◆“1アルバム1SATOちメロ”(YUKKE)
――そんな苦労をしたSATOちさんとミヤさん共作の「YOU&I」ですが、どういうテーマで作ったのでしょうか?
SATOち:元々の曲があったんですけど、サビをより活かすためにリーダーの別のAメロが付いて、久々にみんなでスタジオに入りながら作りました。
――SATOちさん的こだわりの部分は?
SATOち:メジャーキーのところですかね。やっぱり明るい曲が好きだなって。暗いのあんまり好きじゃないので。
――そうなんですね。でも初期のムックは暗い感じでしたよね?
SATOち:それが、わかってなかったんですよ。昔のムックは明るい曲がいっぱいあると思ってたんですよ。他の人に聞いたら「何言ってんだよ。ムックはドロドロだよ」って言われて「うそー!?」って(笑)。
一同:(笑)
YUKKE:SATOちは自分が暗いバンドに属していることに気付くまで結構時間がかかったんですよ(笑)。
SATOち:結構かかった。「は!? マジで!?」って。びっくりしたなぁ。
――(笑)。SATOちさんが思う“明るい曲”とはどんなものなんでしょう?
SATOち:たぶんメロディーの感じなんだと思います。「狂乱狂唱〜21st Century Baby〜」…これは暗いです(笑)。
YUKKE:わかるよ(笑)。明るくはない(笑)。
SATOち:こういう感じよりはもっとメロディアスな方が好きで、メロディアスになっていればマイナー調でも“明るい”と感じます。
――なるほど。
YUKKE:SATOちが作ってくるちょっと暗い曲よりも明るい曲の方が、やっぱりSATOちらしさがあると思うんですよね。認知度的にも。“1アルバム1SATOちメロ”みたいなのはいいなぁと思ってます。
――この「YOU&I」は前半のベースの動きがすごく細かいですよね。
YUKKE:そうなんですよ。若い感じというか。
SATOち:そんなんあったっけ?
YUKKE:過去最速で弾いてんだよ俺。(※YUKKE、SATOちに説明)
SATOち:あぁわかった! 自分のことで精一杯だったから…。
YUKKE:俺はこれが今作で一番難しい曲ですね。展開も昔のムックみたいに目まぐるしく変わっていくし、場面場面で表情を作ってるのもベースだったりするので。
――Aメロがどんどん変化していくのがおもしろいなと思いました。
YUKKE:そうですね。Aメロが一番表情が変わっていってますね。
――以前逹瑯さんに登場していただいた際に、「ムックは昔からメインコンポーザーの趣味ががっつり出るバンド」というお話があったのですが、楽曲を作るうえでの現在のブームはありますか?
YUKKE:ムックはやっぱりリーダーの中でそのとき旬なものが出ますね。幅広くいろんなものを探して聴いてるなと思います。一番アンテナが高いし、こういうのやろうって一番持ってくるのもリーダーだし。その中でアルバム制作のときは、リーダーが見ていないような部分を持っていけたらなと思ってはいるんですけど。俺はあんまり自分から「今こういうのが好きで。こういうのやろう」っていうタイプではないんですよね。K-POPばっかり聴いてる。
――それはムックの楽曲に反映されることはありますか?
YUKKE:シングル『MOTHER』のカップリングで「ネガティブダンサー」っていう曲があって、完全にそういう感じを意識して作り始めました(笑)。
――SATOちさんはいかがですか?
SATOち:素直にJ-POPは好きです。ドラマの主題歌になっちゃうような人たちの音楽はやっぱり好きですね。
――メロディアスなものが好きというところに繋がっているんですね。
SATOち:そうですね。メロディアスにちゃんと良い曲じゃないと主題歌にもなれないし。もう本当…メロですね。メロディーがグッとこない場合はバンドに耳がいっちゃうので、どっちかですね。メロディー重視のアーティストか、バンドがかっこいいか。“聴く”って感じですね。
――なるほど。今作の逹瑯さんが作曲されたものは全くタイプの違う2曲(「狂乱狂唱〜21st Century Baby〜」「Marry You」)ですよね。
YUKKE:そうですね。歌い方の幅もすごく広がったし、特に逹瑯の2曲がアルバムの幅を広げたなと思いますね。
――先ほどのお話でSATOちさんは「ピュアブラック」のレコーディングが苦労したということだったのですが、YUKKEさんが一番苦労したのは?
YUKKE:「ピュアブラック」。アップライトベースですごく指が動くんです。体力的にすごく苦労しました。あとは「超苦労しました」っていうのはないんですけど、レコーディングで苦労しなくてもライヴで苦労する曲が今回はすごく多いです。やっぱりレコーディングとライヴのプレイは別なんですよね。最近リハーサルをやってるんですけど、今すごく苦労してますね。「YOU&I」とか「G.G.」とか。このアルバムってコーラスが入ってる曲がすごく多いんです。今までのアルバムで一番コーラスを録ってると思う。そのコーラスとベースプレイを同時にやる練習とか、そういうのもやっていかないと、なかなかものにならないなっていう気はしていますね。
――音源に入っているコーラスの声は基本的にメンバーのみなさんですか?
YUKKE:それによりますけど、いろんな人に参加してもらってますね。地元の先輩バンドだったり、ソニーのアーティストの人だったり、知り合いのミュージシャンだったり。結構多いですね。その辺も楽しみにしてもらえればなと。
――ツアーのリハーサルが始まっているということですが、SATOちさんは『シャングリラ』の曲の感触はいかがですか?
SATOち:大変ですね。激しい曲って結構粗くてもバレないというか成立する。感情で上手くいったりするんですけど。「Mr. Liar」はバックに打ち込みがあるので、感情だけではだめで。かなり今回の肝ですね。…「ピュアブラック」とかはパッションでいけるので(笑)。
一同:(笑)
YUKKE:便利な言葉だなぁ(笑)。
SATOち:(笑)。「Mr. Liar」とか「G.G.」とか、すごく激しくて打ち込みが入ってる曲が大変です。「ハニー」なんて、すげー楽しかったですもん。
――ライヴでも盛り上がりそうな曲が多いですよね。
SATOち:多いですね。相当盛り上がると思いますよ。だから「え?」ってお客さんに思わせないようにがんばらなくちゃなって、今すごいプレッシャーですもん。…なんで俺ドラムにしたんだろう?って。
YUKKE:そこに戻っちゃう(笑)。
――元々なんでだったんですか?
SATOち:いなかったから(笑)。ドラムが誰もいなかったから「じゃあ俺やるわ」くらいな。たぶんドラマーっていうのはそういうもんです。
――確かに、ドラマーが見つからないという話はよく耳にしますね。
◆“NEW YUKKE”みたいなものにしたい(YUKKE)
――今年も残りわずかということで、今年中にやり遂げたいことはありますか?
SATOち:難しいなー。言いたいこといっぱいあるんだけどなーNGになっちゃうからなー。
YUKKE:早めにやらなきゃなっていうことはツアーの準備なんですよね。真面目な話をすると(笑)。(取材日現在)もうあと3週間くらいで始まっちゃうので。そこをなんとなく始まるんじゃなく、アルバムのオリジナルツアーなのでそこからガラッと変わりたい気持ちがすごくあって。新しい曲がたくさんできて、それで構成するワンマンっていうのが久しぶりだから、ライヴもすごく変わると思うんですよ。
『カルマ』が2年前に出て野音からツアーをやってて、そこから2年間なんだかんだ言って『カルマ』の感じでイベントツアーもやってたと思うんです。だから久しぶりにライヴの1曲目が変わる、「フォーリングダウン」じゃない曲で始まる、みたいな。だから相当…なんて言うのかな…楽しみです(笑)。
――(笑)。
YUKKE:それと、15周年で自分をすごく振り返った年でもあったから、YUKKE=金髪で白いシャツっていう印象もすごく見せてきた年だったと思うんですね。それを『シャングリラ』ツアーを起点に“NEW YUKKE”みたいなものにしたいなと。具体的にどうしようっていうのをスタイリストやヘアメイクと相談しながらやらなきゃなっていうのを、今のところやり残してます。
――ツアーがとても楽しみですね。
YUKKE:ライヴも相当変わると思うんですよね。お客さんが喜ぶ感じというか。うちらもすげー激しくなるし、お客さんも痩せるんじゃないですかね。
――ムックダイエットですね。さて、SATOちさんいかがですか?
SATOち:んーーー。どうしよう…。
――ちなみに、昨年の逹瑯さんの記事に掲載しているコメント動画で、SATOちさんに理想のクリスマスの過ごし方を答えていただいたんですが、「もろでかい七面鳥を食べたい」と。
YUKKE・SATOち:あーー(笑)!
SATOち:食べたい。
――昨年これは達成されましたか?
SATOち:達成されてないです。
YUKKE:でも持って食べる大きいお肉、最近意外と売ってますよね。
SATOち:あ、あれすごかったじゃん。ワールドディズニー。
YUKKE:アメリカのディズニーランドに行くと、そういう手持ちの七面鳥を売ってるんですよ。
SATOち:あれはうまかった! ……曙ステーキが食べたいです!
――曙ステーキというのは?
SATOち:曙さんが力士のときに行っていたステーキ屋さんで食べていたステーキが“曙ステーキ”って言うんです。とにかくでかいらしいんで。
YUKKE:それをクリスマスに…
SATOち:食べたい。
一同:(笑)
SATOち:お肉は最高です。
(文・金多賀歩美)
ムック
<プロフィール>
1997年、ミヤ(G)を中心に逹瑯(Vo)、SATOち(Dr)とともに結成。1999年2月、YUKKE(B)が加入。これまでにアルバム17枚、シングル26枚、DVD作品12枚をリリース。国内外合わせ650本以上のライヴを行い、2006年、初の日本武道館単独公演を成功。海外では計13か国で公演を100本以上実施。2011年11月、ソニーミュージックアソシエイテッドレコーズに移籍を発表。2012年6月9日「ムックの日」には過去最大の単独公演となる幕張メッセワンマンライヴを成功に収める。また、10月からは日本を代表するヴィジュアル系バンドと共にアジアツアー「JROCK EVOLUTION 2012」全公演に出演した。12月からはアルバムツアー「ムック Tour 2012-Shangri-La-」を開催する。
■オフィシャルサイト
http://www.55-69.com/
『シャングリラ』
2012年11月28日発売
(ソニーミュージックアソシエイテッドレコーズ)
結成15周年を迎えたムック、2年ぶりとなる待望のニューアルバム。収録曲「G.G.」は12月1日公開映画「ウーマン・イン・ブラック」日本版イメージソング。
【収録予定曲】
[CD ※DISC1共通]
01. Mr. Liar
02. G.G.
03. アルカディア featuring DAISHI DANCE
04. ニルヴァーナ – Shangri-la edit –
05. ハニー
06. 終着の鐘
07. ピュアブラック
08. 狂乱狂唱~21st Century Baby~
09. Marry You
10. 夜空のクレパス
11. YOU & I
12. MOTHER
13. シャングリラ
[完全生産限定盤 DISC2]
-MUCC 15th Anniversary year Live(s)- 「97-12」2012.09.16 Zepp Nagoya
01. 梟の揺り篭
02. アンジャベル
03. 絶望
04. 幻燈讃歌
05. 友達が死んだ日
06. 4月のレンゲ草
07. 25時の憂鬱
08. 月の夜
09. 雨のオーケストラ
10. 狂った果実(笑)
[初回生産限定盤 DISC2]
-MUCC 15th Anniversary year Live(s)- 「97-12」2012.09.13仙台Rensa
01. 黒煙
02. FUZZ –Thunder Groove Ver. –
03. 月光
04. 燈映
05. 娼婦
06. 心色
07. 暁闇
08. 家路
09. 流星
10. 優しい歌