約3年ぶりに完成したSuGのニューアルバム。
彼らの音楽が濃縮され、内包された一番カラフルな色『BLACK』とは――
かのココ・シャネルが残した言葉「黒にはすべてがある」。今回のSuGのアルバムは、まるでその言葉を体現するかのような1枚になった。彼らの楽曲が持つ色とりどりの音楽性を損なうことなく、それらをひとところに塗り重ねて出来たのは、全てを内包した黒。2014年の復活後第1作シングル『MISSING』以来のVif登場となる5人に、この最新作について、たっぷり語ってもらった。
◆カラフルなアルバムにしたかった(武瑠)
――まずは、今回のアルバムタイトル『BLACK』について教えてください。
武瑠:一番カラフルな色だと思ったんです。SuGのカラフルな音楽性を表す言葉としてすごくわかりやすいなと。
Chiyu:このタイトルはシンプルですけど、その中に奥深さがあるんですよね。曲によっていろんなテーマカラーがあって、それをどんどん塗り重ねて行くと黒になる。武瑠からそういう要素を聞いてすごく納得しました。それに覚えやすいし。
武瑠:ジャケットでも、それを1枚の絵でわかりやすく表現できたと思います。
――アルバムのタイトルを『BLACK』にしようと思ったのはいつ頃ですか?
武瑠:2012年にシングル『不完全Beautyfool Days』を出して、その冬に次のアルバムを『BLACK』にしようと自分の中で決めていたんです。そこからみんなに少しずつ、こういうアルバムにしたいと伝えて、ゆっくりゆっくり作っていきました。
Chiyu:SuGは、作品ごとのコンセプトとか衣装とか、こういう風にやっていきたいというものを全部文字に起こして、わかりやすいサンプルの資料を貼ってみんなで共有するんです。今回もそうやってみんなの目指すところを一致させました。
――楽曲もバリエーションに富んでいますね。
武瑠:そうですね。曲ごとに色分けをしているわけではないんですけど、カラフルなアルバムにしたかったので。
yuji:曲は活休中もずっと作っていたので、その中から選びました。BLACKというテーマで作った曲はあんまりないんですけど、活かせそうな音のバリエーションを作って。
shinpei:シングル『MISSING』以降、いろんな人から「SuGのイメージが変わったね」「激しい部分がすごく出てきたね」って言われるんです。でも、元々そういう部分はカップリング曲で出していたし、根本にある部分や、5人が好きな音楽はそんなに変わっていない。リード曲の「BLACK」もかなりヘヴィなサウンドだけど、そういう意味では自分たちで違和感はそんなにないんです。
◆レベルアップしたものがたくさん入っている(masato)
――今回、新たな試みはありましたか?
masato:ギターはテクニック的なことも含めてレベルアップしたものがたくさん入っています。このアルバムだからというより、楽曲全体が良くなるようにした結果がここに入っている感じですね。フレーズは、今までいろんな種類の曲を作ってきた経験が活かせていると思います。
Chiyu:ベースはアルバムの半分以上が指弾きなんですよ。これは今までなかったですね。2本弾きなのか3本弾きなのか、その使い分けも難しくて、ずっと練習しています。指弾きはできるに越したことはないと思っていたし、練習しようとは思っていたんですけど、せざるを得なくなった、という感じですね(笑)。
masato:今回、ベースは色々やってたね。
Chiyu:うん。特に音色にこだわりました。いろんなことを試しましたね。ミックスの時にも変えたり、ラインを足してみたり。
shinpei:ドラムも、自分の中にないフレーズを入れています。あと今回、「このフレーズはどうやっているんだろう」と思っていた難しいフレーズの仕組みがわかったんです。そういう意味でもこのアルバムは収穫ありですね。しかもそれがちゃんと体の中に入ったので。でも、ドラムが難しくなると他のメンバーもそれに乗るのが大変になるんですよ。
Chiyu:楽器のパートが上に行くほど大変だからね。
shinpei:なので例えば武瑠君の曲「HELLYEAH」は、わかりやすく乗れるリズムにできるように頑張りました。
――ところで、いつもyujiさんがデモの段階でドラムもかなり作り込んで来るようですが。
shinpei:相変わらずですね。フレーズについて結構細かく話しながらやったので大変でした。そもそも、レコーディングの時は、ライブの再現性を考えずに録るんです。その時に難しくても一番良いものを録ろうとするので、いざライブで再現するときに大変だったりするんですけどね。中でもきつそうなのは「FRIDAY!!」と「overflow」です。この前、楽器陣でリハをやったんですけど、5回連続で「FRIDAY!!」をやったら、ため息が出ました(笑)。
Chiyu:普段使っていない筋肉を使っているというか。1回目より2回目、2回目より3回目の方が上手くなるんですけど、4回目になると弾けなくなるんです。辛くて(笑)。
masato:すごいゼーハー感があったよね。
shinpei:うん。ライブでやるタイミングが結構大事かも。早すぎても体が温まってないから駄目だし、後ろ過ぎると疲れていて体が動かないし(笑)。あとは練習しかないですね。でも良いハードルです。ライブで再現できたら確実にレベルアップできると思うので。
◆まーたんが弾いた途端、「ないね!」って(yuji)
すごいプレッシャーでした…(Chiyu)
――武瑠さんは、今だから書けた歌詞はありますか?
武瑠:活休からの復活が自分の中ですごく大きかったんですけど、「影炎」はそれがすごくわかりやすいと思います。陽が当たっていないところでも諦めなかったことを歌ったり。あとは「HELLYEAH」や「overflow」の挑戦的なイメージですね。向かっていく挑戦的なメッセージが込められたのは、今だからかなと思います。今回のアルバムのテーマも「挑戦」でしたし。
――歌を録るにあたって武瑠さんが挑戦したことはありますか?
武瑠:コーラスが多くて大変でしたね。いつも歌詞を書く時間がないんです。スケジュールがタイトだから仕方ないんですけど。
shinpei:その中で、曲のクオリティも含め、その時に出せる100%以上の力を出している気がします。
――今回は収録曲が17曲とSuGのアルバムの中でも曲数が多いですが、アルバムはどのくらいの期間で作ったんですか?
Chiyu:去年の4月に録っている曲もあれば、シングルのレコーディングタイミングで一緒に録ったものもあったり。実際に動き始めたのは10~11月くらいですね。
武瑠:意図的に曲数を増やそうとは思っていなかったんですけど、今回のアルバムは一番曲数が多いかも。
masato:『Thrill Ride Pirates』(2011年リリースのアルバム)は16曲だったよね。SuGは基本アルバムの曲数が多めです。
――しかも徐々に増えつつありますね。作曲時間はどのくらいかかったんでしょう?
yuji:「CRY OUT」と「MISSING」は早かったですよ。2~3時間かな。あとは作りかけてそのまま置いておいたりするので。曲は基本的には元々あるイメージに向けて作るので大幅な変更はあんまりないんです。最初の段階で完成形が見えていて、同期もできる部分は自分でやるし、ベース、ドラムは大体自分でできる範囲で作り込みますから。
――yujiさんは今回、ドラムは叩かなかったんですか?
yuji:叩いてますよ。「nightmarket」の前半をペーさん(shinpei)が叩いて、後半を自分で叩きました。これはレコーディングの時のノリで録ったので入れておこうかと。
shinpei:取材の時のネタにやっとこうかって言ってね(笑)。
yuji:別に叩く必要性は全くなかったのにね。
shinpei:まぁグルーヴの違いを楽しんでもらえれば…。
yuji:もっともらしいことを。そういう風に言ってるアーティストは嘘言ってますからね! そんなこと考えてるやつはいない!
全員:(笑)
Chiyu:あと、ベースでもやったよね。
yuji:そうそう! ベースも別のパートの人がやったって言えば取材の時に話せるかなってことで、「SOS」のド頭のベースをやりました。
――取材用とは…ネタをありがとうございます(笑)。
yuji:はい(笑)。そこは結構簡単だったので、他の人でも弾けるなと。で、まずペーさんが弾いたらダメで、じゃあ、まーたん(masato)なら弦楽器だし、いけるでしょってことで弾いたんです。その時、「SOS」のアレンジをしてくれたDragon AshのHIROKIさんが立ち会ってくれたんですけど、まーたんが弾いた途端、「ないね!」って。
全員:(笑)
Chiyu:「じゃあやります!」って俺がやりました。
masato:Chiyu君に戻るまで早かったよね(笑)。
Chiyu:でも俺、それでできなかったらやばいでしょ。すごいプレッシャーでしたよ…。
yuji:「これでいけなかったらどうしよう…」って言ってたもんね。
Chiyu:一応1発でできました。
◆このアルバムを届けるための活動をしていきたい(shinpei)
――今回の衣装はどんなテーマでスタイリングしたんですか?
武瑠:黒と、SEのタイトル「street g♥thic」にもあるように、ストリートとゴシックを混ぜたものですね。
shinpei:武瑠君は、「良い衣装があるよ」っていつも提案してくれるんです。その中でメンバーに似合うものを決めていく感じですね。結果、今回はまーたんがノースリーブです。
masato:袖、ないです(笑)。このアー写の撮影の時、12月頃だったんですけどめちゃくちゃ寒くて。
――『MISSING』の時も寒いって言っていましたよね。
yuji:確かに。でも、『MISSING』の方が寒かったよね。
masato:うん。とは言え、ツアーの終わりの方では7月になるので、もしかしたらちょうどいい感じになるかもと希望を持っています。
shinpei:そうすると今度はyujiさんが辛くなってくるよね。
yuji:この衣装だとライブは無理だと思う。むしろ、これは着ないんじゃないかな…。洗えないし、Tシャツくらいだったらいいけど2Days同じ衣装だと無理だし。そこは割り切って…
shinppei:上裸で。
yuji:そうね(笑)。
――上裸と言えば、以前の取材で、yujiさんはマニフェストとして「バストアップ」を掲げていましたが、その後どうなりましたか?
yuji:その時はBの後半だからCを目指す、って言っていた気がします。今も腕立てをして張った状態にすれば届くんじゃないかな。
shinpei:パンプアップするのか(笑)。
――ちなみにChiyuさんのマニフェストは握力を80にする、でした。
Chiyu:それはもう全然無理ですね!
yuji:今の政府と同じですよ。マニフェストなんてないも同然ですからね!
――yujiさん、今日はかなり攻めますね(笑)。さて、アルバム『BLACK』も完成した今、今後の目標を教えてください。
武瑠:このアルバムをどれだけ聴いてもらえるかが勝負だと思います。次にこれを出したいなとか先のことも考えているんですけど、長い年月かけて作ったものなので、まずはアルバムをしっかり聴いてほしいですね。
masato:今年はアルバムが出る年なので、まずはそれが一番ですね。ツアーでも、ツアー後もライブでしっかり伝えていこうと思います。アルバム自体、バンドのスキルアップにつながる曲が多いので、バンドの成長にもなる1年にしたいなと。ツアーも最長ですし、初めて行くところも多いですし。
shinpei:『BLACK』っていうアルバムは、自分たちで聴き返してもクオリティの高さがわかるので一人でも多くの人に聴いてもらいたいです。このアルバムを届けるための活動をしていきたいですね。
(文・後藤るつ子)
SuG
<プロフィール>
武瑠(Vo)、masato(G)、yuji(G)、Chiyu(B)、shinpei(Dr)の5人からなるロックバンド。結成当初より「HEAVY POSITIVE ROCK」というコンセプトを掲げ、前向きなメッセージを乗せたキャッチーな楽曲で人気を博す。2010年1月にシングル『gr8 story』でメジャーデビュー。2012年10月に突然の活動休止を発表。同年12月29日の国立代々木競技場第二体育館でのライブをもってバンド活動を休止した。2013年3月に初のベストアルバム『BEST 2010-2013』をリリースし、同年9月20日、東京・原宿で行ったサプライズライブで活動再開を宣言。12月29日に国立代々木競技場第二体育館で復活ライブを行った。復活後2014年2月に『MISSING』、7月に『B.A.B.Y.』、11月に『CRY OUT』と3枚のシングルをリリース。4月から全国ツアーSuG TOUR 2015「BLACK」がスタートする。
■オフィシャルサイト
http://sug-web.jp/
『BLACK』
2014年2月19日発売
(発売元:ポニーキャニオン)
SuGの約3年ぶりとなる活動休止直前のシングル「sweeToxic」、活動再開後に発表したシングル「MISSING」「B.A.B.Y.」「CRY OUT」を含むバラエティに富んだ全17曲を収録。
【収録曲】
[CD]
01. street g♥thic
02. MISSING
03. HELLYEAH
04. overflow
05. night market
06. B.A.B.Y.
07. DEAD or DEAD
08. hey 俗 funk you
09. FRIDAY!!
10. sweeToxic
11. 神様の悪戯
12. Time after time
13. CRY OUT
14. SOS
15. 一連托生
16. 影炎
17. BLACK
[DVD]3939BOX
BLACK -Music Video-
BLACK -Music Video 撮影&制作ドキュメント-
SuG 8th Birthday“一蓮托生”(2015.1.12)ダイジェスト&ドキュメント
[DVD]LIMITED EDITION
CRY OUT -20141018 Live Ver. Music Video-
gr8 story -20141018 Live Ver. Music Video-
M-ON 「SuG Special」 Director’s Cut