特集-Special Feature-

清春

清春

約3年ぶりの新作発表&全国ツアーを控える清春。
47歳を迎えた今思う自身の人生、ミュージシャンとしての役割とは。

デビュー20周年アニバーサリーを2014年7月~2015年3月、51公演に渡る黒夢“最後のロングツアー”で駆け抜け、その後sadsとしてのフェス出演やショートサーキットを展開、さらに並行して2月~11月にはプラグレス形式でのステージ全66公演を完遂した清春。そんな彼が、ソロアーティストとしては実に約3年ぶりとなる待望の新作を発表する。様々なタイミングで生み出された楽曲たちの背景には、清春とファンが育んだ鮮やかな思い出が詰まっている。完成を前にして行ったインタビューにおいて清春の口から語られたのは、ミュージシャンとしての役割を果たそうとする真摯な姿勢と、ファンへの愛だった。

◆ずっと待っていてくれていたファンに向けて作る感覚

――Mt.RAINIER HALLでの「MONTHLY PLUGLESS 2015 『MARDI GRAS』」33日間66公演がついに終わります(取材日は11月25日)が、「MONTHLY PLUGLESS」というスタイルは2012年から始まりました。

清春:なかなかやってますねぇ。上手くならなきゃおかしいな(笑)。

――究極はほぼ毎日ライブをすることが理想という清春さんのライフワークのようなものになっていますが、この「MONTHLY PLUGLESS」が清春さん自身にもたらした影響とは?

清春:歌が上手くなったというのが、ポイント高いですよね。普通のライブだけやっていたら、こうはならなかっただろうなと。昔もたまにアコースティックをやっていたこともあったんだけど、技術的な向上とか今みたいにずっとやるというのは想像できていなかったです。

――以前「MONTHLY PLUGLESS」の終演後にお会いした際、清春さんがセットリストに関して「どれでも自信があるっていう意味で、曲なんてどれでもよくて」と言っていたのが印象に残っていて。

清春:プラグレスだとアウトロを延ばしたりして、大体フリータイムなのでフェイクを加えていくという感じで、そういう楽しさが1/3くらいを占めていて、あと1/3はムードと歌の感じ、あとの1/3が曲のセレクトなんでしょうね。フェイクも全アドリブなので、それが楽しいと思っていた時期も長かったし、アドリブも普通にできてきちゃって、もうつまんなくなっちゃったなという時期もあったり。ちゃんとオリジナル通りやるという時期もあったしね。色々と山や谷がありましたよ(笑)。

――そうだったんですね。

清春:サーカス小屋みたいなものですね。毎日違うことをやっているように見えるんだけど、曲がどれでもいいっていうのは、与えられる印象というのは大体同じことなのかも。ファンの人によっては、曲の好き嫌いというのはあるだろうけど、凄いっていう印象を与えられればいいのかなっていう。

――なるほど。今回新たにレコーディングした音源を8曲聴かせていただきましたが、ヴォーカルがこれまで以上に濃密で生命力のような力強さを感じました。

清春:たぶんその音源はラフミックスでほぼ歌いっぱなしの状態の音なので、完成形はさらに良くなっていますよ。オケはエンジニア、アレンジャーと一緒に聴いて早めにOKを出して、今、オケ上で歌を詰めているんですけど…大変です。

――まだ絶賛作業中ということで。8曲中7曲が既にライブで披露している曲で、表に出る顔(作品)と実際活動していることに差がなくなってきたということを以前言っていましたが、まさにその通りだなと。

清春:良い曲が多いですよね、本当に。

――「海岸線」が音源化されたことに驚きました。この曲は永遠に音源化されないのかなと思っていたので。

清春:今回の楽曲たちの中でちょっと浮いている感じはあるけどね。オケはライブアレンジのままで。

――曲自体は「HORIZON」の頃からあるんですよね。

清春:同じ日に作りましたねー。

――「HORIZON」は2005年3月リリースだったので、もう10年半以上経ちます。なぜこのタイミングで音源化しようと?

清春:ライブでずっとやっていて音源化していない曲を全て収録しようというのもあって。結果的にソロは3年ぶりのリリースになるので、次はいつ出せるんだろうとも思ってますし。

――常に色々な活動があったので、3年ぶりということ自体がもうそんなに経ったの?という感覚はありますね。

清春:ですね。しかしやっぱり10年も経つと後悔がないよね。普通は作ってレコーディングして、その後にライブでやるパターンが多いけど、作ってからライブでずっとやっていたので、もう他のアレンジではないし。

――改めて、この曲ってAメロがAメロっぽくないですね(笑)。

清春:確かにそうかもね。それ面白い意見。

――1サビ終わりから2番にすぐ繋がっているのもまた珍しい形だなと。

清春:そうそう。上手くできているんですよ。

――そして「麗しき日々よ」はやっぱり名曲ですね。

清春:これも何気に3年経ってるんですよね。前回のツアー最終日(2013年3月15日@福岡DRUM LOGOS)のアンコールで初登場したんだ。僕の中ではまだ新しい曲かなという感じだったんだけど、もう結構前なんですよね。「EDEN」は「KINGDOM」の頃に一緒に作ったと思うし、「MELLOW」なんてもっと前だと思う。

――「MELLOW」は2011年の年末公演で初披露しているはずです。

清春:うわっ、そんな前からある!? 「流星」と同じ頃だな、作ったの。

――「流星」は2012年5月リリースで、初披露はおそらく2011年11月のライブかと。

清春:あの頃そういう曲調が僕の中で旬だったんだよね。なるほど、昔の曲ばっかりじゃないですか(笑)。新しいリスナーに向けてというより、なかなか音源にならないのをずっと待っててくれたファンの人たちに向けて作っている感覚よね。「やっとできました」って(笑)。

――(笑)。「MELLOW」は意外とテンポが遅いなと。

清春:ライブは速いよね。「麗しき日々よ」もライブではもっと速いです。

――「麗しき日々よ」はファンの方々との関係性を歌った「涙が溢れる」(2012年8月発売)と同じような方向性ですよね。

清春:そうですね。ライブで歌うと自分もグッときますね。どこまでも着いてきてくれる、よりディープなファンの人達に向けてしか歌ってない。

――最後の〈CRY〉を連呼する清春さんの声が、より一層切なさを増します。

清春:こういうバラード系の曲ではなかなかないですよね。今回、全曲ギターが素敵過ぎて。さすが是永(巧一)さん。大御所ですから、なかなかスケジュールが抑えられないんです。REBECCAの復活でお忙しいので特に。今回はギターは全曲是永さんで、ベースは全曲沖山(優司)さん。

◆バンドをやりつつ冷静にソロのことを考えられる

――未発表曲の「ナザリー」は個性の強い、浸れる大人のロックナンバーですね。

清春:ロックだけど大人、おじさんになってもできるロックみたいな。美しいんだけど、ドンとしながらテンポが遅い。

――これまたギターがかっこいいですね。

清春:かっこいいですねぇ。余裕で弾いていますよね。ドラムは8曲Katsuma(coldrain)で、あとは沼澤(尚)さんや松永(俊弥)さんという大御所の方なんですけど、やっぱり凄いです。天才達の共演というか。

――「ナザリー」は新しさがありながら、歌メロは清春さん節も感じます。

清春:イントロのテーマとAメロがほぼ一緒という僕が今まであえてやらなかった形なので、新しいですね。これは歌詞が気に入っていて。今のうちのTシャツとかバックドロップにlife、death、loveとか書いてあるんですけど、それに基づいている。まぁ、ファンの子にしかわからないことなんですけど。長年やっていると、そういう感じになっちゃいますよね。奇をてらった外に向けてのプロモーションではなく、いかに濃厚か、いかに音楽かっていうことでしかない。長くやるというのはそういうことなんだなという表れです。

――先日のMCで「今回も歌詞は自信があります!」と言っていましたが。

清春:すごく良い歌詞ですよ。ラブソングって、そんなの歌わずに直接言えばいいじゃんって今までは思っていたんですけど、こういう気持ちってあるよねっていう、人生を含めた究極の形。今の年齢だからこそ歌うと切実な感じになるのかな。10代20代の女性シンガーが歌ってもしょうがないですよ。

――今の清春さんが歌うことに意味がある。

清春:どの曲も楽器全般そうで、キャリアを重ねているということだけじゃなく、折り返し地点を超えている人達がプレイしているものや仕事っていうのは、やっぱり重いですよね。最期を見ているので。こないだMORRIEさんも言ってたな。

――今回、ライブで披露しながら一番歌詞が変化したものはどれでしょうか?

清春:「EDEN」かな。基本デモの段階と母音は絶対変えずに、その中でいかにハマるかという。ソロアルバムもミニアルバムを入れると9枚目、除くと7枚目なんですよ。なので、もうソロの1stや2ndの頃とは全く違う。あの頃はバンドを経てどういうソロの音楽にしていけばいいのかというのがあったんだけど、ここまで来ると、冷静にソロのことを考えられる。すごくシンプルですよね。楽曲を作ってプレイして、良い曲は残っていって、それがレコーディングされて。

――清春さんの楽曲でジャジーなアレンジというのは今までもありましたが、「EDEN」はその最たるものですね。

清春:ギターが見事ですね。僕が到着する前にほぼ終わってました(笑)。バンドマンの子もこれを読んでいるかもしれないですけど、一緒にやるんだったら絶対上手い人がいい。自分の歌を上げてくれるので。上手く聞こえるんじゃなくて、結果上手くなれる。

――『UNDER THE SUN』の時は、様々なミュージシャンと一緒にやることが一つのテーマでもありましたよね。

清春:今回はより厳選されて、表に出てやっている人はKatsumaくらいで、あとはトップスタジオミュージシャン。皆さん自分のことを「トップミュージシャン」って言ってるもんね。技術的なトップミュージシャン。はっきり自分で言えるっていうのはすごい。

――かっこいいです。

清春:沖山さんは「日本一ですね」って言うと、「僕は二番目だよ」って言うんですよ。それ自分で二番目って言えるってすごくないですか? でもそれで生きているんだからね。ソロをやるんだったら、絶対にそういう人とやったほうがいい。近いバンドマンの中で上手い人にやってもらうパターンとか多いじゃない? その子たちもミュージシャンなんだろうけど、まだまだバンドマンでしかない。本当のミュージシャンとやったほうがいい。