2024.09.07-09.08
Luv PARADE＠原宿RUIDO
「RED NIGHT」「BLACK NIGHT」
とにかくものすごかった…。このたびLuv PARADEが繰り広げた原宿RUIDO 2days公演を表すにあたり、最も適切な言葉は何なのかと考えると、率直に言ってこの言葉に尽きる。おそらく、あの場に居合わせた人々には共感していただけるだろう。最早これで原稿を終わらせてしまいたい気さえするが、もちろんそういうわけにはいかないので、一体何が「ものすごかった」のか、2日間の総括レポートをお伝えしたい。
TAKA（Vo）、Karyu（G）、ZERO（B）、TSUKASA（Dr）により2022年に11年ぶりの再始動を遂げて以降、セルフカバーと洋楽カバーを中心にステージを重ねてきたLuv PARADEが、ついに全曲オリジナルの1stミニアルバム『JOKER』を発表したのが2024年6月のこと。メンバー各々の活動もある中、Luv PARADEをサイドプロジェクトや過去の延長上ではなく、新たな気持ちでバンドとして本格的に動かしていきたいとの思いが作品という形となり、それを引っ提げ巡った全5公演のツアーをもって、彼らは確かに一段階上に歩を進めた。その最終夜において「このツアーで、もっともっと欲が出てきました」とTAKAが述べていたことも記憶に新しい。
かくして迎えた、この2days公演。これまでツアーの行程としてライブが2日続けて行われることはあったが、同会場での2daysは今回がLuv PARADE史上初めてのこと。また、第一夜「RED NIGHT」、第二夜「BLACK NIGHT」とコンセプトを設けたことは、「我々、キーワードがあると楽しいということに昨日気付いた」（TAKA）と第二夜のステージ上で明かした通り、メンバー自身にとって想定外の良い効果をもたらしたらしい。
メンバーの衣装やメイクは各日のコンセプトカラーで揃えられ、来場者のドレスコードは特段なかったものの、その色を纏った観客の姿も多く見られた。加えて、ワンマンとしては6月ぶりのステージであること、両日ソールドアウトで迎えたこと、Luv PARADEの東京公演としては比較的小箱の会場であり、物理的な距離が近いこと、そんな様々なファクターの連鎖によって、かつて見たことのないほどの凄まじいテンション感を生み出す結果となった。
フットモニターに上がり身を乗り出す場面が多く見られたTAKA、頭からシャワーを浴びたかのごとく滝のような汗をかいていたKaryu、プレイ中に珍しく衣装がはだけていたZERO、ドラムスティックが折れたというTSUKASA、それらはこのステージが明らかにとてつもない熱量だったことを示すもの。ちなみに、第一夜で場内がサウナ状態になったことから、第二夜では空調の設定温度が下げられたという事実は、その熱量がどれほどのものであったかを物語っている。
無論、このような圧巻の光景に至るには、やはりミニアルバム『JOKER』に収録された楽曲たちの存在が不可欠であったことは間違いない。常設のLEDビジョンを活かした映像演出が楽曲の世界観を増幅させながら、ステージ構成全体の流れとしては前ツアーを踏襲したものでありつつ、むしろツアーを経てバンドとオーディエンス双方の体に浸透したからこそ、全曲が鉄板曲と言えるほどのパワーを放っていた。
両日ともに序盤に配された「JOKER」「NEW WORLD」は抜群の起爆力を発揮し、Karyuが奏でるギターによって前ブロックからの曲間を繋ぐと同時に場面転換するミディアムナンバー「INTO THE FLAMES」は、TAKAの見事なヴォーカリゼーションによって一瞬で空気を支配する。「MIDNIGHT SUN」は両日の本編最終ブロックに組み込まれ、最高潮の白熱ぶりを描き出せば、リード曲「TONIGHT, TONIGHT, TONIGHT」は今日という日の始まりを告げるように第二夜の幕開けをドラマティックに飾ったことに加え、第一夜の本編ラスト、第二夜のアンコールラストにおけるオーディエンスとのタイトルコールの掛け合いで、メンバー全員が順にコールしていくという、今回ならではの展開で沸かせる一幕も見られた。
もちろん4人のキャリアを彩ってきた楽曲のセルフカバーと、Luv PARADE流のアレンジを施した洋楽カバーの数々でも最高の景色を生み出した彼ら。2日間共通の鉄板のライブチューンの他、各日で選曲に多少の違いがあったわけだが、第一夜で披露された「Forbidden」（D’ESPAIRSRAY）は〈赤と黒に染める声が混ざり合う〉との一節が含まれることから、まさにこのステージにふさわしいものであったし、第二夜において「インソムニア」（the Underneath）、「DAMNED」（D’ESPAIRSRAY）とダークサイドのナンバーが続いたことは、「BLACK NIGHT」を意識したものだったのではないだろうか。
また、両日において新曲が披露されたことは大きなトピック。第一夜では1曲目とアンコールラスト、第二夜では本編ラストという重要なポジションを担っており、Luv PARADEの中では比較的キャッチーなロックナンバーと言えるもので、〈始まりの朝 信じた明日に〉といったリリックも印象的だった。なお、この新曲と「TONIGHT, TONIGHT, TONIGHT」の配置が第一夜と第二夜で反転していたことも興味深い点で、その真意は定かではないが、対を成す2日間を示すものと捉えることもできる。
「この2日間で新しい未来が見えてきました。鮮やかな未来を一緒に描いていきましょう」（TAKA）と、第二夜のアンコール最終ブロックに披露されたのは〈壊せばその眼に新しい未来 広がる〉と歌う「BRILLIANT」（D’ESPAIRSRAY）、そして先述の通り「TONIGHT, TONIGHT, TONIGHT」がラストナンバーとなり、この先も突き進んでいくのだというバンドの意志を示す形で幕となったのだった。
なお、この2日間は本ステージ後さらにVIPチケット購入者を対象としたアコースティックステージもあったことから、通常の2days公演より大ボリュームの2日間となった。全てのパフォーマンスを終えたメンバーらは満身創痍といった様相でありつつも、達成感に満ち溢れた表情を見せていたことを記しておきたい。
そして、Luv PARADEは11月にニューシングルをリリースすることが決定。その作品を引っ提げて、同月にはツアー「Beautiful Errors」を開催するが、「Luv PARADEの波状攻撃」（TAKA）という名言が飛び出した通り、次なるツアー「EDELWEISS」が2025年の年明け早々に行われることが新たに発表となった。加えて「新曲、さらに作るでしょう」（Karyu）との気になる発言も。
「この2日間は我々（バンドとファン）を強くしました」とは、TAKAの言葉。バンドとして明らかに一つのラインを突き抜けた感のあった2日間を終え、また新たなステージに歩を進めたLuv PARADEの快進撃に期待したい。
◆セットリスト◆
【09.07 RED NIGHT】
01. 新曲
02. JOKER
03. NEW WORLD
04. Toxic／Britney Spears
05. BAD GUY／Billie Eilish
06. BORN／D’ESPAIRSRAY
07. INTO THE FLAMES
08. Hyperballad／Björk
09. LOVE IS DEAD／D’ESPAIRSRAY
10. DEVILS’ PARADE／D’ESPAIRSRAY
11. BITE THE BULLET／the Underneath
12. Forbidden／D’ESPAIRSRAY
13. MIRROR／D’ESPAIRSRAY
14. MIDNIGHT SUN
15. TONIGHT, TONIGHT, TONIGHT
En
01. 浮遊した理想／D’ESPAIRSRAY
02. sk8er boi／Avril Lavigne
03. The NeverEnding Story／Limahl
04. 新曲
【09.08 BLACK NIGHT】
01. TONIGHT, TONIGHT, TONIGHT
02. JOKER
03. NEW WORLD
04. Toxic／Britney Spears
05. BAD GUY／Billie Eilish
06. インソムニア／the Underneath
07. DAMNED／D’ESPAIRSRAY
08. INTO THE FLAMES
09. My Heart Will Go On／Celine Dion
10. LOVE IS DEAD／D’ESPAIRSRAY
11. DEVILS’ PARADE／D’ESPAIRSRAY
12. BITE THE BULLET／the Underneath
13. MIRROR／D’ESPAIRSRAY
14. MIDNIGHT SUN
15. 新曲
En
01. Poker Face／Lady Gaga
02. sk8er boi／Avril Lavigne
03. The NeverEnding Story／Limahl
04. BRILLIANT／D’ESPAIRSRAY
05. TONIGHT, TONIGHT, TONIGHT
（文・金多賀歩美／09.07写真・Lestat C＆M Project／09.08写真・堅田ひとみ）
【リリース情報】
●New Single（タイトル未定）
2024年11月発売
【ライブ情報】
●Luv PARADE Tour 2024 Beautiful Errors
11月17日（日）新横浜NEW SIDE BEACH!!
11月21日（木）心斎橋VARON
11月23日（土）名古屋HeartLand
11月27日（水）初台DOORS
●Luv PARADE TOUR 2025「EDELWEISS」
2025年
1月11日（金）西川口Hearts
1月12日（日）横浜ReNY beta
1月18日（土）名古屋 SPADE BOX
1月19日（日）静岡Sunash
1月25日（土）OSAKA MUSE
1月26日（日）姫路Beta
2月1日（土）SHIBUYA DIVE
＜イベント出演＞
●「Aiming」
9月19日（木）EDGE Ikebukuro
出演：Luv PARADE、JILUKA
●Leetspeak monsters Presents Halloween Party 2024
10月26日（土）国立音楽院パラダイスホール
出演：Leetspeak monsters、Luv PARADE、XANVALA、BabyKingdom、色々な十字架、わんちゃんわんわんねこにゃんにゃん