清春『’12 FINAL』
2012.12.25 横浜Bay Hall
2012.12.30 大阪なんばHatch
2012年12月、清春の年末恒例東名阪ライブが行われた。12月25日の横浜Bay Hall公演、2011年末、同会場で「来年もやろう」と話した清春の言葉が現実となったこの日はクリスマス当日。清春本人がツイッターで呼びかけていたこともあり、フロアは思い思いのクリスマスコスチュームに身を包んだファンの姿で溢れていた。毎年クリスマス近辺の日程でライブが行われていたにも関わらず、このような呼びかけは意外にも初めてだそう。
ニューアルバム『UNDER THE SUN』収録の「WALK ON THE MOON」をSEに清春が姿を現す。ビビッドな赤のネクタイがこの日らしい。そして、特別な夜のステージは「JUDIE」で幕を開ける。勢いあるアップテンポな楽曲を次々と披露したあと、清春が奏でるギターから「wednesday」へ。そこから楽曲は徐々にアダルトなムードへ向かい、「Merry X’mas I Love You」を訴えかけるように優しく、丁寧に歌い上げる。
清春が常日頃思っていることを綴ったという「イエスタデイ」。本人曰く、“長く活動しているミュージシャンの憂鬱”だというこの楽曲。真剣に聴き入るオーディエンスと彼らをしっかりと見つめながら歌う清春の姿は、双方とも真正面からその思いを受け止めているようで、そこには力強さが満ちていた。
「CRY OUT」を境にハードナンバーへと突入すると「狂え横浜!」と清春が叫ぶ。前日から寒波が押し寄せていた関東だが、場内はそんなことを忘れるほどの熱気に包まれる。「COME HOME」まで駆け抜けると、場内いっぱいのメロイックサインが掲げられ、本編は終了となった。
アンコールで披露された「MESSIAH」に救いを感じ、続く「UNDER THE SUN」で生命の存在と深い愛情を思った。清春は〈太陽の下で〉と歌ったあと、元の歌詞には入っていない〈真実の下で〉と付け足した。太陽の下で生きていること、それは誰にとっても紛れのない真実。常にそんな真実の下で生きていきたい、そう思った。
二度目のアンコールでは、サンタ帽をかぶったサポートミュージシャンに続き、清春はなんとも可愛らしいトナカイの被り物で登場。ちなみにこのトナカイは、清春本人がWEBで購入したとか。ゆるいMCで和んだあと、この格好のまま「SANDY」「HAPPY」など恒例の人気ナンバーを繰り広げ、場内は笑顔に包まれた。
年が明け、清春はメジャーデビュー20年目を迎える。「20年目の2013年、20周年の2014年、この二年間が思い出に残るような年にと考えてる」と話し、「ライブで皆に会って幸せな気持ちになれる。そういう日がどれくらいあるか、という基準で常にスケジュールを立てる」とファンにとっては嬉しい言葉も。そんな言葉のあとに披露されたのは「涙が溢れる」。この楽曲は清春とファンの関係性、ステージから見た景色を歌ったもの。清春は〈愛しい天使達〉と歌い、オーディエンスに手をかざした。歌い終え拍手が起こると、「『涙が溢れる』ができて良かったな、と思わせてくれて、ありがとう」と本音を口にした。そして、「EMILY」「あの詩を歌って」で場内は一体となり、この夜のステージは幕を閉じた。
清春の2012年を締めくくるライブは12月30日、大阪なんばHatchで行われた。近年、年末最後のライブは5時間を超えるものとなっているが、2012年のファイナルは、期待通りというよりそれ以上、清春自身にとっても過去最高となる曲数、なんと全64曲を披露、7時間半に及ぶステージとなった。MCでは「来年もやります」と、この恒例ライブを約束し、さらに2013年は「黒夢もやる」と宣告。
また、清春は1月25日の長野CLUB JUNK BOXを皮切りに、11月にリリースしたニューアルバム『UNDER THE SUN』を引っさげた全国ツアー『UNDER THE SKIN』をスタートさせる。清春の言葉を借りるなら「思い出は多いほうが素敵です」。果てしなく幸福で愛溢れる濃密な空間をぜひ共有していただきたい。
◆セットリスト◆
【2012.12.25 横浜Bay Hall】
~SE~ WALK ON THE MOON
01. JUDIE
02. FLORA
03. confusion
04. club『HELL』
05. wednesday
06. RUBY
07. my love
08. Merry X’mas I Love You
09. 新曲
10. ベロニカ
11. JUBILEE
12. イエスタデイ
13. 妖艶
14. バラ色の夢
15. CRY OUT
16. LAW’S
17. Alien Masked Creature
18. COME HOME
-ENCORE 1-
19. MESSIAH
20. UNDER THE SUN
-ENCORE 2-
21. 星座の夜
22. Feeling High & Satisfied
23. SANDY
24. HAPPY
-ENCORE 3-
25. 涙が溢れる
26. EMILY
27. あの詩を歌って
【2012.12.30 大阪なんばHatch】
~SE~ WALK ON THE MOON
01. JUDIE
02. FROLA
03. club『HELL』
04. BLACK TOYS ILLUSION
05. wednesday
06. my love
07. RUBY
08. 枳殻
09. rally
10. 新曲
11. 新曲
12. ベロニカ
13. イエスタデイ
14. 空白ノ世界
15. 妖艶
16. REVOLVER
17. ilyd
18. devil
19. Alien Masked Creature
20. COME HOME
~SE~ experience
21. my first pleasure
22. LIZARD
23. travel
24. アリス
25. MESSIAH
26. 首輪
27. Lyrical
28. 愛撫
29. バラ色の夢
30. 2月
31. cold rain
32. カーネーション
33. And I can’t feel nothing
34. 影絵
35. NOTHING
36. acme
37. PARTY
38. LOVE SONG
39. TATTOO
40. DARLENE
41. 狂った果実
42. 光
43. I KNOW
44. the sun
45. JUBILEE
46. petty
47. FAIDIA
48. garret
49. 退廃ギャラリー
50. Feeling High & Satisfied
51. CRY OUT
52. LAW’S
-ENCORE 1-
~SE~ receive a revelation
53. 予感
54. confusion
55. 星座の夜
-ENCORE 2-
56. BUNNY SMILE
57. 赤裸々
58. SANDY
59. HAPPY
60. SLIDER
-ENCORE 3-
61. 涙が溢れる
62. マークはバタフライ
63. EMILY
64. あの詩を歌って
(文・金多賀歩美)