2017.12.25
BAROQUE@ディファ有明
BAROQUE TOUR「ALL OF THE LOVE, ALL OF THE DREAM」

BAROQUEが12月25日(月)に東京・ディファ有明で『BAROQUE TOUR「ALL OF THE LOVE, ALL OF THE DREAM」』ツアーのファイナル公演を開催。

各会場ごとに自分たちと所縁のあるゲストプレーヤーを招いて、2人体制になって以降あまり演奏していなかった曲を次々とプレゼントしてきた今回のツアー。そのファイナルとなったディファ有明はBAROQUEのみの単独公演となった。目の前に広がるのは、彼らがアルバム『PLANETARY SECRET』を作った頃から、ずっと思い描いていたBAROQUE初の“円形ステージ”。そこで彼らが表現してみせた『PLANETRY〜』の集大成とは‥。

全会場の思いにつなぐように、ディファ有明の入り口には各地のファンがメッセージを書き入れたターポリン幕4枚が並べて飾られていた。場内に入ると、客席の真ん中に設置された巨大な円形ステージはUFOのようで、圧巻の一言。オーディエンスがそれを取り囲み、さらに円形ステージの後方には横長のLEDパネルまで入れた特殊な会場構成から、BAROQUEの本公演にかける並々ならぬ熱量が伝わってくる。

19時を過ぎた頃に場内が暗転。ライブは「CELEBRATE」で幕を切った。たっぷりボーカルエフェクトをかけた怜の声、星空とコンタクトをとるように伸びていく圭のギター。神聖で厳かな雰囲気のなか、信じられないほどの光を放つ光源が輝きだし、真っ白い宇宙空間が会場いっぱいに広がっていく。「PLANETARY LIGHT」、「DREAMSCAPE」で、バロッカーたちが手首にはめた赤、白のLEDリングをオン。すると、それが宇宙に散った星々に見えてくる。このオープニングだけで、細部まで楽曲のイメージで統一しまくったライブのクオリティー、その圧倒的な世界、質の高さに圧倒されまくる。

「どう? このステージ。宇宙船みたいでしょ? ライブ終わったら飛んでいきそう」と怜がこの日のステージを自慢げに話したあとは、怜もギターを持ち「BLACK BANE」、「メロウホロウ」というロックチューンで暗闇を切り裂いていく。続く「SKY WALKER」は、この日のような異空間では、ここぞとばかり楽曲の持ち味を発揮していく。怜は再び声をエフェクト。その歌声、各楽器の音像、そこに美しいライティングが加わって、曲に溶け込んだオーディエンスを宙に浮いてるような幻想的な感覚へと導き、歌に描かれた“ワンダーランド”へと誘っていったところは格別だった。こうして、ライブは中盤まで『PLANETARY SECRET』の曲を続けて披露していった彼ら。リリース前から、このアルバムの世界観は徹底してモノトーンで表現してきたBAROQUEだった。その当時は、陰影が強かった世界も、ツアーやライブを重ね、そこでバロッカーたちの思いを受け取った結果、どんどん変化していって、いま自分たちが描きたい『PLANETARY〜』は、こんなにもハイライトで輝く世界になったことをこのステージを通して彼らは次々と表現していく。中盤で「キズナ」、「ORIGINAL LOVE」をメンバー2人だけでアコースティックバージョンでパフォーマンスして、アルバムリリース時には表現することのなかったぬくもりを柔らかく豊かな音色で伝えていった場面などは、まさにそうだ。そうして「魔女と林檎」からの後半は、ステージとオーディエンスがつながって盛り上がっていく曲を連ねて演奏。そして、彼らがたくさんの人とつながっていったなか『PLANETARY〜』の先に彼らが見つけたと確信したもの。それを、もっとも表していたのが、リリース時にはなかった楽曲「YOU」の存在だ。この日、この曲を本編ラストにプレイすることで、彼らは、君たちに会えて陰影が強かった『PLANETARY〜』の世界がどんどん光に満ち溢れていったんだよということを、宝石のようにキラキラ輝く夜景を写したLEDをバックに、無数の真っ白いサーチライトでオーディエンスを照らしながら伝えていったのだった。

とびきりブライトな輝きをもったダンサブルな「PLAY」から始まったアンコールもまた秀逸。「何千何万何億の君への想い」、「teeny-tiny star」、ものすごい量のピンク色の花吹雪が場内に降り注いだ現在のBAROQUEを象徴する代表曲「GIRL」とつないだ場面では、ファンタジックな輝きを放つ曲たちを通して、会場に集まったオーディエスに少年・少女の頃のピュアな心を思い起こさせいったのだ。こうして、光に満ち溢れた世界を感じたBAROQUEが、次に表現していく未来をたっぷりと届けたあと、再び『PLANETARY〜』というアルバムの始まりとなった「MEMENTO」で、この日のライブを締めくくった。心揺さぶる感動的な演奏に観客の拍手が鳴り止まず、予定になかった「PLANETARY LIGHT」を再度演奏して、ライブは終了した。

アンコールのMCでは、彼ら自身から来年のBAROQUEについて語られる場面も。

「『PLANETARY LIGHT』を作って2年半。BAROQUEが2人になって、それでもやる意味あるのっていうところから、やっと『PLANETARY〜』を作る気持ちが生まれて。応援してくれたファンが離れちゃうかもしれない、コアな人やアンテナはってる音楽ファンにしか届かないかもしれないって思って作ったものが、その間に奇跡みたいなことや出会いがあって。いまはあの頃夢みてた円形ステージも叶うぐらい大成功した。そこに俺たちものせられそうになるんだけど、ここはちゃんと軌道を戻して。『PLANETARY〜』を作るとき、怜と2人で“時間がかかってもいいから、納得しないものはやらない”って約束したんだけど。その原点に戻って。来年は新しいライブの予定は入れてなくて。アルバム作るのに専念して、作品作りに集中しようと思う。たくさんいい曲できてるし、まだまだたくさんやりたいこともあるので。よろしくお願いします」(圭)

「そのためにも、ちょっと充電するね。会えるのがいつになるのかはまだ分からないけど、いえるのは“笑顔で待ってて下さい”ってこと」(怜)

この発表を聞いて、悲痛な叫びをあげる観客が一人もいなかったのは、このライブを通して、BAROQUEが表現したいこの先の未来が決して暗いものではなく、夢見るようなファンタジックなブライトな世界があることを知ったからだ。そんなニューワールドをもった作品をBAROQUEが届けてくれるまで、ワクワクした気持ちで期待して彼らのことを待っていたいと思う。

(写真・Jun Tsuneda、TAKAO OGATA)

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