ライブレポート

2013.7.13

Sadie@新宿BLAZE

LIVE TOUR 2013「謳歌乱舞」-奈落の艶-

~痛みと悲しみの果てに見える絶望の轟音~

 

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Sadieというバンドは知れば知るほど不思議な存在である。シーンに登場するや漆黒の激情とへヴィ&ラウドなサウンドで瞬く間に頭角を現した一方、その音楽性を紐解いていけば、核に在るのは心揺さぶるメロディと共感度の高いリリック。そんな両極端な個性を軸に、恐ろしく多彩な引き出しを内包している彼らにとって、対照的な2曲を掲げて3月27日に発表した両A面シングル『双刻の艶』は、いわば辿り着くべき“必然”でもあった。

 

その流れは無論リリースのみに留まらず。地底を這いずるかの如きダークな世界観を備えた「斑−まだら−」に、天から降り注ぐ光を目指して歌声が突き抜ける「雪月花」と、各リード曲をフィーチャーする形で全国17都市35公演に上る2DAYSツアー“謳歌乱舞”を敢行。各地1日目を“奈落の艶〜痛みと悲しみの果てに見える絶望の轟音〜”、2日目を“蒼天の艶〜救い求める掌に贈る希望の声〜”と名付け、全く異なるコンセプト/セットリストで真逆の角度から研ぎ澄ませてきたSadieの武器は、ファイナルの新宿BLAZEで凄まじい切れ味を発揮した。まず、自らの内に有る感情を吐き出し尽くし、“絶望”の闇で場内を染め上げた1日目・7月13日。歪な音と悲哀が交錯する「斑」で幕が開けると、超満員のオーディエンスは思うままに頭を、身体を振りたくりながら、ステージから放たれる黒き轟音と真緒のスクリームに全神経を集中させ、その波に飲み込まれてゆく。彼の“狂ってくれ!”という号令に一斉にフロアが揺れる「BURST ZERO」、拳と掛け声が突き上がる「Struggle against betrayal」等、新旧取り混ぜたメニューは怒りの濁流となって客席に襲い掛かり、まるで最後の一滴まで力を搾り取ろうとするかのようだ。

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が、それは肉体面に限ったことではなく、中盤では真緒の素晴らしく伸びやかな歌声が嘆きの楔を深く、激しく、ドラマティックに打ち込んで、会場の全員に感嘆の息を呑ませることに。そんな彼のエモーションを景のダイナミックなドラミングが華やかに彩り、メロディックな弦楽器隊が絡み合いながら優しく包んで、痛みと心地よさをない交ぜに味わわせてくれる。中でも“この場所で歌うことだけが自分の生きる道! 此処で誰かを愛することを許してくれますか!?”と、息も絶え絶えに真緒が絶叫した「サヨナラの果て」から、真っ赤なライトとスモークが眼前を覆い、拳と合唱が場内を席捲する「Rosario−ロザリオ−」へのシームレスな展開は圧巻。そうして勢いづけば、後はオーディエンスとメンバーが共に極限まで感情をさらけ出し、ぶつかり合って、カオスの内に爆発してゆくだけだ。結果、本編終了時には真緒が倒れ込み、スタッフに抱えられて退場する場面もあったほど。

 

それでも日常で隠し持つ負の情念を吐き出させようとする手綱は、依然1ミリも緩められることなく。アンコールの「妄想被虐性癖」では、なんと17分にわたってメンバーが交互にお立ち台に立ち、煽り、真緒はフロアに身を乗り出して、半ば引きずり込まれながらも延々と水を噴き続けた。その間、代わりにマイクを握って叫び続けた美月(G)は、舞台の去り際に“みんなが生きていく中で味わうネガティブなことを引きずり出せたら。そして会場の扉を出るとき、みんなの気持ちが軽くなってたら、ホントに良かったと思います”と挨拶。それこそがライヴ中に真緒が漏らした“絶望と狂気にあふれた快楽”の先にある、彼らの真の目的だったのだ。

 

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◆セットリスト◆

01. 斑~madara~

02. 心眼

03. 躯~mukuro~

04. 愛の罠

05. Crimson Tear

06. BURST ZERO

07. Struggle against betrayal

08. face to face

09. merancoria

10. 淡き群青

11. アゲハの亡骸

12. サヨナラの果て

13. Rosario-ロザリオ-

14. Parasite scene

15. LOOSONG MY WAY OF PROUD

16. Ice Romancer

17. サイコカルチャー

18. ドレス

EN

01. 棘-toge-

02. M.F.P

03. 妄想被虐性癖

04. 迷彩

 

 

(文・清水素子/写真・青木武史)