黒夢

2011年、国立代々木競技場第一体育館で完全復活を遂げた黒夢。彼らが放つ2ndシングル「アロン」に込められた想い、そして彼らの“今”を清春と人時が語る!

2011年2月26日、国立代々木競技場第一体育館を埋め尽くしたファンの歓喜の叫びに迎えられ、完全復活を遂げた黒夢。ニューシングル「ミザリー」のリリース、ライヴ「DAY OF LIGHT」の実施と、その動きを急激に加速させつつある彼らが起こした次なるアクションは、2ndシングル「アロン」のリリース。抒情的な歌詞に彩られた秀逸なナンバーに込められた深遠なる想い――。ニューシングルについて、そして黒夢の現在、未来を二人に語ってもらいました。

◆僕らに伝説があるんだとしたらそれは完全に粗末に扱っていきたいです(清春)

――2011年はシークレットライヴの敢行、メジャーデビュー日である2月9日にシングル「ミザリー」のリリース、そして2月26日「×××× THE FAKE STAR」で完全復活し、今回「アロン」リリース…と怒涛の上半期でしたが、下半期はどんな動きになりそうですか?

清春:下半期は当初の予定とおり、作品作りの活動が中心です。

人時:アルバムを作り上げたいですね。

清春:秋頃を目安にニューアルバムを出せればと。

――ライヴのご予定は?

清春:黒夢のライヴは今回の『DAY OF LIGHT』以降は全く未定です。

――ライヴといえば2月26日の代々木第一体育館について伺いたいのですが、完全復活を遂げた際の率直な感想を教えてください。1曲目の「BEAMS」で幕が落ちた時、満場の客席を前に何を思いましたか?

清春:「ミザリー」をリリースしてその後に決まってた初のライヴということで、かなり気合い入ってました。2年前の解散ライヴみたいな後ろ向きな気持ちもなかったし、楽曲制作とライヴ共に前向きに取り組めた。代々木は、メンバー全員白い衣装、ステージセットも白、良い意味で期待を裏切ることができたと思う。ようやく黒夢が始動するという気分でしたね。

人時:鳥肌が立ちながらも、あれ?意外とやりやすい箱だ。でもよくわかんない。清さんは何をする?とか色々…

――人時さん、そんなことを考えてたんですね(笑)。では、完全復活後の黒夢の目標や指針についてお聞きします。先日の代々木第一体育館のライヴで「新しいものを作って、今までの過去の活動を踏みにじるように活動していきます。変わって変わって変わり続けます。それが復活した証というか意味だと思うので」とおっしゃっていましたが、以前までの黒夢と差別化を図る、など具体的な指針はありますか?

清春:や、常に新鮮な気持ちで音楽に向かう為の努力やアンテナを絶やさないで活動するだけです。黒夢としてやってるうちはね。

人時:黒夢にとって新しいと思えるものとか新鮮と感じるものとの融合ができればよいかと。

――完全復活した黒夢で貫きたい美学はありますか?

人時:特に意識したことはありません。

清春:再結成にありがちな、過去の焼き直しは嫌です。伝説とか全く興味ないです。常に新曲をリリースして、僕らに伝説があるんだとしたらそれは完全に粗末に扱っていきたいです。

◆僕にとって彼は常にキラキラしている存在(人時)

――ところで、先日のZepp Nagoyaで行われたライヴ「DAY OF LIGHT」で、お互いを「すごいボーカリストです。清春!」「すごいベースを弾く男です。人時!」と称していらっしゃいましたが、お互いをどういう人間と分析し、どういう存在だと思っていますか?

清春:単純に日本のロックバンドのベーシストの中で一番上手くて強力なベースを弾く男です。以前からもそうだったけど、過去よりもさらにグレードアップしたよね。

――人時さんにとって清春さんはどんな存在ですか?

人時:僕にとって彼は常にキラキラしている存在ですね。

――リスペクトし合っているお二人が最近気づいたお互いの意外な一面があればお願いします。

清春:よく話すようになったかな。

人時:意外な一面を見つけるよりも、「あ、こうだった!」のほうがあるかも。

◆今の黒夢は「ミザリー」とか「アロン」みたいな曲のグルーヴも気持ちいいんだなと思う(清春)

――今回リリースした2ndシングル「アロン」は今回の震災後に歌詞が完成したとのことですが、特に今回作詞をする上でキーになった言葉はありましたか?

人時:デモの段階で「アロン」と歌っていたので、そうなるのかなぁ?と思っていました、清さんに聞いてください。

――では、ご指名ですので清春さんお願いします。

清春:『アロン』という言葉は震災のずっと前、デモの段階からこれでした。曲自体は特に震災を思って作ったわけではないですが、震災にひとつだけ結果的に結びつけるならば、楽曲のラストのアンセム。大人数で『アロン』、ひとりぼっちって歌っていることで、最後は一人であったとしても、だからこそ生きている間は誰かと一緒でありたいって感じが伝われば。震災の約一週間後に数年前の秋葉原の連続殺傷事件の犯人に死刑判決が下ったでしょ? 震災の最中、避難所で知らない人と共に暮らしている人もいて、かたや全然知らない人をナイフで傷つけて死刑判決を受けた奴もいる。『一人』という言葉も人によって全然意味が違うんだなと思って歌詞を書きました。そして人生の最後に誰を想うか。親でも子でも奥さんでも旦那でも友達でもいい。そういう人がいるかいないかで、やっと人生の幸福がわかるんだとは思う。

――このテーマを復活後のセカンドシングルにしたのはなぜですか?

人時:個人的にはミザリーからの流れで自然だと思います。

清春:テーマというよりも「ミザリー」があって、一作目と似ているリズムの曲をシングルにすることで、復活した黒夢のグルーヴを印象づけたかったのかな。今の黒夢は「ミザリー」とか「アロン」みたいな曲のグルーヴも気持ちいいんだなと思う。