2013.12.13

acid android@新木場STUDIO COAST

「acid android live 2013」

 

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yukihiroのソロ・ユニット=acid androidが、12月13日に東京・新木場STUDIO COASTにてライヴを行った。4月以来、約8カ月ぶりのワンマンとなる今回は、ギターにKENT(Lllies and Remains)、ドラムに山口大吾(People In The Box)をサポートとして迎え、ここ最近のacidのライヴではおなじみの3人編成となった。

 

ステージの前面に薄いベールがかかったままの「unsaid」でライヴがスタート。3人のシルエットがかすかに見える中、一発目のバス・ドラムの音にフロアが振動する。大規模クラブ・イベントにも余裕で対応する会場だけに、迫力十分の重低音だ。そのキックにクランチ・ギターとシンセ・ストリングス、そしてyukihiroのささやくようなヴォーカルが交わり、淡々と曲が進行していく。VJが映し出すミニマルな映像も相まって、無機質な美しい世界観に一気に会場が引き込まれていった。

 

2曲目「intertwine」の途中でベールが開き、3人の姿が登場。yukihiroらしい細かなシーケンス主体の曲だが、CDよりもギターのテンションが抑えられ、逆にエモーショナルさが増している。acid androidのライヴにシンセのシーケンス・パートは欠かせないが、当然ながらyukihiroがライヴ用のアレンジを施しているほか、さらにKENTと山口も自らの担当パートに対してアレンジを行っているという。CDをそのまま再現するのではなく、ライヴ用として常にアップデートを繰り返す辺りにyukihiroの尋常ならぬこだわりがうかがえる。

 

「balancing doll」「imagining noises」「gamble」と続き、ダウンテンポの「pause in end」もライヴ・アレンジのシーケンスが聴ける一曲。「purification」を挟んで「swallowtail」も、イントロにライヴ用の改変が加えられている。そうした楽曲の新鮮な一面にも増して、yukihiroのステージングが独特で興味深い。MCなどは一切無く、別世界にいるような落ち着きぶりで淡々と曲を歌い続けていく。バンド・サウンドの印象としては、先述したバス・ドラムの迫力、そしてスネア・ドラムの豊かな響きによるメリハリのあるビートが心地良い。その上でギターやシンセが縦横無尽に動き回るサウンドも大いに耳を刺激してくる。

 

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ここで、何と新曲を立て続けに3曲披露。1曲目は直線的なビート+yukihiroにしてはカラフルなコード進行のナンバー。2曲目はイントロのシンセ・ベースとサビの美しいシンセが、yukihiroの敬愛するデペッシュ・モードの影響を感じさせる。3曲目は横乗りの大きなグルーヴに、シューゲイザー的な混沌としたギターが合わさった楽曲。次作に収録されるのかは分からないが、今後の新たな方向性を予感させるものだった。

 

切れ味鋭いディストーション・ギターの「i.w.o.m.f.p.p just an android」、ドラムンベース的要素を取り入れた「egotistic ideal」、4つ打ちで盛り上がる「daze」と続き、ここでも新曲をもう1曲披露。ニューレイブ的な印象のロック・ナンバーだった。そして、イントロがインダストリアル音で始まるライヴ・アレンジの「violent parade」、唯一無二の名曲「violator」でライヴはクライマックスを迎えた。

 

メリハリのある選曲で、オーディエンスを全く飽きさせず17曲を聴かせ切ったyukihiro。暑苦しさとは一切無縁の、クールなたたずまいが印象的だった。acid androidにとって2013年の集大成とも言えるこのライヴ、ロックもインダストリアルもテクノも超越して、オーディエンスはまた一つ貴重な音楽体験をしたのではないだろうか。

 

◆セットリスト◆

01. unsaid

02. intertwine

03. balancing doll

04. imagining noises

05. gamble

06. pause in end

07. purification

08. swallowtail

09. (new song)

10. (new song)

11. (new song)

12. i.w.o.m.f.p.p just an android

13. egotistic ideal

14. daze

15. (new song)

16. violent parade

17. violator

 

(文・篠崎賢太郎 / Kentaro Shinozaki〈サウンド&レコーディング・マガジン〉/写真・岡田貴之)

 

 

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