BULL ZEICHEN 88

BULL ZEICHEN 88

メジャーという新たなシーンへと歩を進めるBULL ZEICHEN 88。“超大型新人”が放つ、メジャー初作品にしてベストアルバム『アルバム2』の魅力をお届け!

2006年の結成以降、圧倒的なテクニックに裏打ちされたへヴィかつキャッチーなメロディーの数々を世に放ち続けてきたBULL ZEICHEN 88。結成12年目となる今年、彼らが新たに選んだのはメジャーシーンへの進出。これに際してリリースするのがベストアルバム『アルバム2』だ。新たな一面を知ることができるリードトラック「とりあえず生」をはじめ、彼らの魅力をこれ以上ないくらい強烈に詰め込んだこの1枚、ぜひとも手に取っていただきたい。Vifではこれまで彼らの魅力を様々な角度から紹介してきたが、今回は初の4人揃っての登場ということで、じっくりと話を聞かせてもらった。

◆『アルバム2』じゃなくて、最早『IKUO2』だね(栄二郎)

BULL ZEICHEN 88

――4人揃ってVifに登場するのは初ということで、メンバー紹介をお願いします。

栄二郎:sebastianは、出会ったときからメンバーの中で一番変わっていない感じがします。

IKUO:とは言え、変わった人もいないかも。そもそも見た目が変わらないですからね(笑)。

淳士:でもsebastianは、ある時一気に痩せて、そこからプロポーションがずっと変わらないんですよ。そういう点ではメンバー内で一番ナルシストだと思います。そして昔はSNSのプロフィールに、「ビールをこよなく愛している」と書いていましたけど、今はそんなに飲まないですね。

――え、「とりあえず生」で始まるアルバムを作ったのに…?

sebastian:!! いやもう、ガンガン飲んでます! もう三日酔いぐらい! もう生しか飲まないもんな俺は! …と言いつつ飲まなくなっちゃったね(笑)。

――(笑)。ではIKUOさんの紹介を。

淳士:IKUO君も変わらないですね。寝ても覚めても音楽ばかり聴いて、音楽ばかりやって、それが最大にして最高に良いところです。自分でも「音楽以外、興味がない」って言っていますからね。

IKUO:音楽とビール以外、興味ないです(笑)。

淳士:「休みの日は何してるの?」って聞いたら、「枕を二つにして首だけ起こして、ずっとテレビに文句言ってる」って言うくらいだからね(笑)。

栄二郎:ヤベーやつじゃん(笑)!

IKUO:でも僕、後輩やミュージシャンと結構飲みに行くんですよ。

淳士:そうそう。しょっちゅう飲みに行っています。どのミュージシャンの飲み会にも必ずIKUO君がいて、バンド界の歩くハローページと言われるくらい顔が広いんですよ(笑)。

IKUO:テレビばかり観ているわけじゃないんですよ。一応外にも出るので社交的です(笑)。

BULL ZEICHEN 88

――では淳士さんは?

IKUO:彼は芯が強いですね。ブレない。

sebastian:あと、このバンドで随一の楽しいこと好きかも。楽しいことを四六時中考えているというか、頭の中には“楽しい”がいっぱい(笑)。

IKUO:楽しむために努力を惜しまないし、そのために働いている感じです。

栄二郎:それに基本何でも豪快です。ドラムのまま。

sebastian:見習う部分が多いよね。

淳士:でも注目されると萎縮しちゃうタイプなんです(笑)。

sebastian:え、意外と繊細なの?

淳士:あと、集合写真を撮ると、僕に目が行くんですよ。だから写真を撮るたびに、「ごめん、俺、強い?」って(笑)。(※実際、この日の撮影でも淳士さんはかなり強かったです)

栄二郎:大丈夫だよ(笑)! あと、振り幅が大きいよね。繊細で細かいときは仕事をバチっとやるけど、豪快なときはバーンといっちゃう。

IKUO:焼き肉では、肉を一枚ずつ焼くんじゃなくて、皿から一気にザーッと入れますからね。

淳士:塩もタレも全部一気に入れます(笑)。

sebastian:焼き肉だって言っているのにバーベキューみたいにやりますからね。ボヤが起きるし、網を変えなきゃいけないから迷惑なんですよ(笑)。

――では栄二郎さんの紹介を。

sebastian 、IKUO、淳士:…普通。

栄二郎:ちょっと! もっと何か言ってよ!

IKUO:うーん、栄二郎は良い意味で一番変わったかもしれないですね。

淳士:彼は周りにあって自分にないものがわかっていて、そこを埋めるために必死になれるタイプです。こういう職業はプライドが高い人が多いと思うんですけど、彼はある程度割り切れるというか。BULL ZEICHEN 88はバンドがスタートした時点でメンバー間のキャリアも違ったので、最初は「当分の間、俺は兄貴たちに付いていく!」みたいなスタンスだったと思うんです。でもそこからの10年、成長が半端なかった。最初はMCもコール&レスポンスも何もできなかったからね(笑)。あと彼は株もやります。株でハーレーを買いました(真顔)。

――え、すごい…!

栄二郎:株は1回だけね! それをずっと言われるんですよ(笑)。

IKUO:あとは昔の変なプライドがなくなったかな。今は実力が伴って、それを理解できた上で自分を持つようになったと言うか。

淳士:最初は本当に時間にルーズで、集合時間に来なかったからね。「ヴォーカルというのは最後に行くもんだ」って言って遅刻が当たり前だったんですよ、アホだから(笑)。そんなことをしていた10年前のある日、あいつはハレー彗星と同じ周期でしか見られないと言われる伝説のIKUOキックを食らったんです(笑)。

全員:(爆笑)

淳士:IKUO君の暴力なんて、一生に1回見られるかどうかの激レアですよ。その日はBULL ZEICHEN 88初の取材で、優等生の僕とIKUO君は30分前には現地にいて、10分前にはセバスも来たんです。なのに栄二郎が来ない。それで僕が、「あいつ、まさか今日は遅刻しないよな?」って言ったらIKUO君が、「あいつはこういう時は来ますよ! そんなことを言っちゃダメだ!」って怒ったんです。それを聞いて「あ、ごめん」って謝って。でも5分前になっても来ないから、「いよいよあいつ来ないんじゃない?」って言ったらIKUO君がさらに怒って、「何でそういうこと言うの! もっとメンバーを信用しろよ!」って。それでまた「あ、ごめん」って言ったんですけど、約束の時間2分過ぎぐらいに栄二郎が「ウーッス」って来た…その瞬間にIKUOキック!

栄二郎

全員:(笑)

淳士:一番信じていたIKUO君を裏切ったわけだからね。そのとき、IKUOキックは食らった栄二郎だけじゃなく、その場にいる全員の心にダメージを与えるんだとわかりました。

sebastian:そうそう。キックを食らっていない俺らの方がダメージを受けちゃって。

――確かにIKUOキックを目の当たりにしたら、心がへし折れそうです。

IKUO:悪いことをしました(笑)。

――ちなみにIKUOキックはハイなんですか? ローなんですか?

淳士:それがどちらでもなく、キャスター付きの椅子に乗ったまま、皆の前をシャーーーッ!!ってものすごい勢いで通り過ぎて行ったんです(笑)。

IKUO:えー、そんなでしたっけ。全然覚えてない…。

淳士:栄二郎はそれ以来、全く遅刻しなくなりましたからね。

栄二郎:周りに迷惑をかけましたから。

sebastian:我々の心が悲しくなっちゃう(笑)。…ってこれ何のインタビューですか(笑)。IKUOキックの話満載じゃないですか!

栄二郎:『アルバム2』じゃなくて、最早『IKUO2』だね。

淳士:むしろ「とりあえずIKUO」だね。

全員:(笑)

◆「ちょっと次、メジャー行かない?」という話から始まった(sebastian)

sebastian

――改めましてメジャーデビューおめでとうございます。

全員:ありがとうございます!

――メジャー初の作品がベストアルバムということで。

栄二郎:デビューアルバムでベストって珍しいよね(笑)。

――これは6年前に出したアルバム『アルバム』に次ぐ作品という位置づけですか?

IKUO:その通りです。その第2弾ですね。

――『アルバム2』を出すと発表したときに、ファンの方々はどういう反応でしたか?

IKUO:作品よりもメジャーに行くことに相当驚いたと思います。

――すごく変な勘繰りなんですけど、シングル『epilogue』が出た時、“結びの言葉”を意味するタイトルだし、まさか…とハラハラしていたんです。

淳士:お、ズバリです! 僕らの術中にハマりましたね。これは長期スパンの作戦だったんですよ。

sebastian:元々、去年の12月にどうしても作品を出さなくてはいけなかったんです。でもその時はライブも東名阪だけで、その先のことは何も決まっていなくて。そんな中で今後の展開を考えたときに、逆にこれを生かして、この話題で仕向けちゃおうと。皆が、「あの人たちライブも決まっていないし、何も呟いていないけど、ヤバいんじゃないの?」みたいなマイナスなイメージを持っているところで発表した作品のタイトルが『epilogue』だったら「え!?」ってなるじゃないですか。

――確かに。メジャーはその段階で決まっていたんですか?

sebastian:アルバムを出すということも全部後付けです。IKUOさんの、「ちょっと次、メジャー行かない?」という話から始まったんですけど、その時点では決まってなかったんですよ。ただ「面白いからメジャーに行ってみない?」って皆で話して。

淳士:メジャーなんて考えたこともなかったよね。

IKUO:10年インディーズでやってきて、11年、12年目の一つの野望や刺激としてメジャーでやるという一つの選択肢はあるわけじゃないですか。むしろ11年目でメジャーデビューするバンドもそんなにいないだろうし、そういうフィールドに1回出たいなということを個人的に思い始めた、その一つの流れですね。「prologue」(『アルバム』収録曲)があったから「epilogue」があるわけですから。

sebastian:そこもノリだったんだよね。最初に『epilogue』のc/wの2曲があって、あと1曲どうしようかという時に、「prologue」みたいなアレンジのやつをやらないかという話が出て。あのMVは面白かったし、アイデア勝負でいきたいと話している中で、「prologue」のアンサーソングが「epilogue」になるといいかもねということになったんです。さらに話をしていくうちに、「ここから展開して上手く12月のツアーラストに持っていけば、皆ビックリするんじゃない!?」ということになって。

淳士:ツアーファイナルの最後にメジャーデビューを発表したんですけど、映像を流して、そこに映画のエンドロールみたいに文字がゆっくり出て来て。しかも神妙な書き方をしているから、お客さんのすすり泣く声が聞こえてきたりして。

IKUO:罪悪感満載でしたけどね。でも、もちろん簡単にデビューができるわけではなくて、いろんなメーカーと話をしたときに、徳間さんが僕たちの熱い思いをすごく聞いてくれて。すごくありがたいことに、やりましょうと言ってくれたので、この計画が成立したんです。

淳士:IKUO君が、三日三晩徳間さんの玄関の前に座り込んでね。最後、徳間の方がIKUO君の肩に手を置いて、「…負けたよ(ニコッ)」って。

全員:(笑)

――そんな熱いドラマが…!

IKUO:ファンの方をやきもきヒヤヒヤさせたのは悪かったなと思いながらも、やっぱり始まりがあれば終わりもあって、次に明るい未来が見えている、という結果を面白いと思ってもらえると嬉しいです。

――喜びは何倍にもなったと思いますよ。

淳士:そうなんですよ。僕はそういう演出が大好きで。とことん悲しいところまで落としてから、ハッピーな発表をしたら100倍ハッピーじゃないですか。

sebastian:それが怖いんですよ。淳士プロデュースはとんでもねぇですからね(笑)。

淳士:お客さん、泣いていたもんね。僕たちはステージの袖でその様子を固唾を飲んで見守っていたんですけど、一緒にテロップを見てウルっとしてました(笑)。その後のオチで、「BULL ZEICHEN 88はここで一つの区切りとさせてもらいます…ということで!」で明るくなって、「メジャーデビューします!」と発表したときの大歓声を聞いたときに、仕掛けておいてなんですけど、グッときて更にウルッとしました。

IKUO:そこまでBULL ZEICHEN 88のことを思ってくれているんだな、という変な再確認をしましたね。元々口コミバンドでやってきて、皆が宣伝してくれてZepp Tokyoでやれたわけですから。ファンありきのバンドでずっとやってきたので、これからも、という感じです。