NoGoD

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バンドの新たな一面を露わにしたNoGoDのニューシングル『Missing』。5人が作り上げた最新作、そこに込められた思いとは――。

前回NoGoDにインタビューを実施したのは、彼らが結成10年目という大きな節目を迎えた時だった。その10周年で彼らは新たな課題と向き合い、冷静に自分のバンドを見つめ直したのだという。そこからちょうど2年、NoGoDが今回作り上げたシングル『Missing』は、これまでの彼らとは異なる側面を見せる新鮮な作品となった。この高い完成度を誇る楽曲たちが、リリース翌日から始まる全国ツアーでどんな表情を見せるのか、そして真摯に観客と向き合おうとする彼らが一体どんなライブを展開するのか、期待は高まるばかりだ。5人揃ってVifのインタビューに初登場した団長(Vo)、Kyrie(G)、Shinno(G)、華凛(B)、K(Dr)に、作品、ツアー、そしてお互いについてたっぷり語ってもらった。

◆団長が色々言われたりすることもあるんですよ。そんな時、本人は「まあまあ(笑)」と思っていても、横でKがすごく怒っていたりするんです(Kyrie)

――NoGoDが5人揃ってVifに登場するのは初ということで、恒例の「隣のメンバー紹介」をお願いします。では、Kyrieさん→華凛さん→Shinnoさん→Kさん→団長さんの順で…

Kyrie:俺、お前(団長)に紹介されるの? これ完全に貧乏クジじゃん(笑)!

K:おいおい、もっとメンバーを信頼しろよ(笑)。

Kyrie:えー…じゃあ華凛ちゃんを紹介しますね。彼は多分うちで一番真面目だと思います。同時に振れ幅もすごく大きくて、俺は曲を書いていて「このぐらいかな」という落としどころを無難に見つけていくタイプなんですけど、彼はすごく振り切った答えをポーンと持ってきたりするんです。あと、バンドってヴォーカリストがみんなを引っ張っていくパワーを持っているイメージがあると思うんですけど、彼もそういう力が強い人ですね。

華凛: Shinちゃんは常に僕の一歩先を見ている人で、本当に尊敬しています。自分は今まで競走馬みたいに前しか見ていないことが多くて、「これをやるとこうなる」というのが全然見えていなかったんですけど、ここ数年でやっと自分のことを客観視できるようになったと思うんです。でもShinちゃんに相談すると、彼はそのさらに先を見ているんですよ。先見性はほぼ魔術レベルですね。話せば話すほど楽しいし、いつまでたっても追いつけないです。

Kyrie:まじゅちゅし(※魔術師)。

華凛:まじゅちゅしだね(笑)。まあそこはKyrieさんも然りなんですが、二人とも先が見えていて羨ましいです。僕一人じゃやっていけないのは当たり前なんですけど、支えられているというか、一番身近な偉大な人という感じです。

Shinno:K君はここ3年で一緒にいる時間が一番長い人ですね。ダメなところは風呂が長いところ。

全員:(笑)

Shinno:風呂が長すぎるんですよ。大体3時間、MAX5時間。しかもたまに寝てる(笑)。ドアをノックすると、中でガッて動く音が聞こえるんです。

――それは眠りから覚醒したときの音なんですか?

Shinno:浴槽で滑ったときの摩擦音で、3回ぐらいはガッてなってますね(笑)。あと、同じ部屋にいても基本寝ているので存在を消していて、いてもいなくても変わらない状態です。

Kyrie:空気みたいな存在だな。

Shinno:あと、元々喜怒哀楽があまりないのかなと。

華凛:菩薩か。

Shinno:(笑)。感情の起伏が少ないというか…。でも怒るときはすげー怒るんだよね。しかも自分のことじゃなくて人のことで。その怒り方がすごいんですよ。でもその場にいる他の人たちが悪いわけではないと、怒りをぶつけるところがないわけです。だけどすごく怒ってる。それで何するのかなと思ったら寝るんです。怒りを鎮める先がそこなんでしょうね。

――…Kさんの謎が深まりました。それにしても人のことで怒るなんて優しいですね。

Kyrie:フロントマンでヴォーカルで、というところもあって、団長のことを色々言われたりすることもあるんですよ。そんな時、本人は「まあまあ(笑)」と思っていても、横でKがすごく怒っていたりするんです(笑)。

Shinno:団長のことで怒ることが多いですね。でも困った人を助けたりして人間味があるのかな。

K:正義の味方だ。

Shinno:そう! ただ風呂が長くて起きている時間が短い!

Kyrie:よく食べるかと思いきや、そんなに食べない!

Shinno:あとたまに一人でパーティーしてる! ケンタとマックとミスドで買ってきて!

Kyrie:前にレコーディング中にいきなり餃子パーティーを開きだしたからね(笑)。自分が食べたいからというより「みんなの分も」って近くの餃子屋さんで大量に買ってきて、「ほら餃子だよ!」と。

全員:(笑)

◆今まであまり言ったことがなかったけど、彼はすごくピュアな人だと思う(K)

――ではKさん、団長さんを紹介してください。

K:多分一番付き合いが長いよね。

団長:専門学校のときからなので、もう13~14年ぐらいです。

K:第一印象はジャージだった。緑色の。

団長:NoGoDの最初の衣装の専業農家ジャージね(笑)。

K:今まであまり言ったことがなかったですけど、彼はすごくピュアな人だなと思います。この人、すぐ照れるんですよ。

団長:…。

華凛:あ、今照れてるよね(笑)。

K:本気で照れ始めると一気に面白味がなくなるから、あんまり言わないようにしないと(笑)。とにかくピュアなんだけど、それは誠実とかそういうことではなくて、自分の思ったことにすごく素直なんです。自分がこうしたいと思ったことがあったら、どうやってでもそこに向かう力を持っている人だと思いますね。

団長:僕は欲望に真っすぐですよ。煩悩の塊なので。

K:108つ以上あるもんね。

団長:200は軽く超すね。

Kyrie:でも集約したら三つぐらいしかなさそうだけどね(笑)。

――では最後に団長さんからKyrieさんの紹介を。

団長:Kyrieさんと言ったらやっぱり毛質ですよね。髪の毛がクチャクチャなんですよ。

K:これ、隣の人の良いところを言うんだよ(笑)?

団長:紹介だからいいんだよ。バンド業界でここまで毛質の悪い人がいるのか、というぐらい毛質が悪いのに、さらにズボラですね。もっとドライヤーをしてほしい…。あ、俺はすげーいい毛質をしてますからね! ちゃんとケアしてますから! サラサラでしょ?

Shinno:(笑)。そういう使えない部分を踏まえた上で何かないの?

団長:まあ、彼はすごく人当たりも悪いし性格もひねくれていますけど、自分の中で決めたことをすごくしっかり守る人なんだと思います。B型特有の内々にはすごくしっかりしていて、外には人でなしタイプ。家族に一人いるといいけど、全員がこういうタイプだと陸の孤島になってしまいますね。

――バンドには必須の人材じゃないですか。

団長:そうですね。雑務もできますからね。お会計のときに計算してくれるんですよ。あとはギターを弾くぐらいですね。

Shinno:でもこの間、団長が言ってましたよ。「Kyrieは俺と似ている部分が多いから、気持ちがすごくわかるんだ」って照れながら(笑)。

団長:…あっ(小声)!

Kyrie:「あっ!」てなんだよ(笑) 。

団長:(笑)…まぁ音楽的な熱量とかバンドに対する熱量をすごく持っている人なので、そこは似ているなとは思いますけどね。

華凛:でもここ数年、「新しいアルバムを出しましょう」「シングルを作りましょう」となったときに、やっぱり二人の熱量の渡し方と汲み取り方が、すごく上手くなっていると感じるんですよ。やっぱり似ているところがあるんじゃないですかね。

Kyrie:似た者同士というのはあると思うんですよ。理解しちゃおうとするかしないかという違いはあるにしても他人の倫理観に左右されない。それこそ歌詞を書いていてもそうですし、似た部分は色々あるんだろうなとは思います。

Shinno:お互い信念が強いんですよ。でも団長はそれを認めたくないから否定から始まるんです。最終的に似た者同士だって言ったときに、自分を褒めているってことになりたくないから。ピュアだよね(笑)。

全員:(笑)

◆彼の良さは、不完全の美学(Shinno)

――今年のお正月のコメント動画で2017年の目標として「普通」という言葉をいただいたのですが。

団長:それ誰が言ったんだっけ。あ、俺か(笑)。普通というのは、NoGoDのスタンダードという意味ですね。無茶をしないとか…

Kyrie:覚えてないのに、よく言えるな。

――でも確かに「無茶をしない」と言っていました(笑)。

団長:ほら、言ってんだよ(ドヤ顔)。できることをしっかり固めていって質を高めるということですね。だから例えば映画を撮るとかそういう派手な活動じゃなくて、「NoGoDって何だ」という部分で、デフォルトのNoGoD、スタンダードなNoGoDの質の向上を大事にしたいなと。そういう意味で、「普通」って言ったんですね、きっと俺は。

Shinno:なんで弱気になった(笑)?

――そう思うようになったのは、いつ頃だったんでしょうか?

団長:10周年が終わってからです。10周年で色々やってみて、足りない部分が多いなと。これを打開するにはどうするべきか考えたときに、純粋にクオリティを上げるしかないんだなということに気付いたんです。10周年で「これがNoGoDです。10年やったバンドです」って出して、肩の荷が下りて。去年1年は冷静に客観的に自分のバンドを見つめ直しました。

――それを経て今回久々のシングルがリリースされるわけですが、この作品はこれまでのシングルとは全く違って驚きました。

団長:大人になったんじゃないですかね(笑)。自分たちを見つめ直して「こういう曲をシングルで出してないな」と思ったんです。選曲会で原曲を聴いたときにこの曲がズバ抜けて異色だったし。…あ、でも今回のシングルは原曲が全部Kyrieなんですけど、俺が書いたデモがひどかったんですよ(笑)。

Shinno:団長は曲でやりたいことがすごく明確なんです。歌のレベルも高いし。ただ、「こうやりたい」ということを伝えるときにギターを弾いてくるんですけど、それを作品として出せるかと言ったら…ちょっとね…。

Kyrie:その下手さが、いい味出してたりすることも多々あるけどね(笑)。

Shinno:うん。彼の良さというのは不完全の美学と言うか、感情的な部分で人を動かすことができるところですからね。そして楽器をやっている人だったらそこにはいかないよね、というところに平気でいけちゃうんです。

団長:常に初期衝動だな。頭の中では旋律が鳴り響いているんですよ。ただそれが形にできないんです。

Kyrie:言っちゃった!

全員:(爆笑)

団長:楽器ができないから、どうやってもアウトプットするときに頭の中のアンサンブルにならないんですよね。

K:惜しいなぁ。もうちょっとで天才なのになぁ。

Shinno:脳内がすごい芸術家なんですよ(笑)。

団長:今回、c/wの「Nightmare」とすごく雰囲気の似ている曲を出したんですけど、俺の頭の中ではその曲で、ダカダダッダ、ダカダダッダってドラムを打ちたかったんです。でも打ち方がわからないから、ドンカンカ、ドンカンカってなっちゃって「…何か違うな」と(笑)。

Shinno:デモ出しのときに団長の曲を聴いたK君が夜中にいきなり笑い始めて。どうしたのか聞いたら、団長の曲のコーラスが「どうしてそこに?」という位置に入っていて(笑)。

華凛:♪ヘーイ ヘーイ♪(高音)って入ってるんだけど、「え、何でここに?」っていう(笑)。

Shinno:やり直せばいいのに、そこにこだわりがなかったのか、そのまま送ってきたんだよね。

団長:俺は基本的に、ギターもベースも歌も録り直さないです。一発録り。そうじゃないと初期衝動が伝わらないですからね(キリッ)。

華凛:忘れちゃうだけでしょ(笑)。

団長:昔からテストも絶対に見直さないです。今解いた答えが俺の全てだから、見直して間違えていてもそれは今の俺じゃない。

K:言っていることはカッコイイんだけどなぁ…(笑)。

――それが「俺が書いたデモはひどいものだった」所以なんですね。

団長:いつか俺の脳波を読み取ってMidiに変換する機能ができないかな。

華凛:書き出してみたときに歌がズレてたらどうするの。…♪ヘーイ ヘーイ♪(高音)って(笑)。

全員:(笑)

◆今の状態で「Missing」を出せて正解だった(華凛)

――かなり脱線しましたが、「Missing」がリード曲になったのはなぜだったんでしょう?

Kyrie:今回のシングルを出すにあたって、NoGoDというバンドをリスナーの方々によりわかりやすく知っていただけるようなものを作りたいという気持ちがあったんです。実際、団長が書いたNoGoDっぽい曲も録音してはいるんですけど、NoGoDらしくもありつつ、今までにない新しいものということでこの曲が目に止まったのかなと。

団長:この国には、こういう曲をやる機会が少ないんじゃないかと思うんです。こういう音を出して、こういう曲をやるバンドは自分が認識している限りではいないと思うし、サウンド自体すごく日本ぽくないんですよね。

――それをシングルとして出せる、というのはすごいことだと思います。

団長:今までやれることは10年以上かけてかなりやってきたんですよ。それで、昔だったらできないけど今ならできることとして「Missing」が一番だった。c/wの「Nightmare」も「不完全肯定論」もNoGoDでやってきた引き出しの中の一つなんですけど、「Missing」は本当に新しい側面なので。きっとこの曲もライヴをやっていく中で段々NoGoDになっていくんでしょうね。

Kyrie:サウンド自体は、わりとスタンダードなNoGoDだと思うんです。ただ歌の世界観はかなり違っていて、今までのNoGoDは高いキーや声のトーンで聴かせるようなものが多かったし、言ってしまえばそれも一つのNoGoDらしさだと思ってやってきた部分があるんです。でも「Missing」に関しては、その人の声が持つ色気であったり、ニュアンスであったりをより楽しめるような曲にしたくて。だから歌もロングトーンで、団長の声、団長の歌らしさが出るようなポイントを多めに作りました。

――この曲で新しい団長さんを見た気がします。

Shinno:俺もすごくそう思います。今回、彼がこれまでヴォーカリストとして出してこなかった部分を出せたと思っていて。ヴォーカリストってステージでは精神的に孤独だと思うんですよ。彼はそういう面でメンタルが強いほうだと思うんですけど、「ヴォーカリストとしてこうあるべきだ」という責任感もあるし、“団長”をやっていることでやらなかった技法やキャラクターもいっぱいあったと思うんです。でも10年間やってみて原点回帰して、自分の中で消化して前に進んだときに、「Missing」という曲の中で新しい側面として出せた。外側から見るとすごく新しい団長なんですけど、俺たちから見ると、元から持っている彼の良さというものがすごくわかりやすくできた曲だなと思っているんです。

――「Missing」は始まりと終わりの音が酷似していますが、何か意味を込めているんですか?

Kyrie:リプライズしているのは自分の中では特別なことではないんです。ただイメージとしては、扉が開いて閉じる感覚と同じかな。開けるときも閉じた後も、閉じている扉を見るじゃないですか。それと同じことなのかなと。例えば「不完全肯定論」では、扉を開けたら閉めたくなかったんですよ。だからそういう終わり方をしています。開けた扉をしっかり閉じて終わる曲なのか、開けたら開けっ放しにするべき曲なのか、一応閉めるけど同じ状態には戻らなかったりするのか…そういうのは曲によって違いますね。

――扉という表現はとてもわかりやすいですね。Kさんは今回の3曲で一番難易度が高かったのはどの曲でしたか。

K:全体的な流れを掴むのが難しかったのは「Missing」ですね。「Nightmare」は跳ねているフレーズだけどロックな感じ、という意味では擦り合わせが難しくて。「不完全」は…はじめは下手でした(笑)。こういう流れかな、という感じでやってみたら違ったなという。裏切りではないですけど、いつも通りでは終わらなかった感じです。どれも難しいと言えば難しいし、わかりやすいと言えばわかりやすい。不思議な感じでしたね。

――ご自分の引き出しとは違う部分だったということでしょうか。

K:そうですね。それは結構大きかったです。いつもはサウンドに空間ができると不安になるんですけど、「Missing」はその空間をふんだんに楽しむというような題材なのかなと思ったし。

Kyrie:サビ後にキックを入れなかったもんね。いつもだったら、もうちょっと足を踏んで隙間を埋めていたんですけど、プリプロしながら「いや、いらない!」って言って。

K:どんどん減っていったんだよね。元々デモの段階で今までよりも少なかったんですけど、さらに減らせるなと。

Kyrie:「Nightmare」なんてワンフレーズでキックが2発しかなかったり、スネアも1発しか叩かなかったり、シンバルも1発でいいでしょって言ったり。もう役割りがドラムとはもはや異質のものに(笑)。

――大胆な引き算ですね。

K:そうですね。でも引き算で良かったなと思います。

Kyrie:でも誰かがノリを出さなくてはいけないから、その煽りはベースが食らうんですよ(笑)。

K:選択肢が多いまま「はい、どうぞ」って渡しちゃった(笑)。

華凛:でもたくさんの選択肢から選んだものは、やっぱりシンプルさでしたね。今の自分だからこれができたなと思います。もし「Missing」を5年前にやっていたら、選択肢を選び間違えたりして「何となくやりたいことわかるよ」みたいな感じになっていたと思うんです。だから今の状態で「Missing」を出せて正解だったと言うか、単純な演奏技術的な難易度は高くないかもしれないですけど、細かいノリでいったらきちんと選択肢から選べたと思います。

――今だからこそ正解に導けたんですね。

華凛:そうですね。多分この曲は音楽通の人に聴かせてもちゃんと納得させられるものになっているんじゃないかなと。「何となくやりたいことわかるよ」とは言われない自信はあります。

Shinno:結果論なんですけど、俺は割とデモと同じような方向でいけたなと思います。そこにいくまで色々な試行錯誤があって、いつもだったら自分らしさを出したアプローチが多くなるんですけど、そこをちょっと変えてアイテムを使ってやってみたりしました。いつもならレコーディングとライヴでチューニングを変えているんですけど、今回はレギュラーチューニングのままやれるようにして。今回はそういう変化がありましたね。

◆ライヴにいっぱい来ていただいて、目いっぱい楽しんでもらって、NoGoDことをすごく好きになって、CDを買っていただいて、グッズも買っちゃえ!となっていただけたら一番嬉しいです!(団長)

――ライヴで早く聴きたい3曲ですね。

Shinno:そうですね。特に今回は団長が映えると思うんですよ。

団長:俺はお客さんが「Missing」でどういうリアクションをするのかが見たいですね。日本でいうところのバラードとはちょっと違う印象を受けるかもしれないんですけど、これも立派なバラードだと思うし、それをお客さんがどう受け止めてくれるのかなと。

――団長さんの希望としては?

団長:聴き入ってもらえたら…。音楽の楽しみ方は自由だから、棒立ちでもいいと思うし、振り付けしたいという人はすればいい。ただじっと聴くも良し、感極まって「ウォォッ!」と言うもよし。

――結果は、リリース翌日からスタートするツアー「NoGoD-2017-SPRING ATTACK 【 W/O-U 】」でわかるわけですね。

団長:そうです! だからフライングゲットして聴き込んでいただいて。あ、初日の名古屋あたりはその日に初めて買う方も多いかもしれないな。でもね、俺は「初めて対バンで見るバンドがあるから予習していこう」という行為に何の必要があるんだろうって思っているところもあって。俺たちはどんな曲だろうが楽しませるし、ノせるし、聴かせる。それはこちらの仕事ですから。とりあえずノッておかないといけないから有名な曲だけ調べておこうとか、そういうのはいらないんです。だったら後先関係ない。ライヴがすべてで音源は後々でも… 。

K:…それをこの会社(キングレコード)で言う(苦笑)?

Shinno:CDももちろん買っていただきたいですよね。ライヴを頑張って、いいMCをして、CDを買っていただくと。

団長:あっ、ライヴで俺たちのことを気に入ってもらって、もちろんゆくゆくはCDまで手を伸ばしていただくことが前提です!

Kyrie:Shinnoは通訳なの(笑)?

団長:今って、全部ネットで済まされちゃうじゃないですか。ネットでちょっとMVを見て、ライヴでそれっぽくノっている雰囲気を出されるぐらいだったら、俺たちのライヴに来たことのない人なら、全くの初見で、ノリ方なんて気にせずにライヴを観て、「すげーなこいつら」と思って1週間後ぐらいとかに思い出してCDを買ってもらったほうがよっぽど嬉しいです。とにかく予習とかCD買う買わないとかどうでもいいから一回ライヴを観て欲しいと思うんですよ。

Kyrie:…通訳さん、お願い。

Shinno:とりあえずライヴに来ていただきたいので、まずはライヴ、気に入ってくれたらCDという順番でも大歓迎です。もちろん、実際のところ、CDを買っていただいてからのライヴに来ていただく、となっても彼はとても喜びます。

Kyrie:動物園の説明みたいだな(笑)。

団長:ライヴにいっぱい来ていただいて、目いっぱい楽しんでもらって、NoGoDことをすごく好きになって、CDを買っていただいて、グッズも買っちゃえ!となっていただけたら一番嬉しいです(笑)!

――ライヴがますます楽しみになりました。

団長:「Nightmare」と「不完全肯定論」は、ライヴ向きの曲ですからね。特に「Nightmare」は1回聴けば、こういうふうに楽しめるんだなという道筋ができると思うし、「Missing」はひたすら聴いてほしい。今のところ「不完全肯定論」がライヴでどう化けるかがわからないんですよね。テンポが速いので一般的なノリ方だと合わせるのが難しいかもしれないなと思うんです。まぁでも曲としてカッコ良さを感じてもらえればいいわけですからね。

Shinno:つまり、俺だけじゃなくて、みんなで楽しみたいということです。

――さすが通訳(笑)。

団長:俺は、周りがノっているからノらなきゃいけないのかな、みたいな中途半端な気持ちは捨てて欲しくて。ただそんな気持ちにさせるようなライヴはしないですけどね!

Kyrie:これまで色々ライヴをやってきて、納得がいかないときもあるじゃないですか。彼はそれが誰よりも悔しいんですよ。

華凛:うまくいかなかった自分の力不足というのを、自分が一番感じてしまうんですよね。いろんな人がいて、その人はその人の楽しみ方をしているわけだけど「でももっと楽しませられるはずなのに!」と思うんですよ。

Shinno:単純に彼は誰よりもエンターテイナーでありたいんです。誰よりも表現したいし、誰よりもその表現をわかってほしい。それがヴォーカリストとしての彼のスタンスなんです。

団長:ちゃんと向き合っていきたいと思ってるんです。ちなみに今回のツアーに関しては、今年やってきたライヴの中では一番シリアスになるんじゃないかなと思います。衣装も結構カチッとしているし、NoGoDの違った一面が見せられるかなと。このシングルは、3曲ともバンド的には新しいことをすごくやっているので、本当にちょっとした進化ですけど、NoGoD通にはすごくわかってもらえると思います。それをぜひ見ていただきたいですね。みんなと同じように振りしなきゃ!とかじゃなくて、お客さん一人一人にNoGoDのライヴを受け取めてほしいですね。

K:シリアスになると言いつつ、実際ライヴをやってみたらすごくパーティーな感じだったりして(笑)。もしくはメンバー自ら仕掛けるっていう…。

団長:「上手にモッシュ、俺らがー!」とかね(笑)。

華凛:「狭い狭い!」ってなるね(笑)。

――一体どうなるのかツアーを楽しみにしつつ、最後にどなたかに締めの言葉をいただこうと思うのですが。

団長:じゃあ華凛ちゃん…いや、ミスター締めっ子に。

華凛:ミスター締めっ子!?

全員:(爆笑)

Kyrie:じゃあ俺が締めますね(笑)。今回のツアーは短くて、リリースから2週間で終わってしまうのはちょっと寂しいんですけど、ただその期間で『Missing』という作品をNoGoDというバンドにより深く落とし込んでいけたらと思います。曲の表情は、俺らだけじゃなくオーディエンスの方々もいらっしゃるライヴの中で一つひとつ変わっていくものだと思うので、それがNoGoDとしてどうなっていくのかを楽しみつつ、ツアーを回りたいなと思っております。

(文・後藤るつ子)


ARTIST PROFILE

NoGoD

<プロフィール>

団長(Vo)、Kyrie(G)、Shinno(G)、華凛(B)、K(Dr)の5人によるロックバンド。2005年に「新興宗教樂團NoGoD」として結成。2007年より現メンバー構成となり、2010年6月にシングル『カクセイ』でメジャーデビュー。2010年8月、メジャー1stアルバム『欠片』をリリースし、2013年2月に5thアルバム『V(ファイヴ)』を、2015年4月に結成10周年を記念したベストアルバム『VOYAGE』をリリースした。2017年4月22日の名古屋 ell.FITSALLを皮切りに全国ツアー「NoGoD -2017-SPRING ATTACK W/O-U」がスタートする。

■オフィシャルサイト
http://www.nogod.jp/

【リリース情報】

Missing
2017年4月21日発売
(KING RECORDS)

Missing
KICM-1765
¥1,600+税
amazon.co.jpで買う

【収録曲】

01. Missing
02. Nightmare
03. 不完全肯定論
04. emotional disorder(live version)
05. 桃源郷へようこそ(live version)
※Recorded at TSUTAYA O-WEST, January 6th, 2017

【ライブ情報】

【NoGoD -2017-SPRING ATTACK W/O-U】
4月22日(土)名古屋 ell.FITSALL
4月23日(日)大阪 ROCKTOWN
4月26日(水)福岡DRUM Be-1
4月27日(木)広島 SECOND CRUTCH
4月30日(日)長野 JUNK BOX
5月6日(土)東京 shibuya WWW X