2025.03.16
DASEIN@渋谷REX
「DASEIN JOE BIRTHDAY LIVE EVENT「WELCOME TO THE FACE 2025」誕JOE日で気分は上々だジョー⤴」

ドラムは超絶レベルで上手いのに、それを鼻にかけるところは一切なく謙虚かつ穏やかで、顔もけっこうなイケメン。それでいて、時おり謎の天然ボケっぷりをみせるあたりがまた愛くるしいことしきり。そんな特徴を持ったDASEINのJOEが、このたびめでたく53歳の誕生日を迎えたということで、その名も「DASEIN JOE BIRTHDAY LIVE EVENT 「WELCOME TO THE FACE 2025」 誕生日で気分は上々だジョー⤴」と題されたライヴが渋谷REXにて華々しく開催された。

ちなみに、念のためのおさらいをしておくと。DASEINとは国内ばかりか世界的に見てもレアな“ドラマーとヴォーカリストによる2人組ユニット”で、今年はちょうど始動から25周年という大切な節目に突入したところでもある。6月からは「25th Anniversary TOUR 2025 「UNIT×UNITE」 ~弐の伍の言わず 挑む僕らに二言無し~」も控えている中だけあり、今回のライヴはJOEの誕生日ライヴであると同時に、ここからのアニバーサリーイヤーに向けて口火を切る意味も持っていたのではなかろうか。

もちろん、今宵はドラマー・JOEが主人公となるライヴだけあってオープニングではいきなりのドラムソロが展開されていくことに。ただパワフルにドカドカ叩きまくるのとは違い、パーカッシヴな要素やテクニカルなフレーズなども随所に入れながら、ここからのライヴ本編に向けた期待を煽るような躍動感たっぷりのプレイをみせるJOEは、やはりとてもカッコ良い。のちのち、この日のMCでJOEは「生まれてから26年、ずっと素人のことを“そじん”だと思っていた」と天然エピソードをカミングアウトしていたのだが、ドラマーとしてはまるで隙がないだけにキャラとのギャップがあまりに面白過ぎる。

JOE
Ricky/JOE

「やって参りました、JOE BIRTHDAY LIVEへようこそ! 今日はめでたいJOEさんの誕生日当日ですから、オーディエンスもメンバーも全員でお祝いしながら楽しんでいきましょう!! そして、今日のセトリは完全にJOEのプロデュースです。ドラムソロのあと、最初にやった「旅愁」「闇」「青天SURVIVOR」っていう3曲の並びも僕だったら絶対やらない感じでしたが、このあとさらにどうなっていくのかもぜひ楽しみにしていてください! じゃあここから飛ばして行くぜ!!」(Ricky)

ザイナーという名称を持つファンらがクラップで曲を共に盛り上げた「Yの黙示録」。まさにJOEの頼もしきドラミングが活きるメロディックパワーメタル感の強い「キ・ミ・ダ・ケ」。もともとはRickyがアマチュア時代に歌っていた曲であり、JOEがこの曲を聴いてその声とメロディセンスに聴き惚れてDASEIN結成につながったという逸話がある「BREAK←SHAKE→BRAIN」。確かに、これらも実にJOEらしい選曲だ。

なお、この日のライヴではミッドバラード「走馬灯」の後にも再びのドラムソロが組み込まれていたのだが、なんとそのシメ部分からは毎年JOEのバースデーに駆けつけているというギタリスト・PANTHERが、赤のVシェイプギターを肩にかけ颯爽と登場。ここからはまず、ハードグルーヴチューン「狼煙」と、アッパーにしてメタメタしい「ケリをつけろ」で場内をおおいに沸かせてくれることになった。

「ということで、突如あらわれました今日のゲスト・ギタリストをご紹介いたします。PANTHER様! もう毎年来てくださってますけど、うちのJOEのためにありがとございます。っていうか、そっちのJOEでもあるけど(笑)」(Ricky)

Rickyの言う“そっち”とは、JOEがPANTHERや村井研次郎(cali≠gari)と組んでいるバンド・the CYCLEおよびインストバンド・ELLEGUNSのこと。JOEとPANTHERの付き合いも、かれこれ20年以上になるのだとか。

「さて。何年か前からJOEのバースデーライヴでは、JOEがやりたいカバー曲をやっているんですが、今日これからPANTHER様とやる曲はどういう理由から選んだんですか?教えてください」(Ricky)

PANTHER

「PANTHERと一緒にやるっていうことになると、今年もまずはジャパニーズメタルをやろうかなと思っていたんですけど、Rickyから「そろそろ少し趣向を変えたらどう?」って言われまして(笑)。「なるほどな」と思い、いろいろ考えたうえで1曲目には以前とあるバンドがとある曲をカバーしたものをやります。今ちょうど映画でもやってるやつですね。2曲目は、これもRickyから「アレとかやったら盛り上がるんじゃない?」って、とあるバンドのことをお薦めしてくれて、曲は僕が選びました」(JOE)

結果、ここで披露されたのはTVアニメ版『ベルサイユのばら』の主題歌「薔薇は美しく散る」のANIMETALヴァージョンと、SEX MACHINGUNSの「桜島」。レギュラーサポートギタリストの朝井’SCOTTIE’泰生と、PANTHERのツインギターが鳴り響き、JOEがこれでもかと叩き倒したことにより、客席フロアでヘドバンの嵐が巻き起こったことは言うまでもない。特に「桜島」は在籍時期こそ違えど元・SEX MACHINGUNSのふたり=JOEとPANTHERが一緒に奏でことになるわけで、諸々の背景を知っている勢からするとこれは相当にエモい場面だったはず。しかも、MCによるとJOEがマシンガンズの脱退後にマシンガンズの曲を「ちゃんとやったのは初めて」だったそう。(※幸いなことに、このライヴのアーカイヴは3月30日まで公開中なのでこのあたりに興味があるという方にはぜひ今からでもご覧いただきたい)

さて。アンコールではPANTHERがJOEヘのバースデーケーキを贈呈する場面があったほか、当日の参加ミュージシャン全員からJOEへのメッセージも伝えられることになり、各人から「こんなナイスガイいないんですよ!」「ほんとにJOEは自分に厳しい凄いドラマー」「安心してギターが弾けるドラマー」との大絶賛が飛び交ったのだが、それに続いてRickyの語った言葉もまた素晴らしかった。

「あらためてJOE、誕生日おめでとう! 今年DASEINの25周年を一緒に迎えられて嬉しいです。こうして面と向かって言うのは凄い照れくさいですけど(笑)、JOEが何時も『おまえなら出来るやろ』って言ってくれる言葉が嬉しくもあり、圧でもあり、でもそれだけ僕のことをアーティストとして信じきってくれてるわけで、僕はJOEさんにずっと支えられてここまで来られた気がします。なので、その期待に応えられるよう『やっぱりおまえを選んで良かった』って思ってもらえるようにこれからも頑張ります!」(Ricky)

この言葉を受けて、今宵の最後の最後に演奏されたのはDASEINの名に由来する“現存在”の概念を楽曲化したかのような「我ここに在り」。約23年前にDASEIN名義でしたためられたものであるにも関わらず、この〈在るがまま 運命のままにゆけ 躓くたびに 痛みは強さになる〉という歌詞が今のDASEINにも相通ずるところがあるように聴こえるのは何故だろう。だが、その疑問に対する答えは終演後にJOEが観客に向けて語りかけた言葉の中にこそ在った。

「ありがとうございました。本当に僕は周りに恵まれておりまして、スタッフやサポートしてくださっているミュージシャンのみなさん、何時も本当にありがとうございます。(中略)僕はもともとマシンガンズでデビューしまして、身体の都合で脱退したあと、Rickyという花を見つけました。彼という救世主がいてくれたおかげでここまで共に頑張ることも出来ましたし、ちょっと離れていた時期もありましたけど、そこでお互いにいろんなものを培って、もう1回戻った時にはまたこうやって一緒にやるようになって、何よりみなさんがDASEINのことを覚えていてくれていた。今日もこうしてたくさん集まってくれてます。僕にとっては、みんなが元気な顔をみせてくれるのが1番のパワーになるんです。だから、これから先にもし何か起きたとしても、可能性がある限り絶対諦めないぞという気持ちでやっていこうと思います。今年は25周年ということで予定も盛りだくさんですが、ぜひ今後ともおつきあいのほどよろしくお願いいたします!」(JOE)

天然ボケなところはありつつも、重要なところではしっかりとキメてくれるJOEはやはり男前なことこのうえない。そして、お互いにリスペクトしあい、愛しあい、必要としあっているJOEとRickyはつくづく良き相棒同士にほかならない。

そんな二人が育んできたDASEINの次回ツアー「25th Anniversary TOUR 2025 「UNIT×UNITE」 ~弐の伍の言わず 挑む僕らに二言無し~」については、JOE & Rickyの「UNIT[弐]STYLE」にて大半が実施されていくそうだが、ツアー中盤あたりには25周年を記念した何かしらの音源がリリースされることもこの日のライヴにて発表された。ここから佳境に突入していくことになる、記念すべきDASEINのアニバーサリーイヤーに期待していよう!

◆セットリスト◆
01. 旅愁
02. 闇
03. 青天SUVIVOR
04. Yの黙示録
05. キ・ミ・ダ・ケ
06. BREAK←SHAKE→BRAIN
07. 走馬灯
08. Dr solo
09. 狼煙
10. ケリをつけろ
11. 薔薇は美しく散る (ANIMETAL)
12. 桜島 (SEX MACHINGUNS)
13. 金輪際
14. COGITO ERGO SUM

En
01. 流離人
02. 桜吹雪
03. まぶしくて
04. 陽炎立つ、夕闇に燃ゆ
05. 我ここに在り

(文・杉江由紀/写真・Hikaru)


【配信情報】
●DASEIN「JOE BIRTHDAY LIVE EVENT「WELCOME TO THE FACE 2025」誕JOE日で気分は上々だジョー⤴」
配信チケット ¥4,500

【ライブ情報】

●DASEIN 25th Anniversary TOUR 2025「UNIT×UNITE」〜弐の伍の言わず 挑む僕らに二言無し〜
<UNIT[弐]STYLE>
※JOE & Ricky のみ

6月14日(土)渋谷REX
6月28日(土)長崎DUO STUDIO
6月29日(日)長崎DUO STUDIO ※ライブ&イベント
7月11日(金)水戸ライトハウス
7月12日(土)宇都宮VJ-4
7月19日(土)富山SOUL POWER
7月21日(月・祝)金沢AZ
8月2日(土)仙台MACANA

FamilyMart Ticket 先行受付(抽選):3月31日(月)23:59まで
・一般チケット発売:6月1日(日)10:00〜

DASEIN オフィシャルサイト