2021.11.03
PENICILLIN@新宿ReNY
「Knocking on Utopia」

2021年度パンフレットCD第一弾作品として販売した『Utopia』。同作品へ収録した楽曲。さらに、収録曲たちを盛り立てるに相応しい曲たちを揃える形で行われたのが、11月3日(水・祝)に新宿ReNYで催した「Knocking on Utopia」公演。当日の模様を、ここへ紹介したい。

O-JIROの叩くタイトかつハードな高速8ビートのリズムの上に千聖のギターが刻むスラッシュメタルリフビートが重なり、HAKUEIが叫び声を上げるのと同時に、ライブはスタート。攻めた表情を示す豪快なスラッシュナンバー「Mr.Freez」に乗せ、冒頭から観客たちをけしかけるメンバーたち。それまで座っていた観客たちも瞬時に立ち上がり、その場で拳を振り上げだす。破壊力抜群の衝撃。熱狂という理想郷へ観客たちを導いてゆくに相応しいライブ姿をPENICILLINは冒頭から示しだす。

「この世界の果てへ」と荒らげた声で観客たちを煽るHAKUEI。沸き立つ気持ちへ熱狂を注ぐように突きつけた「SAMURAI BOY」に乗せ、フロア中の人たちが、頭上高く広げた両手をはためかせ、快楽の世界へ向かって彼らと一緒に勢いよく突き進んでいく。続く「Rosetta」でも、荒ぶる演奏と歌声に触れ、魂が熱くたぎりだす。HAKUEIの熱情した歌声に気持ちが煽られる。突き刺すような千聖のギターの音が身体を刺激し、興奮を引き起こす。もっともっと高揚した世界へ溺れ、もっともっと心燃やしながら、現実をすべて吹き飛ばしてしまいたい!

この日のMCで、今回も無事に開催できたことを喜ぶメンバーたち。今もメンバーたちは、最高のライブを作り上げるための日々を送り続けている。だからこそライブを通し、溜まった感情をすべて吐き出してゆく。そのライブが熱くなるのも当然だ。

千聖のギターリフが唸る。生きるか死ぬか、その覚悟を背負って攻めるように、PENICILLINはダークでワイルドな「DEAD or ALIVE」を突きつけた。終始攻め続ける千聖のギター。声を張り上げ、「もっと激しく」と感情的に歌うHAKUEI。抑揚した気持ちが、激しく恍惚した想いへどんどん塗り変わってゆく。このままイクところまでイッてしまえ。そう気持ちを掻き立てるところがPENICILLINらしいじゃない。

HAKUEIは〈もっとスピード上げて〉と歌っていた。ポップなロックナンバー「NO CONTROL」に乗せ、限界を超えた先に広がる快楽という世界へPENICILLINは観客たちを連れだしてゆく。HAKUEIの高陽した歌声へ導かれるように、フロア中の人たちも両手を高く広げ、時空を超えた先に広がる未来へ夢中になって飛びこんでいた。あと数ミリ手を伸ばせば、求めた熱狂の中へ飛び込んでいける。そんな気持ちにさせたのが「border line」だ。「限界という境界線を飛び越え、快楽へと繋がる理想郷へ足を踏み入れてきなよ」と誘いかけるように、彼らは指先まで痺れさせる熱狂を注ぎ込んでいった。

MCでは、O-JIROと千聖のトークが展開。「曲がみんなの手元に届いてライブで披露して、初めて『Utopia』が完成すると思ってる」と語るO-JIROと千聖。この日のメンバー衣装は『Utopia』仕様。ここではジャケット撮影や衣装についての裏話も登場した。

次に披露したのが、パンフレットCD『Utopia』の1曲目を飾った「パライゾ」だ。いななくような千聖のギターの音を合図に、PENICILLINは見ている人たちを奈落の底へ広がる理想郷に連れだした。楽園や理想郷が天上にあるなんて誰が決めた。痛い恍惚に導かれ、闇夜の中で身悶え狂う場へ溺れることも理想郷だ。言葉のひと言ひと言を噛みしめるように歌うHAKUEI。その想いへ寄り添いながらも、千聖のギターは悲痛という音のKISSを観客たちへ投げかけていた。落ちてゆく感覚が、今はとても心地好い。

身体を熱く揺さぶる衝撃と同時に、心の内側から燃え盛る刺激も与えていった「若きウェルテルの悩み」。それまでの気持ちの内側を揺さぶる歌たちから色を塗り替えるよう、沸き立つ熱情のままに歌声や演奏をぶつけた「ファイブ」。サビ歌でフロア中の人たちが花咲けば、間奏では、千聖の攻めに徹したギターソロが激しく火を吹いた。熱く感情奮い立つ楽曲に興奮のスイッチを押された観客たちが、フロアの中で荒ぶりだす。彼らは、観客たちが胸の内に抱えていたストレスを「ファイブ」を通してすべて吐き出させていった。

この日のHAKUEIは、観客たちが声を出せないのをわかったうえで、あえて、言葉漏れそうになる問いかけを次々としていた。HAKUEIいわく「みんなの顔の上に吹き出しがみえるようになってきた」の言葉が、素敵じゃない。

「暴れたいよな、いくぞー!!」。終盤のブロックを彩ったのが、タフ&ワイルドなロックンロールナンバーの「Dead Coaster」。情熱掻き立てる演奏に乗せ、観客たちへ歌声のKISSを求めるHAKUEI。舞台の最前まで身を乗り出し、観客たちを煽る千聖。フロア中の人たちも「天国へ堕ちて行こう」「果てしないロマンスへと狂い避け」の声に煽られ、掲げた手を躍るように揺らしていた。もっともっと深く熱狂と熱情の中で愛し合おうと叩きつけたダークでパンキッシュな「REALXXX」でも、HAKUEIは〈もっと強く もっと深く〉と観客たちの心の奥へ奥ヘと熱い衝撃をぶち込むように歌っていた。もっともっと深いところで心一つに熱狂の中でまみれようと熱く誘い続けていた。

最後にPENICILLINは、「イナズマ」という衝撃を走らせた。フロア中でたくさんの火花が瞬く(手の花が大きく揺れる)光景が、胸を熱くさせる。その姿に刺激を受け、さらに感情を振り乱し、挑発する演奏を刺し続けたメンバーたち。この空間に遠慮なんかはいらない。気持ちが熱く沸き立ったら、それを思いきりぶつければいい。たとえ声は出さずとも、伸ばした2本の腕は、いくらでもスパークした動きで声を上げられる。終盤、激しく畳みかけるイナズマのような演奏に煽られ、火照った気持ちがおさまらない!!

アンコールへ。千聖の溜めを効かせたギターが激しくいなないた。力強くペダルを漕ぎ全力疾走するように、PENICILLINは「Utopia」収録ナンバーの「black buddy」を突きつけた。荒ぶる感情を剥き出しに観客たちを激熱した世界へ巻き込んでゆくメンバーたち。感情を荒々しく剥き出した演奏に刺激を受け、フロア中に数多くの手が揺れていた。最後に、PENICILLINは「WARP」を演奏。ふたたび、この会場へ灼熱の景色を作りあげ、共に熱へまみれるように彼らは歌い演奏していった。フロア中でたくさん咲き誇った手の花が、演奏という熱風を受け揺れ動く様が、とても美しく華やかだ。さぁ、もっと自由に心を開放しよう。その笑顔の先に見えているのは、今宵あなたが求めたかった理想郷だ。Chiyuを含めた癖の強い4人の天使たちが作り上げた快楽の世界に、誰もが嬉しく溺れていた。だからこそ演奏を終えても、熱い拍手が止まなかった。

ここからは、会場に足を運んだ人たちのためだけに演奏。この日選んだのが「Blood Red Snow White」。ヘヴィでノイジックな千聖のギターリフ、そこへ絡むO-JIROとChiyuによるラウドでタフなビート。PENICILLIN流の豪圧ラウドロックナンバーへすべての感情を乗せ、HAKUEIが荒ぶる気持ちを剥きだしたままにぶつけてゆく。HAKUEIの煽り叫ぶ歌声に、千聖が激しく掛け合う様がとても刺激的だ。2人の熱い歌声のバトルへ触発され、フロア中の人たちもひと際激しく手を揺らしていた。最後の最後にPENICILLINは破壊的な楽曲をぶつけてきた。メンバーたちの「Oi!」と煽る声へ応えるように、高く拳を突き上げる観客たち。モニターに足を乗せ、前のめりに挑む姿勢で声を荒らげるHAKUEI。その歌声を背中からガツガツと押してゆく、荒ぶる千聖の掛け声。最高のコンビネーションだ。O-JIROも、いつも以上に手数多く荒々しいビートを叩き出していた。猛り狂う演奏を通し、PENICILLINは最後の最後に観客たちを熱狂という一番欲しい理想郷へと連れてイッた。

◆セットリスト◆
SE. Rosetta Garden
01. Mr.Freez
02. SAMURAI BOY
03. Rosetta
04. DEAD or ALIVE
05. NO CONTROL
06. border line
07. パライゾ
08. 若きウェルテルの悩み
09. ファイブ
10. Dead Coaster
11. REALXXX
12. イナズマ

En1
01. black buddy
02. WARP

En2
01. Blood Red Snow White」

(文・長澤智典/写真・折田琢矢)


【ライブ情報】
●新譜『Euphoria』リリース記念ライブ「Arise to Euphoria」@新宿ReNY
※配信チケット販売中:11月29日(月)21:00まで
※アーカイブ視聴11月29日(月)23:59まで

●HAKUEI BIRTHDAY LIVE「SUPER HEART CORE’21」
12月16日(木)TSUTAYA O-EAST
開場17:15 / 開演18:00
全席指定
オフィシャル先行:11月25日(木)23:59まで
一般発売(先着):12月4日(土)10:00~

PENICILLIN オフィシャルサイト