2022.04.21
XANVALA@渋谷club asia
XANVALA 2nd ANNIVERSARY ONEMAN TOUR「月と太陽」振替公演「ケ・セラ・セラ」
本当なら1月31日と2月1日に行うはすだったXANVALA 2nd ANNIVERSARY ONEMAN TOUR「月と太陽」ツアーファイナル。2月1日の振替公演になったのが、4月21日(木)に渋谷club asiaで行った『XANVALA 2nd ANNIVERSARY ONEMAN TOUR「月と太陽」振替公演「ケ・セラ・セラ」』になる。
巨大なスクリーンに映し出された青い月。その球体は、次第に闇に覆われ赤く浸食されていく。ギターの旋律が流れだすのに合わせ、赤い月に映し出された「ケセラセラ」の文字。XANVALA 2nd ANNIVERSARY ONEMAN TOUR「月と太陽」ツアーファイナル公演が、幕開けた。
お馴染みのSE「satellite rondo」に乗せ、新衣装を身にまとったメンバーらが次々と舞台へ姿を現した。白い衣装姿の演奏陣、対して、巽は真っ赤な衣装姿だ。XANVALAのライブは,最新アルバム『月と太陽』の1曲目を飾った「デスパレート」から幕を開けた。冒頭からがなり声を上げ、Λ(ファンの呼称)たちを煽る巽。演奏陣は冷静な出で立ちで。でも、身体を直撃する轟音を叩きつけてゆく。巽の後ろで声を張り上げる70.。フロアの熱が高まるのに合わせ、メンバーらも派手に動きだし、この空間へ次々と赤い衝撃を注ぎだした。
一度上がった拳が下りることはない。熱を抱いたフロアへさらに狂気と狂喜を注入するように、XANVALAは「Bamby」を演奏。フロア中の人たちが髪の毛をザンバラに振り乱し、熱狂へ身を捧げだす。気持ちを一つにヘドバンするΛたちの光景や拳振り上げ騒ぐ姿が、ヤバいくらいにイカれてる。それこそがXANVALAのライブのスタンダード。猛り狂うほどに高揚した感情の熱をどれだけ大きく膨らませるかが、この日もライブの出来を評価する鍵になる。
この日の彼らは、甘い表情なんて全部楽器ケースの中へしまい込んで舞台に上がっていた。〈一緒に堕ちていこう〉〈お前らと堕ちていけるなら、俺は幸せです〉。高らかに歌いあげる巽。その声へ同調するように、跳ねた演奏が轟きだす。XANVALAは「左耳の悪魔」をΛたちの意識を壊す最高の武器に変え、フロア中の人たちを騒ぎ狂う獣に変えていった。満員のΛたちが一斉に飛び跳ねたときの床を揺らす衝撃も久しぶりだ。我を忘れ…理性をかなぐり捨て、本能のままに暴れ騒ぐ。これこそがライブ。これこそが、XANVALAのライブでいつも感じている熱狂と興奮、恍惚だ。
悪魔と化したΛたちの意識をさらに歪め、狂わせるように、XANVALAは新曲の「ケ・セラ・セラ」をぶち込んできた。背景にはMVも投影。Yuhmaの手によるこの曲は、表現者としての感覚の螺子が特異なYuhmaらしい。DJENTMUSICを多用した、次々と転調してゆく変態高陽ロックチューン。サビ歌が胸躍らせるキャッチーさを持っている面も魅力だ。フロア中のΛたちが大きく頭を振り、熱狂したい意識を楽曲とシンクロさせながら狂い咲いていた。なるがまま、己の感情が導くまま、自由に騒げばいい。それがこの曲の、XANVALAのライブでのあるべき姿だ。
XANVALAの運命を大きく塗り替えた「ジャノメ」の登場だ。この日のようなぐずついた天気の夜には、ジメジメした感情を暴走した音の空気で吹き飛ばす「ジャノメ」こそが、最高に気持ちを荒らげるに相応しい楽曲だ。傘のように広がった無数の手が、フロア中で大きく揺れ動いていた。間奏では、Λたちが気持ちを一つにヘドバンすることで、フロア中に大きな黒髪の波がザンバラ揺れる景色も生まれていた。ヤバいよな、この熱気。でも、当然だよな、この興奮は…。
「雨声に帰す」でも、XANVALAの攻撃の手がギュッと緩むどころか、ますます轟音の牙を剥きだしに襲いかかる。重心低い姿勢で攻めた音を繰り出す演奏陣に刺激を受け、フロア中のΛたちも腰をグッとかがめ、全力でヘドバンに興じていた。狂え、狂え、本能へ導かれるまま、現実を忘れて暴れ狂ってしまえ。それ以外、この場に必要なものなど何もない!!!!!
表情を少しだけ塗り替えるように、XANVALAはミドルヘヴィな轟音狂奏曲「クチナシ」を差し込んだ。重く、激しく揺れる音の上で、朗々と歌いあげる巽。これまで以上に抑揚した、いや、巽自身の揺れ動く感情の変化を強く感じれる楽曲だ。Λたちも、「クチナシ」では身体を小刻みに揺らしながらも、歌い叫び、むせび狂う巽の歌声を全身でしっかりと受け止め、その言葉や感情を自身の心でギュッと抱きしめていた。
「必死に今日まで生きてきて、こういう景色が目の前にあると、この日に意味を持たせてくれるのは君たちだなと改めて強く思いました。俺たちはずっと格好いいバンドでいるので、君たちも格好いいファンのままでいてください。三年目よろしく」と巽が語る。「2年間の逆境の中で一緒に培った心の声をぶつけてこい!!」と煽る巽の叫び声と、Λたちの掲げる拳。そして…。
「ここが俺たちの理想郷だ」(巽)。さぁ、ギラギラとしたグリッターな輝きの中、もっと意識を混濁させてしまいな。XANVALAという名前を国内中どころか、広く世界中へ浸透させたダンスロックナンバー「XANADU」の登場だ。フロア中のΛたちが、突きあげた拳を振りかざし、踊り、騒ぎだす。跳ね続ける身体の動きを止められない。荒ぶる演奏が止まない限り、限界など頭から消し去り、本能が導くまま踊り続けていたい。極彩色の熱狂渦巻く光景の、なんて派手で華やかだったことか。まさにこれぞ、共に作りあげた理想郷だ。
70.の激烈なベース演奏とシンクロするように、エレクトロでラウドなダンスビートがふたたび身体を揺らしだす。XANVALAは『ヒトリ舞台』を通し、この空間を華やかなダンスフロアに塗り変えた。重く跳ねた演奏に刺激を受け、フロア中のΛたちが、その場で大きく跳ね上がる。胸を熱く騒がせるサビ歌を誰もが心の中で歌いながら、高く掲げた手で、天にある熱狂の魂をつかむように全力で跳ね続けていた。メンバーらの高ぶる感情と飛び跳ねる勢いがシンクロ。息が止まるほどの興奮がたまらない!!!!!
艶かしい巽の歌声を合図に響かせたのが、「終幕」だ。XANVALAは熱狂の舵を、次第に感情の内側へと切り出した。体感的な興奮を覚えながらも、美メロな歌や演奏が、心の中を浸食。感情の内側で、マグマのように熱く渦巻きだす。興奮を覚え跳ね続ける身体とは裏腹に、心の中へ熱い衝動がどんどん体積してゆく感覚も覚えていた。
〈行かないで〉と嘆くように歌う巽。この日、唯一のメロウなバラードナンバー「Dearest」だ。いや、切ないしっとりとした表情と、激烈し荒れ狂う感情が交錯しあう楽曲だ。愛しさのあまり乱れ狂う心模様を、XANVALAは歌声や演奏を通して具現化してゆく。とても切なくも浪漫にあふれた歌だ。酔いしれたい感情を、沸騰した演奏が沸かせてゆく。心は歌に微睡みながらも、身体はその熱へ、火傷しそうなくらいに侵されていた。
「目の前にはさ、Λしかいない。最高に素敵な景色じゃない。集まった人全員が同じ夢を見てくれるって凄いことじゃない。俺たちがバンドを始めたときに夢を見せてくれたヴィジュアル系のように。俺たちもみんなに夢を与えていきたい。その夢を欲張って喰らい尽くしてくれませんか。欲張れ!!」(巽)
もっと狂いたいんだろう。本能を剥きだしに暴れ狂いながら、本当の自分をさらけ出したいんだろう。本性の自分をもっと人前で顕示したいんだろう。そんな風に煽るように、XANVALAは重轟音暴走曲「CREEPER」を叩きつける。ハンマーで思いきり身体を殴られたような、重く激しい衝撃だ。その衝撃を喰らい、さらに理性の筋がブチブチと切れ、感情が暴走してゆく。フロア中でΛたちがザンパラと大きく髪の毛を振り乱せば、高く高く跳ね続ける。メンバーらの煽りに喰らいつく勢いで感情をぶつけるΛたち。その熱気こそが、最高の興奮と恍惚だ。
「君の真ん中に今日という傷をつけてもいいですか」「傷つけあいませんか!!」(巽)。その声を合図にXANVALAは、さらに暴走した演奏を「悪辣が君を襲う」に乗せて突きつけた。今、この空間を支配しているのは本能が導くままに暴れ狂う最高に恍惚を覚える感情だ。気持ちが絶頂に達するまで暴れ狂えばいい。それを許してくれるのが、ライブという場。あるべき自分に戻してくれるのが、XANVALAのライブなんだよ。
この日も、XANVALAとΛたちの戦いが、そこには繰り広げられていた。本編最後にXANVALAは「聖戰」を撃ち放った。メンバーらも、Λたちも、燃え盛る感情を身体中から烈火のように吹き上げながら暴れ狂っていた。その中で誰もが感じていたはずだ、「生きている実感」を。生きる意味は人それぞれだ。もちろん、その意味を見いだせない人がいることも否定はしない。でも、ここに集えばきっと見つかるはず。自分が本気で感情を露にしながら生きることを。その肌は今、火照るほどの熱を感じているはずだ。身体中でフツフツと沸き立つ血の高ぶりを覚えているはずだ。それこそが、今、ここで生きている証だ。
先程までの熱狂をふたたび繋げるように、アンコールでXANVALAは、高陽導く歌系ナンバー「ジセイ」を突きつけた。少しクールダウンした? そんなの、音が鳴り響いた瞬間に忘れちまったよ。身体が、筋肉痛になるほどの熱をふたたび求めだす。それ以上に、心を揺らす巽の歌に刺激を受け、高ぶる気持ちを吐き出さないことには意識が壊れそうだ。フロア中で大きく揺れ動き咲き乱れる手の花の景色が、最高に鮮やかだ。こんなにも放熱した景色は久々だ。途中、巽の煽りに合わせ、Λたちも心の中で「ランランララン ラーララララ」と歌っていた。いや、張り上げたい生声をグッと喉仏で抑えながら歌っていた。もっともっと乱れ狂わせてくれ。XANVALAよ、熱狂の中で最高の花を咲き誇らせてくれ。
「世の中は上手くいかなことばっかりだけどさ、俺たちは君たちの前を少しだけ先に歩いて、でけぇ階段を登ろうと思ってる。これからも、ついてきてくれるか!!」。巽の声を合図にXANVALAは「SCALA」を突きつけた。いや、「SCALA」の演奏に合わせ、メンバーらと一緒に、この空間に足を運んだ全員が、目の前に生まれた大きな階段へ、頭振り乱しながら力強く踏み出していた。それが、XANVALAと一緒に見たい景色への新たなる一歩目でもいい。自分が信じている夢に向かって踏み出した最初の一歩でもいい。理由は何であれ、気持ちを前へと踏み出す一歩をXANVALAのライブは与えてゆく。たとえ無目的の人だとしても、きっと踏み出した一歩によって、何かが変わるかも知れない。まぁ、最後はすべて自分次第だが…。
生き続けろ、とにかく俺たちが,お前らの気持ちをグイグイと引っ張って前へと引き上げてゆくからさ。そんな言葉を投げかけるように、XANVALAは熱情した思いを胸に「ΛLIVE」を歌っていた。タイトルがAではなくΛなのもXANVALAらしい。そこに込めた思い、もうわかってくれてるよな。彼らはけっして独りよがりで前へ進もうとはしていない。ともに傷や痛みも嘗めあい、分かち合い、擦り傷だらけの身体を互いに晒しながら、一緒に夢という言葉の意味をつかもうとしている。夢という言葉の正体を、その両眼で見ようとしている。その二つの眼の一つは、もちろん、XANVALAを支持するΛたちだ。
最後は、やはりこの歌だ。XANVALAとΛたちで共に幸福をつかむための約束を交わすように、5人は「誰が為の幸福論」をぶつけてきた。理屈も屁理屈も必要ない。ただ、互いに信じ合う心で絆深く結びあえてさえいれば、それでいい。未来へ向けた理想も、もちろん掲げるさ。でも、この瞬間だけは、この場で燃え尽きるくらいの熱情した気持ちをぶつけあっていたい。今、この瞬間に覚える幸福を、身体や心へ深く刻みたい。その傷が消えない限りは、また、その嬉しい痛みを求めたくて、互いに心の手を伸ばしあえる関係でいれるのだから。
次の舞台は、全国だ。この熱気と熱狂を各地の人たちに知らしめ、その絆を沢山繋ごうじゃないか。
◆セットリスト◆
01. デスパレート
02. Bamby
03. 左耳の悪魔
04. ケ・セラ・セラ
05. ジャノメ
06. 雨声に帰す
07. クチナシ
08. XANADU
09. ヒトリ舞台
10. 終幕
11. Dearest
12. CREEPER
13. 悪辣が君を襲う
14. 聖戰
En
01. ジセイ
02. SCALA
03. ΛLIVE
04. 誰が為の幸福論
(文・長澤智典/写真・a.kwsk)
【「ケ・セラ・セラ」MV】
【ライブ情報】
●XANVALA FREE ONEMAN LIVE「SHANGRI-LA」
5月27日(金)下北沢シャングリラ
OPEN 18:00 / START 18:30
チケット:プレミアム 完売 / 無料チケット¥0(※D代別)
無料チケット予約受付中
●XANVALA ONEMAN TOUR 2022「ASK」
5月3日(火)池袋EDGE
5月11日(水)熊本NAVARO
5月12日(木)福岡graf
5月14日(土)広島SECOND CRUTCH
5月16日(月)香川TOONICE
5月17日(火)岡山CRAZYMAMA 2ndRoom
6月10日(金)池袋BlackHole
6月18日(土)金沢gate black
6月19日(日)新潟CLUB RIVERST
6月25日(土)仙台spaceZero
6月26日(日)福島PEAK ACTION
7月1日(金)池袋BlackHole
7月5日(火)札幌Crazy Monkey
7月6日(水)札幌Crazy Monkey
7月22日(金)浜松Force
7月23日(土)大阪soma
7月25日(月)名古屋HOLIDAY NEXT NAGOYA
7月26日(火)長野Live house J
8月1日(月)宇都宮HELLO DOLLY
8月4日(木)前橋DYVER
8月7日(日)浦和Narciss
8月13日(土)柏Thumb up
8月20日(土)川崎Serbian Night
8月27日(土)新宿BLAZE(TOUR FINAL)