2018.12.16
PENICILLIN@TSUTAYA O-EAST
「PENICILLIN TOUR 2018 メガロマニアの翼<FINAL> & HAKUEI BIRTHDAY LIVE SUPER HEART CORE’18」

各地で今季一番の冷え込みを記録した12月16日、TSUTAYA O-EASTにてPENICILLINの全国ツアーがファイナルを迎えた。この日はタイトルにもある通り、11月7日にリリースしたニューミニアルバム『メガロマニアの翼』を引っさげたツアーの最終夜かつHAKUEI(Vo)のバースデーライブ、さらに言えば、2018年最後のPENICILLINのステージでもある。そんな特別な夜を共にしようと、多くのオーディエンスが集結した。

ミニアルバムの収録順と同様に、濃厚なサウンドが絡み合う「鬼百合」が舞台の序章を描き、続くリード曲「Lucifer ~光をもたらす者~」でよりドラマティックな展開を見せ、幕を開けたこの日。HAKUEIから「『メガロマニアの翼』はミニアルバムだったので、このツアーのセットリストにはいろんな時代の曲が入っています」とあった通り、最新作の楽曲たちを中心に据えながら、「make love」(98年5月)、「白髏の舞」(2003年11月)、「earth born」(2008年11月)といった、久々の披露となる楽曲が並んだことも、この日ならではの光景を見せてくれる一因となった。

本編終盤では「HELL BOUND」を皮切りに「神風 ~North Field the World~」「快感∞フィクション」とハードナンバーを連投した後、「一緒に歌って」というHAKUEIの言葉から、代表曲「ロマンス」をオーディエンスと共に大合唱した。

『メガロマニアの翼』というミニアルバムは、切なさやノスタルジアが漂うコンセプチュアルな作品となったが、その作品を手に行ってきたこのライブが作品と同様のムードを感じるのは当然、ではなく、そう感じさせる理由が他にもあることに気付いた。ライブが進むに連れて改めて感じたのは、PENICILLINの26年間の歴史を彩ってきた様々な楽曲たちは、その当時の技術、表現方法に違いはあれど、いつもどこかに哀愁、妖艶、影といったものが潜んでいる。つまり『メガロマニアの翼』は、彼らが元来持っている性質を具現化した最新形体とも言える。だからこそ、このようなステージを創り上げることができるのだろう。

また、PENICILLIN初のフルアルバム『Missing Link』(1994年12月)に収録された「螺旋階段」は彼らにとって大切な楽曲の一つであり、これまでに数々の重要なステージで披露されてきたバラードナンバー。その前日譚に当たる、HAKUEIがメンバーと出会う前のことを綴ったという『メガロマニアの翼』収録の「バイバイ」が本編で披露され、アンコールではアコースティックver.で「螺旋階段」が奏でられたことも感慨深い。

さらに、例年HAKUEIのバースデーライブに手紙とプレゼントという形で参加してきたオリジナルメンバーのGISHO(B)が、今年はなんと本人登場というサプライズでHAKUEIを祝福。自らを「元祖PENICILLINです!」とパワーワードを口にしたかと思えば、相変わらずキレのあるトークを繰り広げ、HAKUEI、O-JIRO(Dr)は「なんか懐かしいな、この感じ(笑)」、千聖(G)は「お前が来ると俺の調子が狂う(笑)!」、そしてサポートメンバーのCHIYU(B)からは「千聖さんの扱い方、勉強になるわー(笑)」といった発言が飛び交い、終始笑いに包まれる時間となった。

HAKUEIは48歳の誕生日を迎えたことに対し、「誕生日当日にこういう景色が見られて、ミュージシャンとして幸せです。人生は長いです。まだまだ僕らには時間があるので、もっともっと上げて行きましょう」と告げると、「子供の頃、銀河鉄道999みたいなものがいつかできて、世界を旅できるのかなと思っていたけど、現実を知ってガッカリして。それと同時に、いつか死ぬんだなということを考えたりしました。自分的にはまだ夢の途中だと思っている。999には乗れないけど、一歩一歩進んでいけば、999の車窓の景色よりも今見ている景色のほうが素晴らしいものになるんじゃないかと、そんな思いを込めて」と、「銀河鉄道を諦めたあの頃の僕へ」を披露し、温かな空気が場内を満たしたのだった。

「激しく締めましょう」(HAKUEI)という言葉を口火に、千聖がギターソロを轟かせ「Desire」に突入すると、ベースを手にしたGISHOがステージへ。彼がこのような形でステージに立つのは、2013年2月の20周年ファイナル(21周年)記念公演以来。フロアからは大歓声が上がった。真っ赤に染まったステージを縦横無尽に動き回るGISHO、さらにセンターにHAKUEI、千聖、GISHO、CHIYUが並んだ光景は、言葉にできないほどの特別な瞬間だった。続く「Chaos」がエンディングに至るまで、ステージ、フロア共にこの日一番の白熱ぶりを見せたことは言うまでもない。そして、この記念すべきプレミアムな一夜は、千聖の「来年もよろしくお願いします! HAKUEIくん、誕生日おめでとう!」という言葉をもって幕となった。

PENICILLINは来年2月に恒例の周年ライブ「27th ANNIVERSARY HAPPY BIRTHDAY & VALENTINE’S DAY LIVE SPECIAL」全4公演が既に決定していたが、この日新たに、4~5月の関東サーキット開催が発表された。またいつの日か、“元祖PENICILLIN”が観られることを祈りつつ、終わりなき旅を歩み続けるPENICILLINが次に描き出す新たな景色を楽しみに待ちたい。

◆セットリスト◆
01. 鬼百合
02. Lucifer ~光をもたらす者~
03. WARP
04. Dead Coaster
05. make love
06. 道化師の溜め息
07. WARNING
08. 白髏の舞
09. バイバイ
10. earth born
11. 花園キネマ
12. WILL
13. HELL BOUND
14. 神風 ~North Field the World~
15. 快感∞フィクション
16. ロマンス

En1
17. 螺旋階段(Acoustic Ver.)
18. 銀河鉄道を諦めたあの頃の僕へ
19. ウルトライダー
En2
20. Desire
21. Chaos

(文・金多賀歩美)


【ライブ情報】
●27th ANNIVERSARY HAPPY BIRTHDAY & VALENTINE’S DAY LIVE SPECIAL
2019年
2月9日(土)新宿ReNY
OPEN 17:15/START 18:00
INFO. サイレン・エンタープライズ TEL.03-3447-8822

2月10日(日)新宿ReNY
OPEN 16:15/START 17:00
INFO. サイレン・エンタープライズ TEL.03-3447-8822

2月16日(土)梅田Shangri-La
OPEN 17:30/START 18:00
INFO. 夢番地 大阪 TEL.06-6341-3525

2月17日(日)梅田Shangri-La
OPEN 16:30/START 17:00
INFO. 夢番地 大阪 TEL.06-6341-3525

<チケット>
各公演 All Standing ¥6,500(税込/D別)
※6歳以上チケット必要
一般発売中

<プレイガイド>
・チケットぴあ http://t.pia.jp
・ローソンチケット http://l-tike.com
・e+ http://eplus.jp

●TOUR 2019 関東サーキット
4月27日(土)柏PALOOZA 17:30/18:00
5月4日(土)HEAVEN’S ROCK熊谷VJ-1 17:30/18:00
5月6日(月・祝)新横浜NEW SIDE BEACH!! 17:30/18:00
5月19日(日)渋谷ストリームホール 17:15/18:00

<チケット>
オールスタンディング¥6,500(税込/D別)
※6歳以上チケット必要
一般発売日:2019年3月2日(土)

<公演に関するお問い合わせ>
サイレン・エンタープライズ 03-3447-8822(平日12時~18時)

PENICILLIN オフィシャルサイト http://www.penicillin.jp/