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生熊耕治

生熊耕治

ソロ名義初のフルアルバム『12-Twelve-』がついに完成。cuneとしてデビュー15周年、ソロ活動5周年、42歳の今、生熊耕治は新たなステージへと歩を進める。

2002年、cuneのギタリストとしてメジャーデビューし、2012年にソロ名義の活動をスタートさせた生熊耕治。これまでにシングル2枚、ミニアルバム1枚、アコースティックアルバム1枚をリリースし、精力的にライブ活動を展開してきた生熊が、2017年9月20日、1stフルアルバム『12-Twelve-』でソロアーティストとしてもメジャーデビューを果たす。書き下ろし楽曲の数々に加え、近年ライブで披露されてきたナンバー、さらに約10年前に誕生しながらも初音源化となる「FISH」など、全12曲が収められた今作は、まさに今現在の彼の集大成と言える最高傑作だ。そんな節目の作品についてじっくりと話を聞くと、“生熊耕治”という人物像が見えてきた。

◆5年活動をしていく中で、自分の音楽や歌に対する気持ちが変わってきた

――cuneでメジャーデビューしてから今年でちょうど15周年ですね。

生熊耕治(以下、生熊):そうなんです。15周年らしいことは何もしていないですけど(笑)。紆余曲折あったので、あっという間でしたね。

――節目の年に、1stアルバム『12-Twelve-』でソロ名義でもメジャーデビューとなるわけですが、きっかけというのは?

生熊:僕は元々ギタリストで、歌を本格的に始めたのが5年くらい前なんです。cuneが一度活動を休止して、ヴォーカルがまたやりたいと言って2~3本ライブをやったんですけど結果脱退して、そのタイミングで一度活動を休止したバンドをもう一度止めるのはファンの皆さんに対して失礼に当たるし、自分の中でも納得できなくて。ヴォーカルを探そうとオーディションもしたんですけど、僕らの意図にハマる方が見つからなくて、自分が歌うことが一番美しい形なんじゃないかという結論に至りました。色々な人に下手くそだなんだと文句を言われながらも、一回掲げた看板を下ろすわけにはいかないし、ソロは修行という意味で始めました。シングル2枚、ミニアルバム1枚、アコースティックアルバム1枚を出したんですけど、5年活動をしていく中で、自分の音楽や歌に対する気持ちが変わってきたというか。

――今作を聴いていて、すごく魅力的な声だなと思いました。何だかとても心地よくて。

生熊:マジですか。わー、嬉しい。魅力があるのかどうなのかもわからなかったし、昔はシャウトとかしていただけだったんですけど、ここ1~2年、やっと気持ちをメロディーや言葉に乗せて歌えるようになってきたなというのはすごくあります。それ以前は本当に自分の声が嫌いだったし、何のためにやっているんだろうと思ったり。小林亮三という素晴らしいヴォーカリストと一緒にやってきて、サポート業で中島卓偉や黒田倫弘さん、友達の田澤孝介くん(ex.Waive、Rayflower、エルニシオン、Karma)、wyseの月森、TAKUMAとか、素晴らしいヴォーカリストが周りにたくさんいる中で、自分の歌なんてとどこか悲観的になっていた部分はありますね。

――ヴォーカルをやるようになってから、制作やギタープレイに影響を与えたことはありますか?

生熊:元々ポップス畑にいたので歌ありきの中でやっていて、ヴォーカリストを支えるという意味では意識的には変わらないです。ただ、今はギターを弾きながら歌っているので、誰かに支えてもらいたいなと(笑)。僕がもう一人いないかなとか、僕と相性の合うギタリストがいればいいなと、ちょっと思っています(笑)。

――出来立てホヤホヤの音源を聴かせていただきましたが、正直かなりカッコいい。名曲揃いですね。

生熊:ありがとうございます! 曲達も喜びます。完成までめっちゃ時間がかかったんですよ(笑)。

――いつ頃から取り掛かっていたんですか?

生熊:アルバムを録ろうと思って制作に入りだしたのは去年くらいです。ちょっとずつ録り溜めていって、ほぼ出来上がっている段階までいったんですけど、発売の仕方だったり、これまでの作品よりもうワンランク上の見せ方がしたいという意識が強くて。このまま出すとせっかくの曲たちが消化してしまうと思って、1年間止めていたんですよね。その矢先に今のプロデューサーさんに出会えて密に話をしていく中で、このタイミングになりました。だから曲に関しては古いものだと10年くらい前のものもあります。「FISH」はcuneが活動休止してすぐに書いた曲なので、おそらく2007年くらいだったかと。

◆僕にとって一つの大きな節目でした

――今作は人間味のある作品だなというのがすごく思ったところで。「12-Twelve-」を真ん中に置いた、その前後の物語という印象を受けました。

生熊:アルバムのテーマとしては12曲ということと、去年愛犬が12歳で亡くなって、その12年間一緒にいたことが「12-Twelve-」の中に入っているという裏テーマと、その愛犬は弦六くんという名前なんですけど、倍にすると12になるというのは不思議な感覚で、音楽的にも1オクターブは12音階だし、時間軸や干支も、色々とひっくるめてこの「12」という数字が僕の中で出てきたんです。で、曲のタイトルとして「12-Twelve-」と付けていたんですけど、表題曲にしようと思ってそうしたわけではなかったんですよね。

――なるほど。今のお話だと、前後の物語という解釈は違うようです(笑)。

生熊:ホンマですか(笑)。でも弦六くんは裏テーマなので、色々な意味がありますからね。

――まず、曲順がすごく綺麗だなと思って。1曲目「トナンの翼」の“トナン”は“図南”(想像上の巨鳥、鵬が遥か南方に向かって飛び立とうとする意から、南に発展しようとすること。大事業を計画すること)のことですよね?

生熊:そうなんですよ。

――前向きなメッセージ性があって、このタイミングでリリースされるメジャーデビュー作品の1曲目として相応しい楽曲だなと。ギタリストらしい曲でもあるし、ブリッジのベースもカッコいいですね。

生熊:あのベースは中村泰造くん(cune)です。鬼のような音になっているので、ライブで泰造くん以外の人が弾く場合、可哀想ですね(笑)。

――生熊さんは作曲段階で各パートの細かいフレーズまで作りこむほうですか?

生熊:ウワモノはものすごくやるんですけど、リズムに関してはやっぱり僕はドラマーじゃないし、ベースはそこそこ弾けるんですけどベーシストのベースではないので、ドラムの赤松芳朋くん(SOPHIA、HATAKE BAND、S.R.O.D.)は打ち込みを忠実に再現してくれるんですけど、「崩してくれ。もっと自分の好きなように叩いて」と言ったり、ベースはもう好きなように弾いてくれという感じです。思いの丈を曲にぶつけてくれたらそれでいいよっていう。

――バンドっぽさを感じるのは、そういう背景があるからかもしれません。そして2曲目「VEGA」から7曲目「SLOW STARTER」までが特に繋がっている物語のように感じた部分なのですが、なぜそう思ったかという私の勝手な解釈は…

生熊:教えてください。知りたいです。

――(笑)。「VEGA」で〈僕らは叫ぶしか歌うしかなかった〉という状況があり、「Golem」で覚悟を決め、「NERO」が女性目線で去ってしまった男性への思い、「12-Twelve-」では父親から息子に向けた思い、「UNDER WANDER」で別れに対してポジティブになり、「SLOW STARTER」は別れた後の二人というふうに捉えました…。

生熊:なるほど、素晴らしいですね。曲順はすごくこだわっています。やっぱりストーリーとか、曲が入りやすいようにしないとなと思うので。

――「Golem」というタイトルはどのような意味合いなのでしょうか?

生熊:僕、20代、30代の頃は結構気性が荒くて、自分の中にあるそういう部分に対して名前を付けていたんですよ。鬼みたいな感覚で。「また俺の鬼が暴れてる」みたいな(笑)。なんでこんなに怒りっぽいんだろう、何に対して苛立っているんだろうとか、自分自身に対してずっと考えている時期があって、それを幼少期まで遡って書いた曲なので、Golemは僕の中の少年というか。でもその怒りもエネルギーにして大人になってきて、今の仕事をさせていただいていて、なんとか自分の中で着地できる音楽が「Golem」という一つのワードで曲としてできたんだと思います。

――なるほど。

生熊:この曲は昭和の集合団地の風景ですね。それこそ団地住まいだったんですけど、当時の大阪は化学スモッグで校庭に出られないとか、結構空気が悪い街だったんですよ。ガキの頃は親が共働きで、ずっと学童保育所に預けられていて、悪ガキと仲良くなったり。そういう自分の少年の頃の歌ですね。

――今のお話は「12-Twelve-」の歌詞の中にも入っていますよね。実体験が歌詞に結構反映されているんですね。

生熊:聞いた話もありますけど、えぐっているようなところは自分のトラウマみたいなこととか、処理しきれない感情をわざと書いている時もあります。母親がカウンセリングの資格を持っていて、僕が20代後半の頃、バンドのことですごく病んでいた時期に「インナートリップして、自分と向き合って、ちゃんと肯定してあげなきゃダメだよ」って言われたんですよ。それでやっとこういう歌詞が書けるようになりました。ちなみに、「NERO」は空想に近いものを書いています。黒猫の話なんですけど、1番は飼い主から猫に対して、2番は猫から飼い主に向けての歌詞で、その中で心や命のやり取りがちゃんとあって。

――確かに素直に読むと、猫と飼い主の話ですよね。ことごとく深読みしてしまいました(笑)。

生熊:いいですよ、ガンガン深読みしていきましょう(笑)。

――(笑)。〈あなた〉というワードだったので女性目線で、“NERO”というのが印欧語源で人、特に男性を表すということなので、去っていく男性へ向けた歌詞なのかなと。

生熊:その意味は含んでいます。大丈夫です(笑)! ただ、僕は女性や猫になったことはないので、どうしても想像の世界になるんですよね。

――この曲はイントロのリフがとても特徴的で、展開も面白いですね。

生熊:僕もこれはスリリングで面白い曲だなと思います。自信作です。こういうブギーみたいなツービートの曲は今まで作ったことがなくて。ちょっとジャズっぽくしたり、でもジャズよりはもうちょっとロックでヘヴィーなものを狙っていたりします。

――そして先ほどからお話に出ている「12-Twelve-」は、踊れるミディアムナンバーかつ切なさもある、ドラマティックな曲ですね。

生熊:彼が旅立ってから曲が書けないくらい落ち込んでいる時期があって、やっと書けた1曲目でした。父親と息子のような関係だったと思うんです。だけどこういう仕事をしているから、ずっと誰かに預けることもあったり。命についても学んだし、自分が思うようには側にいてあげられない、誰に対してもそうなんだなと。一番僕を知っているのは彼だったと思うし、本当に息子でした。その彼に対して〈GOOD BYE BOY GOOD BYE DAYS〉と言っているのかもしれないですけど、自分に言っていることでもありますね。彼がいなくなった時間がやっと自分を強くしたというか。どこかで甘えていた部分もあったのかなと。犬であろうが人であろうが、大事なものは失うまで気付かないんですよね。僕にとって一つの大きな節目でした。

――次の楽曲がアコースティックナンバーの「UNDER WANDER」というのが、温かくて救われます。

生熊:これもすごく前に書いた曲なんですよ。お蔵入りにしようとしていたら、TAKUMAくんが「この曲めっちゃええやん! やりなよ、一緒に歌いたいし」って、弾き語りのライブで一緒に歌ってくれたんです。客観的に僕を見てくれているTAKUMAくんが「この曲、こうちゃんに合ってるから」と言ってくれて。自分で書いているのに、メロディーは立ってないし、ちょっとあかんかなと思っていたら「ズバ抜けて良いから!」って言われて、ちょっとわからへんわぁ…と初めは思っていたんですけど(笑)、ライブで歌うようになって、僕の場合、張ったり攻めたりする曲が多い中で、こういう異世界なものを入れると逆にファンの人が喜んでくれるんですよね。これも僕の持つ歌の一つなんだなと今は思います。

――「SLOW STARTER」は生熊さんの声がとても堪能できる曲だなと。

生熊:ありがとうございます。これもちょっと空想の世界が入っているんですけど、タイトル通り、ゆっくりでもいいから何か始めたら変わっていけるんじゃないかなという。僕自身が本格的に歌を始めたのが37~38歳で、超スロウスターターなんですよね。ヴォーカリストだったら10代の頃から歌い上げて、40代になったら成熟されているはずなんですけど、僕はまだ若手みたいな歌い方をしていて。そういうことも含めて、ゆっくりでもいいからちょっとでも前に進めたり、誰かの背中を押せたらいいなぁと。だから、これは人に向けて書いているところが強いです。

――1番2番は男性目線、3番は女性目線ということでいいのでしょうか?

生熊:男女観というのはあまり考えていなかったんですけど、1番は僕から見た目線なのかもしれないですね。僕はサラリーマンではないので、そういう仕事帰りの人たちを客観的に見てイメージして書いていって、2番は俺と同い年の奴とか会社に揉まれて大変そうやし、「そっかそっか」と思いながら(笑)。3番は完全に女性目線ですね。なんか、自分の中で女々しい部分がちょっとあるのかもな。女性目線で書く歌詞が結構高評価を受けるんですよ。田澤くんが歌ってくれている女性目線の曲があって、「耕治さんが書いていると思うとキモいけど、めっちゃいい曲」と言ってくれて(笑)。次、全面的にそういうのもやってみようかな。

◆どこかで自分の気持ちを逃がさないと、人って壊れるんじゃないのかなって

――「I wanna say!!!」も既にライブで演奏している曲なんですよね。

生熊:〈Do it!!! Do it!!!〉というところを、例えば〈大阪!!! タコ焼き!!!〉って遊んでいる曲です(笑)。各地で地名や人名にして楽しんでいます。

――これはなぜTwitterをモチーフに歌詞を書いたんですか?

生熊:僕、SNSで病むんですよね。直に叩かれるし、やめればいいのにエゴサーチするし(笑)。それで凹むことや腹立つこともあったりしてSNS自体をやめたいと思っていたんだけど、今の時代にはすごく大事なツールなので、周りのミュージシャンから「やめたらあかん」と言われて。最近は無理のない程度に楽しんでやっています。元々はお客さんに〈Do it!!! Do it!!!〉って言わせたかっただけなんですけど、それだけじゃナンセンスだなと思って。ちょうどこの曲を作っている時にTwitterで腹立つことがあって、結局俺が振り回されてるわと思って、これは歌詞にして笑い飛ばすしかないなということで書きました。

――歌詞にできてよかったですね。

生熊:でも、Twitterで逆に救われることもあるんですよ。「俺もうあかん、才能ない」とか思っている時にしょうもないことを呟いたら、ファンの人が一生懸命答えてくれて、それに救われることもたくさんあるので、ネガティブなことばかりではないです。それもひっくるめて、こういう明るい感じの曲になりました。

――アルバムの中での分岐点というか、ブリッジになる曲だなと。次にある「garbage」は今作一の高速ナンバーでパンク的なノリの曲ですね。

生熊:普通のパンキッシュなものというより、ちょっとデジタルな要素も入れたくて同機を入れたりしています。

――この歌詞を書いた時も何か嫌なことでもあったんですか(笑)?

生熊:毒づいてますよね(笑)。特定の人物がいるわけではなく、人間ってホンマにクズやなと思うことがあって書きました。同機が鳴っているところで言っている言葉は、音を大きくして聴かないでください(笑)。あれはね、危ないんです(笑)。

――ライブではどうなるんですか?

生熊:同機で流します。でも、ここでめちゃくちゃ文句を言っているけど、ライブでは逆にめっちゃ褒めたらいいんちゃう?っていう話を赤松くんとしていて、めっちゃ高速で人を褒めるコーナーにするというのも面白いなと。「実はあそこ褒めてたんや、私らめっちゃ褒められてる~」って受け取ってくれたらいいよねっていう。でも最後、〈人間のクズが!〉って言うんですけどね。めちゃくちゃっすね(笑)。

――どうなるのか楽しみです(笑)。「善悪のパラレル」と「ANOMALY」は生熊さんの声色が他とは少し違うテイストだなと思ったのですが。

生熊:「善悪のパラレル」は言葉遊びみたいな感じで、表裏一体というものを面白おかしく書けたらいいなと思って。楽曲自体は割りと新しいほうなんですけど、ロックでグランジでパンキッシュ、それでいてメロウなものを作りたくて、声質はあまり意識してなかったですけど、結構シャウトしていますよね。まぁでも、これも怒ってます(笑)。

――「garbage」からの繋がりがいいですね(笑)。

生熊:結局怒ってるっていう(笑)。「ANOMALY」はテレビのニュースである事件を見て「人間ってエゲツなっ」と思ったのがきっかけで書いた曲です。施設で無差別に人を殺した事件があったでしょ? あれを見て、怖くなってきて。自分だって怒りはあるし、世の中に対するどうしようもない矛盾を感じることもあったりする中で、これはヤバい、このままいったらどんどん堕ちていくわと思って、なんとかその負の力を曲に変換して、自分にとっての救いを見出さないとヤバいなというくらい影響されてしまったんです。

――繊細なんですね。

生熊:意外とね(笑)。普段はそうでもないんですけど、スイッチがあるんですよ。子供が罪の意識なく言っちゃいけないこと、やっちゃいけないことをするのと同じように、純粋であればあるほど、世の中の矛盾や怒りに対応できない人がいるんじゃないかと思って。その気持ちをどうすればいいんだろうと考えたら、僕は曲にぶち込んだり、人によってはライブに行って騒ぐことだったり、カラオケに行ったり飲みに行ったりして、どこかで自分の気持ちを逃がさないと、人って壊れるんじゃないのかなって。だから、一つの逃避を肯定するというか。僕は自分自身がそうやって生きていないので、逃げ癖がある奴は大嫌いなんですけど、ただ、場合によってはそういうのも必要なんじゃないかなと、その事件があって初めて思ったんです。

――まさに最後の一節に〈逃げる勇気と 捨てる覚悟も ひとつの道と言えるでしょう〉とありますね。

生熊:楽曲としては、自分で聴いていて今作中一番アガる曲ではありますけどね。自分で「うわ、カッケー!」と思って。

――かなりギター推しですよね。そしてラストの「FISH」は約10年前の楽曲ということでしたが、一番古い楽曲にも関わらず、今作を綺麗にまとめている感じがしました。

生熊:cuneが止まった時にノート2冊分くらい自分の感情を書き殴ったものがあって、その中から伝えたい言葉をチョイスしてできた曲です。始めに水の音を入れているのは、母親から出てくるところからスタートする命の始まりと繋がりを表現したくて。当時書いた曲なので、言葉の使い方は幼いところもあるんですけどね。〈hallelujah〉というのは神を賛美する言葉かもしれないけど、僕は合唱する時に自分自身を賛美してほしいといつもファンの人たちに言うんです。自分の中の神とか、自分に対して歌ってほしい。音楽を没頭して聴く人や、小説とか詞を没頭して読む人って、どこかで救いを求めていたり、自己肯定力を探していたり、自分の中で一歩踏み出す背中を押してくれるものを探していると思うんです。それを最後に入れたかったというのがあって。

――コーラスに黒田倫弘さんが参加されているんですよね。

生熊:背中を随分押していただいて、とても感謝しています。ちなみに、実は「トナンの翼」が一番新しい曲なんですよね。足りないパーツだったんです。さぁここから飛ぼうよっていう意味のものを曲として持っていなかったので、絶対書きたいと思って、時間とレコーディングをさせていただく環境をいただいて、なんとか書き上げました。それでやっとちゃんとストーリーがある作品になれたのかもしれないです。

――「FISH」で〈空〉が出てくるのが、1曲目「トナンの翼」と繋がって、ループする感じもあります。

生熊:それも思っていたんです。繰り返し聴いてもらいたくて。CD時代の人なので、シャッフルせずに1曲目から聴いて、もう1回リピートして聴けるように曲順も考えました。だから、そう言ってもらえるとありがたいです。

◆地元関西を今よりも愛したい

――お話に出ている通り、今作には様々なミュージシャンの方が参加されていますが、レコーディングでの印象的なエピソードはありますか?

生熊:兄貴(黒田)のコーラス入れの時は、ライブで喉も疲れていて大変な時期に「歌いに来てくださいよ!」って言って、まさか来ないだろうなと思っていたらパッと来てくれて。いざ歌ってもらうと欲が出てきて、結局、結構歌ってもらっちゃいました(笑)。ベースは泰造くんもTAKUMAくんも昔からの仲で100%信頼しています。泰造はやり過ぎなくらいやり過ぎてますよね(笑)。

――グイグイきてますね(笑)。

生熊:それに負けじと、TAKUMAくんがすっごくいいベーシストになってきていて、彼のフレーズとかちょっとゾクッときますね。まぁ一番大変だったのは赤松くんかもしれないです。ドラムって短い時間の中でやってもらうことが多いので、「あかん、これ叩かれへんわ」っていう曲もあったんですけど、さすが頑張って叩いてくれました。

――11月12月にはリリースツアーがありますが、リリース日直前の9月17日にもライブが決まっています。

生熊:「真昼の月」というシリーズ的にやっているライブで、お昼にやるというただそれだけの話なんですけど(笑)、今までの楽曲と『12-Twelve-』の曲を混ぜてやろうと思っています。ベースはSadieの亜季くん、ドラムは赤松くんです。久しぶりのバンド形態のワンマンで、しかもアルバム発売日前なので、僕はここから加速していきたい、ここからスタートできるものもあるんじゃないかなと思っています。リリースツアーのほうは、2~3バンド若手の方と回って揉まれてきます(笑)。今回、大阪を最後にしたのは地元関西を今よりも愛したいというか。関西を大事にしているんですけど、なかなか伝わりにくいところもあったので、僕はツアーのスタートかファイナルは絶対に関西にしようと決めたんです。大阪を咲かせようみたいな感覚ですね。

――サポートの皆さんも関西の方々ですもんね。

生熊:そうなんです。もちろんどこの会場も盛り上げるんですけど、関西はせっかくの凱旋なので、特に盛り上げたいですね。

――Vif初登場ということで、最後に読者へのメッセージをお願いします。

生熊:長々と読んでいただいて、ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。ぜひ音源を聴いて、ライブに来てください。そして、Vifを今後も毎日チェックしてください!

(文・金多賀歩美)

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ARTIST PROFILE

生熊耕治

<プロフィール>

2002年、cuneのギタリストとしてシングル『リフレイン』でメジャーデビュー。2006年の活動休止を経て、2010年に再始動、現在はヴォーカル&ギターを担う。2012年、ソロ名義で活動開始。これまでにシングル2枚、ミニアルバム1枚、アコースティックアルバム1枚をリリース。精力的にライブ活動を展開し、近年では「真昼の月」と題したコンセプトライブやアコースティックライブ、黒田倫弘とのカップリングツアー、田澤孝介との47都道府県ツアーなど、様々なステージを繰り広げている。2017年9月20日、1stフルアルバム『12-Twelve-』でソロとしてもメジャーデビュー。16日にLIVE&TALK、17日にワンマンライブ、さらに11~12月には東名阪ツアーの開催が決定している。

■生熊耕治 オフィシャルサイト
https://kouji-ikuma.amebaownd.com/
■cune オフィシャルサイト
http://cune-official.com/

【リリース情報】

12-Twelve-
2017年9月20日(水)発売
(コロムビア・マーケティング)

12-Twelve-
QAFJ-10004
¥3,000+税
amazon.co.jpで買う

【収録曲】

01. トナンの翼
02. VEGA
03. Golem
04. NERO
05. 12-Twelve-
06. UNDER WANDER
07. SLOW STARTER
08. I wanna say!!!
09. garbage
10. 善悪のパラレル
11. ANOMALY
12. FISH

【ライブ情報】

●生熊耕治LIVE&TALK「12-Twelve-」
9月16日(土)赤坂SO-DA
ゲスト:赤松芳朋(SOPHIA、HATAKAE BAND、S.R.O.D.)

●生熊耕治 ワンマンライブ「真昼の月」
9月17日(日)下北沢LIVEHOLIC

●Acoustic Tour 2017-Beehive- 【生熊耕治×masaya】
9月24日(日)福岡brick
9月25日(月)広島LIVE JUKE

●生熊耕治Release Tour 2017「12-Twelve-」
11月23日(木)名古屋R.A.D
12月9日(土)東京 六本木Varit.
12月17日(日)大阪2nd LINE
サポートミュージシャン:亜季(B/Sadie)、赤松芳朋(Dr/SOPHIA、HATAKAE BAND、S.R.O.D.)