2024.05.13
The Brow Beat@Zepp Shinjuku
「The Brow Beat LIVE TOUR 2024『局地的な雷雨』」

俳優・佐藤流司がアーティスト「Ryuji」として結成したバンドプロジェクト、The Brow Beatが11ヵ月ぶりとなる待望の東名阪ツアー「The Brow Beat LIVE TOUR 2024『局地的な雷雨』」を5月に開催した。そのツアーファイナルZepp Shinjuku 2daysのDVD化が決定!

最新シングル『ワカラナイアイ』(5月8日)のリリースに伴って、5月9日から5月12日にかけて「The Brow Beat LIVE TOUR 2024『局地的な雷雨』」と銘打った東名阪ツアーを実施したThe Brow Beat。彼らがライブを行うのは約11ヵ月ぶりということで、同ツアーを心待ちにしていたリスナーは多かったに違いない。各公演揃ってソールドアウトとなった「The Brow Beat LIVE TOUR 2024『局地的な雷雨』」のファイナルとして、5月12、13日の2日間に亘ってZepp Shinjukuで行われた東京公演の模様を、13日のライブを軸にお届けしよう。

「The Brow Beat LIVE TOUR 2024『局地的な雷雨』」を締め括る場となったZepp Shinjukuは両日共に多数のリスナーが集まり、場内がオーディエンスでビッシリと埋め尽くされた状態で開催された。特に13日は月曜日の夜で、さらに当日は終日雨という厳しい状況だったにも拘わらず、多数のオーディエンスを集めたのはさすがといえる。

「The Brow Beatの引きの強さは凄いものがあるな」と思っていると場内が暗転してオープニングSEが流れ、サポート陣がステージに登場。ファンキーな導入に続いてRyujiが姿を現して大歓声と拍手が鳴り響く中、「戸惑いを振り切るONE WAY!」というRyujiの歌声が響き、ライブはパワフルに疾走する「OVER」から始まった。

美麗かつエキゾチックな白い衣裳に身を包み、眩いオーラを発しながら力強い歌声を聴かせるRyujiの存在感は圧倒的で、目を奪われずにいられない。初日はサポート・メンバーも含めた全員がデニムの上下(HAKUEIもブルージーンズに、アディダスのトップスというレアな姿を披露)だったのに対して、2日目は大きくイメージを変えてくる辺りはThe Brow Beatらしい。彼らのファンに楽しんでもらいたいという思いが伝わってきたし、こういう演出をバリッと決められるのは彼らの大きな強みといえる。

「OVER」1曲でZepp Shinjukuの場内をThe Brow Beatの世界に染めた後は和テイストを活かしたハイテンション・チューンの「ヤタガラスの影踏み」や爽やかな「ワカラナイアイ」、スタイリッシュな「Hide and Seek」などを相次いでプレイ。しなやかなステージングを展開しながら歌うRyujiの姿や勢いとタイトさを兼ね備えた上質なサウンド、煌びやかなライティングなど気持ちを引き上げるシーンの連続にオーディエンスも熱いリアクションを見せ、場内のボルテージはどんどん高まっていった。

Ryuji
HAKUEI

そして、ラウドなサウンドの中からRyujiの歌声が“ガーン!”と突き抜けてくるのも実にいい。The Brow Beatのライブを生で観るとヴォーカルがクリアに聴こえるのは歌の音量を上げている、もしくはバックの音量を控えめにしているなどではなく、純粋にRyujiの声が大きいことがよくわかる。声量が豊かで、ピッチも安定していて、表現力も秀でたRyujiの歌声を生で聴くのは本当に気持ちよくて、それもThe Brow Beatのライブで得られる快感の大きな要素のひとつになっていることは間違いない。

レトロな雰囲気が漂う「火炎」や狂騒的な「無」、ウォームなスロー・チューンの「Oblivion」などでさらに世界観を深めた後、RyujiのMCが入った。
「つくづく思いますけど、今年6周年ですが、こんなに沢山の方に観ていただけて、あり難いなと思います。だって、俺は愚痴を吐き出しているんですよ、The Brow Beatでは(笑)。エンターテイナーとしてX(旧Twitter)とか、Instagramとかにネガティブなことは書きたくないわけですよ。でも、俺も普段思うこととかをSNSに書きたいなと思う日があったりするんです。そういうことを、歌詞に書いているわけですね。だから、たまに“全部クソ”とか言っちゃうわけですよ(笑)。溜まりに、溜まってね」(Ryuji)
素の姿を見せ、リラックスした表情で話すRyujiの姿に客席からは笑い声や拍手が起こり、オーディエンスが今日のライブの総ての瞬間を楽しんでいることが伝わってきた。

Ryuji
HAKUEI

そんなRyujiのMCに続いてHAKUEIがステージに姿を現し、ツイン・ヴォーカル形態でハードな「404」や“魔”な空気感を放つヘヴィ・チューンの「離人」、無機質なサウンドとRyujiのアグレッシブなラップ/リーディングのマッチングをフィーチュアした「21グラム」などが届けられた。フィジカルなステージングを織り成しつつ何度となくファットなシャウトを繰り返すRyujiと黒い衣裳を纏ったミステリアスな姿で妖艶さと強靭さを併せ持った独自の歌声を聴かせるHAKUEI。Ryujiが1人で歌うソリッドかつエモーショナルなステージとツイン・ヴォーカルによる毒々しさと華麗さを併せ持ったステージという趣の異なるスタイルを味わえることもThe Brow Beatの大きな魅力といえる。どちらも説得力に満ちていて、こういう立体的な魅せ方ができるのは彼らならではの強みだなと、あらためて思わずにいられなかった。

Ryujiの「いけるのか、TOKYO!」という熱いアジテーションからライブは後半に入り、怒涛の疾走感を打ち出しつつ中間でヒップホップっぽいミディアム・テンポに移行するアレンジが最高にカッコいい「ラブレター」、スリリング&ホットな「銃声」、超高速で突進するパンキッシュな「爆風」が畳みかけるように演奏された。さらにギアを1段上げて激しいパフォーマンスとパワフルな歌声で魅了するRyujiとHAKUEIの姿や心を駆り立てるサウンドの応酬にオーディエンスは熱気と一体感に溢れたリアクションで応え、Zepp Shinjukuの場内はツアー・ファイナルにふさわしい盛大な盛り上がりとなった。

およそ1年弱という期間をものともせずに、今回のツアーでハイ・クオリティーなライブを披露してみせたThe Brow Beat。ブランクを感じさせるどころか、より凄みや貫録を感じさせたのはさすがの一言に尽きる。東京公演は両日共にエモさや繊細さなども見せたうえで完全燃焼するという構成で、心地よく気持ちを引き上げてくれた。今回のツアーを体感したオーディエンスは、誰もがカタルシスを得ることができたと思う。

もうひとつ、今回のライブを観て感じたことだが、彼らが昨年から今年にかけてリリースした「ラブレター」(2023年5月)や「無」(2024年1月)、「ワカラナイアイ」(2024年5月)、「な訳ねぇだろ」(「ラブレター」c/w)といったナンバーは新機軸であると同時に時代感も巧みに取り入れてられていて、The Brow Beatの魅力をより一層深めることに成功したといえる。最新曲の「ワカラナイアイ」が話題作のTVアニメ『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?』の主題歌を担うことも含めて、今後のThe Brow Beatがさらに加速していくことを予感させる素晴らしいライブだった。

(文・村上孝之/写真・菅沼剛弘)


【リリース情報】
●The Brow Beat Live Tour 2024「局地的な雷雨」2024年5月12日(日) & 13日(月) Zepp Shinjuku LIVE DVD
2024年10月30日(水)発売
(発売元:H3)

ティザー映像

<一般受注受付>
7月28日(日)12:00〜8月15日(木)23:59
※DVDのみ(FC会員限定特典は付きません)

※受注開始日までは閲覧できません。

[DVD2公演2枚組]H3-0006 ¥11,000(税込)送料別途

[DISC 1:Day. 1]
01. OVER
02. ジセイノク
03. ワカラナイアイ
04. Hide and Seek
05. 光のアルペジオ
06. 火炎
07. 無
08. Oblivion
09. 404
10. 離人
11. 21グラム
12. ラブレター
13. シンデレラ
14. パラノイド・スター

-ENCORE 1-
01. 灯篭流し(Acoustic Ver.)
02. ROCKET DIVE
03. ハレヴタイ

-ENCORE 2-
01. な訳ねぇだろ
02. Snow White

[DISC 2:Day. 2]
01. OVER
02. ヤタガラスの影踏み
03. ワカラナイアイ
04. Hide and Seek
05. 光のアルペジオ
06. 火炎
07. 無
08. Oblivion
09. 404
10. 離人
11. 21グラム
12. ラブレター
13. 銃声
14. 爆風

-ENCORE 1-
01. 灯篭流し(Acoustic Ver.)
02. ROCKET DIVE
03. L.R

-ENCORE 1-
01. な訳ねぇだろ
02. Snow White
03. 日本

●New Single『ワカラナイアイ』
2024年5月8日(水)配信

【「ワカラナイアイ」MVフル】

The Brow Beat オフィシャルサイト