2021.02.14
PENICILLIN@新宿ReNY
「PENICILLIN LIVE2021 HAPPY BIRTHDAY & VALENTINE’S DAY LIVE SPECIAL」

PENICILLINが、2月13日(土)に結成29周年アニバーサリー「Meet the World」、そして14日(日)に「HAPPY BIRTHDAY & VALENTINE’S DAY LIVE SPECIAL」という2タイトルで2日間、新宿ReNYを舞台にLIVEを開催した。ここでは、2月14日(日)に行なった「PENICILLIN LIVE2021 HAPPY BIRTHDAY & VALENTINE’S DAY LIVE SPECIAL」公演の模様をお届けしたい。

この日は、椅子席を用意してのライブ。だが、SEが流れだしたとたんに全員が立ち上がり、メンバーたちを熱い拍手で迎え入れた。これも、今やお馴染みの光景だ。

観客たちと熱い音の抱擁を交わそうと、O-JIROのドラムの連打へ呼応するようにHAKUEIが「Sex,Sex,Sex」と叫ぶ。千聖の暴れ狂うパンキッシュかつロックンロールなギターサウンドに乗せ、「Sex」か飛びだした。狙った獲物を確実に仕留めそのまま喰らい尽くす勢いでHAKUEIが声を荒らげ、煽りたてる。何時にも増して荒々しい演奏だ。

O-JIROのドラムがテンポ良いビートを刻むのに合わせ、千聖のギターも一緒に荒ぶる音を重ねながら走り出す。〈愛し過ぎて…届かなくて… 突然の激情の雨 何故か哀しくなって 君の名前叫ぶよ〉と歌うHAKUEIの歌声に乗せ、PENICILLINは「Rosetta」をぶち込む。艶(なまめ)かしさと胸を熱く揺さぶる美メロに気持ちが火照れば、疾走し続ける演奏に導かれ身体が燃えるような熱を求めだす。

演奏は、さらに勢いを加速するように「WARP」へ。気持ちを一気に広い空間へ解き放ち一緒に溶けあえる、心地好いその感覚が堪らない。誰もが溜め込んでいた想いをすべて解き放ち、魂の羽を伸ばしながらじゃれあっていた。晴れた気持ちへ導く楽曲に触れるたび、心の枷が取れ自由になれる。両手を翼変わりに伸ばし、自由に羽ばたける。

「2月14日で、ちょうどPENICILLINが29歳になりました。20代最後ですね。20代から30代になる葛藤わかりますか!? 来年で30周年になります。PENICILLINを組んでからの人生のほうが長くなるなんて予想もしていなかったこと。長く続けることを目標にバンドを組んだわけじゃなかったけど、好き勝手にやってお客さんと盛り上がることをテーマに積み重ねていったら29周年を迎えていました」(HAKUEI)

次のブロックは、「DEAD or ALIVE」からスタート。マイナー調のハード&ロックンロールナンバーを突きつけ、PENICILLINは観客たちに黒い衝撃を与えてゆく。高陽した気持ちをぶつけたサビ歌では、フロア中から数多くの手の花が舞台に向け伸びていた。

シャキシャキッとした千聖のカッティングビートに乗せPENICILLINが届けたのが、軽快でアップビートな「marionnette」。演奏は心地好く疾走してゆくが、HAKUEIの歌がとにかく艶かしい。セクシーなあの歌い方はハートをキュッと締めつける。テンポ良い演奏に気持ちは騒ぎながらも、心はずっとHAKUEIの歌声に魅せられていた。

闇の世界へ落ちてゆくように重厚な音がフロア中を覆い尽くす。PENICILLINが届けたのが「バラ」。ワイルドな演奏を通し、観客たちを妖しい暗黒な舞台の中へ彼らは引き込んでゆく。美しさの中には魔性の魅力が潜んでいることを示すように、彼らは刺々しい演奏を突きつけ、観客たちの心をジワジワと攻めていった。

変拍子の利いたビートを叩き出すO-JIRO。流れ出したのが、「月千古輝」。とても妖しく幻想的な雰囲気を醸しだす楽曲だ。その曲に触れている間中ずっと、幻惑する魔境に迷い込み彷徨い続ける感覚を覚えていた。フロア中の人たちも彼らの演奏に魅了されるまま、ゆっくりと身体を揺らしながら音に身を寄せていた。

彷徨う異境の地から抜け出し、ふたたび光へ向かって歩み出すように、PENICILLINは「WILL」を演奏。こちらも、艶かしさを抱いた感情的な楽曲だ。抑揚し、揺れ動く気持ちのままに歌声を響かせるHAKUEI。千聖のギターを筆頭に、演奏陣はダークに攻めた演奏を突きつける。千聖のギターが気持ちを強く煽るリフを刻むと同時に、O-JIROがタイトなビート叩きだす。HAKUEIの声を合図に、楽曲は「JUMP」へ。思いきり感情を解き放てる開放的な曲に触発され、フロア中の人たちも手を高く掲げ騒ぎだす。晴れた気分のまま、その場で飛び跳ね続けたい。いいよね、感情を無邪気に開放し、楽しいに心を染め上げる楽曲って。

「今日は、みんなに会えて嬉しいです。改めてこういうときに気付かされました、PENICILLINは逆境に強いバンドであると。事務所が独立したときにはまわりも冷たくて、リリースも出来なくて。でもライブは出来るので、途切れさせずにライブをやり続けていた中で感じたのが、ファンのみんながいれば俺たちの音楽は出来るんだ。こうやって活動が出来るんだということ。それを昨年の経験で思い出していました。きっと今を乗り越えたとき、出来れば30周年を迎えるときには、お互いにパワーアップした姿で楽しみあいたいです」(HAKUEI)

HAKUEIの言葉を受け、ライブも終盤戦へ。飛びだしたのが、超ハードエッジでパンキッシュなPENICILLINの最新ナンバー「Just a kiss on your3rd eye」。今回の2日間の公演の中、唯一2日続けて演奏した楽曲だ。それだけ、今のPENICILLINにとってこの曲が、ライブに熱狂を作りあげるうえで大きな鍵を握る楽曲という認識を持っている現れ。HAKUEIはモニターに足を乗せ、身体を前のめりに歌っていた。それだけ彼の中に、いや、メンバー全員の意識が戦闘モードに入ってたということだ。

会場中に生まれた熱気へさらに熱を加えるように、PENICILLINは「スペードKING」を突きつけた。胸をつかむキャッチーさを持ちながら。でも、気持ちを心地好くアップライズしてゆく極上のハード&ロックンロールな楽曲だ。フロア中の人たちが次々と手の花を咲かせ、華やかなパーティ空間の中ではしゃいでいた。何時か余計な意識も消え去り、PENICILLINが示したパーティーロックに触れながら楽しく騒ぎ祭っていた。

O-JIROの激しいドラムロールから、楽曲は「For Beautiful Mad Human Life」へ。本編最後もPENICILLINは、極上のハード&ロックンロールな世界へ観客たちを連れだした。HAKUEIと千聖による歌と叫びの掛け合いも刺激的だ。スリリングながらもロックンロールの衝動を詰め込んだ演奏に触発され、騒がずにいれない。フロア中の人たちが身体を折り畳み、熱した演奏に身も心も捧げながら、みずからを思う存分開放していった。

アンコールは、PENICILLINの29歳の誕生日をみんなで祝うパースデーコーナーから。アンコールでも激しく攻めるように、PENICILLINはスーパーハードコアナンバーの「XXX」を突きつけた。凄まじい速さの演奏が身体中を刺激してゆく。HAKUEIの歌声も、かなり野生味を帯びている。攻めに徹した彼らの姿勢に触発された観客たちは、大きく手を振り上げ、激しく想いをぶつけていた。

勢いをさらに増幅するように、PENICILLINは結成して初めてのオリジナル曲、超絶パンキッシュナンバー「Imitation Queen」を突きつけ、フロア中に騒ぎ狂う熱狂の様を描きだしていった。熱く高ぶった感情と感情とをぶつけあう光景が、そこには広がっていた。声を出せない、互いに距離感を保ったうえでという条件はありながらも、そこには変わらぬ熱狂が生まれていた。もっともっと満たされたいと熱狂を求める観客たちの想いへ応えようと、最後にPENICILLINは熱く攻める「FLY」を突きつけ、フロア中を、激しく乱れ騒ぐ人たちが織りなす凄まじい風景に染め上げていった。

止まない手拍子を受け、メンバーたちが舞台へ。「心の中で一緒にこの歌を歌ってくれたら嬉しいです」の言葉に続き、最後の最後にPENICILLINは「天使よ目覚めて」を演奏。〈天使よ目覚めて〉とサビ歌が始まったとたん、フロア中で無数の手の花が大きく揺れていた。誰もが声にならない声で、HAKUEIと一緒に歌を掛け合っていた。誰もが愛しい想いを、温かい気持ちをメンバーたちに捧げていた。想いと想いを交わしあうこの姿を見るたびに心がほっこり温かくなる。何時までもこの関係を築き続けていきたい。最後の最後に、とても優しい気持ちに包まれたことも嬉しかった。

今後のPENICILLINだが、昨年行なうはずが、コロナ禍によって中止になった「新しい宿」を、ついに5月に再開する。日程は5月16日に新宿ロフト、5月21日に新宿BLAZE、5月22日に新宿ReNY。こちらも見逃せない。さらに、WOWOWで放送中「ヴィジュアル系主義」関連で、PENICILLINが3月から3ヵ月連続でテレビ放送と配信番組の両方で特集になる。詳しくは、Webをチェックしてください。

◆セットリスト◆
01. Sex
02. Rosetta
03. WARP
04. DEAD or ALIVE」
05. marionnette
06. バラ
07. 月千古輝
08. WILL
09. JUMP
10. Just a kiss on your3rd eye
11. スペードKING
12. For Beautiful Mad Human Life

En1
01. XXX
02. Imitation Queen
03. FLY

En2
01. 天使よ目覚めて

(文・長澤智典/写真・コザイリサ)


【番組情報】
●PENICILLIN×WOWOW「ヴィジュアル系主義」スペシャル
・ヴィジュアル系主義 –Member’s ver.-:メンバーごとの配信限定版
配信:3月17日~  3週連続オンデマンド配信
・ヴィジュアル系主義 PENICILLIN:60分の放送版
放送:4月予定
・PENICILLIN 結成29周年アニバーサリーライブ「Meet the World」2月13日収録
放送:5月予定
・PENICILLIN Music Video Collection
放送:5月放送
https://www.wowow.co.jp/visual/

【ライブ情報】
●「新しい宿」
(延期していた「新しい宿」の日程が決定)
5月16日(日)新宿LOFT
5月21日(金)新宿BLAZE
5月22日(土)新宿ReNY
※詳細は後日発表

PENICILLIN オフィシャルサイト
https://www.penicillin.jp/
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