Alternation of Generations

メジャーデビューEP『P.O.P』を徹底解説!

彼らの全てが詰め込まれた圧倒的な完成度を誇る1枚。4人が語る作品の魅力をチェックして、じっくり聴きこんでいただきたい。

作品のタイトルとテーマ

DANCHO

バンドを一言で表現したかったのでこのタイトルにしました。「いかにヤバい事をポップに聴かせられるか」をテーマにしています。

YOSHIHIRO

せっかくの1stなので、難解な曲で難しい演奏をしているがPOPでありたい、キャッチーでありたい、というバンドの意思表示をそのままタイトルにしています。

Ryosuke

テクニカル界を牽引している大先輩ベーシストの影響を受けて、自分もテクニカルな事をやっていますが、大先輩方から学んだフレーズを自分のオリジンとして新たに周りのミュージシャンや下の世代に示せるように試行錯誤しました。なのでメタルというジャンルにしてはベースがめっちゃ聴こえると思います!

FUMIYA

テーマは「ポップさと難解さの共存」。ポップなのかプログレなのか、やっているとよくわからなくなってきているので、タイトルはリスナーに投げました。

制作で一番思い出に残っていること

DANCHO

みんなの拘りが凄すぎて刺激になりました。

YOSHIHIRO

楽器RECがほぼ終わっているという段階でドラムが脱退。ただそのお陰でフーミンさんに加入してもらえたので良い思い出になっています(その分フーミンさんは大変だったと思いますが!)。

Ryosuke

今までレコーディングした中で断トツ難しかった…。何度心が折れたことか…。ただ、この難易度の曲ができるメンバーと、バンドができるのは最高です!

FUMIYA

諸事情によりドラム録りのスケジュールが非常にタイトで、且つ、録りの内容も簡単なものではなかったため、自分の持てる全てを絞り出しました。特に10分を超える「Requiem」に関しては、ドラマー人生史上、最も難しかったと言えます。故に録り終えた時の達成感は非常にクるものがありました。


各曲の聴きどころ紹介

01.Ikarus(作詞:団長/作曲:YOSHIHIRO)

DANCHO

イントロの長さに注目!

YOSHIHIRO

まずはご挨拶…という感じで、一番ストレートなロックの延長線上である感じを意識して作りました。とっかかりが良い曲ではないでしょうか。その中にも「おや?」となるような部分がたくさん盛り込まれています。新しい事に挑戦というより、スタンダードな中にAOGらしさをまぶしたイメージです。変拍子やユニゾンは基本要素である中で、急にベースがスラップでハモっていたり、各楽器が好き放題やっているように見えて調和が取れているセクションが急にきたりするので注目です。

Ryosuke

楽曲的には本来、ベースだと指弾きやピック弾きでドライブ感を出してというのがオーソドックスなのですが、この曲はサビを全編スラップで弾いてみました。疾走感のあるスラッププレイに注目して聴いてみてください。

FUMIYA

王道のロックドラム(ちょっと足が忙しいけど)をベースに、派手なフレージングの箇所が2ヵ所ほどあるので、そこでのフィルインの音使いを聴いてほしいです。サブスネアやエフェクト系のシンバルをふんだんに使用しています。

02.Shine On(作詞:団長/作曲:YOSHIHIRO)

DANCHO

このアルバムの中で唯一ライブを意識した曲なので、そこも踏まえて聴いてもらえたら。

YOSHIHIRO

アルバムの中で最後にできた曲です。最初の方に作った曲はライブのことを何も考えずに作っていた分、ライブのノリをかなり意識しました。ただそれでも変拍子は果敢に入れていきたいという攻め気な曲です。ドラム&ベースが本当にカッコいい!

Ryosuke

デジタルサウンドなライブナンバーで、この曲はほとんどスラップとタッピングで作りました。実はイントロのシンセも全部ベースで弾いています。この曲のソロは少しオールドな要素も入れたかったので、若干FUNK的なアプローチで攻めました。シンセベースも含め、通常では考えられないくらいベースを重ねているので、それも踏まえて聴いてほしいです。

FUMIYA

4つ打ち系なのでドラムもシンプルに…とはいかないのがうちです。後半のベースソロあたりからバックでドラムが4つ打ちに徹するのですが、徐々に様子がおかしくなっていき、手数が増えていく様に注目してください。あとイントロとアウトロのドラムがそもそも難しく、フレーズを作ってから後悔しました。

03.掌の海(作詞:団長/作曲:YOSHIHIRO)

DANCHO

普段あまり書かない歌詞の世界観なので面白かったです。

YOSHIHIRO

日本人の好きな厨二感をとことん詰め込んだ感じです。実はAOG用に作った曲ではなく、遊びで作ったストック曲をAOGに合うのではと改良してデモを作りました。ドラムとベースとオーケストラ楽器でオケがほぼ出来上がっているので、正直ギターはいらないのでは…?と今でも思っています。ヴォーカルのサビの熱量は、聴いていて気持ちいいと思います。

Ryosuke

この曲はずっとベース動いている気がしますね。一つひとつのやっていることはシンプルなのですが、「そこでそのフレーズいく!?」というものを詰め込んでいます。

FUMIYA

イントロ~Aメロのキックパターンが弦楽器とユニゾンしているので、ひたすらにそこのグリッド感を意識して録りました。それと、曲自体が壮大なイメージなので、ドラムもハーフビートを叩くときは少し後ろの意識で叩いてみたりしています。

04.QUESTION(作詞:団長/作曲:YOSHIHIRO)

DANCHO

ギターソロ開けの落ちサビの入りが、滅茶苦茶難しいです。

YOSHIHIRO

AOGで最初に出来た曲で、方向性を探り探りでした。他に3曲ぐらい出来てから再度手を加えた気がします。ギターソロで「あ、こいつアングラ絶対好きやろ」って思っていただけたら本望です。あと、僕が思う変拍子の基礎が詰まっている気がするので、変拍子を本格的に追いかけてみたいと思っている方は、この曲の分析から始めるといいかもしれません。さらに僕の大好きな、ドラムの重ねシンバルもいっぱい聴けます。

Ryosuke

最初にできた曲ですね。ベース的には一番メタルという感じなのかなと思います。要所要所でテクニカルフレーズを弾いていますが、基本的にはルート多めです。おそらく一番シンプルです。

FUMIYA

イントロやアウトロでスタック(重ね)シンバルをガシガシ叩きまくっていて、これをやるとYOSHIHIROさんがとても喜びます。間奏~ギターソロの拍をリスナーが取れるかどうかがとても気になりますが、やっている側も1拍でもロストしたら死亡確定なので、いかに頭の中がクエスチョンにならないかが鍵です。

05.Requiem(作詞:団長/作曲:YOSHIHIRO)

DANCHO

曲の長さを感じさせない展開

YOSHIHIRO

バンドのスタンスである「プログレッシブ・ポップ」のプログレッシブ側のキーになる曲だと思います。意図的にドリーム・シアターの影響を感じて貰えるような要素を散りばめました。あと自分が曲作りの上で影響を受けた、近年の『FINAL FANTASY』のサウンドトラックの影響もすごく出てると思います。曲自体が長いのですが、「1曲にせず2~3曲に分ければよかったのでは?」とならないように、飽きずに聴けるようかなり頭を使いました。もうこんな曲作らない…あ、フラグです。

Ryosuke

この曲のレコーディングが一番大変でした。何度心が折れたことか…。10分以上あり展開も多いので、ベースもいかに飽きさせないかということをかなり考えました。聴いた方は全員で褒めてください。

FUMIYA

俺たちへのレクイエムでもあります。なんつー曲を用意しやがったんだ、あのラーメンマンは。もう何も語るまい、聴いて何かを察してくれ。俺はこの曲を取り終えた時、拳を天高くつき上げた状態で真っ白に燃え尽きていた…。

06.春呼ぶステラ(作詞・作曲:YOSHIHIRO)

DANCHO

ラストサビの地獄ユニゾン。

YOSHIHIRO

「Requiem」がプログレッシブ側だとすると、「春呼ぶステラ」はポップ側のキーなのかもしれないです。前半は大分ストレートに進行しますが、後半で「ただで終わってたまるかい!」というバンドの意地を感じ取っていただければと思います。歌詞については、色々なミュージシャンがコロナ禍にまつわることを書いていたりすると思うのですが、僕もコロナ禍で見えた景色を音楽の形で残したかったので、作詞を担当させていただきました。一つひとつ解説していくと野暮ったくなるのであまり具体的な話はしませんが、聴いてくれた人が、まだ続いていくであろうコロナ禍を戦っていく中、疲れた時に寄り添ってあげられるような曲になってほしいと思っています。 

Ryosuke

当初、高速ユニゾンは最初の1回だけだったのに、「最後のサビでもユニゾンやろうよ」って言った僕がバカでした。最後の最後、マジでバカやってます。ちなみに3フィンガーはできないので、全曲速弾き系は2フィンガーで弾いています。なので褒めてください。よろしくお願いします。

FUMIYA

春を呼ぶにしてはラスサビがエグ過ぎやしませんかね? これじゃ春を通り越して夏、夏すら通り越して冬まで行ってしまう、あぁもうすぐ春やん(一周回った)…ってくらいやらかしているラスサビを聴いて笑ってください。自分も聴いて笑っています。苦笑い寄りです。


必見の初ワンマンツアー開催

10月8日(土)名古屋ell.SIZEを皮切りに東名阪で開催される1st ONE MAN TOUR「Progressive or Popular」。超実力派4人の音楽をぜひ会場で!

ライブで一番楽しみにしていること

DANCHO

打ち上げです! 嘘です。本当はここ数年会えなかった地方のファンの方に会えるのが一番楽しみです。

YOSHIHIRO

初ワンマンツアーなので1公演ごとにたくさんの試行錯誤があって、1公演ごとにたくさん変化して、間違いなくトラブルも起こると思うので、「初」ならではの事を片っ端から楽しみたいと思います!

Ryosuke

打ち上げ!

FUMIYA

ライブ後に、今日誰が1番事故ったかをジャッジメントする時間ですね。

AOGから初めてのワンマンを見に来る方々へ

DANCHO

自分たちも初めてなのでお互いさまという事で。でも観に来てくれなかったら、次いつやれるかわからないので来てください!

YOSHIHIRO

「初」ならではの事を楽しんで欲しいです(笑)。活動ペースは今後どうなっていくかわかりませんが、間違いなく今回のワンマンツアーからどんどん変化していくと思うので、2022年10月のAlternation of Generationsの姿をしっかり覚えていてください。そして次に見ていただく機会にどう変化しているか、厳しい目でジャッジしていただきたいです。我々のスタートをしっかり見届けてやってください!

Ryosuke

俺を見ろ!

FUMIYA

バカテクに人生を捧げた4人の男たちの末路を見届けよ!

(文・後藤るつ子)

Alternation of Generations

DANCHO(Vo)、YOSHIHIRO(G)、Ryosuke(B)、FUMIYA(Dr)

オフィシャルサイト

リリース情報

New EP『P.O.P』
2022年9月28日(水)発売
(キングレコード)

KICS-4083 ¥3,080(税込)

収録曲

[CD1]

  1. Ikarus
  2. Shine On
  3. 掌の海
  4. QUESTION
  5. Requiem
  6. 春呼ぶステラ

ライブ情報

●1st ONE MAN TOUR “Progressive or Popular”
10月8日(土)名古屋ell.SIZE
10月9日(日)大阪RUMIO
10月15日(土)新宿ANTIKNOCK