「vistlip10周年✕Vif」第1弾 Vol.5 智✕Yuh
この二人が出会ったことがvistlipの始まりだった。vistlip 10周年✕Vif、メンバー対談の最後を飾るのは、智(Vo)とYuh(G)。どんなメンバーと一緒にやっていくか、そして、このバンドでどんな音楽を奏でたいかを考え、二人がしっかりとお互いを信じて歩んできてくれたからこそ、この世界にvistlipというバンドが生まれた。10周年を祝う7月7日を直前に控えた今、その原点を探る。
◆俺だけがわかる智の優しさがある(Yuh)
――前回の対談に登場した瑠伊さんから、お二人への伝言です。「前のバンドの時になぜ、僕を選んでくれたんですか?」だそうです。
智:(即答で)顔です。
Yuh:前回、俺と瑠伊との対談で瑠伊がそう言っているのを聞いて、俺は答えがわかっていたので、「それを質問するのか…答えはこれだけどいいのかな?」と思ってはいました(笑)。
智:でも瑠伊は、昔はプライベートでも、いつ見られてもいいようにしていたけど、最近あんまり気にしなくなっているからな。だんだん考え方が変わってきて、いかにラフに過ごすかと、心構えが変わってきている感じなんで。最近はいつでもバッチリというわけじゃない。
Yuh:確かに! 変わりましたね。
――普段、二人だけで話すことはありますか?
智:たまにありますね。「あいつ、最近ここがダメだよね?」とか。
Yuh:(笑)。仕事のことで話すことが多いですね。たまに、個人的な話もします。
――10年前と比べて、お互い変わったところはありますか? また、変わらないなと思うところはありますか?
智:Yuhは優しくなったかな。10年前は、みんなキツイところもあったんですけど、最初に優しくなったのはYuhかな。変わらないなと思うのは、考えて発言できないところ。
Yuh:そうですね。
――Yuhさんから見て、智さんの変わったところ、変わらないところはありますか?
Yuh:智は、人として本当に成長しましたね。昔は「ありがとう」や「ごめんなさい」が、ちゃんと言えなかった時もありました。それが今はすごくしっかりと言う。以前はそういうところが欠けていたが故に、成長したなって思えますね。変わらないところは、人に対する優しさ。俺らはvistlipの前のバンドから一緒にやっていて、10年以上前から知っているからこそ思うんですけど、そこは昔からずっと変わりません。
――この10年で、話していなかったけど実は…というお互いが知っている秘密はありますか?
智:Yuhは、よく泣いていたんですよ。自分のミスを、悔しがるタイプなんだと思います。それは前のバンドの時からそうだったし、vistlipになってからもそう。以前、札幌でのライブだったと思うんですけど、ギターソロか何かでミスったのかな? すごく気合いも入っていたのに、上手くいかなくて、終演後に泣いていました。
Yuh:「Mr.Grim」で機材トラブルで音が出なくて…。昔から結構悔し泣きが多いタイプですね。今も悔し泣きはします。
――Yuhさんが知っている智さんの秘密はありますか?
Yuh:プライベートな話をした時に、智の声の掛け方とか話してくれることとかは、普段表に出ている優しさとは全然違うものですね。俺だけがわかる智の優しさがあると思います。
◆vistlipにとって必要な音楽って何だろうねという話が通じる存在(智)
――ここで、vistlipのこの10年を振り返る思い出のアイテムのお話を伺いたいと思います。今回は、智さん編です。選んでいただいたアイテムを教えていただけますか?
智:『Revolver』の無料配布盤です。『Revolver』のダイジェスト且つリミックスで、CDショップやライブハウスで配布したものです。「EDY」のド頭のドラムが3回繰り返されていたり、変わったリミックスなんです。なんで3回繰り返したんだろうね(笑)?
Yuh:今思うとギャグですよね(笑)。
智:「Moon Light Snow Rabbits」の逆再生とか。あと、初期の頃のライブは、僕が「Welcome to the vistlip」と言ってSEが始まっていたんですけど、その声を録音したのも確かこれだったかな?
Yuh:そうだった気がする。
智:なので、やっぱり思い出がありますね。それに、事務所が1万枚も配布したことにも驚きました。
――ヴォーカリスト、ギタリストとして、お互いここはすごいよなと思うところはありますか?
Yuh:前のバンドから一緒にやっていて、昔から歌詞の独創性はすごいですよね。多分いろんなバンドの人が、自分のバンドのヴォーカルは独特の表現があってと言うと思うんですけど、それとは違う、智だからのオリジナリティがある。俺は信頼しているからこそ、あまり歌詞の確認はしていなくて。全部任せて、音を聴いて知るところがあります。智はいろんな表現をすることができる。中でもやっぱり俺は、ファンに対してのメッセージを言葉として話しかけるような歌詞が好きですね。
――Yuhさんが、1番好きな歌詞の曲は?
Yuh:「SINDRA」や「GLOSTER IMAGE」ですね。一人の人に対して投げかけたり、話しかけているような印象が、俺の中で特に強い2曲です。「SINDRA」は活動休止明けのシングルで、そこにいることが当たり前じゃないっていうことを思っていた時期だったから、その思いを表現したところが好きです。
――智さんの歌詞に驚く時はありますか?
Yuh:俺は前のバンドの時から知っているから、あまり驚くことはないですね。免疫がついているんでしょうね(笑)。もちろん突拍子もない表現もあるんですけど、それよりも、例えば「LIFE」の歌詞ができた時の話を聞くと、「光のドアが見えた」って言っていて。表現よりも、歌詞が作られた時の話を聞くと、結構やべぇなって思う時もあります(笑)。
智:光の扉が見えたんです。「家でね、夜中に起きてトイレに行って戻ってきたら、光の扉があって、触れたんだ」って言いました。
Yuh:そういうのを聞くと、歌詞そのものっていうよりは、それができたことの過程の方がすげぇなって思います。
――ギタリストとしてのYuhさんについては、どう思っていますか?
智:vistlipのメンバーの中で、バンドを組む前から、唯一しっかり音楽をやってきたのがYuhなんですよ。学校で音楽を学んできているから、知識の量がすごいんです。
Yuh:都立の芸術高校でクラシックを学んで、チェロを演奏していました。その後、専門学校でも勉強して。
智:だから、他のメンバーと音楽の知識が圧倒的に違うんですよ。vistlipは、最初はYuhしか曲が書けない状態でしたし、ギターや音楽に対する熱がやっぱりすごいですよね。vistlipにとって必要な音楽って何だろうねという話が通じる存在です。だから、頼りすぎてきた部分もいっぱいあるし、これからも頼ったりするんでしょうね。
――vistlipはツインギターですが、ギターアレンジはどうやって考えていくのですか?
Yuh:基本的には、俺が先に弾いて、それに対して海のアプローチを決めていくことが多いですね。曲によっては、両方のパートを考える場合もあります。
――智さんがYuhさんの曲で1番好きな曲は?
智:「星一つ灯らないこんな夜に。」ですね。Yuhは、俺が欲しいと言った曲をくれるから、すごく嬉しいですよね。それこそ「Underworld」もそうだし。僕からは何も言っていないのに、ポンと出してきた曲がすごく良かったりするんです。やっぱり、ライブの定番にはYuhの曲が多い。「My second B-day.」や「MONOGRAM」もそうだしね。昔の曲も人気が高い曲がたくさんあるし、要所要所で光っている曲が多いですよね。
――vistlipの楽曲の“動”の部分を担っていますよね。
智:それがないとやっぱりvistlipのライブは成り立たないんで。それはYuhにしかできないことなんです。
――バラードを作ることはどのように考えていますか?
Yuh:バラードは、人の曲を聴いたり、ライブを観に行ったりすることで、バラードの持つ力の強さを感じて作ることが多いです。「ORDER MADE」を作った時もそうでした。
智:Yuhはメンバーに、「バラードに関しては最高のものができないとシングルにはしない」と言っているんです。
Yuh:そうですね。リリースに合わせるような作り方ではなくて、「本当に自分たちがいいと思えるバラードができたから、世に出したいね」と思える作品を発表したい。俺の中ではバラードの概念はとても大切なんです。
◆『Revolver』以上に原点な二人(Yuh)
――この10年vistlipというバンドを続けてきて、「智がいて良かったな」「Yuhがいて良かったな」と思うことを聞かせていただけますか?
智:この二人がいないとvistlipは始まっていなかった、そこに尽きる部分もあったりするよね。僕とYuhと瑠伊は、vistlipを組むまでに2年間潜伏していたんです。普通は2年も時間があると、気持ちがすごく揺らぐんですよ。それでもあきらめずに、二人でメンバーを探したり、瑠伊を支えたりしながら、先のことを考えてきた。それができたのは、やっぱりお互いを頼りにしていたから。そんな二人なのかなって思います。
Yuh:前回の対談で「瑠伊は家族みたいなもの」って言ったんですけど、本当に兄弟みたいな感じなんです。智は、それとはまたちょっと違うんですよね。ビジネス的なパートナーであり、家族的な部分もある。その両方があるっていうのが、どういう関係なのかわからないですけど。この二人が出会っていなかったら、今、vistlip自体がないから。本当に『Revolver』以上に原点な二人だと思いますね。
――最後に、いよいよ間近に迫った、7月7日、Zepp Tokyoでの10周年記念ライブ「Guns of Liberty」に向けての意気込みをお願いします。
智:10周年の七夕のライブの会場をどこにするのかって色々な方にも聞かれたんですけど、僕たちが七夕の日にライブをやる会場はZepp Tokyoだって心に決めちゃっていて。それだけ大切な会場なんです。10年の活動の中で、これまで何度もZepp Tokyoでライブをやれたこと、そして、今もZepp Tokyoという会場に立てているということに感謝しています。それから、「七夕のライブは何があっても観に行きます」って言ってくれるファンがたくさんいて。そうやって毎年忘れずにいてくれる…それは普通に生きていて、なかなか経験できないことだと思うんですよ。この七夕のライブの日に、そこで自分の歳も数えるような感覚というか、そういう場にしてもらえていることにも感謝です。本当に感謝だらけなので、とにかくみんなにそれを伝える場として今回はやらせていただきたい。その思いを受け取りに来てください。
(文・武村貴世子 / 写真・コザイリサ / 編集・後藤るつ子)
対談に登場したvistlipの作品たち
※『-OZONE-』『ORDER MADE』はvister、それ以外はlipper収録曲
- 4th Single『-OZONE-』
- (2009年8月5日リリース)
- 01.-OZONE-
02.TWISTER
03.Mr.Grim ★
- 1st Mini Album『Revolver』
- (2008年4月23日リリース)
- 01.EDY ★
02.BLACK-TAIL
03.the surface
04.Moon Light Snow Rabbits ★
05.July VIIth
- 2nd Album『ORDER MADE』
- (2011年12月14日リリース)
- 01.chapter:GEAR
02.the wonderland from LAB.
03.android’s dream
04.RETRO
05.closed auction
06.XEPPET
07.entrance of NIGHT PARADE.
08.milk&macaron
09.STRAWBERRY BUTTERFLY
10.Evil Rider
11.exit of I am…
12.Drama Queen
13.SINDRA ★
14.ORDER MADE ★
15.Hameln
16.chapter:END
- 3rd Mini Album『GLOSTER』
- (2013年1月1日リリース)
- 01.Devil’s whisper
02.瞳孔
03.Inbreed
04.GLOSTER IMAGE ★
05.Specter of kingdom
06.Pinocchio
07.Reincarnation
08.夜
- 2nd Single『alo[n]e』
- (2008年10月8日リリース)
- 01.alo[n]e
02.LIFE ★
03.SLY
- 5th Album『BitterSweet』
- (2017年3月29日リリース)
- 01.BABEL
02.Antique
03.星一つ灯らないこんな夜に。 ★
04.Walking Dead
05.COLD CASE
06.WIMP
07.MONOGRAM ★
08.CONTRAST
09.BLACK BOX
10.Snowman
11.BitterSweet Ending
12.Credit
13:Underworld ★
vistlip
<プロフィール>
智(Vo)、Yuh(G)、海(G)、瑠伊(B)、Tohya(Dr)の5人からなるロックバンド。2008年4月、ミニアルバム『Revolver』でデビュー。2014年4月にリリースしたシングル『Period』では初のオリコンチャート9位を獲得。2015年12月18日には国立代々木競技場第二体育館でワンマンライブ「Right side LAYOUT[SENSE]」を成功させた。2016年3月にミニアルバム『SENSE』を、11月にシングル『Snowman』をリリース。2017年4月16日の大阪IMP HALLを皮切りにvistlip ONEMAN TOUR「Taste of Bitter Sweet」を開催。7月7日にZepp Tokyoにてvistlip 10th Anniversary LIVE『Guns of Liberty』を行う。
■オフィシャルサイト
http://www.vistlip.com
【ライブ情報】
●vistlip 10th Anniversary LIVE『Guns of Liberty』
7月7日(金)Zepp Tokyo
時間:OPEN 18:00 / START 19:00
価格:¥4,500(税込)※ドリンク代別途
席種:オールスタンディング
問合せ:クリエイティブマンプロダクション 03-3499-6669
チケットぴあ 0570-02-9999 Pコード:334-749
イープラス http://eplus.jp
ローソンチケット 0570-084-003 Lコード:74068