2025.02.08-02.09
PIERROT@東京有明アリーナ
「END OF THE WORLD LINE」
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PIERROTが2月8〜9日、東京有明アリーナにて10年ぶりのワンマンライブ「END OF THE WORLD LINE」を開催した。
2月8日、定時に暗転し、オープニングSEが流れる中、ステージにメンバーが登場すると、大きな歓声があがった。そう書くと一律のようだが、実際に体感したのはフロアの最前列から後ろに向かって大きな波が動くような感じ。ザワワワワワと歓声が轟いた。黒い衣装でフードを被ったキリトが静かにマイクの前に立つと、始まったのは「FINALE」。この曲はPIERROTのメジャーデビューアルバム『FINALE』の1曲目、何度も転生を繰り返し求め合う主人公たちのプロローグのような楽曲だ。この2日間で紡がれるのは、令和の時代に転生したPIERROTと、それを心待ちにしていたピエラーたちとの邂逅までのストーリーということだろうか。それも10年前には存在しなかった東京有明アリーナという場所で。ドラマティックな展開に耽るのも束の間、キリトの扇動で一糸乱れぬ振りが揃った「Adolf」、「ENEMY」で特攻が炸裂したのを合図に、アイジと潤が左右の花道へとそれぞれ歩みを進め、場内の熱気が一気に高まった。「会いたかったぜ。待たせたな! 相変わらず狂ってるな、キ××イども!」というキリトからの褒め言葉に歓喜する会場。シャウトから始まったのは、10年ぶりに演奏される「自殺の理由」。TAKEOが繰り出す変拍子のリズムや、テンポダウンするヴォーカル、間奏のアイジのメロディックなギターソロ。どれをとってもエモーショナルだ。
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今回のステージは、映像や照明とメンバーのパフォーマンスとの融合が、楽曲の世界観を広げたところも見どころの一つだった。「脳内モルヒネ」ではAIを駆使したストーリー仕立ての映像が楽曲の不穏さと切なさを増幅させ、「ドラキュラ」では不気味に佇む暗黒城に雷光が落ちていた。「パウダースノウ」では光の粒が雪のようにしんしんと降り、「THE LAST CRY IN HADES(NOT GUILTY)」でのステンドグラスの映像は厳かな演出を、「鬼と桜」では腕を振り下ろすキリトの動きに合わせて光の粒が飛び散るさまが印象的だった。モノクロの映像が混沌とした世界を映した「ゲルニカ」では、メンバーの前を炎が横断した。
「時間が経った気がしないぐらいお互い狂ってるんでね。令和の時代に何も変わってません。今日は当たり前のようにぶっ壊れていくんで一緒に楽しんでいきましょう!」と煽った後、「MAGNET HOLIC」へ。ブレイクで一斉に「KOHTA!」と叫ぶのも10年前と変わっていないところ。続くアップチューン「PSYCHEDELIC LOVER」とさらに盛り上げ、「screen1 トリカゴ」「PURPLE SKY」と叙情的なナンバーを続けた。潤がお立ち台に立ち印象的なイントロを奏でた「*自主規制」、ヘヴィチューンの「MAD SKY-鋼鉄の救世主-」、そしてキリトが床に叩きつけて曲がったままのマイクスタンドを肩にかけて歌った「CREATURE」で本編を締め括った。
この日のアンコールは、「深い眠りが覚めたら」「PIECES」「SEPIA」を続けて披露した後、キリトが5月17〜18日に神奈川・Kアリーナ横浜でワンマンライブ開催することを発表。次の約束が交わされ、至福感に満ちた中で「蜘蛛の意図」「HUMAN GATE」を演奏し、1日目を終えた。
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2日目のステージは「HEAVEN」から始まった。スクリーンに白い羽根が舞う中、赤いロングコートに身を包んだキリトの凛としたヴォーカルと、アイジのライトハンドによるアルペジオが絡み合う極上のナンバー。続く「新月」「ENEMY」と、10年前の「DICTATORS CIRCUS FINAL -BIRTHDAY-」を彷彿とさせる流れもありながら、1日目とは違うセットリストで新しいストーリーを紡いでいく。2日目だけ演奏された楽曲をピックアップすると、変則的なリズムと緩急のついたアンサンブルがスリリングだった「セルロイド」、「REBIRTH DAY」では“再会の日はやがて来る”と、この先の未来をなぞるようなサビを歌い終えた時、キリトがフッと微笑んだように見えた。続く「真っ赤な花」では、TAKEOがハイハットを打つリズムに合わせて、キリトがサビの一部分をアカペラで歌ったのが印象的だった。
アンコールの1曲目は「ANSWER」。キリトの伸びやかな歌声と、それに寄り添う演奏。歌い終わりにヴォーカルと入れ替わるようにアンサンブルが大きくなる。ぐっと感情を揺さぶられた。「HILL -幻覚の雪-」では雪が舞い、「ATENA」ではキリト、アイジ、潤、KOHTAの4人がフロントに並ぶ場面も。向き合って演奏したり、肩に手を置いて歌ったり、この2日間にわたりメンバーが楽しそうにプレイする姿が眼福であった。メンバー紹介の後、それぞれが思いを語った。
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「最高ですね。すごく気持ちがいいです。みんなもすごくいい笑顔を見せてくれて、幸せな気持ちになりますね」(TAKEO)
「グレイト!最高ですよ……こんなにスベるとは思わなかった(笑)。それぐらい最高ってことです。今日をしっかり目に焼き付けて、楽しんでいきたいと思います」(KOHTA)
「みなさんがいてくれて、すごく幸せですが、一つ謝らなきゃいけないことがある」と、3階4階を見上げ、「今日会場入りしてからそこに登りました。そんな高いところで持つところもなく、よくそこまで生き抜いてくれた(笑)。そんなお前らを愛してます」(潤)
「昨日今日と最高です。2014年にワンマンをやったぶりですが、何もかわってないし、今日ライブをやってる時に“現役!”と思って(笑)。ライブをやるたびに生きてる感を感じます」(アイジ)
そんなアイジのMCを、「PIERROT、現役ですよ。昨日から現役です」と笑いながら受けたキリトは、「儚い時間の中、一つ一つを噛み締めて楽しんでいきましょう」と語り、「HUMAN GATE」へ。アウトロで「また春が終わる頃に会いましょう。ありがとう!」と、ラストに「SEPIA」を披露した。インディーズ初期からPIERROTの大事なステージでラストに歌われてきたこの曲が、10年ぶりのステージでもラストを飾るとは感慨深い。“Lalala〜”の大合唱で客電がつき、会場が明るくなった。多幸感に満ちた瞬間だった。歌い終わると、「PIERROT、改めて最高のバンドです。メンバー同士手を繋ごうぜ」と、少し照れくさそうに並んで手を繋ぎおじぎをする5人。1日目にはなかった光景に拍手喝采。その後、メンバーは名残惜しそうにステージを後にし、最後に残った潤は、マイクを通さない生声で「愛してるぞー!」と叫んだ。名残惜しいのはオーディエンスも同じ気持ちで、終演のアナウンスが流れても、いつまでもいつまでもアンコールは鳴り止まなかった。
アンコール中のMCでキリトは言った。「また次の約束があるっていいね」。この点においては10年前とは違うところだ。2日目の終わりも、終わってしまった悲壮感ではなく、次の約束への希望に満ちていた。PIERROTの「LASTCIRCUS」…口にするとどこか寂しい響きもするが、どんなステージが待っているのか、今はただただ楽しみにしておこう。
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◆セットリスト◆
【02.08:DAY-1】
01. FINALE
02. Adolf
03. ENEMY
04. 自殺の理由
05. 脳内モルヒネ
06. ドラキュラ
07. 満月に照らされた最後の言葉
08. パウダースノウ
09. THE LAST CRY IN HADES(NOT GUILTY)
10. 鬼と桜
11. ゲルニカ
12. MAGNET HOLIC
13. PSYCHEDELIC LOVER
14. screen1.トリカゴ
15. PURPLE SKY
16. *自主規制
17. MAD SKY-鋼鉄の救世主-
18. CREATURE
En
01. 深い眠りが覚めたら
02. PIECES
03. SEPIA
04. 蜘蛛の意図
05. HUMAN GATE
【02.09:DAY-2】
01. HEAVEN
02. 新月
03. ENEMY
04. セルロイド
05. Adolf
06. 脳内モルヒネ
07. MAGNET HOLIC
08. 深い眠りが覚めたら
09. 鬼と桜
10. ドラキュラ
11. *自主規制
12. PSYCHEDELIC LOVER
13. REBIRTH DAY
14. 真っ赤な花
15. MAD SKY-鋼鉄の救世主-
16. CREATURE
17. 満月に照らされた最後の言葉
18. 蜘蛛の意図
En
01. ANSWER
02. HILL-幻覚の雪-
03. ATENA
04. HUMAN GATE
05. SEPIA
【ライブ情報】
●PIERROT「LASTCIRCUS」
2025.5.17 – FINALE –
2025.5.18 – HELLO –
Kアリーナ横浜
※2月11日(火・祝)20:00詳細解禁
※2月11日(火・祝)23:59までにArlequinに新規ご入会(決済完了済み・会員番号付与済)で 最速チケット先行にエントリーできます。
【リリース情報】
●LIVE Blu-ray & DVD『END OF THE WORLD LINE』
2025年7月15日(火)発売
完全受注限定販売
※2月11日(火・祝)20:00詳細解禁