インタビュー

AKIHIDEインタビュー

AKIHIDE

初のソロアルバム『Amber』で描く人生の旅。
流れ行く時の中でAKIHIDEの根底にある変わらない想いとは。

2012年末、ソロ活動を行うことを発表したBREAKERZ。そのギタリスト・AKIHIDEが自身キャリア初となるソロアルバムをついに世に送り出す。彼のギターヴォーカルで奏でられる全11曲(※通常盤は12曲)は全曲AKIHIDE作詞作曲、さらにアートワークも全面監修と、“アーティスト・AKIHIDE”の思いが余すことなく詰め込まれている。本人曰く「自分密度が濃い」「私小説」という面を持つ今作について、じっくりと話を聞いた。

◆昔から変わってない自分の伝えたい部分

――今作は作品全体がアートという印象がとても強かったのですが、どのような作品にしたいと思って制作に臨んだのでしょうか?

AKIHIDE:BREAKERZとしての活動の中で一つの区切りとしてソロ活動をやってみようという話があった時に、何をやろうかなと思って。今までずっとバンドをやってきていたので、ソロとしての活動はやったことがなかったんです。誰かとやって、そこで生まれる意外性だったりケミストリーを楽しんでいたんですけど、一人っていうのは本当に初めてで。ただ、せっかくだから一人でも何か作らないといけないなと。物を作るのが好きなので、詞も書いてアートワークも自分で考えて、伝えたい思いがすごくあったので、そのためには自分が歌うことで気持ちが100%伝えられるかなと。とにかく自分が携われるものは全部携わって、自分密度が濃いものをソロの一作目として出したいなと思いました。

――楽曲の制作方法としては、BREAKERZとソロで違いはありますか?

AKIHIDE:実は、今作はソロ活動が決まってから作ったものは基本的にないんですよ。自分の音楽人生の中でそれぞれのタイミングで作った曲で、音源化せずに残っていた曲、いつか発表できるかなと思って溜めていた曲を凝縮した作品なんですね。なので、昔のバンドの時の曲もあれば、BREAKERZの時に作った曲もあります。 自然に生まれてきたものだけど、自分としての純度が高すぎて今回のタイミングを待っていたような曲たちが集まりました。曲を意識して作ったというよりは、今までの自分の人生の楽曲を凝縮した感じのアルバムになりますね。

――一番古い楽曲はどれですか?

AKIHIDE:「星の王子さま」(※通常盤のみ収録)は、もう7、8年くらい前に作った曲で。前のバンドを始めた頃に作った曲なので、この曲が今回のボーナストラックとして入っているのは、ある意味運命っぽいなと思いましたね。

――改めてレコーディングしてみて、気持ちや音楽的に当時と変わった部分はありますか?

AKIHIDE:全曲そうなんですけど、BREAKERZの経験を経た今の自分のフィルターを通すと、これじゃないなっていうところもあったりして、要所要所変えてるものも多いですね。だけど、その時に思っていたパッションみたいなものはなるべく残してあります。改めて歌うと「あんまり変わってないな、俺」っていうのは感じましたね(笑)。今も昔も、根底にある“光と闇”とか好きですし、“生と死”っていうのもよくテーマにしてます。 “悲しみと希望”といった相反するものを共存させたいっていうのが昔から変わってない自分の伝えたい部分なんだな、と改めて感じましたね。

――物語の題材はそれぞれ違いますが、“別れ”を描いたものが多いですよね。

AKIHIDE: 死生観っていうのが昔から強くて。自分自身の人生を投影している私小説っぽい歌詞や世界観が強いんですけど、自分の父親が亡くなった時に自分を救ってくれたのが音楽だったりしたので、そういう時に吐き出したものがすごく自分の根底にあったりするんです。あとは震災があった時の歯痒さみたいなものはずっと根底にあり、それが自然と自分の中で核としてあるので、吐き出してしまうとそういう曲ばかりになってしまうんです。でも、どの曲もそこに“希望”は絶対入れたくて、そこは無くさないようにしてます。それがあるから自分も前向きに変わってこられたので。人生の中ですごく悲しいことがあるのは誰でもそうじゃないですか。だからこそ、前向きに進む力を一緒に持って生きていきたいなというメッセージは込めてますね。

――歌詞の中に“涙”というワードがたくさん出てくるのも印象的で、『MOON SIDE THEATER』(※1)の世界観ともリンクする部分があるなと思いました。個人的に「世界の果て」と「あおいなみだ」は何回見ても泣いてしまいます。

AKIHIDE:あー! ありがとうございます。

――なので、本当に根底にあるものが同じなんだなと実感しました。

AKIHIDE:そうですね。素材は全部一緒なんですけど、その料理の仕方が違うというか。『MOON SIDE THEATER』みたいな物語になっていたり、今回はいろんな楽曲のアレンジだったり形を変えて表現してるんですけど。確かに、基本的に伝えたいことは変わってないですよね。

――「涙の河」の最後の英語の語りの部分は、『MOON SIDE THEATER』の「旅立ち」に出てくるフレーズと同じことを言っていますよね。

AKIHIDE:そうですね。あれ僕の声なんですけど、わかりました(笑)?

――あ、わからなかったです(笑)。

AKIHIDE:意外と誰も気付かないから、そろそろ言わないといけないなと思って(笑)。基本的にそういうテーマが強いんですよね。生まれてきたこと自体も選んだわけではないじゃないですか。でも時間は流れていく。進むものだから、それをどう自分が前向きに捉えられるか、受け入れられるかという世界だと思うんです。それは自分自身の人生もそうなんですけど。そういうテーマはね、すごく自分も言われたいし、言いたい。自分が聴きたい作品を作りたかったので、そういう意味で自分が一人のリスナーとして聴きたい作品は作れたんじゃないかなと思っています。

◆僕っていうのは僕一人では僕じゃなくて

――ところで、AKIHIDEさんはギター以外の各パートのフレーズも作曲段階で見えているものですか?

AKIHIDE:結構そうですね。今回は特にそれぞれストーリーもありますし、人生を旅に例えるという一つの壮大なテーマがあったので、サウンドトラックみたいなイメージがあったんですよね。そうすると、ストリングスだったり、「サーカス」だったらアコーディオンを入れようとか、いろんな楽器のアイディアが自然と湧いてきましたね。

――特に試行錯誤した楽曲、フレーズはありますか?

AKIHIDE:ギターに関して言えば、あんまり苦労してないですね。素直に弾いた感じです。BREAKERZと違うのは、シンプルにワンギターで伝えられるものをやろうと思いましたし、ギターソロは歌えるようなメロディにしようと思いました。こだわったり大変だったのは歌ですね。歌は久々でしたし、伝えるためにどう表現したらいいんだろう、どう歌ったらいいんだろうっていうのは結構苦労しましたね。

――一番苦労したのはどの楽曲ですか?

AKIHDIE:どれも苦労したんですよね(笑)。「Hello! Mr. Sadness」が一番最後の頃のレコーディングだったんですけど、この頃になると連日歌い過ぎてて、なんて言うんですかね…段々自分の知らない声になってきて(笑)。それが逆に、こう歌えばいいのかなっていう発見ができました。結構何度も歌い直したので、どれも大変でしたね。でも、その先に聴いてもらえる人がいるっていうのが頭の中にあったので、がんばれました。

――色合いは様々ですが、どの楽曲もAKIHIDEさんらしいなと思いました。ご自身で一番自分らしいなと思う曲を1曲挙げるならどれでしょうか?

AKIHIDE:難しいですね(笑)。ただ、今回はアートワークも含めての作品で、特にCDジャケットのアートワークに関しては、アトリエに4日間くらい籠っていろいろ作ったんですね。僕が大変というよりはスタッフさんが大変で、部署を超えてみなさんそれぞれの仕事もある中、夜遅くまで手伝ってくださったりして。今回、みんなで一つのジャケットワークを作れたら楽しいかなと思って、ファンの方にハガキを送ってもらったんです(※2)。ライブやイベントだと来られない人もいるし、みんなが気軽に参加できるものができたらいいなと思って作ったのが、この花(ブックレット内「Hello! Mr. Sadness」ページのアート作品)なんです。最初は一人で孤独に作業を始めてるんですけど、結局たくさんのスタッフさんに支えられていて、たくさんのファンの方に支えられていて。そういう人たちの絆があって今の自分がいるんだなっていうのを、この花を作った時に強く感じたんですね。「Hello! Mr. Sadness」は孤独や寂しさを明るくしようっていう曲なんですけど、逆にそういう絆をすごく強く感じられた曲なんです。だから、この中で一番僕っぽいっていう意味で言うと、僕っていうのは僕一人では僕じゃなくて、みんなに支えてもらって、みんなと繋がって“『Amber』AKIHIDE”っていうものになれたとしたら、「Hello! Mr. Sadness」が一番それを表してると思いますね。涙なくしては、という本当に素晴らしい作品をみんなで作れました。

――ハガキは一枚一枚読みましたか?

AKIHIDE:もちろんです。本当に一つ一つストーリーがあって。切実なお話もありましたし、「お金持ちになりたい」とかもありましたし、赤ちゃんが落書きしたような可愛らしいものもありました。この茎の部分はスタッフさんに書いてもらったもので出来ているんです。なので、スタッフさんが支えて、ファンの方たちの花が咲いて…意味合い的にも絵的にもすごく素晴らしいものができたと思います。…で、この4日間の作業中にしんどくて必ず口に入れていたのが“キットカット”なんですよ(笑)。すーごい食べてました(笑)。

――糖分摂取(笑)。

AKIHIDE:(笑)。本当に朝から夜中まで朦朧としながらずっとやってましたから。でも、みんなでワーキャー言いながらやってたので最高でしたけどね。本当に感謝の作品です。

――今回はアートワークがAKIHIDEさん全面監修ということで、アーティスト写真とジャケット写真はどんなコンセプトなのでしょうか?

AKIHIDE:モノクロはやりたいなと思ってました。モノクロって想像色って言うらしいんですね。僕の絵もモノクロが多いんですけど、色がないことで色を想像させるというか、見る人側で色を付けられる。それがすごく好きです。今作は自分の思いとか私小説なところがすごく強かった分、聴いた人にとってそこからその人のストーリーに繋げてほしいというのがあったので、モノクロのジャケットでそこからそれぞれの色を想像してもらえたらと思います。

――なるほど。「Hello! Mr. Sadness」の花もそうですが、ブックレットはすごく凝ったコラージュ作品ですよね。全体の完成までにはどのくらい掛かったんですか?

AKIHIDE:最初のアイディアからいったら去年の秋くらいから始まってますね。実質アトリエ作業は4日間なんですけど。最初から考えると4、5ヶ月くらい掛かってるんですかね。大きいので見応えもありますし、いつかファンの方たちに見ていただける機会を作りたいなと思ってます。

――実際のアート作品は結構大きいんですか?

AKIHIDE:実際見たら「でか!」って言うくらい、2メートルくらいはありますかね。だからパワーがすごいんですよ。その作品に歌詞も直接貼ってるんです。CGじゃないんですよ。なるべくアナログでやろうと思って。今の時代にあえてそうすることで、何か伝わることがあるかなと思ったんです。見ても聴いても楽しめる作品にしたかったので、実際手に取ってもらったら「おー」と思ってもらえると思います。

◆喋りまくりますよ(笑)!

――MVは「星の狂想曲」ですが、この楽曲をアルバムのリード曲にした理由というのは?

AKIHIDE:“静と動”とか“明と暗”とか“綺麗なものと汚いもの”っていう相反するものを入れるのが好きで、それが凝縮されているアルバムなんですけど、それが一番わかりやすく色濃く出ているのが「星の狂想曲」かなと。アレンジ的にも急に静かになったり激しくなったりしますし、1番と2番で急に歌詞の世界観が変わりますし。綺麗な話かなと思ったらドロドロした話だったんだなっていう。そういう相反するものがすごくうまく詰められていてこれを映像化したらカッコよくなると思ったし、曲的にも『Amber』の世界観がわかりやすくなると思ったので選びました。

――率直にかっこよかったです。

AKIHIDE:ありがとうございます(笑)。自分がヴォーカルとして歌ってるMVの経験がなかなかないので、試行錯誤しながら作ったんです。ギターなしで歌うシーンはすごく大変でしたね。今までの人生にないので、そのぎこちなさがおもしろかったですね。

――やっぱりギターを持ってないと手持ち無沙汰ですか?

AKIHIDE:もうダメです。不安でしょうがないですよ。ギター症候群です(笑)。やっぱりギターあっての自分なんだなって。ライブでは絶対ギターを持って歌うと思います。

――先ほどから思ってたんですが…BREAKERZでの取材時と雰囲気が違いますよね(笑)。

AKIHIDE:そりゃ違いますよ(笑)! 僕しかいないですからね、喋りまくりますよ(笑)!

――テンションも違うなと(笑)。

AKIHIDE:そうですね。たぶん話し方も声のトーンもスピードも違うと思います。

――確かにスピードが違います(笑)。

AKIHIDE:だいぶ早いですよね(笑)。トーンも高いと思います(笑)。今回の作品は僕なりに隠しのメッセージをいろいろ込めてるんです。ヒントがないと分かりづらいところもあるんですよ。インタビューしていただいてすごく有り難いのは、そういうヒントをインタビューに散りばめられるじゃないですか。読んだ方がさらに作品を振り返った時に「あ、そういう意味だったんだ」っていうのがより出やすい作品だと思うんですよ。そう思うと伝えたいことがあり過ぎて、つい喋り過ぎるっていう傾向なんです。理由を今説明すると(笑)。

――(笑)。聴けば聴くほど、読めば読むほど、見れば見るほど、いろいろ見えてくる作品だなと思います。個人的には『Amber』を聴くと『MOON SIDE THEATER』が見たくなって、『MOON SIDE THEATER』を見ると『Amber』が聴きたくなるというループです。

AKIHIDE:そんな相乗効果が。ありがとうございます。『MOON SIDE THEATER』も見ていただけると有り難いですね。あれが原点なので。

――あちらも今後新しい作品は作りますか?

AKIHIDE:そうですね。作りたいなと思ってます。

――さて、6月15日からツアーがスタートしますが、ソロライブに向けての心境はいかがでしょうか。

AKIHIDE:一発目のツアーということでお客さんと作り上げていく部分が大きいので、すごく楽しみですね。ライブハウスなので演出的にはシンプルにして、サウンド面で音のバトルみたいなものをフィーチャーして『Amber』をライブバージョンでより進化させたアレンジにして披露したいです。ギターも弾きまくろうかなと。そういうところを見ていただけたらいいかなと思ってます。あと、NEVER LAND(※前バンド)の曲もたぶんやるので、知っている方はそれも楽しみにしていただけるでしょうし、もしかしたらBREAKERZの曲もやるかもしれないし。いろいろおもしろくできたらいいなと思います。

――ライブの光景は結構想像できていますか?

AKIHIDE:そうですね。初めての事ということでいろいろ準備をしたので、自分なりには“らしい”ライブにできるんじゃないかなと思ってます。全公演同じスタンスで最高のライブをするつもりです。音として魅せようと思うので、そこはがんばろうと思います。

――楽しみです。ちなみに、DAIGOさんとSHINPEIさんは既に『Amber』はお聴きになっているんでしょうか。

AKIHIDE:わかんないんですよね、最近会えていないので(笑)。それぞれ活動を始めているので、いろいろ準備で忙しいと思うんですよ。会えたら意見を聞きたいですよね。ただ、みんなも良いものを作ってるだろうから、僕もみんなの作品を楽しみにしてます。自分自身良い活動をしてBREAKERZに良い形で戻ってこれるように、一生懸命がんばります。今は三色のそれぞれの色を見られるので、そこをファンの方は楽しんでいただいて、新たな虹色になったBREAKERZを見ていただけたらなと思います。

<脚注>
※1:AKIHIDEが作画、音楽、WEBデザイン全てを制作している、2003年に開設したオンライン絵本コンテンツ。
※2:『Amber』のブックレット制作に当たり、ハガキに「夢」や「希望」を書いたものを募集。そのハガキを使用し一つのアート作品を制作した。

(文・金多賀歩美)

AKIHIDE

<プロフィール>

2001年、FAIRY FOREのギタリストとしてメジャーデビュー。2003年、FAIRY FORE脱退。2004年、NEVER LANDを結成しギターヴォーカルとして活動を始める。2007年、NEVER LAND解散。同年BREAKERZ結成。これまでに様々なアーティストのサポートギタリストや楽曲提供も行ってきた。また、2003年にオンライン絵本コンテンツ『MOON SIDE THEATER』を開設、2012年に絵本『ある日 ココロが欠けました』を出版する等、アート作品も手掛ける。BREAKERZデビュー5周年を経て、2013年よりソロ活動をスタート。1stアルバム『Amber』を引っさげ、6月15日の大阪 amHALLを皮切りにツアーを開催する。


■オフィシャルサイト
http://akihide.com/


【リリース情報】

初回限定盤
CD+DVD
ZACL-9063
¥3,800(tax in)

通常盤
CD
ZACL-9064
¥3,059(tax in)


『Amber』
2013年6月5日(水)発売
(ZAIN RECORDS)
BREAKERZギタリスト・AKIHIDEの初ソロアルバム。全曲作詞作曲、アートワークも全面監修した“アーティスト・AKIHIDE”が詰まった一枚。

【収録曲】
[CD]
01. 涙の河
02. 愛しのヴァルキュリア
03. 星の狂想曲
04. 黒猫のTango
05. 桜雨
06. サーカス
07. LION
08. マリア
09. 蜘蛛の糸
10. ダッシュ
11. Hello! Mr. Sadness
bonus track. 星の王子さま(※通常盤のみ)
[特典DVD](※初回限定盤のみ)
・「星の狂想曲」Music Clip
・アルバム「Amber」の完成までを追ったドキュメント映像