ZERO

「改めてLuv PARADEです」とTAKAが挨拶し、ここから本編折り返しに入ろうとしたその時、突如マイクの音が出なくなるという思わぬアクシデントが発生。楽器隊がアドリブでセッションを繰り広げるも、直ちには復旧せず、「テンションそのままで待ってろよ!」(ZERO)と、メンバーはひとたびステージを去ることに。「只今、復旧作業をしていますので、少々お待ちください」というスタッフのアナウンスに、すかさずフロアからは「はーい」と明るい返事。そしてマイクが復旧した瞬間、歓声と拍手が巻き起こるという、なんとも温かな展開となった。

オーディエンスの大歓声が再び4人を迎え入れ、「俺のマイクが戻ってきたぜ。ここから行けるところまで行こうぜ。辿り着く場所が天国でも地獄でも、一緒に行ってくれるか!?」とのTAKAの投げかけを合図に、最新作のc/w曲であるロックチューン「Heaven or Hell」をプレイ。間奏ではTSUKASAが立ち上がり、スティックを打ち鳴らす場面もありながら、空白の時間を取り戻すように、ステージとフロアが一体となって熱を高めていった。

TSUKASA

その後、アダルティな「BAD GUY」(Billie Eilish)が次曲へと繋ぐグラデーションとなり、ミディアムナンバー「INTO THE FLAMES」、そして壮大かつエモーショナルなバラード「EDELWEISS」へと続く、ドラマティックな流れが生まれた。なお、前者では燃え盛る炎、後者では黒背景に白の幾何学模様の映像が映し出され、それぞれの楽曲のカラーをより鮮明に際立たせていたのも印象的だった。

本編終盤ではキャッチーな洋楽カバーが並んだわけだが、その入口となったのが、今ツアーで新たに加わった「TAKE ON ME」(a-ha)。目まぐるしい展開に加え、激しい高低差を伴うメロディは、ヴォーカリストとしてのTAKAの新たな境地を切り拓いたと言えるのではなかろうか。そこに続いた、KaryuとZEROによる〈Dub-i-dub-i-dub-i-dub-dub-dub〉のコーラスが中毒性の高い「Dub-I-Dub」(Me & My)は、今ツアーで少々久しぶりにラインナップに組み込まれた1曲。Luv PARADEの手によってアダルトなカラーが加えられているものの、原曲がキュートなポップソングであるこの曲は、前曲「TAKE ON ME」、次曲「The NeverEnding Story」との親和性も高く、納得のチョイスとなった。

ZERO/TAKA

そして薄明かりの中、TAKAが「こんな夜もあるよね。生きてれば、色々なことがあると思います。楽しんで生きていこうよ。今日はファイナルなので、あの人がまた来てくれました。Luv PARADEの魔法使い、Karyu」と言い、Karyuの合図で照明が切り替わり、彼がフッと息を吹きかける仕草を見せると、ミラーボールが輝き出した。この美しい演出が見事に決まり、ガッツポーズを見せるKaryuの姿も。「TONIGHT, TONIGHT, TONIGHT」の温かなシンガロングが響き渡り、最後には眩い光の中Luv PARADEの真の始まりの曲「NEW WORLD」をもって未来を示す締めくくりとなった。

アンコールでは、今ツアーのZERO凱旋公演で初披露した「POSE」(hide)をはじめ、「sk8er boi」(Avril Lavigne)、「NEW WORLD」(BUG)と、ロックナンバーのカバー3曲が並んだ後、未発表の新曲と今ツアーの軸である「Hameln」の再プレイで、最新のLuv PARADEを提示。なお、今ツアーを通して披露されてきたその新曲は、筆者の考える限りLuv PARADE史上最もキャッチーな楽曲であり、どうやら次期ツアー「ARROWS」のテーマとなる模様。さらに「SHOOT IT DOWN」での完全燃焼で、この夜は終幕を迎えたのだった。

「Luv PARADEの歌詞にもある通り、色々壊していけばいいんですよ。このツアーでも自分の壁を色々壊してきました。だから今日も色々なトラブルに負けずに、皆がテンションそのままで待ってくれていたから、最後まで楽しく終えられます。これからも良いことも悪いことも色々あると思うんですけど、俺たち、今日を乗り越えたんだから、もっと乗り越えられるよね?」(ZERO)、「この壁を乗り越える力というのは、北海道から培ってきた僕たちの結束力と、パワーと愛と希望と夢と涙と(笑)…そういうもので乗り越えられたんじゃないかな!?」(TSUKASA)といった言葉もあったこの日。

当人たちにとって本望ではないアクシデントも含むファイナルとなったものの、「ライブも人生も何が起こるかわからない。楽しめるかどうかで変わっていくもの」「何が起こるかわからないから、今日めっちゃオモロいわ。皆と一緒だから何があっても面白い」(TAKA)という言葉の通り、結果的にバンドとファンの結束力や順応力を証明し、記憶に残る一夜となった。

Karyu/TAKA

また、Karyuが「この後それぞれの活動に戻っていくんです。でも、ラヴパはラヴパで育てていくので、これからもよろしくお願いします」と語ったのに続き、TAKAが口にした言葉は、メンバーそれぞれが他バンドと並行して活動しているLuv PARADEだからこその、今後の活動に向けた彼らの明確な意思表示そのものだった。

「それぞれの活動に戻るっていうのが寂しい響きでもありますけど、どの活動も本気でやっていますし、こうしてLuv PARADEでステージに立っている時は『Luv PARADEが一番カッコいいに決まってんだろ、バカ』と心から思っています。この4人が皆と楽しい時間を作っていって、色々な活動に戻った時に、もちろんその力が爆発すると思いますし、またLuv PARADEに戻ってきた時に、最高の力を爆発できると思います。Luv PARADEが周りの色々なバンドを引っ張っていきますよ。嘘じゃない。身内の色々なバンドも含めて、皆ともっともっと楽しい時間を過ごしていきたいと心から思っています」

ZERO/Karyu

Luv PARADEは今秋に次期ツアー「ARROWS」を控えているが、Karyuの誕生日前夜となる12月6日、渋谷REXにてNUL.とのツーマンライブ「Luv PARADE vs NUL.『SYNCROSS』」の開催が新たに決定した。両バンドによる対バンは、2022年に行われたLuv PARADE主催「DEVIL’S PARTY 2022 Vol.2」以来となるが、ツーマンという形は今回が初。いよいよ、両者による“直接対決”が実現する。このたびのツアーを経て、確実にまた一歩大きく前進したLuv PARADEの今後に期待したい。

◆セットリスト◆
01. Hameln
02. SHOOT IT DOWN
03. MIDNIGHT SUN
04. JOKER
05. Poker Face/Lady Gaga
06. Toxic/Britney Spears
07. Heaven or Hell
08. BAD GUY/Billie Eilish
09. INTO THE FLAMES
10. EDELWEISS
11. TAKE ON ME/a-ha
12. Dub-I-Dub/Me & My
13. The NeverEnding Story/Limahl
14. TONIGHT, TONIGHT, TONIGHT
15. NEW WORLD

En1
01. POSE/hide
02. sk8er boi/Avril Lavigne
03. NEW WORLD/BUG
04. 新曲
05. Hameln

En2
01. SHOOT IT DOWN

(文・金多賀歩美/写真・川島彩水)


【配信情報】
●Luv PARADE Tour 2025「Hameln」アーカイブ配信中
配信チケット購入
チケット販売:2025年8月3日(日)20:00まで ※最長

【リリース情報】
●New Single『Hameln』
2025年5月28日(水)発売

[CD]SIXR-006 ¥2,000(税込)
オンラインショップ

[配信]

<収録曲>
01. Hameln
02. Heaven or Hell
03. JOKER -mangle mix-

【ライブ情報】
●Luv PARADE TOUR 2025 “ARROWS”
10月26日(日)金沢AZ
11月7日(金)OSAKA RUIDO
11月9日(日)3STAR IMAIKE
11月16日(日)横浜みなとみらいBronth

●Luv PARADE vs NUL.「SYNCROSS」
12月6日(土)渋谷REX

Luv PARADE オフィシャルサイト