ライブレポート

2012.11.21

清春@渋谷duo MUSIC EXCHANGE

7th album『UNDER THE SUN』リリース記念

 

 

アルバム『UNDER THE SUN』のリリースを記念して、11月21日、清春が渋谷duo MUSIC EXCHANGEでライブを行った。

ギュウギュウにオーディエンスがひしめくフロアに、『UNDER THE SUN』でもオープニングを飾っているSE「WALK ON THE MOON」が響く。サポートミュージシャンの三代堅(G)、中村佳嗣(G)、沖山優司(G)、楠瀬拓哉(Dr)、そして清春がステージに現れる。流れ始める、「JUDIE」のキレのいいサウンドと歌。初演の高い集中力で届けられる音楽は、瞬く間に、濃密で心地いい空間を作り出す。続く「FLORA」「ベロニカ」「イエスタデイ」。ニューアルバムの中でアップテンポの曲たちの立て続けのプレイに、会場の熱は昇り続ける。そこにスローで浮遊感のあるサウンドが轟く。イスに座った沖山と楠瀬が休む中、同期トラックと中村、三代により凜としたギターの調べが紡がれ、清春の艶やかな声が乗り、曲に生命を注ぎ込んでゆく。“一生の果て そう蜃気楼”……清春は歌う。その歌からは、祈りにも似た響きを感じる。必ず訪れる死、その存在をどうしようもなく感じながらも、どういう形をしているか今は分からない。だから、必ず“無”になるのに様々なものを得ようとする。蜃気楼であることは救いでもある、そんな想いが心に流れてくる。清春というアーティストが発するのは、恐怖や闇でなく、“幸せ”であり“楽しみ”なんだ、と思う。

 

後半への畳みかけの起爆剤となった「LAW’S」。退廃の中に強い光が、絶望の果てに揺るぎない希望が射す景色が見えてくる。「Alien Masked Creature」で清春は、両腕を高々と挙げ、メロイックサインをキメる。本編最後の「Come Home」、足下のステップに乗った清春は、揺れる客フロアにプラスチックのコップごと水を投げ入れた。

 

今の清春を強く感じさせたのは、1度目のアンコールに披露された「HAPPY」だった。1999年に発表し、その後ライブで幾度となく披露されてきたこの曲は、“ふと見つけた小さな幸せ”の歌から、月日を重ねるごとに幸福度を増し、至福の存在になってきたように思う。その曲を、11月19日に誕生日を迎えた中村佳嗣に向けてオーディエンスと共に歌い、そしてそんな観客にも、清春は“MY SWEET FLOWER”“I LOVE YOU”という言葉を捧げた。こうやって楽曲にある想いが成長して、時々のメッセージになっていく。それは音楽が持つ力と言えよう。

 

全ては、2度目のアンコールで披露された「MESSIAH」と「UNDER THE SUN」へ集約していく。丁寧に紡がれる言葉、深く深く入り込んで歌われる歌は慈愛に満ち、安らかなぬくもりでフロアのあらゆる者を包む。ふくよかな音と感情が大きくうねっていた。

 

清春はMCで「『UNDER THE SUN』は長く聴いてもらえる気がしています。末永く聴いてください」と言った。ライブで体感した、この『UNDER THE SUN』の曲たちは、聴く者の心にフィットし、包んでくれるものだった。この温もりはいつまでも心地いい空気を注いでくれると思う。そして、ライブでは、年齢を重ね想いの深まりに比例して、姿を変えたり濃度を増していったりするのだろう。その移ろいも楽しみたい、と思う。

 

年内、清春は恒例の東名阪ライブ『FINAL』を12月22日名古屋ダイヤモンドホールからスタート。そして年明け1月18日、長野CLUB JUNK BOXからは久しぶりの全国ツアーに出る。

その先々で生まれるであろう、ふくよかな“無償の愛情”に包み込まれてみてはどうだろう。

 

◆セットリスト◆

SE. WALK ON MOON

01. JUDIE

02. FLORA

03. ベロニカ

04. イエスタデイ

05. ALICE

06. 新曲

07. 新曲

08. I KNOW

09. garret

10. バラ色の夢

11. 妖艶

12. LAW’S

13. cry out

14. Alien Masked Creature

15. Come Home

En1

16. SANDY

17. HAPPY

En2

18. MESSIAH

19. UNDER THE SUN

En3

20. 涙が溢れる

21. EMILY

22. あの詩を歌って

 

 

(文・大西智之/写真・平野タカシ)