2016.12.17
PENICILLIN@TSUTAYA O-EAST
WINTER TOUR 2016 Lunatic Lover FINAL & HAKUEI BIRTHDAY LIVE 『SUPER HEART CORE ’16』

11月9日にリリースしたニューミニアルバム『Lunatic Lover』を引っ提げ、11月20日より「WINTER TOUR 2016 Lunatic Lover」を展開していたPENICILLINが、12月17日TSUTAYA O-EASTにてファイナル公演を行った。

このライブには“WINTER TOUR 2016 Lunatic Lover FINAL & HAKUEI BIRTHDAY LIVE 『SUPER HEART CORE ’16』”というタイトルが冠されていた通り、前日12月16日に誕生日を迎えたHAKUEI(Vo)のバースデー記念公演でもある特別な一夜。千聖(G)、O-JIRO(Dr)、サポートミュージシャンのHIROKI(B)が配置につくと、最新作の1曲目でもあるインストゥルメンタル曲「Lunatic Love」でステージは幕を開け、続く「NEW FUTURE」のイントロと共にHAKUEIが姿を現した。この日の衣装はPENICILLIN流の和装スタイル(『Lunatic Lover』Type-Bジャケットの衣装)だったわけだが、中でもHAKUEIは羽織ったリアルファーや金色の盛り髪、赤のアイメイクも相俟って、とてつもない色気とオーラを放っていた。

HAKUEIは自身の46歳の誕生日と、来年迎えるPENICILLINの結成25周年に触れ、「バンドの厚み、重みを増して、どんどん先に進んでいくのかな」と現在の心境を語った。

BPM200以上の楽曲を多数持つPENICILLINにとってはミディアムテンポに当たる「Stranger」では、この楽曲の主人公のように一つ一つの言葉を歌うHAKUEIの姿が印象的で、富士急ハイランドが世界に誇るお化け屋敷“戦慄迷宮”をテーマに制作された、その名も「戦慄迷宮」では、音源には収録するのを忘れていたというO-JIRO渾身の「待って~!」(※詳細はインタビューを参照)を生で聴くことができた。また、「見えないナイフ」では、その特徴的なリズムパターンについ目を奪われたが、後にO-JIROに話を聞いたところ、「ライブで叩いてみたら、思っていた以上に難易度が高かった」のだそう。

そんな『Lunatic Lover』の収録曲たちを中心に据えながら、新旧様々な楽曲が展開されたこの日。飛び回るような電子音とギターリフがその世界観を表現する「Galaxy Train」のラスト、HAKUEIの吐息まじりの〈君の幻〉から、千聖が奏でる「one star」のイントロへの繋がりはあまりにも美しかった。その後のMCで千聖が「風邪をひいてしまったんですが、「one star」は相変わらず僕の美声が。鼻声ではなく」と笑いを誘っていたが、この楽曲はHAKUEIと千聖によるサビのハモりも聴きどころの一つだ。

「ハカナ」をしっとりと聴かせ、「anti beauty」でジャジーなムードを楽しんだ後、「なんか、あっという間だな。朝までできそうだ。いつか、オールナイトイベントをやってみたいな。オールナイトでやりまくって…なんかいやらしいな(笑)。その後1週間休み(笑)」とHAKUEI。ここから疾走感溢れる「Dead Coaster」を皮切りにラストスパートへ。ハードナンバー「記憶の固執~融けゆく時間~」でフロアの熱を上昇させれば、「聖・MARIAN HURRICANE」ではキャッチーなメロにオーディエンスとの〈ハレルヤ〉の掛け合いで笑顔が溢れ、「イナズマ」ではフロント陣3人がステージの縁まで繰り出しパフォーム。曲中の一瞬の静寂に「HAKUEI~!!」という黄色い声援が送られると、HAKUEIはガッツポーズを見せた。

アンコールではファンと共にHAKUEIの誕生日を祝い、その後、ヴァイオリニストのRookie Fiddlerを迎え、「Quarter Doll」「Tomorrow」をアコースティックで披露するという、この日ならではの貴重なステージも。2曲の合間には、名曲「White Christmas」のフレーズから〈少し早いけど、愛する皆へメリー・クリスマス〉というメッセージが曲に乗せて贈られた。そして、「『Lunatic Lover』には年末に聴くのに相応しい曲があるので、ルーキー君も一緒に年末ver.でお送りします」と、ドラマティックなバラードナンバー「月の魔法」を披露。HAKUEIは深々と一礼し、場内が拍手に包まれる中、メンバーはステージを後にした。

さらなるアンコールを求める声に再びメンバーが登場。PENICILLINは25周年を迎える来年2月に、新宿ReNYと大阪Shangri-laにて「25th Anniversary LIVE ~HAPPY BIRTHDAY & VALENTINE’S DAY LIVE~」全4公演を行うことが既に決定していたが、新たに5月に東名阪ツアーを開催することが発表され、場内は歓喜に沸いた。そして代表曲「ロマンス」、千聖の濃厚なギタープレイから鉄板曲「Desire」が放たれ、さらに「まだ帰さないことにした」(HAKUEI)、「東京! 行くぞ!」(千聖)と、「FOR BEAUTIFUL MAD HUMAN LIFE」で白熱のステージを魅せると、最後に千聖から「すごくいい景色でした。やっててよかったと思いました。来年も一緒に歩んでいきましょう」という言葉が贈られ、PENICILLINにとって今年最後のライブは幕を閉じたのだった。

この日はいつにも増して、4人から奏でられる音の絡み合いが実に魅力的で、生で体感するライブという空間の醍醐味を存分に味わわせてくれた一夜だった。メンバーの発言にもあった通り、今後も立ち止まることなく突き進んでいくPENICILLINの未来に期待したい。

◆セットリスト◆
01. Lunatic Love
02. NEW FUTURE
03. 快感∞フィクション
04. Stranger
05. 瘡蓋
06. 秘蜜のデザート
07. Galaxy Train
08. one star
09. 戦慄迷宮
10. 見えないナイフ
11. ハカナ
12. anti beauty
13. Dead Coaster
14. 記憶の固執 ~融けゆく時間~
15. 聖・MARIAN HURRICANE
16. イナズマ

En1
17. QUARTER DOLL(Acoustic)
18. Tomorrow(Acoustic)
19. 月の魔法
En2
20. ロマンス
21. Desire
22. FOR BEAUTIFUL MAD HUMAN LIFE

(文・金多賀歩美)