CHAQLA.っていう“作品”、概念になりたい(kai)

次はkaiさん作曲の「Crush! my honey」です。
Bikky:ティム・バートン作品の大体の曲を手掛けているダニー・エルフマンが来日して、ティム・バートンの映像作品と合わせてオーケストラが演奏するコンサートがあったんですけど、それをkaiちゃんと観に行ったんです。この曲はティム・バートン味みたいな感じを…入れたんですか(笑)?
kai:いやー、気づいたら勝手に雰囲気がそうなってた(笑)。
Bikky:ドラム的にはこれもまた違うスネアを使っていて。普段自分がメインで使っているやつでもなくて、先ほど言っていたのでもない、名称が思い出せないんですけど…銀のやつです(笑)。これもまた全然違う音で、合っていた気がするな。
この曲の間奏もすごくて、ギターソロで終わらずに変拍子が入って場面転換してから、リズム隊のグルーヴ感溢れるユニゾンというのが素晴らしいなと。
Bikky:ありがてぇです…。
こういうのもスムーズに録れてしまうのでしょうか?
Bikky:いや、俺はRecは大分難航タイプっすね。
kai:毎回ANNIEの曲はドラムがめちゃくちゃなので、それをいかに叩くか時間がかかるんですよ。僕の曲の場合はビート感とノリだけ伝えて、あとはよろしくみたいな感じだから、それはそれでBikkyとしてはまた時間がかかるんですけど(笑)。ANNIEの曲に慣れていると、こっちは普通のフレーズとかビートが多くて、逆に叩き慣れてない分ちょっとムズいみたいな。
Bikky:だから…Recめっちゃ嫌いっすね(笑)。しかも自主でやっていた時から、ドラムは打ち込みじゃなくて絶対レコーディングしたくて、その言い出しっぺは俺なんですよ。でも嫌いやな(笑)。でも絶対このスタイルは変えたくないなっていう。やっぱりRecしたほうが、魂とその時の空気感が一緒にパッケージされるイメージがあって。
ちなみに、この曲はBメロだけANNIEさんの声が優しいじゃないですか。そこでのドラムのフレーズが、歌をよりドラマティックにさせているんじゃないかと感じます。
kai:あ、それは僕が要望を出しました。タム回し的なこの雰囲気は、デモの時からイメージはあって、何て伝えればいいかわからなかったけど、思い描いていた通り叩いてくれたのでよかったです。
Bikky:よかった。感覚を説明するのは難しいっすね。
皆さん割と感覚でやっている部分が多いんですね。さて、リード曲の「ANTHEM」ですが、こんな曲の始まり方ができるバンドは、なかなかいないなと思って。先行配信の反響はいかがですか?
kai:やっぱり出だしのインパクトが強いんでしょうね。「ベースやべー」みたいなのが多かったです。ベースとヴォーカル入りだし、スラップもめっちゃしてるし。逆にギターは大人しいんですよ。そんなに難しいことはしてないですね。この曲はメンバー皆、一発でリードになるだろうなと感じたと思います。
Bikky:そうね。先行配信して、いろんな友だちから連絡が来ました。普通に「曲ヤバいね」みたいな。「今作、本当にドラム叩いてる? 打ち込み?」って聞かれて、「いや、叩いてるよ」と言ったら、「めっちゃ音変わったし、いいね」って。「ANTHEM」は早くライブでもやりたくて、この前スタジオでやり始めましたね。新曲楽しいよね。
レコーディングとスタジオでの合わせで、感覚の違いはありましたか?
kai、Bikky:全然違う。
Bikky:気持ちよさが違う。脳汁が出ますね。
kai:この曲、ドラムが一番ムズいよね。ギターはそれこそメロディとちょっと当たっているかもと思って、サビの進行を変えました。あと、今回のEPで僕の曲以外チューニングが半音下がっていて、ちょっとラウド寄りにしているんですよね。なので、そういう重いイメージで皆弾いていると思います。ベースも、普段ライブで使ってないベースを借りて弾いていましたね。鷹乃助は4弦ですけど、5弦ベースの音が低いところがよかったので、1本取って4弦にして録るという、ちょっと変なことして。今回やっぱり少しラウド志向になっていると思います。「ANTHEM」は特に。
最後の「Spiritual story」は心地よいR&B系の楽曲ですが、ライブでの再現はどうなるんでしょう?
kai:今までもこういうビート系の曲をライブでどう再現するかとなった時に、Bikkyがドラムとサンプラーを叩くので、サンプラーにビートを入れて、生ドラムと混ぜながら演奏していて。これもそれでいけるんじゃないですかね。音源とは別で、ライブでは途中から生ドラムにしてもいいと思うし。
Bikky:ライブはそうなりそうだよね。
kai:ギターは元々入ってなかったので、ライブでやることを考えて1本入れておこうと。他の曲は3本、4本とか重ねているんですけど、この曲は1本だけしれっと鳴っている感じにしようと思って。エンジニアさんがピアノを付けてくれたので、初めてCHAQLA.でコード表というものを作ってもらいました。僕らはそういうのを作らないので(笑)。それを見て、自分で分解してちょっと変えて、ギターを入れましたね。あまり前に出さずに、こういうチルい洒落っ気のあるギターは好きなので、新しいニュアンスで面白かったですね。
エンドロール的な雰囲気もありながら、〈この物語は続く…〉という歌詞もあるように、また1曲目に戻ってエンドレスで聴けるEPだなと思いました。
Bikky:嬉しいですね。
kai:ANNIEって歌詞もリアルを歌うので、この曲も本当にあったことばかりなんですよ。走っている足音も、本当にANNIEが走っている音だし。
Bikky:〈333〉とあるのも、曲が3分33秒で終わるし。
kai:歌詞の通りANNIEのエンジェルナンバーが33だし。スピリチュアルなものを大分詰め込んだ曲ですよね。
Bikky:この人、大分スピってますね(笑)。心配なるわ(笑)。
kai:もう「PLASMA⚡️」で〈おれはスピってんだぜ!〉って言ってるから(笑)。
Bikky:そうね(笑)。「Spiritual story」の歌詞に〈瞑想石〉ってあるじゃないですか。アイツ、でっかい石をマジで持ち歩いているんですよ(笑)。瞑想する時に手に持つらしいです。

CHAQLA.の活動において重要なヴィジュアル面についてですが、今回のアー写は背景のペイントから装飾、建て込みまでメンバー自ら手掛けたそうですね。総制作時間はどのくらいでしたか?
Bikky:丸二日かな?
kai:二日帰ってないから、それくらいだね。買い出しとかも入れたら三日か。
Bikky:事務所の中にある撮影スタジオなんですけど、スプレー吹いて臭いパンパンで、普通に怒られましたね(笑)。これ、短いほうがカッコいいんかな?
kai:長いほうが苦労している感じするんじゃない(笑)?
Bikky:じゃあ三日で(笑)。
(笑)。作品を作る時は六畳一間の和室に入って目を閉じて、2分から7分後には降ってくるというBikkyさんの発言を目にしました。
Bikky:ごめんなさい(笑)。六畳一間の和室…そんな部屋はありません。フローリングです(笑)。デタラメが過ぎる(笑)。
kai:でも、降ってくるタイプの人ではありますね。今回は皆で絵を描いたんですけど、メインどころはBikkyとANNIEのミックスみたいな感じで、装飾系を俺と鷹乃助でペイントしました。
なんだかこういうのも文化祭っぽくて青春ですね。
Bikky:確かに、マジで文化祭の準備だったわ…!
kai:本当に。怒られながら(笑)。
Bikky:夜、皆で弁当買ってきて(笑)。
それと、MVの三好啓介監督とは、2年越しに念願叶ってご一緒できたそうですね。
Bikky:そうなんです! 2年前にXで動画がオススメに出てきて、カッコいいなと思ってフォローしたら、フォローを返していただいて。それでMVを撮ってほしいとオファーしたんですけど…全部ダイレクトメッセージって、今っぽいな(笑)。手紙を書いたら返ってきました(笑)。
またデタラメを(笑)。
Bikky:(笑)。2年前の時は実現できなかったんですけど、今回の作品を誰に撮ってもらおうかという話をしている時に、本当に偶然、事務所の人から提案されたのがその方で、「え!?」って。すごいっすよね。
kai:うち、そういうの多いんですよ。本当にこんなことあるんだ?みたいな。スピリチュアル的には引き寄せっていうやつですね。
CHAQLA.というバンド名だけに、すべてが上手く引き寄せられて。
kai:お客さんももっと引き寄せないといけないですね。
Bikky:たくさん引き寄せないと。
10月11日に浅草歌劇場での公演「芸達者」がありますが、通常のライブとは違う内容になるのでしょうか?
Bikky:色々考えたんですよ。例えば途中でライブペイントするとか、パートチェンジをしてみるとか。色々皆で話し合った結果、俺たちが真面目にライブをする、これ以上に“芸達者”なことはないよねっていう。一周回ってシンプルに戻ってきました。
kai:まぁ、初めての挑戦もちょいちょいありますよ。
Bikky:でも、能とか舞いはしないです(笑)。このタイトルだとしそうですよね(笑)。
(笑)。その後には、年をまたぐツアー「チャネリング」が控えています。
Bikky:CHAQLA.って、やっぱりツアーで強くなっていくんですよ。それは自分たちが一番感じているので、今回もまたレベルアップするツアーになるだろうなと思うし、ちゃんとEPを引っ提げて回る、綺麗な順序でいくツアーもすごく嬉しいです。だから、『覚命盤』も育てようと思っております。
kai:本当にツアーは進化するターニングポイントなのでね。あと、名古屋でワンマンをするのが初めてです。避けてはいないけど、通らなかったなと。ちょっとずつでもこうやって増やしていければ、数年後は壮大なツアーになっているんだと思います。それにしても、新曲をこれだけ持って行くのは初めてかもしれないですね。前にアルバムは出していますけど、曲はちょいちょい演奏していたので。今回は綺麗にリリースとツアーのリズムが揃って、どんな感じになるか楽しみです。
Bikky:いかんせん皆バカなので、そういうのがわからなかったんですよね。
kai:自主でやっていた時はチグハグだったんですよ。やっと揃ったなっていう(笑)。
CHAQLA.として今後、シーンの中でどんな存在になりたいですか?
Bikky:ちょうど昨日もANNIEと飲みながら、まさにその内容の話をしていて。ちょっと待ってくださいね…記憶が(笑)。「真の伝説になりたい」だった気がする。トップとかじゃなくて、語り継がれる伝説になりたい。もう活動できてないバンドだけど、ずっと聴かれ続けている、伝説化されているバンドっていくつもあると思うんですけど、そういうバンドになろうと思っています。自分たち、常にちょっとスケールがデカいんで。
kai:もう唯一無二にはなっている気がするので、このままパッと消えても伝説になりそうじゃないですか。今やっていることを考えたら、名前は多少残る気がしていて。だから、“生ける伝説”になりたいかもしれない。そういう意味で伝説になりたいというのは僕も思いますし、なんか…“作品”になりたいです。もちろん音楽が一番好きでやっていますけど、ドラマー、ギタリスト、ベーシストとかじゃなくて、シーンの中だろうが、この世の中だろうが、CHAQLA.っていう“作品”、そういう概念としての見方をしてほしい。そう見てもらえるように、あり続けたいなと。そのほうがいろんな人のいろんな捉え方で、広くCHAQLA.を見られるから。バンドというより概念になりたいですね。
Bikky:ヴィジュアル系というものの捉え方が新しくなってほしいです。なんでメイクするのか、なんで衣装が派手なのかとか、CHAQLA.が視覚的なものの象徴になってほしい。CHAQLA.みたいなバンドが出てきてほしいなと思いますね。
kai:人の意識を変えたい。言うなれば洗脳。でも、こっちが得をするように洗脳したいんじゃなくて、ちょっと気づくだけで、その人たちの人生が豊かになると思うんです。そういうメッセージを今後も発していって意識改革したら、CHAQLA.の見方も、その人の人生の見方も変わる。俺らは音楽とかCHAQLA.をやっていて、それを本当にわかっているんですよ。そういうのをこの世に伝えられる“作品”に、CHAQLA.がなればいいんじゃないですかね。
(文・金多賀歩美)
CHAQLA.
ANNIE A(Vo)、kai(G&Cho)、鷹乃助(B)、Bikky(Dr)
オフィシャルサイト
リリース情報
New EP『覚命盤』
2025年10月1日(水)発売
収録曲
- -起-
- PLASMA⚡️
- Revolution-365
- Crush! my honey
- ANTHEM
- Spiritual story
ライブ情報
●CHAQLA. 劇場公演「芸達者」
10月11日(土)浅草花劇場
●CHAQLA.3DAYSゲリラコンセプトLIVE「高円寺大感電超爆死GIG」
会場:東高円寺二万電圧
11月4日(火)DAY1【PunkでNight‼】
11月5日(水)DAY2【HalloweenでNight‼】
11月6日(木)DAY3【スピってNight‼】
●MAMA. × CHAQLA. × nurié presents. 『漢上げ』〜また、必ず〜
11月10日(月)目黒鹿鳴館
●Leetspeak monsters × CHAQLA. 2MANSHOW『CULTURE SHOCK‼』
11月19日(水)高田馬場CLUB PHASE
●「CHAQLA.ONEMAN TOUR チャネリング」
11月22日(土)名古屋 HeartLand
11月29日(土)札幌 Crazy Monkey
11月30日(日)札幌 Crazy Monkey
12月13日(土)神戸 VARIT.
12月14日(日)大阪 OSAKA MUSE
2026年
1月17日(土)仙台 LIVE HOUSE enn 3rd
1月31日(土)渋谷WWW X