インタビュー

sukekiyo

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sukekiyoの音源&映像作品集『ADORATIO』。5人の手によって純度を増した音と映像が織りなす新たな世界を紐解く。

自らの音楽をひた向きに探究し続けるsukekiyo。昨年7月に行われたライブ“sukekiyo 二〇一六年公演「裸体と遊具、泥芝居に讃歌の詩」-漆黒の儀-”をきっかけにモードチェンジを果たしたという彼らが今回完成させたのは、崇拝を意味する『ADORATIO』と名付けられた音源&映像作品集。これまでの彼らの音楽にデジタルでリズミックな要素が加わり、かつてないほど純度の高い音と映像が詰め込まれた。sukekiyoの新境地が垣間見えるこの作品について、そしていずれ劣らぬ個性派のメンバーについて、京(Vo)とYUCHI(B)にたっぷりと語ってもらった。

◆僕も常に神様がほしいと思っていますから(京)

京

――今回の作品は「音源&映像作品集」ですが、このカテゴライズがいかにもsukekiyoらしいですね。

京:今後はシングルやアルバムとは言わないで全部そういう名前になると思いますよ。たまに「ミニにしては多いな」とか「アルバムにしては少ないな」と思う作品があるじゃないですか。それもどうなのと思ったし、その縛りにくくられたくないというのもあるんですよね。

――前作『ANIMA』もシングルなのに、ものすごく豪華な内容でした。

YUCHI:確かに曲数が多かったですよね(笑)。

――さて、今回のタイトル『ADORATIO』は「崇拝、崇敬、あこがれ」を意味する言葉ですが、とても人間らしい部分にフォーカスしたんですね。

YUCHI:そうですね。一見、狂気の部分を映し出しているように見えてすごく現実感がある。以前から京さんと作る世界にはそういうリアリティを感じていたんですけど、今回は特にそれを強く感じました。

――制作は京さん曰く「逆子で帝王切開の感じ」ということで、大変だったようですね。

京:あと1曲入るか入らないかという本当にギリギリのところでやっていたんですよ。完成が早い曲もあったんですけど、今回は新しい要素をたくさん入れたから実験する時間も必要だったし、自分の限界を超えようという気持ちもあって。より良いものをと求めるレベルがすごく高くなっていて時間がかかりましたね。

YUCHI:この作品を作る前、去年の7月にこれまで発表した全曲をやるライブ(調布市グリーンホールで行われた“sukekiyo 二〇一六年公演「裸体と遊具、泥芝居に讃歌の詩」-漆黒の儀-”)をやって、ちゃんと気持ちの切り替えができたんです。そのときはこの音源集に具体的なテーマがあったわけではなくて、雰囲気やアルバムのテーマ性は作っていきながらどんどん具体的になっていったんですけど。

京:後半にデジタルな要素をちょっと入れてみたいなというところから急激に変わっていったかな。それまで触っていた曲も、もう一回触り直して。

YUCHI:今回、書き下ろした曲もありますけど、原曲が3年前の曲もあるんです。それを引きずり出していじくり回してということがかなりありましたね。

京:「されど道連れ」とか「首吊り遊具」は古いよね。

YUCHI:あとは「疑似ネクロマンサー」も「マニエリスムな冷たい葬列者」も原曲自体はかなり前からありました。

――とてもインパクトのある曲たちですよね。

YUCHI:そうですよね。当初からインパクトはあったんですけどテイストはちょっと違っていて、こういうデジタルっぽい要素とか、リズミックな部分はあまりなかったんです。なので、より今のsukekiyoのモードで作り直しました。

――今回、中でも「疑似ネクロマンサー」の〈神様がほしい〉という歌詞が人間らしさを端的に表している気がしました。

京:すがるのって楽じゃないですか。信じるものがあったらその人だけ信じていたらいいけど、何もないと自分で全部決めないといけない。僕も常に神様がほしいと思っていますからね。YUCHIも崇拝するベーシストだけ見ていればいいなら楽でしょ?

YUCHI:楽ですね! でもそういう意味では神様はいないんですよね。だから模索するんです。

京:いないので憧れますね。でも宗教的なものでもあったり、恋愛観で「その人を信じていたらいい」という思いだったり、そういう部分でも歌詞は全部繋がってくるんです。それに「崇拝」ってsukekiyoらしいと思うんですよ。ライブも全員真っ黒じゃないとダメとか動くなとか喋るなとか、ちょっと宗教っぽい雰囲気があるじゃないですか。自分たちに一生懸命ついてきてくれている人に崇拝されている、という気持ちはないんですけど、ファンの人たちからそういう風に信じてもらえる存在になったらいいですよね(笑)。

――歌詞はいつも歌いながら決めていくという話でしたが、今回も?

京:そうですね。パッとイメージがわいて、それにメロを付けながら歌詞を書いていきました。負の部分として「みんなそういうものを探している」というイメージを付けたんです。今回は人間の心情をコメディタッチだったり、タランティーノ的だったり、屋根裏から覗いている感じの不気味な恋愛だったり…いろんなパターンで書いています。

――そういうお話を聞くと、京さんは本当に感覚の人なんだなと思います。

京:僕ね、感覚の人過ぎて困るんですよ。いや、僕はいいんですよ? でも周りにいる人に迷惑をかけているだろうなって常に思いながら生きていて。

YUCHI:え、そうなんですか!?

京:うん。僕は常に自己評価が低いんですよ。僕が何かを言ったことによって「あいつめちゃくちゃなことを急に言いよるな」って思われたらどうしよう、とか。常に自分は悪く言われているんじゃないのかと思って生きているんです。思ったことを言わないと自分じゃないと思うから言うんですけど、常に自分を保つためにサイクルしていることが負のオーラとずっと連動していて。自由に生きるってことは周りにそれをカバーする人が出てくるということなんですよね。自分がその人たちの立場だったら、「前もって言っていればいいものを、急に言ったりして!」と思うじゃないですか。だからいつも「すみませんね」という思いを込めながら言っています(笑)。

YUCHI:そうだったんですね…! でも僕は京さんが「僕はコードも知らない。楽器も弾けない」っていう、わからない強みをしっかり出してくれるのはすごく助かるし、むしろ覚えてほしくない気持ちもあるんです。例えば曲作りで実際の作業に換算すると時間がかかって大変な部分も、それを知らない人がシンプルに、「ここ、もうちょっとこうして」と意見を言えるのは強みだと思うんですよ。知ってしまうと気をつかって言えなくなるけど、それがないのが京さんがプロデュースしていく強みかなと思います。「ちょっとこういうやつを入れてみたい」と言われて「それ大変です…でもやります!」みたいな(笑)。その感じはなくしてほしくないんです。どんなに大変かということを度外視したクリエイティブな意見がsukekiyoだと思うので。

京:でも最近Fコードを覚えたよ。押さえられるようになった(笑)。

YUCHI:それは中学生くらいでぶつかる壁ですよ…(笑)。でも僕は、「自分はこう思っている」ということをダイレクトに伝えてもらうために、むしろ知識を持たないことのほうが大事なんじゃないかなと思うんです。今って何でもできちゃうじゃないですか。そのせいでつまらなくなっていることも絶対にあると思うんですよね。「そんなアイデアあったの!?」という驚きがほしい。だから「ここのBメロのコードはFにしてよ」とか、京さんからはあまり聞きたくないです(笑)。

――意見の出し方はメンバーそれぞれの個性が出るんでしょうか?

YUCHI:メンバーの中で京さんの意見が一番具体的ですね。細かくアイデア出しをしてくれます。逆にUTAさんはスーパー抽象的と言うか、誰も知らないUTA語で喋ってきますからね。通訳もいないので、吹き替えなし字幕なしで自分なりに解釈します(笑)。

京:今回、UTAからいきなり連絡がきて、「嬲り」にテルミンを入れてくださいと言われて。「うん頑張る」と言ったら、説明が「何秒から何秒まで入れてください」ってそれだけなんです。「京さん的な感じで。雰囲気でお願いします」って(笑)。楽器をやっている人ならそれでもわかるのかもしれないけど、「楽器自体を初めて触るのにそんなフワッとした感じ!?」という(笑)。

YUCHI:UTAさんは言葉が少ないですからね(笑)。でも京さんとUTAさんって一番喋らないし、性格も真逆なんですけど、曲を作るやり取りをしていると一番フィーリングが合っているなと思います。「ここカッコいいよね」と思っている着地点がすごく近いんですよ。

――UTAさんも、感覚の人なんですか?

YUCHI:本人は計算しているって言っていましたよ。

京:でも急にぶっ飛んだアレンジをしてくるから、「これ計算してやってるの!?」ってなるよね(笑)。

YUCHI:絶対にUTAさんでないと思い付かないことをやってきますからね。sukekiyoは5人全員の得意なことが違うのが面白いです。

◆このモードのままでまた新たな作品作りをしたいという欲求(YUCHI)

YUCHI

――そんな今回の作品は、またしても予想の斜め上を行く仕上がりでした。何度もじっくり聴き込みたくなる曲が揃っているという印象で、実際1曲目を何回か聴いてから2曲目を再生してみました。

YUCHI:理解しきってから次にいきたい、という感じなんですかね。

京:カチカチ君(匠)タイプや(笑)!

YUCHI:でも僕もその感覚は何となくわかります。映画を観ていて、このシーンはいいなと思ったら巻き戻すので。もう一回味わって満を持して次にいきたい。だから同じ漫画で何回もビックリできるんですよ。

京:マジで!? いいなぁ…。

――京さんは違うんですね。

京:何回も観ますけど、ちょっと巻き戻してというのはないですね。最後まで一応観ますから。

YUCHI:でも、言われてみるとこの作品は、通して聴くには情報量が多いのかもしれませんね。

京:そうなのかな。僕はもう麻痺していて、作っている時はマニアックかなと思ったんですけど、完成して聴くと普通なんですよね。「まぁ聴きやすいね」みたいな(笑)。音楽が好きな人が聴くとハマってくれそうな気がするんですけど、何となく聴いてる人は「うーん…」となるかもしれないです(笑)。でも、他にあまり聴いたことがないものを作っていこうという、sukekiyoのコンセプトにちゃんと落とし込めているとは自信を持って言えますね。

――今回もsukekiyoらしさがたっぷり詰まっていました。中でも「疑似ネクロマンサー」のベースが素晴らしかったです。

YUCHI:ありがとうございます。嬉しいですね。全体的にベースの印象は強いかもしれないです。作っているときはそういう作品にしたいと思ってやっていたわけではないんですよ。アルバムの骨組みをしっかり作るということを僕と京さんでディスカッションして、デジタル的な要素やリズミックな要素を作っていくときに、そういう音楽はどうしてもベースが大きな柱になる場合が多いじゃないですか。自分がベーシストだからということではなくて、単に作品としてあるべき姿がここだったという感じですね。

――YUCHIさんらしいベースですが、もう一歩踏み込んだ感じがしました。ところで収録曲の中から好きな曲を挙げるとしたら何でしょう?

京:全部本当に好きだから難しい…。でも、「疑似ネクロマンサー」ができたときは、これは絶対に1曲目だなと思いました。

YUCHI:僕もタイトルがつく前から、これはできれば1曲目がいいなと思っていました。そういうイメージでアレンジしていたというのもあるんですけど、逆にこの曲が途中で出てくると印象が全然違うと思います。例えば「艶」みたいな歌ものがきたときに、ちょっと救いに感じたりするところもあるだろうし、絶対に聴こえ方が違うと思うので。

京:他のバンドはよく1曲目に激しい曲やパンチのある曲を持って来るじゃないですか。でもこれは沼からゆっくりじわじわと出てくるような感じで、それがすごく良かったんですよね。とは言え、「疑似ネクロマンサー」は最後にできた曲だったから、収録できるかが本当にギリギリだったんですよ。もし入らなかったら1曲目は「白濁」にしようかなとまで考えていたんです。でも何とか入れたくて、アレンジをめっちゃ頑張りました。時間がすごくかかるかなと思いきや、すんなりいったよね。

YUCHI:そうですね。曲の持っているパワーが最初からあったんだと思います。最初から濃さはあったので、濃くしていく作業はなかったですね。ただ扱いがすごく大変でした。

京:あとは削り方ね。3~4分近く短くしたんですよ。

――元々かなり壮大な曲だったんですね。短くした最終形も6分を超えています。

京:長くてももちろん良かったんですけど、今考えるとこの曲で長いと普通と言うか読まれるなと。でも、いい具合にコンパクトだけど世界観が崩れていない、ちょうどいいバランスで作れたかなと思うんです。これ以上削っても息苦しい感じがするし。

YUCHI:ちょっと強引になりますよね。

――曲順に関してはすんなり決まったんでしょうか?

京:曲順をみんなで話していて、どれが1曲目でも意外と良かったんです。全部合うから、むしろそれで大変だったんですよ。

YUCHI:みんなそれぞれ意見がありましたよね。

京:本当にいろんなパターンがあって、その意見通り聴くと、「あぁなるほどな、これいいな」と。最終的にみんなの意見を合体させて、一番流れのいいところに落ち着けた感じです。でも、「されど道連れ」と「死霊のアリアナ」は流れがすごく良かったのでくっつけたいと思っていました。

――なるほど。それにしても今回の作品は1枚聴き終わった後に何だか色々吸い取られたような消耗した感じがしました。

京:デスコアみたいなヘヴィな音楽を聴くと疲れることはありますけど、こういう音楽で疲れるってよっぽどですよね(笑)。それだけ集中して聴いてもらえたということです。

YUCHI:今回はこれまでのsukekiyoの楽曲とはちょっと違う手応えがあるなと思っていて。余計なものを省いた濃さというか、より純粋になったというか。確かに純粋なものにずっと触れていると疲れるかもしれないですね。

京:でもね、これめっちゃ寝やすいんですよ。僕は寝る前に聴くと3曲目の前くらいに寝ているんです。「今日はちゃんと集中して聴こう!」と思っても、3曲目でクーッと寝ていて。

YUCHI:寝る目的で聴いているわけじゃないですよね(笑)?

京:違います(笑)。ちゃんとライブの感じを思い出しながらイメージトレーニングをしようと思って聴いているんですけど、大体寝ているんですよ。

YUCHI:すごくリズムを意識した作品なので、それが要因かもしれないですね。今までのsukekiyoってどちらかというと浮遊感みたいなものが強かったと思うんですけど、今回は浮遊感がありつつも、リズムがしっかり入っているから。

京:でもこうやって完成して、僕はもう次の作品集を作りたいんです。

――え、もう!?

京:曲もないのにね(笑)。

YUCHI:わかります。バンドが若返った感じがしますよね。さっき言ったように、去年の7月にこれまで発表した曲を全部やるライブをやって。そこからまた心機一転してこういった作品を作れたので、すごく新鮮と言うか、バンドを組み直したような感じがあるんです。単なる延長線ではなくモードが切り替わったので、このモードのままでまた新たな作品作りをしたいという欲求みたいなものが生まれました。

京:今はもう新しいおもちゃを与えられた子供のような感じですね。どんどん遊びたくて、「もっと欲しい! もっと欲しい!」って親にせがむ。そして怒られて泣くと(笑)。

YUCHI:ファミコン買ったから、ソフトもどんどん買い足したい感じですね(笑)。

京:そう。それで「この前買ったやろ!」って怒られて泣く(笑)。それくらい本当にどんどん作りたい気持ちなんです。

――制作意欲に火がついているんですね。

YUCHI:そうですね。無限に作れる感じはします。

京:今回すごく自信があって。そしてこの作品ができた後に出るメンバーの曲にすごく興味があるんです。「これを経てメンバーはどんなものを作ってくるんだろう」って。

――構想はあるんですか?

YUCHI:構想自体はまだ全然なくて。でも何か面白い、常に枯渇しないインスピレーションみたいなものはある感じがします。どんなものが出てくるかはわからないけど、何か出てくるだろうという予感はありますね。

京:遊び感覚というか、友達の家に行って「何か作ろうや」って言うような感じで作って、できたから出すっていうのが楽しい。このバンドは普通のバンドみたいなリリースのスケジュールの縛りがないので、そこをもっと自由に有効に使いたいんですよね。

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◆コラボレーションが個性を発揮できる場になっていれば嬉しい(YUCHI)

YUCHI

――今回のDisc2は、正にパンドラの箱を開けた感じがしました。

京:僕がキッズだった頃から好きなアーティストの方に参加してもらっているから、世代がすごく固まっているんです。世代的には前回『ANIMA』に参加していただいたTUSKさん(新宿心音会, THE SLUT BANKS)が入っていてもいいんですけどね。

――確かに。それにしても、まさか福井祥史さん(VINYL、ex.STRAWBERRY FIELDS、ex.D’ERLANGER)が参加されるとは。

京:もう音楽はされていないですからね。この世代で固めるにあたって、STRAWBERRY FIELDSは絶対に外せなかったんです。どうしても福井さんに歌ってほしくてkyoさん(D’ERLANGER)にどうにか繋いでもらえませんかとお願いして、めったに書かない長文の熱いメールを送って「是非お願いします!」と頼み込んだんです。

――口説き落としたんですね。そして同じDiscにDaniel Ash(Bauhaus、Tones On Tail、Love And Rockets、Poptone)によるリミックスが収録されるなんて!

京:そう思いますよね。僕も思います(笑)。

YUCHI:「嘘でしょ!?」ってなりますよね。これはぜひBauhausファンの人に聴いてもらいたいです。

――これはコラボレーション先のファンの方々にとってもかなり熱い作品だと思います。

京:むしろ僕世代の人たちが「よくこの人たちを集めてくれた!」って喜んでくれないと困ります。特に福井さんのファンの方は僕に「ありがとう!」って言ってほしい(笑)。

――涙を流して喜ぶと思います。コラボレーションをするにあたって、完成図はある程度予想していたんですか?

京:全く。曲もいつものように選んでもらったから、何の曲が選ばれるかもわからなかったですし。でもKONTAさん(BARBEE BOYS)には衝撃を受けましたね。「セリフめっちゃカッコいいじゃん!」と。しゃがれた感じがいいですよね。

――そしてこれだけの顔ぶれとのコラボレーションが成立するsukekiyoの曲もすごいですよね。

YUCHI:コラボレーションが逆に個性を発揮できる場になっていれば嬉しいです。こういう世代の方々ってすごくオリジナリティがはっきりしていて、どんなところでも自分を100%出してくるじゃないですか。前の三上博史さん(1stミニアルバム『VITIUM』に参加)もアドリブでセリフを入れていましたし。

京:容赦ないもんね。でもそれがすごくいい。

YUCHI:本当のコラボレーションという感じがしました。

――さらに今回は「映像作品集」もありますね。

YUCHI:今回も未架さんに撮ってもらいました。編集してもらうたびに「楽しい技がまた増えたな」という感じがすごくするんですよ。

――sukekiyoの映像というと、モノトーンに近いぐらい色味がない背景に印象的な赤が浮かぶのですが今回もドラムセットから赤い布が垂れていますね。

京:あれは未架君の案ですね。彼は曲の理解度が高いので、リンクするのが早いんですよ。だからほぼ任せています。ちなみに1日で2本撮ったんですけど、未架君は死にそうになっていました(笑)。めちゃくちゃタイトなスケジュールだったんですよ。

YUCHI:これを撮れるのは未架さんだからですよね。作品の世界を理解しているから間違いがないし早い。無駄なものは絶対に撮らない人なので。

――「艶」は殺伐とした荒地という印象でしたが、撮影は富士山麓で行われたようですね。

京:実際に行くと、草が燃やされていて、鋭利なミニ竹みたいなのがいっぱい生えているんですよ。こけたらやばかったな(笑)。

YUCHI:あれは裸足でいったら死にますよね(笑)。本当に足場が悪かった。

――大変だったことはありますか?

京:そんなになかったですよ。どんどん撮ってくれたしね。

YUCHI:そうですね。それに未架さんの姿を見ていたら大変だとは言えなかったです。実は撮影の時、まだ未架さんのドラム撮りが終わっていない曲が何曲かあって。「未架さん、ドラムはいつになりますか?」って聞こうとしたんですけど、ずっと頑張ってセッティングして、ああだこうだってやっていて言えませんでした(笑)。

京:あの状況で言ったら鬼だね! 僕とUTAですら言えなかったから。

――UTAさんでさえ言えないなんて…! かなり緊迫した状況だったんですね。

YUCHI:そんな状況でも未架さんは終始優しいですからね。どうなっているんだと思います(笑)。

京:人間ができているんやねぇ。今のところ怒ったところを見たことがないんですよ。Skype上でも、怒り口調になったことがないし。寡黙な変態です。

YUCHI:私生活で変態性を出さないですよね。そしてそれを音楽と映像にぶつけてくるという。

京:ライブは激しいもんね。めっちゃドラム激しいな!って思う時がある。パワーをちゃんと使うところに使って無駄がない。すごいな。

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◆sukekiyoをいつか“笑う”というところに連れて行きたい(京)

京

――sukekiyoのステージは他のライブに比べて、緊迫感や疲労度は違うものでしょうか?

京:DIRは体力的に、sukekiyoは精神的に疲れますね。DIRはお客さんと一体になっているから全体の空気感で盛り上がるけど、sukekiyoは一方的に観られているから、ちょっとした違いも全部聴かれているし動きも細かく観られる。完全にいやらしい目でずっと見られるので緊張は常にしています(笑)。

YUCHI:音が一つ違うだけでも伝わり方が違いますよね。僕は緊張感がすごく好きで。慣れたくないけど慣れてしまう自分もいると思うんですけど、緊張感を持てるというのは本当にありがたいと思っています。

京:ライブ前に吐くぐらい緊張したことある?

YUCHI:昔はありましたね。十代の頃とか。

京:緊張しすぎるとね、笑うんですよ。初めてDIRが海外に行って8万人くらい集まるフェスに出たんです。8万人ですよ? でも初めて出演する僕たちには全然客がいないんですよ。ライブ前に周りを見たら有名な人がいっぱい歩いていて、段々何をしているのかよくわからなくなってきて、みんなの顔を見ていて気付いたら笑っていたんです。でもステージに上がるとシーンとするんですよ。その恐さ…(笑)。僕はsukekiyoをいつかそういう“笑う”というところに連れて行きたいんですよね。

――なかなか体験できない緊張感ですね。

YUCHI:そうだと思います。でもフェスはいいですね。

京:sukekiyoも海外に行きたいんだけどね。前にヨーロッパに行ったよね。

YUCHI:2週間行きましたね。楽しかったです。

京:また行きたいね。

――海外は楽しいですか?

京:全然楽しくないんですけど、みんなが楽しそうにしているのが楽しい(笑)。そんな中で匠は時間がないって言っているのに一人でいろんなところに行こうとするから面白いなと思いますね。本当に貪欲で。これからも匠の面白いところを引っ張り出せたらなと思っています。

YUCHI:無限にありますよね。そのどれを開けるんですか?

――匠さんの新しい扉が開くんですか…?

YUCHI:恐い扉もありますからね。

京:あ…それは僕でもあまり言えないかな…(笑)。

(文・後藤るつ子/写真・尾形隆夫)

ARTIST PROFILE

sukekiyo

<プロフィール>

2013年10月、DIR EN GREYのヴォーカルの京のソロプロジェクトとして結成。メンバーは京(Voice)、匠(G/Piano)、UTA(G)、YUCHI(B)、未架(Dr)の5人。2014年1月1日にsukekiyoの初音源「aftermath」のMVを全世界111カ国のiTunes Storeで配信。2014年4月に1stアルバム『IMMORTALIS』をリリース。ヨーロッパツアーなど数々のライブを経て、2015年2月ミニアルバム『VITIUM』をリリースした。2015年11月・12月に二部作のライブの前編となる「宙吊り娘と掃き溜めの詩」を、2016年4月には二部作の後編「桜肌、夢締め跡と優越の詩」を実施。7月17日には調布市グリーンホールにて、二部作を全曲披露する完全版公演、sukekiyo 二〇一六年公演「裸体と遊具、泥芝居に讃歌の詩」-漆黒の儀-が行われ、2017年6月にはsukekiyo 二〇一七年公演「落下する月面」を成功させた。

■オフィシャルサイト
http://sukekiyo-official.jp

【リリース情報】

ADORATIO
2017年6月発売
(Manufacured by sun-krad Co., Ltd. Distributed by sun-krad Co., Ltd.)

ADORATIO
京公式通販限定盤
【数量限定】
(2Blu-spec CD2+Blu-ray)
PZSK-022~024
¥7,500+税

公式通販サイト「GALAXY BROAD SHOP」
https://www.galaxybroadshop.com/products/detail.php?product_id=892
※数量限定のため予定数が無くなり次第販売を終了

【収録曲】

DISC 1 [Blu-spec CD2]
01. 擬似ネクロマンサー
02. グニャ結論。そして血眼。
03. 襞謳
04. 純朴、無垢であろうが
05. マニエリスムな冷たい葬列者
06. 艶
07. 首吊り遊具
08. されど道連れ
09. 死霊のアリアナ
10. 嬲り
11. 耳ゾゾ
12. 黝いヒステリア
13. 白濁

DISC 2 [Blu-spec CD2]
01. mama Collaboration with ガラ (MERRY)
02. in all weathers Collaboration with YUKIYA (Kαin)
03. 鵠 Collaboration with 藤崎 賢一 (Justy-Nasty)
04. elisabeth addict Collaboration with kyo (D’ERLANGER)
05. 斑人間 Collaboration with 福井 祥史 (VINYL, ex.STRAWBERRY FIELDS, ex.D’ERLANGER)
06. 耳ゾゾ Collaboration with KONTA (ex.BARBEE BOYS)
07. maniera Remixed by Daniel Ash (Bauhaus, Tones On Tail, Love And Rockets, Poptone)

DISC 3 [Blu-ray]
◆ Music Video
・艶
・襞謳

◆ Live Footage  ・sukekiyo 二〇一六年公演「漆黒の儀」
2016年3月20日(日)横浜F.A.D
01. aftermath
02. maniera
03. nine melted fiction
04. hidden one
05. scars like velvet
06. leather field
07. dunes
08. zephyr
09. mama
10. 烏有の空
11. 斑人間
・sukekiyo 二〇一六年公演「ハロウィン殺しの儀」
2016年12月21日(水)SHIBUYA WWW X
※公演の一部を抜粋した内容となっております。
・MERRY主催イベント「三月に咲く愚鈍共による錆びたハサミと戒厳令の雨あられ三輪車の花園にて、許しておくんなはれや」
2017年3月21日(火)新宿ReNY
※公演の一部を抜粋した内容となっております。

◆ Rehearsal Footage