2013.8.12~8.16

BORN@高田馬場club PHASE
「BORN BATTLE in SUMMER 2013!!【DIE or DIE】」

 

 

この夏、5日間に渡って行われたBORN主催の2マンライブイベント「BORN BATTLE in SUMMER 2013!!【DIE or DIE】」。「勝って死ぬか、負けて死ぬか」という極限のテーマを掲げた彼らが対バン相手として選んだのは、ニューロティカ、DEZERT、Jin-Machine、lynch.、Crack6の5バンド。

常ではなかなか実現しない異色の2マンライブ、そして事前のインタビューで「“サプライズ”を計画していると」と話していたRay(G)の言葉通り、毎日異なるテーマで様々な角度からBORNを堪能できたことも、このイベントの醍醐味。

常に「翌日のことを考えずにライブをやる」ことを信条としている彼らだが、ハードな5日間の中で猟牙(Vo)が口にした、「過酷以上に、楽しい」という言葉が印象的に残る。

彼らが挑んだ真夏の5日間の模様をお届け!

 

*8月12日(月)BORN/ニューロティカ

◎_DSC1176

 

初日の対戦相手は、結成30周年を迎えようとしている大先輩・ニューロティカ。ピエロのメイクでおなじみのバンドが相手となるこの日は、「真夏の♪コスプレ♪night」と銘打ち、メンバーもオーディエンスも思い思いのコスプレ姿で参戦。会場はいつも以上に華やかだ。

先陣を切ったニューロティカは、盟友KIBA(Gargoyle)から借りたという重厚な衣装で登場。普段はラフな衣装が多いというSHIZUWO(G)やKATARU(B)も、この日は華麗な衣装に身を包み、普段とは趣の異なるニューロティカを見せつける。ヴォーカルのATSUSHIに至っては、この衣装にとどまらず、スイカやサーフボードのかぶり物、果ては生着替えまで披露して、会場を爆笑の渦に巻き込んだ。

衣装は変われど、観るものを笑顔にするニューロティカ節は健在。夏色の虹彩を放つ、ポップでハッピーで底抜けにポジティブなステージに酔いしれた。

 

_DSC0762

 

対するBORNも負けてはいない。この日は、全員がアニメのキャラクターに扮して登場! 猟牙とRayは「るろうに剣心」の志々雄真実と緋村剣心、K(G)は「銀魂」の坂田銀時、サポートの美央(B)は「らんま1/2」の乱馬、そしてTOMO(Dr)は「ONE PEACE」のルフィに扮して登場すると、悲鳴にも似た歓声が沸き起こる。あまりに贅沢な“主役級”(猟牙だけは彼が魅力を感じたというヒールな脇役だが)が顔を揃え、猟牙が口にした志々雄真実の名台詞「所詮、この世は弱肉強食」で反撃の幕は切って落とされた。場内は早くもお祭り騒ぎ。開演前、「アニメはよくわからなくて」と話していた銀さん、もといKも、実に楽しそうに笑っている。

 

born0812

 

もちろん、衣装だけがこの日の見せ場ではない。この日彼らが用意したセットリストには、久々に披露された「COBRA」「the fragrance noise」といった懐かしの名曲が名を連ねた。

全身を包帯で覆い、黒い着流しを身につけた猟牙が日本刀を振りかざしながら魅せるBORNもまた一興。アンコールではATSUSHIも参加しての「RADICAL HYSTERIA」を披露し、5days初日を笑顔で終えた。

 

 

*8月13日(火)BORN/DEZERT

◎DSCN5559

 

対バン相手は新進気鋭のDEZERT。先輩であるBORNに力強く挑みかかるその姿勢は貪欲さに満ちていて、「これからのし上がって行ってやるという熱をすごく感じた。こういう気持ちの大切さを思い出させてくれる」と猟牙に言わしめるほど。

 

SONY DSC

 

「『絶蘭』」「メリーさんの自殺未遂」で轟音を響かせ、「叫べ東京!」というアジテートと共にスタートした「『不透明人間』」では、すし詰め状態の会場にモッシュの渦を巻き起こす。かと思えば名曲「さくらの詩」を抒情的に歌い上げ、美しい花の季節を描いて見せる。

 

ライブ後半に向け徐々に高まりゆく熱。「ストロベリー・シンドローム」「チョコレートクリームチェーンソー」、そしてラストの「『秘密』」と、狂おしいほどの熱がほとばしるステージを完結させた。

 

SONY DSC

 

「BORNの元気な部分を出して、絶え間なく攻める感じだった」というこの日、BORNはPS COMPANY所属当初に着ていたという漆黒の衣装で登場。昨今は、猟牙のみ異なるカラーを着ることが多い彼らだが、「こうやって黒でまとめるのもいいかも」とRay。彼は当時をさらに忠実に再現するため、髪色を急遽黒にするほどの徹底ぶりだ。

当時リリースされた『BLACK BORN MARKET』『BLACK THEORY MANIA』『BLACK DEAD MUZIC』の収録曲や、当時ライブでやっていたという楽曲をスパイスとして織り交ぜたセットリストで挑んだこの日、ライブ開始早々の「鴉」で度肝を抜かれた。猟牙がその時を振り返り「会場も自分も、本当にすごい躍動感だった」と話してくれたが、ぞくりと肌が泡立つような会場の空気は、ライブの醍醐味をギュッと凝縮したような濃厚さ。その空気とすさまじい熱はラストの「shirve」まで失われることなく会場を満たしていた。終演後TOMOが「終わった瞬間、汗がぽたぽた垂れて、脱いだら湯気が…(笑)」と話していたが、この日のアツさは決して衣装のせいだけではなさそうだ。

 

 

*8月14日(水)BORN/Jin-Machine

 SONY DSC

 

斜め上行くエンタメ集団・Jin-Machineが対バン相手とあって、この日のステージは何が飛び出すのか予測不可能。

開演早々、BORNを巻き込んでの動画で場内を沸かせ、HIP HOP、オタ芸、寸劇、果ては彼らのDVD『ビジュアル戦隊バンド麺』(まさかの戦隊もの!)を使ってのアテレコ対決と、多彩(かつ、他ではなかなかお目にかかれない)演目が次々飛び出してくる。

彼らの“オーディエンスを楽しませよう”という姿勢と探求心には、猟牙も「学ぶべきことがたくさんある」というほど。この上なく強烈なインパクトで、場内をたっぷりの笑顔で満たしたJin-Machineのアクトをたっぷりと堪能した。

 

このJin-Machineに、ミニアルバム『DOGMA』(2011年2月2日リリース)の衣装で戦いを挑むBORN。猟牙の豹柄、そしてK、Ray、TOMOのビスを打った黒い衣装が印象的だ(ちなみにこの衣装で撮った「RED DESIRE」のPV撮影で、Rayがジャケットを表裏逆に着て撮影してしまったシーンがあるそう。どのシーンなのか、ぜひチェックしていただきたい)。

 

SONY DSCSONY DSC

 

この日のセットリストは、昨日までとは一味違っていた。この2日間の主軸となっていた強力な攻めの楽曲に、「棘柘榴」「剥愛のスローモーション」といったダークな楽曲が織り込まれたのだ。それゆえに、苛烈に艶やかに表現される“明”と、不動の姿勢でどこまでも深く表現される“暗”の対比が実に鮮やか。3日目にしてなおもライブに新鮮さを感じさせてくれる彼らには驚かされる。

アンコールでは「もう二度とないであろう、まさかのコラボレート!」という冗談を交えつつ、Jin-Machineも加わった総勢10人での「DIRTY STACKER」のセッション。テンションはあくまで高く、猟牙がfeaturing16(MC)にキスをするハプニング(?)も飛び出し、5days中日も大いに盛り上げて幕となった。

 

SONY DSC

 

 

*8月15日(木)BORN/lynch.

 SONY DSC

 

4日目を迎え、「毎日違うバンドとやるのはメンタルの運動になる。体と喉はきついはずなんだけど、アドレナリンがどんどん溢れ出てきている感じ」と話してくれた猟牙。この日の相手は、彼らが「自分たちがバンドを始めた時に活躍していて、すごくリスペクトしている」というlynch.だ。

先陣を切ったlynch.は、この日のライブを「lynch.です。よろしくお願いします」という実に礼儀正しい挨拶で始めた。だが、次の瞬間には、噴出したアドレナリンが体内を駆け巡るような強烈なアクトで、場内の温度を一気に沸点にまで引き上げ、その圧倒的な力を見せつける。ライブで慣れ親しんだ「I BELIEVE IN ME」「-273.15℃」に続き、前日にリリースされたばかりの新作『EXODUS-EP』からリード曲「NIGHT」をドロップ。ラストの「ADORE」までその勢いは衰えることなく、激しくもメロディアスに、lynch.ならではの骨太なロックを魅せ切ったのだった。

 

対するBORNはシングル『Psycho Diva』(2011年9月14日リリース)の衣装をチョイス。Kが「lynch.との対バンでこの衣装はビンゴ」と話してくれたが、奇しくもこの衣装は所属事務所の先輩バンドに戦いを挑む時に着た衣装だったそうだ。

 

aaa

 

この日のセットリストは、「音で言うとミッドのところ。ちょっと抜けつつ元気に見せる感じ」(K)と、重厚感で攻めるlynch.とは一味違ったライブ展開を予感させる。

ライブが始まってみれば、幕開けの「DEMON」からlynch.に負けず劣らずのアドレナリン全開のパワフルなステージを展開。Rayは「カオスだった。温度というより、空気がすごく熱くて、それに負けないようにやらないと、と思って」とこの日を振り返っていたが、KとRayは激しく客席を煽り、その異常なほどの熱量は会場全体のテンションを大いに引き上げ、華やかで激烈なうねりを巻き起こした。

そんな彼らのアツさに誘われたように、アンコールでは、客席の最前列にlynch.のベース・明徳の姿が! ステージのBORNにメロイックサインを送る姿にオーディエンスはさらに白熱。4日目とは到底思えない熱を共有したのだった。

 

 

*8月16日(金)BORN/Crack6

SONY DSC

 

「先輩後輩関係なくかかって行こうと思ってますので」とTOMOが事前に(小声で)宣言した5daysのファイナルの相手は、彼らが子供の頃から活躍を目にしていたというPENICILLINの千聖のソロプロジェクト・Crack6。

先の対談を読んだ方はお分かりかと思うが、千聖は実にフランク。澄んだ歌声を響かせつつ、フライングVをかき鳴らし、「BORNだけに、おBORN(お盆)」なんて迷台詞が飛び出すのも、彼ならでは。そんなCrack6がこの日、BORNの「RADICAL HYSTERIA」をカヴァー。予想外のサプライズにオーディエンスは沸き立ち、「サバに乗って!!(suck my dick or death!!)」のコールが響き渡る。サプライズはこれだけにとどまらず、猟牙を招き入れて名曲「VENUS」を披露し、双方のファンを狂喜させたのだった。

 

サプライズの連発となったこの日、BORNは猟牙の赤いエナメルが印象的な、シングル『BLASTED ANIMALS』(2012年7月4日リリース)の衣装で登場。セットリストはフィナーレにふさわしく、新旧織り交ぜた名曲が揃う。

 

SONY DSC

 

実はこの日、セットリストを直前で変更。TOMOに聞いてみると、「会場の雰囲気を見て変更することもよくあります。うちが一番大事にしているのは、ライブの空気感や曲間。曲間を何秒って決めていても、猟牙がお客さんを煽りまくっていたら、それが終わってから次の曲に入るし、俺はヴォーカルはそのくらいの方がちょうどいいと思う。そういう意味ではBORNのドラムは俺にしか無理ですね(笑)」。

こんなところでも、彼らのライブへの姿勢を垣間見た気がした。

最終日は、ギラギラとまばゆい光の中、「BLASTED ANIMALS」で華々しく幕を開け、「Vermin s cry」「with hate」とトップスピードで進んでいく。フロアはモッシュの波。だが、まだまだ暴れたりないと言わんばかりに「more Deep」「乱刺℃」「愚弄」と暴れ曲を次々とドロップし、ラストの「ケミカルロマンス」までを駆け抜けた。

 

 SONY DSC

 

この日のライブが始まる前に、Rayが「5daysが終わったら寂しくなると思う。今もうすでに寂しいですからね。学生時代は1週間長いなと思っていたけど、楽しみ方を知っていればあっという間だったのかな」と話してくれたが、5日間はまさにあっという間。

だが、「全然違うバンドとの対バンだからこそ、毎回違う刺激をもらう事ができた」(猟牙)と、この5日間で得たものをしっかりと自らの糧としたようだ。

激闘を追えたばかりだが、ニューシングルリリース、そして新たなツアーの発表と、彼らは既に次なるステージへとシフトしている。とどまることなく進み続けるBORN、その行き先を追い続けたい。

 

◆セットリスト◆
8月12日
【BORN】
1. COBRA
2. ケミカルロマンス
3. MAD whistle
4. MY SWEET BLACK
5. the fragrance noise
6. 愚弄
7. RADICAL HYSTERIA
8. 乱刺℃
9. Grave Dancer Punish
10.DIRTY STACKER

 

8月13日
【DEZERT】
1. 『絶蘭』
2. メリーさんの自殺未遂
3. 『不透明人間』
4. 飼育部屋
5. 脳みそくん。
6. ゴシック
7. さくらの詩
8. 『死刑宣告』
9. ストロベリー・シンドローム
10. チョコレートクリームチェーンソー
11. 『秘密』
 
【BORN】
1. 鴉
2. Dust Pain
3. with hate
4. モザイク
5. 嫌
6. Rotten cherry
7. RADICAL HYSTERIA
8. Criminal Berry
9. [B.D.M]
10.shrive

 

8月14日
【Jin-Machine】
1. ジンマシーンのテーマ2
2. 大相撲ダイジェスト
3. ビジュアル戦隊バンド麺
4. ワル~WARU~
5. バーニング俺ファイヤー
6. 友達になろうよ
7. ティーライズ社歌
8. さよならアキラメロン
 
【BORN】
1. SiX DAMIAN
2. RADICAL HYSTERIA
3. 黒蟻
4. RED DESIRE
5. 棘柘榴
6. 剥愛のスローモーション
7. HONESTY
8. 乱刺℃
9. GASP CODE
10. ケミカルロマンス
 
8月15日
【lynch.】
1. TIAMAT
2. MOMENT
3. I BELIEVE IN ME
4. -273.15℃
5. NIGHT
6. ASHES
7. INVINCIBLE
8. MAZE
9. AMBIVALENT IDEAL
10. MIRRORS
11. JUDGEMENT
12. ALL THIS I’LL GIVE YOU
13. discoed number
14. pulse_
15. ADORE

 

【BORN】
1. DEMONS
2. RADICAL HYSTERIA
3. 【beauty;beast】
4. モザイク
5. FACE
6. Phycho Diva
7. ケミカルロマンス
8. 黒蟻
9. DIRTY STACKER
10. shrive

8月16日

【Crack6】

1. NEO
2. 破壊不可能

3. Loveless
4. シグナリズム
5. イキナリXXX
6. マリーゴールド
7. CODE NAME 666
8. Crazy Poker Face
9. キラ☆キラ
10. VENUS 〜15th ver.〜
11. 770R

【BORN】
1. BLASTED ANIMALS
2. Vermin’s Cry
3. with hate
4. バンビーナ
5. -&-
6. BODY
7. More Deep
8. 乱刺℃
9. 愚弄
10. ケミカルロマンス

 

(文・後藤/写真・吉永和志、後藤)

 

*********************************************************

【リリース情報】

『SATISFACTION?』

2013年11月20日発売

[初回限定盤A]CD+DVD ¥2,625(tax-in)[PSIM-30039]

[初回限定盤B]CD+DVD  ¥2,625(tax-in)[PSIM-30040]

[通常盤]CD ONLY ¥2,625(tax-in)[PSIM-20032]

【ライブ情報】

BORN LIVE TOUR 2014 ALL NUDE SATISFACTION
◆1月12日(日)新横浜NEW SIDE BEACH!!
◆1月13日(月・祝)柏ThumbUp
◆1月18日(土)仙台MACANA
◆1月25日(土)名古屋ell.FITS ALL
◆1月26日(日)OSAKA MUSE
◆1月28日(火)博多DRUM SON
◆1月31日(金)金沢AZ
◆2月22日(土)Shibuya O-EAST