2001年1月1日デビューシングル『夢つれづれ』のリリースからちょうど20年目を迎える2021年1月1日、DASEINは最新シングル『泡沫なる夢幻』を配信リリースした。都啓一(Rayflower、SOPHIA)プロデュースによる「泡沫なる夢幻」は、オリエンタルな要素を巧みに取り入れた、今の時代に即したELECTRO/TRANCE+HYPER BEAT ROCKなスタイル。歌詞には、DASEINの20年間の歩みを詰め込んだ。同楽曲の魅力を中心に、2021年のDASEINの展開について話を伺った。
◆たとえ無観客の配信だとしても予定通り2DAYSでやってみよう!という決断に至りました
――昨年末は、2DAYS配信ライブを行ない、2020年を締めくくりました。無観客での配信ライブとはいえ、例年同様にライブを行なえたのはやはり嬉しいことでした?
Ricky:そうですね。毎年年末は大晦日にカウントアップ(新年の最初の1秒まで数える)と題して年越しライブをやってきましたので、昨年も当然箱は早くから押さえていて、しかも昨年に限っては結成20周年というのもあり12月30、31日の2DAYSでやってみようと息巻いておりました。それがまさかこんな状況になるとは思いも寄らず、最終的な開催の有無をJOEと話し合った結果、せっかく箱も押さえてるし、たとえ無観客の配信だとしても予定通り2DAYSでやってみよう!という決断に至りました。ただ、残念ながら31日は配信での年越しはリスクが高いという理由で年内で終了するライブに切り替えました。30日は、DASEIN史上初の試みとして、「今ライブで聴きたいDASEIN曲」という名目でファンからリクエストを募り、その統計をもとにランキング形式でSETLISTを組み立てて臨みました。普段とは違った流れのSET LISTがとても新鮮で興味深かったし楽しかったですね!
JOE:ホント、そうだったね。昨年は予定していたライブやツアーがいくつも飛んでしまい、DASEINとしてライブを行なったのは8月と11月の2本のみ。これで終わってしまったら本当に悲しい結果になっていたから、こうやって年末に2日間ライブをやれたのは本当に嬉しかった。それでも、Rickyと2人でDASEINを動かすようになってから、1年にDASEINのライブを4本しかやってないのはおそらく初めての経験。僕らにとってライブは、活動していくうえで一番のホームグラウンド。コロナ禍という事情があるとはいえ、こういう経験はもうしたくない。ただ、30日にやったリクエストライブは、結果的に「とても素晴らしいアイデアだったな」と思ってます。久し振りにライブで披露する曲もあったので、僕らも演奏しながら初心に戻れた気持ちだったし、いい形で楽曲を進化させることも出来たと思うので、あれは本当にやれて良かった企画だったなと改めて感じています。
◆この歌詞を書いたのがコロナ禍だったのもあり、この世の儚さとか人類や文明の脆さみたいなものをより痛感させられていた
――1月1日には、新曲の「泡沫なる夢幻」が配信リリースになりました。
Ricky:この「泡沫なる夢幻」は、歌詞をしっかり読んで聴いてもらいたい曲ですね。もちろんサウンドやメロディーだけで聴いてもらってもDASEINらしさは感じてもらえると思うんですが、そこに歌詞に込めた想いだったり言葉の響きがプラスされて初めて意味を成す楽曲かなと自分では思っています。
――20年前のデビュー日に、デビュー20周年を祝う曲として、DASEINの20年間の想いを綴った歌を出す。そこがいいですよね。
Ricky:20周年のデビュー日になんとしても音源をリリースしたかったんです。ただ、この「泡沫なる夢幻」がその曲に選ばれたのは偶然であり必然でもあった気がします。前作の「待宵影」は最初からシングル候補として制作しましたが、この「泡沫なる夢幻」に関しては、20周年記念アルバムの一曲的な感覚でした。それが、アレンジが完成し歌詞を綴っていく中で、あれ、もしかしたらこれって今出したほうが良い曲かも!と思い始めたんです。今回の歌詞は「泡沫夢幻(ほうまつむげん)」=人生は泡沫のように儚いという意味の四文字熟語をモチーフに物語を広げていきました。2000年に僕はJOEと出会い、共にDASEINを築き、メンバーやスタッフ、そしてザイナー(ファンの呼称)という仲間に巡り会えた。そんな夢のような時間を振り返りつつ、今もまだその夢の中に生き永らえていることの喜びと素晴らしさを歌っています。この歌詞を書いたのがコロナ禍だったのもあり、この世の儚さとか人類や文明の脆さみたいなものをより痛感させられていたので、良くも悪くもこの「泡沫なる夢幻」という曲タイトルがしっくりきたんだと思います。
JOE:そうだね。
Ricky:さらには、デビュー当時から古語や百人一首など、日本語独特の美しさを歌詞に多用してきたのもHYPER BEAT ROCKの特徴だと思っていて、今回の歌詞の中にも「花曇り」や「星月夜」などの風情ある日本語を鏤めています。そういった言葉の意味なんかを調べながら聴いてみるのも面白いかもしれませんね。
JOE:「泡沫なる夢幻」のデモ段階での最後の歌詞が、1番の終わりと同じ〈目覚めても 覚めない 今が在れば〉でした。一度はそれでレコーディングしたのですが、Rickyがどうしても替えたい一文があるというので、都さんにお願いして再レコーディングさせてもらったんです。それが最後の〈愛しても 止まない 君が在れば〉でした。
Ricky:本当に歌い直しは恐縮だったのですが、どうしても自分の中で〈君が在れば〉という言葉にしたくなったんですよね(汗)。
JOE:その歌詞を読んだときに、プロデューサーの都啓一さんと一緒に「これは、いい!!」と絶賛しましたからね。同時に、その言葉にはいろいろと考えさせられたというか。今もコロナ禍で命を落とす人たちが世界中にたくさんいる中、俺たちはこうやってライブや音源を通して音楽を届けられる環境がある。それって、どれだけ恵まれた環境なんだと思って。だからこそ、Rickyの書いた〈君が在れば〉の”君”という言葉に、いろんな人への想いを重ねてしまうんですよ。それは、相方やメンバー、ファンたちはもちろん、いろんな人や事柄を重ねられる。マジに、このひと言がすべてを包括しているし、ここにすべての想いが詰め込まれている。だからこそ、都さんと一緒に「これ、すげぇ言葉だよね」と感心していたんです。
Ricky:そこまで褒められると照れるけど、〈君が居(い)れば〉ではなく〈君が在(あ)れば〉がいいなと。そして今回初めて都さんにアレンジして頂いたのですが、とても柔らかくて温かみのある音選びで、なおかつちゃんとDASEINらしさもあってとても気に入っています。都さんとは、もともとJOEが繋がっていたんだよね。
JOE:そう。僕が一緒にバンドをやっているベースのMASAKIさんのソロライブへ参加したときに、そこで都さんとご一緒させていただいて。いろんな話をしていく中、都さんならDASEINが求めている音楽性にも精通しているし、新しい刺激をくれるなと思って。実際に上がってきたアレンジを聴いて、やはり俺の目に狂いはなかったと思いました。
Ricky:いつも狂っとるやろ~!って叫んでるのにね(笑)。
JOE:うまいな~お前(笑)。ギターは、RayflowerのYUKIくんが弾いているんですけど。彼のギターもジワリと上がってゆくいい味を出してるんですよ。前作の「待宵影」がエッジ利いた感じなら、また違ったテイストで「泡沫なる夢幻」では攻めてくれましたね。
Ricky:DASEINのアレンジに関しては、比較的シンセの音にエッジを効かせてインパクト強めな方向で依頼することが多いんです。ただ、今回は初めてという事もあり、過去の楽曲を数曲渡してあとはお任せします!みたいな形でお願いしたんですよね。あまり具体的に音の方向性を伝えないほうが都さんの描くDASEINがより色濃く反映されるのではないかという期待もあったので。結果的には、とても聴きやすく20年のキャリアを感じさせてくれる上質なHYPER BEAT ROCKに仕上げてくれました。
◆今年はデビュー20周年だからこそ、積極的に動きたいですね。いや、動きますよ。
――DASEINは、3月14日にJOEさんの生誕祭を。4月4日には新たな単独公演を両方とも渋谷REXで開催します。
Ricky:その頃までには、いくつか新曲も仕上げたいなと思ってて。2021年はデビュー20周年のメモリアルな年なので、なんとしてでもアルバムを完成させたという気持ちはありますが、まずは1曲ずつ着実に制作していってその積み重ねがアルバムになればいいなと。いつのタイミングでリリースできるかはまだ明言できませんが、必ずや年内中には完成させたいと…自分に言い聞かせています(笑)。
JOE:節目の年だからこそ、そこはしっかりやらないとね。
――3月と4月はお客さんを入れる形になるのでしょうか。
Ricky:最近では有観客ライブをやっているバンドさんも結構いるみたいですが、僕らは僕らで状況を見極めつつ判断していくつもりです。周りがやってるからやるというのも違うし、国からやるな!と言われたからやらないというのもどこか違う気がしていて。個人的には、感染予防やお客様の移動、感染状況やバンドの存続など、あらゆる面を鑑みながら最終的には僕とJOEで覚悟を持って決断をしたいと常に考えています。それはファンの皆さんも同じで、自分の置かれている状況や環境をしっかり考慮しながらこのライブならいけるかも!とか、今はやめておこうなど、最後は自分で判断して行動するしかないと思います。
JOE:今年のライブ開催の時期に世の中がどうなっているか…には当然左右されてしまうけど、現段階として、今年こそは有観客でやりたいという希望は強く持ってます。とはいえ、有観客でやるにしても人数制限は確実にあると思うので、そこは抽選だったり一部二部に分けたりと工夫していかないといけないだろうし、会場に来られない方にも観てもらいたいので、引き続き配信も継続していきたいですね。
――そんな今年のDASEINですが…。
JOE:今年はデビュー20周年だからこそ、積極的に動きたいですね。いや、動きますよ。昨年はライブ本数がとても少なかったので、今年はDASEINの活動のホームグラウンドであるライブでしっかりと存在を証明していきたいなと思っているので。
Ricky:デビュー20周年というのももちろんありますが、こんな不安定な状況下だからこそ、できる限り新しいDASEINの音源やライブを届けていきたいし、その姿勢を示すことで、ザイナーの皆さんが安心してくれたり自分も頑張ろうと思ってくれたら嬉しいです。それを見て僕らもまた生きる気力が湧くし頑張るモチベーションになりますので。そして今年はなんとか会える機会を作りたいですね。
JOE:無観客ライブ配信を続けてきたことで、お客さんたちのありがたみというか、どれだけみんなに力をもらっていたのかを痛感したか…。たとえ動員環境が厳しくても構わない、少しずつ環境を整えながら一緒にライブを楽しめるようにしていけたらなと心の底から思っています。僕も、Rickyと同じように「今年は必ず会いましょう!!」という気持ちです。
(文・長澤智典)
【リリース情報】
●New Single『泡沫なる夢幻』
2021年1月1日(金)配信
SOCO-0008
https://linkco.re/tqs4E8xg
作詞:DASEIN
作曲:DASEIN
編曲:都啓一(Rayflower、SOPHIA)
Gt Rec:YUKI(Rayflower、DUSTAR-3)
ジャケットデザイン:ZERO(THE MICRO HEAD 4N’S)
2001年1月1日、デビューシングル「夢つれづれ」のリリースからちょうど20年目を迎える2021年1月1日にリリースされる記念すべき今作は、【泡沫夢幻(ほうまつむげん)】という日本語特有の文化でもある四字熟語をモチーフに、DASEINとしての20年間の軌跡を描いた作品となっている。人生とは泡沫の夢のようであるが、そんな幻の如きリアルな世界でJOEとRickyは出会い、DASEINが生まれ、ザイナー(ファンの呼称)と出会い、解散の時を超え、またこうして同じ夢を見ながら音楽を奏でていられる事への喜びと感謝が綴られた歌詞が印象的。
そんな歌詞の儚さとDASEIN王道の哀愁を帯びた歌謡メロディー、JOEのアグレッシブかつ繊細なドラム、ハートウォームゆえにどこかノスタルジックなRickyのハイトーンヴォイスが、デビュー当初の古き良きを感じさせながらも、今回初めてDASEINの楽曲アレンジを手掛けた都啓一氏(Rayflower、SOPHIA)のサウンドメイクにより、さらに深みを増した古き良き新しきHYPER BEAT ROCKに仕上がっている。
【ライブ情報】
●JOE Birthday Live
3月14日(日)SHIBUYA REX
●DASEIN Oneman Live
4月4日(日)SHIBUYA REX
DASEIN オフィシャルサイト
http://dasein-official.com
DASEIN twitter
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Ricky オフィシャルサイト
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