2018.4.25
BULL ZEICHEN 88@恵比寿 LIQUIDROOM
「僕たちがブルゼッケンハチハチですTOUR 2018」

「俺たち『ハッピーラウド』と銘打ってるけど、ラウドは音であって、それよりも前に出したいのは実はハッピーさの方だったりする。ただただみんなが笑ってハジけてバカになってくれれば、それだけで俺らは嬉しいし、このブルハチのライブに来たら、日常のことは忘れて、バカになって楽しんでくれればそれでいい」と、アンコール時にヴォーカルの栄二郎はフロアに向けて告げた。
その言葉通り、この日のBULL ZEICHEN 88(以下、ブルハチ)のライブは、まさに彼らのハッピーラウドの面目躍如。まことに「楽しさ」、そして「愉しさ」が終始足元からこみあげてくるライブであった。それはメンバー当人たちも感じていたようで、これまで以上のフレンドリーさと、会場を交えたコミュニケーションの中、ステージもフロアも終始笑みが止むことのない一夜と化させていった。

この3月28日にメジャー移籍アルバム『アルバム2』をリリースしたブルハチ。彼らがそのアルバムを携えて全国ツアー「僕たちがブルゼッケンハチハチですTOUR 2018」を行った。私が足を運んだのは、その3日目の東京公演。場所は恵比寿リキッドルームであった。
やはりメジャーに移ってからの広がりもあったのであろう。これまで以上に幅広い層のお客さんが会場では見受けられ、男子の数も更に増えたように映った。

ラウドロックやエクストリームロックのBGMがまだ場内に流れている中、会場が急に暗転。特に登場SEも無い中、4人のメンバーがステージに現れる。ステージ中央で円陣を組み、気合いを入れ、各人がフォーメーションに就く。
この日のライブは「epilogue」で口火を切った。ギターのsebastianのメタリックなフレーズと、うねるIKUOのベース、4つ打ちを基調とした淳士のドラムが交差し、同曲が形作られていく。同期によるエレクトロの音色を交え、クリアとグロウルなシャウトを交える栄二郎の歌声。重さと上昇感の同居という彼らの真骨頂へと会場が誘われていく。
「アガって行こうぜ!!」と栄二郎。間髪置かず今度は場内に哀愁性が呼び込まれる。続いては「オルターエゴ」だ。〈見えない壁ぶち壊して曝け出して!〉のフレーズに会場も呼応。この曲のポイントとも言える、切なさ携えて駆け抜ける部分が来ると、合わせて場内も並走を見せる。

「ツアー3日目で、むちゃくちゃ脂(あぶら)がノってます。(ステージもフロアも)お互い身体を預け合おうぜ! 俺たちについて来れるか!! 俺たちがBULL ZEICHEN 88だ~!!!」と栄二郎がシャウト。続いては、めまぐるしい展開も特徴的な「HIMANCHU」に入る。いやーこの曲はメンバーも忙しいが、対するお客さんも忙しい。間にはタブステップやウォブルベースが加わったり、ハイパーユーロを交えたり、はたまたIKUOも超絶スラップを仕掛けたり。対してオーディエンスもワイパーやヘドバンとめまぐるしい。変わって、駆け抜けるかのような「AGAKI」では、ブレイクタイミングで淳士がドラムセットから会場をゆっくりと眺望。その後の怒涛のツーバスが地ひびきを立てて我々に襲い掛かってきた。また、フロアが2ステップ大会と化した「WINK」では、エヴィルさとポップさの同居が楽しめた。同曲の最後の怒涛のモータードライブ感を経た箇所では、〈ラ キラキ ラ星に リキッドへの愛を誓うわ。そして僕ブルツアーへの愛を誓うわ。〉とリリックを替え披露するサービスも。メンバー全員の4声のハーモニーで〈愛を誓うわ〉と歌われた場面では、まるで会場の各人に直接、求愛がなされたかのような錯覚を覚えた。

中盤に向かうMCでは、ツアー前半について振り返られ、中でも札幌での終演後のエピソードがピックアップされてメンバーのクロストークにて語られた。淳士がタクシーにメガネを忘れ、それをsebastianがダッシュで追いかけ、遂には奪還してきた武勇伝がジェスチャーも交え、面白おかしく語られた、このエピソード。意外にも(失礼)sebastianが、人の為に懸命に尽くせる、いいヤツであったことが垣間見られたかのようないい話であった。

ライブ中盤は景色感のある曲が連射された。まさにヘヴィさと景色感の融合とも言える「WENDY」では、IKUOも高速ロータリー奏法を魅せ、サビにハイスピードワイパーを生んだ、〈七色の橋超えて 新しい世界へ〉の現状の彼らの心情とも重なったフレーズも印象深かった「虹」。「虹二部作」と言わんばかりに連射されたスタジアムEDMながら4ビートも垣間見せた「傘」では、栄二郎の伸びやかな声が天空を駆け抜けた。

後半に向かう際には、7月から2マンライブを行うとの告知と、年末にまたみんなと一緒に花火をあげたいと、まだ場所等は知らされてはいないが、年末にまた大きな会場で遊ぶ約束が、ここでなされた。

ライブ後半はより会場とのコミュニケーション性が高い曲、場内と共に楽曲を完成させていく曲が連続で放たれた。会場にお約束をレクチャーしてからインした「とりあえず生」では、彼らの真骨頂とも言えるラウドさとポップさの同居と会場が一糸乱れぬ一体感を魅せ、栄二郎のグロウルさとハイトーンクリアボイスのコントラストが楽しめた「Takin’ Back」、淳士の怒涛のドラムソロから入った「モンスター」では、その巨大な生物が口を開けて飲み込みにかかるのを見た。また、「Ride on time」では、恒例の全員参加のモッシュコーナーもインサート。男女問わず、みんな楽しく阿鼻叫喚のサークルモッシュをキメれば、次曲「kowashite」では栄二郎も前曲時でのMCの公約を果たすようにフロアへとダイブ。みんなにリフトされ、その中で歌う光景も印象深かった、また、ダブステの要素も交えた「Lovely」、本編ラストの「One Step As You Are」では、フロアに巨大なサークルモッシュが生まれ、ダイナミズムと疾走、スピードの交互感やチェイス感に会場も並走していく様を見た。最後はノンマイクと会場の大歓声で楽曲を完成させた同曲。最後は無事大団円にたどり着いた感覚をおぼえた。

アンコールでは、冒頭に述したMCを経て、会場にもより愉しさが伝染ったのか?解放されたのか?より笑顔が増え、弾け、放たれた印象を受けた。そんな中、ドライブ感と景色感の同居といった彼らの面目躍如な「I.B.Z」では、更なるハッピーな空間が生み出されていく。この愉しさやハッピーさを今はまだ終わらせたくないとの思いが去来したのだろう。急遽、当初は予定になかった「とりあえず生」が再度追加でプレイされた。同じ曲ながらライブ中盤のプレイ時よりも明らかに愉しく何でもありで、会場の楽しみ方が違う。より一体感や一緒感が増し、心から愉しんでいるのを感じた。

同じ「たのしさ」ながらも、「楽しい」→「愉しい」へと感受の変化も変わっていったのも印象深かった、この日の彼らのライブ。ラウドでハードながらも、キチンとメロディアスさやキャッチーさ、そして分かりやすさや親しみやすさを持っている彼らの音楽性。改めまして&今後更に広がっていくであろう、今回のメジャー移籍のタイミングを経て、これからももっともっと、この愉しさが、多くの人や幅広い人に広がっていくことを強く確信した一夜でもあった。

◆セットリスト◆
01. epilogue
02. オルターエゴ
03. HIMANCHU
04. AGAKI
05. WINK
06. WENDY
07. 虹
08. 傘
09. とりあえず生
10. Takin’ Back
11. モンスター ~3/4 no good job night one show~
12. Ride on time
13. kowashite
14. Lovely
15. One Step As You Are

EN
01. I.B.Z
02. とりあえず生

(文・池田スカオ和宏/写真・maru)


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