A9 come back スペシャル

A9 come back スペシャル パーソナルインタビュー 沙我

A9パーソナルインタビュー第2弾は、ベースの沙我。8月23日に行われた11th Anniversary Live「Re:birth-飛翔-」について話を聞くと、先にインタビューを公開したNaoと共通する部分もありながら、異なる感覚もあったようだ。そして、思いがけずプライベートな話題満載となった今回の取材において、これまで以上に“沙我”という人間が見えてきた。

◆一緒に歌いたかった

――まずは、8月23日のライブの率直な感想を教えてください。

沙我:やっぱり、ファンの子たちの待っていたというエネルギーを感じましたよ。ファンレターを読むのにこんなに時間がかかったのは初めてでしたね。重いファンレターがいっぱいありました。すごい文章量でしたね(笑)。手紙自体の数もいつもより多かったんですけど、一人ひとりの枚数が多かったなと(笑)。本当に待っていたんだなというのが伝わりました。

――完全復活を遂げた実感はありますか?

沙我:結構前からありましたよ。「Phoenix」(2015年3月)を出した辺りから、始まってるなという感じはしました。

――オープニングの「PRAY」のあとに幕が下り、フロアが見えた瞬間はどんな感覚でしたか?

沙我:ちょっと恥ずかしい気持ちでしたね(笑)。最初からステージ上にいて、幕があって、それが落ちるという演出が僕はどうしても恥ずかしくて(笑)。今までも節目節目でそういう演出はありましたけど、なんかね…照れちゃうんですよ(笑)。

――歓声に迎えられて、ステージに出ていくほうが自然な感じですか?

沙我:そうですね、普通に出ていったほうがテンションが上がるんですよね(笑)。どうしても、あれはいつも…なんか、2曲目くらいまで照れてるんですよね。

――そうなんですね(笑)。今回のセットリストはスムーズに決まったんですか?

沙我:普段と比べたら早いほうでしたね。今回はメンバーのソロコーナーを入れるというのが新しいチャレンジだったんですけど、この1年、メンバー個人での活動が増えてきたので、個人をフィーチャーした見せ方というのを盛り込んだらどうかなと思ってやってみました。

――Naoさん曰く、数日前に沙我さんが急にやりたいと言い出したという、沙我さん&Naoさんのドラムセッションがありましたが。

沙我:あれは元々ベースとドラムでやる予定だったんですけど…飽きちゃって(笑)。何か面白いことないかなぁと思って、ドラムを二人でやるのはどうかなと思い付いたんです。僕は楽しかったですけど、ちょっと長かったので、あの長さは初日だけのサービスということにしておこうかなと(笑)。

――見られた方々はレアですね。リズムは沙我さんが考えたんですか?

沙我:大枠はそうですね。

――あのセッションは確かにとても楽しそうでした。

沙我:あれは楽しかったです。ベースを持ってない時が一番楽しいんですよ(笑)。気楽で。ベースはちゃんと弾かなきゃと思うから。

――なるほど(笑)。「すべてへ」をラストに持ってくるというのは、結構早い段階から決まっていたんですか?

沙我:最初、「the beautiful name」か「すべてへ」どっちかかなと思っていたんですけど、いつも「the beautiful name」で終わっているし、一緒に歌いたいなというのがあったので、「すべてへ」を選びましたね。

――1年前の1曲目だったんですよね。

沙我:そうですね、それはちょっと頭の中にはありましたね。あと、バランスよく曲を入れたくて、各アルバムから均等に曲を出したいなというのが、なんとなく意識としてあるんですけど、『Supernova』の曲は、次のツアーでも絶対にやろうと思っていたものはやれました。ツアー中に、この曲はもうやらないな、これは絶対やるだろうなっていう曲は、なんとなくわかるんですよね。

――「開戦前夜」はもう鉄板曲になっていますよね。

沙我:そうですね、あれはそうしようと思って、ひたすら行き切れる曲がほしいなと思って作った曲なので。あとは、セットリストを決めているのは僕なので、そりゃ入るなという感じです(笑)。

――(笑)。ちなみに、「ハイカラなる輪舞曲」のベースソロの後に、沙我さんがベースのネックにキスしたところが…

沙我:良かったですか?

――良かったです(笑)。

沙我:あれぐらいソフトな感じでいいかなと思って(笑)。一時期ちょっとおかしかったですからね(笑)。

――(笑)。新曲たちを初めてステージで披露してみて、感触はいかがでしたか?

沙我:予想より反応がいいなというものもあったし、こんなものなのかというものもあったり。ツアーでもっとブラッシュアップしていきたいなと思いましたね。やっぱり、俺らの演奏もまだまだなんですけど、ファンの子たちも戸惑いがあるのがわかりましたね。どうノったらいいんだろう、みたいな(笑)。

――「道化師」や「銃弾」は、ちょっと難しそうでしたね。

沙我:浸透すればすごく楽しい曲になるんでしょうけど、結構複雑なので、慣れないうちはどうノったらいいんだろうって感じだと思いますね。ツアーが終わる頃には浸透していると思います。

――そうですね。では、この日最もグッと来た瞬間、心に残っている場面を教えてください。

沙我:ん~…、やっぱり「すべてへ」をみんなで歌ったところですかね。あとは、その後にアンコールの声がずっと鳴っていたので、その辺りがグッと来ました。それまでは、グッと来るというより、1年ぶりだったので、ちゃんと演奏するということへの意識ばかりで、あんまり余裕がなかったんですよね。「すべてへ」は割と余裕を持って、ファンの歌声もいいなと思いながら聴けましたね。

――改めて、ツアーに向けての意気込みをお願いします。

沙我:結構形を変えていくツアーになりそうだなと思いましたね。今までは、初日からあまり変わらなかったんですけど、今回はちょいちょい変化していきそうだなと。新しい見せ方もあって新曲も多いので、まだ固まり切っていない部分もあったり。やりながら成長していく、良くなっていくような雰囲気がありますね。毎回ちゃんと何が良かったか、ダメだったかを見直しつつ、一回一回大事にやっていきたいなと思います。

◆実は俺、モテる男なんですよ

――今後のA9、どのようなバンドを目指したいですか?

沙我:スタジオにちゃんと時間通りに来るバンドにしたい…それだけですかね(笑)。

――そこですか(笑)。

沙我:時間通り始まるバンドになりたいですね。なぜか始まらないので…。ルーズな僕が、このバンドの中ではルーズランクが低いほうなんですよ。僕よりも上位の人がいっぱいいるので。

――いっぱい(笑)。一番キッチリしているのは、どなたなんですか?

沙我:最近はもう僕ですね。一般社会ではたぶんルーズなんですけど、その僕が一番とかヤバいなと。だから、ちゃんと時間通りに来るバンドになれるように、ファンの子たちも厳しく叱ってやってください(笑)。大変ですよ、本当に(笑)。

――ところで、8月23日のライブを終えて、沙我さんはどんな二日間(※取材日は8月26日)を過ごしていたんですか?

沙我:一歩も家から出なかったですね。ヒロトは携帯の電源をオフにして、海に行くとか言っていましたけど(笑)。僕は何もしてなかったですね。これからツアーが始まるので、なるべく家にいたいなと(笑)。出たい気分にならなかったです。料理を作ったくらいですかね。

――沙我さんも自炊するんですね。

沙我:最近するようになったんです。出前とかばっかりだと、さすがに体が重いなという時があって(笑)。あとお金も浪費しちゃうので、自炊しなきゃと思って。料理って、プラモデルとか曲作りに近い感覚なんですよね。だから、意外と嫌いじゃなくて。すんなりやっちゃっている自分がいるんです。

――こだわりだすと、どこまでもこだわれちゃいますよね。

沙我:そうなんですよねぇ。こだわっているつもりはなかったんですけど、もっと美味しくならないかなとか考えているうちに、もっと良い素材を買いたいなとか。

――それは、もうだいぶハマってますね(笑)。

沙我:サラダ油じゃなくて、もっと美味しいのないかなみたいな(笑)。そうやって知らない間に美味しくなっていくんでしょうね。最初、玉ねぎも切れなかったんですよ。目が痛くて。

――沙我さんはデモ作りが緻密ということなので、お料理もすごくこだわりそうですね。

沙我:細かい作業が好きっぽくて。特にカレーとか自由な料理は、新しいものを作りたい!みたいな気持ちになって(笑)、これを入れたらどうだろうってアレンジしたりしますね。食べるのは自分なので、自分が美味しければそれでいいやという感じで。

――誰かに振る舞ったことはあるんですか?

沙我:一度もないですね。ヒロトの料理は食べたことがあるんですよ。ヒロトの家で作業をしていた時に、パスタを作ってくれたんです。美味かったですけど、俺もそれに追いついたなと思いますね。

――沙我さんの、最近これは上出来だったなというお料理は?

沙我:回鍋肉と青椒肉絲ですかね。中華って言っても、日本で食べる中華って日本食なんだなと思って。僕好みの中華を作ろう、みたいな感じ。高いピーマンを買って、どれぐらい炒めるかとか時間もちゃんと計って、きっちりしてますよ。

――性格が出ますね。ちなみに、今後チャレンジしたいお料理は?

沙我:鮭のムニエルとか、魚料理を作りたいですね。魚がね、さすがにちょっとめんどくさいんですよ。臭いし、料理した後の掃除が大変だし。けど、魚はやっぱり美味いので、月に1回はやってもいいかなという感じで。挑戦したいですね。

――だいぶプライベートなお話が伺えました。

沙我:実は俺、モテる男なんですよ(笑)。モテる要素もあるんですよ。

――モテ要素満載じゃないですか(笑)。

沙我:清潔感もあるし綺麗好きだし、きっとモテますよ(笑)。

――綺麗好きなイメージはありますね。

沙我:髪の毛1本たりとも許しません。発見した瞬間にサッと掃除しにいきます。掃除は1日に2、3回やっていますね。でも、潔癖性っていうわけじゃないんですよ。

――他人には望まないんですか?

沙我:望まないですね。自分がやればいい、みたいな。でも、A9の楽屋がめっちゃ汚いんですよ。

――それは、どなたが一番の要因なんですか?

沙我:虎、Naoですね。最近ちょっとやべーなと思いました。でも、自分の家は全部自分がやるというだけで、その他は絶対こうじゃなきゃダメ、みたいなストイックな感じではないですよ。なので、これもモテ要素ですね(笑)。

――そうですね(笑)。プライベートなお話が盛りだくさんになってしまったので、A9として今後挑戦してみたいことを教えてください。

沙我:フットサルをしたいですね。みんな、やるとは言わなそうだけど(笑)。昔、番組でやったんですけど、またやりたいです。

――音楽的な部分では何かありますか?

沙我:う~ん、楽器を変えて面白いことをやってみたいなというのはありますね。

――沙我さんは色々な楽器に興味があるタイプですよね。

沙我:そうなんですよ。ベースだけやるのは、なんか人生もったいないなと思って。色々な楽器が面白い。なんか面白い画を作りたいですね。ツインギターにベース、ドラムって、もう40年くらい前からある形じゃないですか。何か新しいバンドの見せ方みたいなものが、そろそろ生まれそうなんですよね。実験的なものをやってみたいですね。

――何が生まれるか、楽しみです。

沙我:うん、きっと何かやりますよ。

(文・金多賀歩美)