2017.12.17
『-The Kingdom Fes,-』vol.2@高田馬場AREA
今年3月の渋谷REX 公演に次いで2度目となるK(ex.BORN)の主催イベント『-The Kingdom Fes,-』vol.2が高田馬場AREA で開催された。「仲の良い先輩や後輩、友達と何かイベントができたらいいなと思って」というKの思いから発足したこのイベントには今回、K、景夕(Kra)とKによるユニットC+K、Soanプロジェクトwith芥、Far East Dizain、RENO、DIMLIMという全6アーティストが出演(主催者のKは6ステージ中4ステージに出演!)。チケットは見事ソールドアウトとなった記憶に残る一夜の模様をお届けする。
【DIMLIM】
スタートを飾ったのはDIMLIM。攻撃的で重く激しいメタルサウンドが印象的な彼らだが、この日は「記憶、紺碧の微笑み」の柔らかなギターとヴォーカル・聖のビブラートの利いた歌声に包まれた静かな幕開けとなった。続く「浄土の花」では静けさの中にドロリとしたダークな空気を漂わせ、緋色に包まれたステージの中央で聖が天を仰ぎ、拳を握りしめ、絞り出すように歌い上げていく。
そんな静けさを打ち破り、「俺たちがDIMLIMだ! 全力でかかってこい!」の咆哮と共に「Destroy a desire」を投下すると、ステージ際までギターの烈と竜弥がせり出し、フロアを煽り倒す。今年11月にベースとドラムが脱退するという大きな変化を乗り越えたDIMLIMだが、そんなことは微塵も感じさせないパワフルなプレイを見せつけた。ラストを飾ったのは「アハレワタ」。クリアヴォイス、ホイッスル、ガテラルを目まぐるしく繰り出しながら、狂気を孕んだアクトで客席を蹂躙していく。
最後に全てを断ち切るような渾身の咆哮でステージを終えたDIMLIM。異色の存在感で観る者に強烈な傷跡を残したのだった。
【RENO】
鳴り響くギターの音色と共に爽やかな笑顔でステージに登場したのは“ギターが歌う”をコンセプトにソロ活動を展開しているRENO。エッジの利いた「Sonic Attack」から極太のサウンドを響かせたアッパーチューン「Minority」、感情の迸しりを感じさせる「Collision of Universe」と、全曲がインストゥルメンタル曲でありながら抜群の存在感が光る楽曲たちに、オーディエンスは高らかに上げた拳で応えていく。そして、この日のサポートメンバーであるK(G)、結良(B/Kra)、そして初登場となる風弥~Kazami~(Dr/DaizyStripper)が、RENOの奏でる音世界をよりダイナミックに拡張していった。
余計なものを削ぎ落した感のあるステージ。そこで繰り広げられる多彩なサウンドは心を浮き立たせ、曲が終わるたびに大きな歓声と拍手が沸き起こる。
このイベントの出演が2度目となるRENOは、堂々たるステージの一方で、サポートメンバーとの軽快なトークを展開。今回初参加となる風弥から「ずっと一緒にやりたかった。今日夢が叶いました」という嬉しい言葉も飛び出し、客席は和やかな空気に包まれた。
ラストを飾った「JOURNEY」で、特大のハンドクラップに彩られ、幸福感に満ちた空間を作り上げたRENO。万雷の拍手に包まれ、躍動感と爽快感に満ちたステージを締めくくった。
【Far East Dizain】
バンドのコンセプトを象徴する和のSEと共に、新衣装で姿を現したのはFar East Dizain。
「いけるかAREA! 思いっきり盛り上がって行きましょう!」
Keita(Vo)が高らかに幕開けを告げ、「The War Went On」を投下。いきなりのトップスピードでフロアを一気に掌握すると、明滅する光の中、Leda(G)、Яyu(B)も激しいアクトで圧倒し、続く「INVISIBLE WOUNDS」では伸びやかなKeitaの声と極太なサウンドの絡み合う中、Sujk(Dr)の力強いドラムが観客の心拍数をグングン上げていく。
さらにこの日は、12月に新たにリリースされるニューシングル「Beyond These Walls」を初披露。いち早く届けられた新曲に歓喜した客席から次々に拳が上がり、初見とは思えない順応力で熱量を上げていく。その勢いはライブ後半でさらに加速し、今やライブに欠かせない1曲となった「Disgracer」でヘドバンの嵐を巻き起こしたのだった。
ラストは激しくも美しいメロディが印象的な「Weight of sins」をドロップ。タオルが旋回し、「ラスト一緒に暴れてください! 3、2、1…」のカウントで会場をカオスの渦に叩き込んだ。力強いプレイで魅せ、冴え渡る技巧と繊細な華やかさに満ちたFar East Dizain。彼ららしいまさに圧巻のステージだった。
【Soanプロジェクトwith芥】
『パラドクス』のアンビエントなギターで幕を開けたのはSoanプロジェクトwith芥。ステージ中央で芥が手を揺らめかせ、サポートメンバーであるK(G)、Shun(G)、Lay(B)と共に抒情的にSoanの作り上げた音世界を描いて行く。雄大な空気に酔いしれていると、『薄紅は舞い散り寂光に消える』の毒気のあるイントロでモッシュの波が沸き起こった。「さあAREA、その手を高く! 踊ろうか!」という芥の声に、「いいね、やろうぜ!」とSoanの檄も飛び、Shunのシャウトが更なる狂騒感を呼び起こす。
「こんなに素敵な景色を見ると箱に入れて持ち帰りたいと思いませんか? 今日はそんな素敵な景色を作り上げて行きましょう」という芥の言葉と共に、ライブ後半もSoanプロジェクトwith芥が掲げるコンセプト“動”を濃縮したセットリストをフルスロットルで展開。「右へ左へと激しく行こうぜ!」とスタートした『躁狂の踊り子~山紫水明の宴~』ではLayが芥にキスを仕掛け、KとShunもスイッチしながら激しくステージを動き回り、Soanも客席を煽り倒しながら荒々しくドラムを打ち鳴らす。会場内に充満したカオティックな空気は怖いほどで、ラストを飾った『hysteria show time』に至るまで、会場のボルテージは留まることなく上がり続けた。この空間を宝箱に入れていつまでも閉じ込めておきたい、そんな絶景を作り上げたSoanプロジェクトwith芥のステージだった。
【C+K】
不穏なSEと共に幕を開けたのは、今年8月に産声を上げた景夕(Vo)とK(B)のユニットC+Kの初ステージ。Vifでは以前、ユニット結成当日のインタビューをお届けしたが、それ以降謎に包まれていた彼らが、この日初めて正式に姿を現すこととなった。モノクロの衣装に身を包み、姿を現した景夕とK。そしてサポートメンバーの祐弥(G)、nisa(G/レイヴ)、Soan(Dr)というかつてない顔ぶれに、オーディエンスの期待は否応なしに高まる。
「さぁAREA行こうか!」という景夕の咆哮で、まだタイトルが決まっていないという生まれたての楽曲たちが初披露された。時にか細く、時に極太の歌声を響かせ、Kraともまた異なる表情を見せる景夕、そしてベースという新たな楽器で更なる新境地を切り開いたK。ステージはコンセプチュアルなヴィジュアルや楽曲と相まって、どこまでも新鮮な驚きに満ちている。
「初メマシテ、コンバンハ。C+Kデス」
この日のMCは景夕が手にしたPCの合成音声で行われ、どよめきと共に迎え入れられた…のだが、途中で景夕の文字入力が間に合わなくなったためPCを放棄。ここからは仲の良い5人らしい緩~いトークが展開された。K曰く「ライブをやる前に誰もMCをやらないと決めていた」そうなのだが、止まらないトークでフロアを爆笑の渦に巻き込んだのだった。
そんな予定外の事態に陥りつつも、耳に残る4曲をオーディエンスの記憶にしっかり刻み込んだC+K。強烈なインパクトを残した初ステージとなった。
【K】
Kを呼ぶ声が会場いっぱいに広がる中でスタートしたこの日最後のステージは、初の全国流通シングル曲「STORY」で爽やかに幕を開けた。いつもどこか温かさを感じる彼のライブだが、この日のタイゾ(G/Kra)、千歳(G/Chanty)、翼(B)、SOY(Dr)というサポートメンバーに囲まれてのステージにも、そして客席にも、確かな温かさが息づいている。
次いで投下されたヘヴィなナンバー「Raging pain」では翼の渾身のコーラスが炸裂し、「暴れ足りないだろお前ら!」というKの絶叫が響いた「雀羅」では、息の合ったコール&レスポンスと共に無数の拳が視界を埋め尽くした。
ここまで3ステージを務め上げたKは、この日のMCで、「いやーここまで長かった」と、どこかホッとした笑顔を浮かべつつ、「みんなイベントに出てくれるのはいいんだけど、人の顔を見ると打ち上げの話しかしないんだよね」と笑いを誘う。
そんなハードな一日を駆け抜けたKだが、ここからのセットリストも容赦のない楽曲が顔を揃え、「Higher」で一気に心拍数を上げると、「Screaming for~」を骸骨マイク片手にアグレッシブに歌いあげ、ラストは「俺の大事な歌です」という言葉と共に奏でられた「Rebirth」でフロアに激震を起こしたのだった。
アンコールに応えて届けられたこの日最後の楽曲は「MY WORLD」。途中、祐弥の乱入というサプライズもありつつ、最後まで全員が笑顔で駆け抜け、多幸感に包まれたイベント『-The Kingdom Fes,-』vol.2は幕となった。
そしてこの日、イベントの第3弾『-The Kingdom Fes,-』vol.Ⅲが2008年4月9日にTSUTAYA O-WESTで行われることが発表された。出演は、K、C+K、Develop One’s Faculties、アンフィル、Soanプロジェクトwith芥、DAMYというvol.2に匹敵する錚々たる顔ぶれ。今後、更にパワーアップしていくこと間違いなしの『-The Kingdom Fes,-』、この先の展開に期待は高まるばかりだ。
◆セットリスト◆
【DIMLIM】
01.記憶、紺碧の微笑み
02.浄土の花
03.「初潮」
04.Destroy a desire
05.アハレワタ
【RENO】
01.Sonic Attack
02.Minority
03.Collision of Universe
04.JOURNEY
【Far East Dizain】
01.The War Went On
02.INVISIBLE WOUNDS
03.Beyond These Walls
04.Disgracer
05.Weight of sins
【Soanプロジェクトwith芥】
01.『パラドクス』
02.『薄紅は舞い散り寂光に消える』
03.『sign…』
04.『躁狂の踊り子~山紫水明の宴~』
05.『arrive』
06.『hysteria show time』
【K】
01.STORY
02.Raging pain
03.雀羅
04.Higher
05.Screaming for~
06.Rebirth
EN
01.MY WORLD
(文・後藤るつ子/写真・コザイリサ)