2024.10.11
Ruiza主催イベント「BURNING SOUL vol.1」@渋谷REX

Ruizaセッションバンド

2024年3月をもって無期限活動休止となったDのギタリスト、Ruiza主催による初のイベントライブ「BURNING SOUL vol.1」が10月11日、渋谷REXにて開催された。出演アーティストはRuizaセッションバンド、ナナ、私は浮かびながら沈む、ミスイの全4組。Ruizaと関わりの深い面々が顔を揃え、一足早い「HALLOWEEN SPECIAL EVENT」として行われることとなった。

柳(ミスイ)

トップバッターは、バンドコンセプト『弱』を掲げ2019年に始動したミスイ。当夜の出演者の中では若手に位置するわけだが、湊人(G)がかつてDのローディーを務めていたことから、この日の共演が実現した。実際、中盤のMCの中で柳(Vo)が湊人について「Ruizaさんの舎弟です(笑)」と話し、「我々ミスイは、メンバーでありながらも湊人のバーターとしてここに立っております(笑)。君がメンバーにいて良かった。こんなに良い景色が見られている」との発言も。

天音(ミスイ)
湊人(ミスイ)

1曲目こそダークなミディアムナンバー「タメライキズ」であったものの、そこからラストまで容赦ない怒涛のナンバーを展開していくことに。それは「せっかく与えてもらったこのチャンスを、みすみす逃すわけにはいきません。大先輩方ばかりだからと言って、媚びへつらっているだけじゃ、らしくないんで、俺らなりの信念を持って君たちにぶつけます」(柳)と述べた通り、まさにこのイベントに対する彼らの姿勢が表れた結果に違いない。

Tetsuya(ミスイ)
LANA-ラナ-(ミスイ)

終盤の「限界です」では横モッシュ、ハンドクラップ、折り畳み、ヘドバンとV系フルコースを繰り広げながら、〈「限界です」〉のコーラスに合わせてオーディエンスが一斉に中指を突き立てれば、「いにしえのヴィジュアル系のラストと言えば、うぜーくらいの煽り曲だよな!?」と、ダメ押しの「グルグル巻き」を投入。とことん暴れ散らかし、トップバッターの役割を十二分に果たす熱量を生み出したミスイだが、最後には「俺たちはいつでも弱虫(ファンの呼称)を探しています。居場所を探している君がいるんだったら、いつでも俺にその叫びを聞かせてくれよな!」(柳)と投げかけた。

山沖怜(ナナ)

二番手の登場はRuizaの地元・関西の同志であるナナ。ステージを覆っていた幕が開くと、そこには想定外のメンバーの姿が。山沖怜(Vo)はドナルド・マクドナルド、AKI(B)は『鬼滅の刃』の鬼舞辻無惨、そしてSARSHI(G)とyusuke(Support Dr)は、それぞれ『名探偵コナン』の怪盗キッド、江戸川コナンに扮した完成度の高い仮装でステージに立ち、その見た目とあまりにもギャップのあるロックチューン「白夜」でスタートを切った。

SARSHI(ナナ)

早速フロント3人が前方へ繰り出したハードナンバー「HONEY」、ヘヴィーなユニゾンのリフや巻き舌を多用した山沖のヴォーカルが特徴的な「ロックスターに憧れて」、2018年の再始動後1stアルバムの表題曲であり、キャッチーな歌メロに加えてSARSHIとAKIによるデスヴォイスも炸裂した「CALL US」と畳み掛けていく中、随所で山沖から「24時間デリバリーしてくれよ!」「あ、いらっしゃいませ」「ポテト揚げたてですよー」といった、自身のヴィジュアルに沿った言葉が飛び出すシーンも。

AKI(ナナ)

オーディエンスの手が揺れたポップな「great man」から後半戦に入れば、照明や背景のLEDビジョンが光り輝く中、〈君に声が届くまでずっと 歌い続けていく〉〈まだ物語は終わらない〉と歌う「DEAR」、ラストには〈立ち上がれゆっくりで良い 歩き出せ〉〈夜明けは来るから〉と歌う「涙が止まらなくても」とメッセージソングを届けたのだった。なお、MCを一切挟まず全てのパフォーマンスを終えたため、最後にSARSHIから「普段はこんな格好じゃないんです。特にヴォーカル」との補足があったことを付記しておこう。

私は浮かびながら沈む

次なるステージは、2023年12月をもって活動を終えたDevelop One’s Facultiesのヴォーカリストyuyaが、2024年5月にステージネームを新たにソロ本格始動となった、私は浮かびながら沈む。後にRuizaが「ソロめちゃくちゃカッコいいですよね。すごく独創的なパフォーマンス」と述べたように、バンド活動時から作詞作曲編曲のみならず、ミックス、マスタリングまでも担っていた彼は、ソロアーティストとしてその溢れ出るアイデアとスキルを遺憾なく発揮し、まさに独創的な音楽とパフォーマンスを繰り広げた。

ギターを手に一人でステージに立ち、ヘッドセットマイクで歌うのが私は浮かびながら沈むのメインのスタイル。始動と同時に1stミニアルバム『यु』を発表した彼だが、そこに未収録の新曲も当夜披露されることに。幕開けの「入=出」はフロアの熱を一気に上げる縦ノリのライブチューンに〈自分が信じた道で〉という力強いリリックが耳に残れば、「有名税」ではドラムパッドを打ち鳴らす場面もありながら、アコギとストリングスを中心とした同期に乗せてエモーショナルに歌い上げた。

また、「呼吸」で響かせたドラマティックなフレーズや、「誰でもいいよ」でのパーカッシブな奏法など、ギタリストとしても多様なサウンドで魅了。そして、暗転した場内に「最後のこの曲は、目で聴くんじゃなくて、あなたの心で聴いてください」と告げ、渾身の歌を届けた「light」では、曲中に「音楽しかマジで取り柄がなくてさ。自信を持ってできることが1個あるって、スゲー良いことだと思うんだけど、本当にこの音楽で、ヴィジュアル系で売れたいと思っているから、良いと思ったら協力してね!」と投げかけたのだった。当夜の中盤に放った「絶対ヴィジュアル系をカッコいいものにしよう!」という言葉も印象深い。

Ruizaセッションバンド

トリはお待ちかねのRuizaセッションバンド。ハロウィンらしいゴシックな衣装を身に纏ったSeth(Vo/Moi dix Mois)、Ruiza(G/D)、湊人(G/ミスイ)、Tsunehito(B/D)、ゾンビ風のダイナ四(Dr)が、それぞれお菓子をフロアに撒く登場シーンを経て、「『BURNING SOUL』にようこそお越しくださいました。飛ばしていくぞー!」というRuizaの第一声から「白い闇」「ever【blue】」とROUAGEの楽曲を披露。セッションバンドゆえ、その後も様々なカバー曲が披露されたわけだが、全て90年代の楽曲で構成されたラインナップをこのメンバーで聴くことができるとは、何とも貴重な機会と言えよう。

Seth(Ruizaセッションバンド)
Ruiza(Ruizaセッションバンド)
湊人(Ruizaセッションバンド)

Sethの歌声との相性の良さも感じられた冒頭2曲を経て、「今日は僕の初めての主催イベントということで、『BURNING SOUL』という、とってもヤバいタイトルを付けてしまいました。やるからには魂を燃やすくらい強烈なイベントにしたいなと思ってね。今日ここに来てくれた人たち、出演していただいた皆さんも、同じ志を持っているのかなと思うと、すごく胸が高まります」とRuiza。

Tsunehitoが「ハロウィンの仮装やイベントは人生で初めて」と話すと、Sethも「仮装って俺もやったことがないんです。なので、恥ずかしいです」と言い、「どうよ我々?」と問いかけたRuizaに対し、フロアからすかさず「かわいいー!」の声が上がった。また、湊人は「Ruizaさんと共演するのが本当に夢で、こんな日が来るとは」と感無量の様子で、さらに「Tsunehitoさんに背中を押していただいて東京に出て来られたので、今バンド活動ができているのはTsunehitoさんのおかげなんです」と心温まるエピソードも。

Tsunehito(Ruizaセッションバンド)
ダイナ四(Ruizaセッションバンド)

その後は「for dear」「BEAMS」と黒夢の2曲をプレイ。前者では特に間奏のギターとベースのアンサンブルが抜群で、それは長年活動を共にしてきたDの二人の空気感を感じる瞬間でもあったし、後者ではRuizaがコーラスを担うという意外な1シーンも見られた。そして、ラストナンバーとなったのは「ROCKET DIVE」(hide with Spread Beaver)で、師弟関係にあるRuizaと湊人がセンターに並び、ツインで響かせたギターソロは何とも感慨深いものだった。なお、ダイナ四とRuizaは今回が初共演ではあるものの以前から交流があり、いつか一緒にステージに立ちたいと思っていたそう。随所に激しいフレーズを織り込み、確実なドラムで場を盛り上げた。

湊人/Tsunehito(Ruizaセッションバンド)
湊人/Ruiza(Ruizaセッションバンド)

当夜、Ruizaが「ハロウィンって準備がめっちゃ楽しいですね。ハロウィン大好き、最高」「主催イベントを企画して本当に良かったなと思っています」「またやろうね」といった言葉を発していたことから、今後も彼が主体となった企画が催されることを期待したい。なお、今後のRuizaの動向としては、すでに様々なイベントへの出演が発表されているが、過去に在籍していたバンド、Distrayの1日限定復活ライブを来春に開催することが新たに決定した(詳細は後日発表)。また、何やら未来に向けてのレコーディングも進行中の模様。続報を楽しみに待とう。

◆セットリスト◆
【ミスイ】
01. タメライキズ
02. バカ
03. 理想のカノジョ
04. ねんねんころり
05. 「限界です」
06. グルグル巻き

【ナナ】
01. 白夜
02. HONEY
03. ロックスターに憧れて
04. CALL US
05. great man
06. DEAR
07. 涙が止まらなくても

【私は浮かびながら沈む】
01. 入=出
02. 呼吸
03. 私は浮かびながら沈む
04. 誰でもいいよ
05. non title
06. logic
07. 有名税
08. light

【Ruizaセッションバンド】
01. 白い闇(ROUAGE)
02. ever【blue】(ROUAGE)
03. for dear(黒夢)
04. BEAMS(黒夢)
05. ROCKET DIVE(hide with Spread Beaver)

(文・金多賀歩美/写真・さかもと)


【ライブ情報】
●Ruiza Birthday Live
2025年2月22日(土)新宿club SCIENCE
Support Member:Seth(Vo/Moi dix Mois)、Tsunehito(B/D)、美景(Dr)
※2部制 ONE MAN LIVE
※詳細後日発表

Ruiza solo works オフィシャルサイト
ナナ オフィシャルサイト
私は浮かびながら沈む オフィシャルサイト
ミスイ オフィシャルサイト