10周年記念ミニアルバム第3弾『Breath』feat.Shota。
アコースティックサウンドに乗せて届けるALvinoの思い。
2016年2月16日に結成10周年を迎えたALvino。4月に『G-T-R』feat.KOJI、5月に『Lovely {H} Days』feat.潤と、各メンバーの誕生月に10周年への思いを込めたミニアルバムをリリースするという記念シリーズの第3弾はShotaフィーチャリング作品『Breath』。彼の音楽の原点であり、今やALvinoのライフワークとなっているアコースティックサウンドで奏でられるShotaの生き様、そしてALvinoの思いを感じてほしい。Vifインタビュー初登場となるALvinoの3人に、この記念作品について、バンドの10年について、じっくりと話を聞いた。
◆10年というタイミングでそういう話が聞けたのは面白かった(潤)
――10周年記念作品の第1弾『G-T-R』、第2弾『Lovely {H} Days』の際にコメント動画を掲載させていただきましたが、『G-T-R』の時に出会った時の第一印象をお話いただきました。
全員:あー(笑)!
――ということで、今回は10年経ってわかったことを教えてください。
KOJI:10年経って色々とわかって、逆に気付かないようにしている感じかな。俺の場合は、相手のことを全部知ってしまうと新鮮味がなくなるというか。自分にとっては普通じゃない10年で、バンドにとって良いことも悪いことも3人で乗り越えてきたから、普段見せないものを見せ合ってこの10年間やってきて、これ以上掘り下げていくと、家族関係よりも深くなっちゃう。音楽を作るときというのは距離も必要だと思うし、色々と考えた挙げ句、あえて見ないようにしているところはあるかな。
潤:音楽を一緒にやっている部分は知っていますけど、あんまりプライベートを知らないんです。成長はあるにしろ、出会った時から皆あまり変わってないんじゃないですかね。制作していて、ミラクルが起きる時ってあるんですよ。こういう風にメロディを作っていったのに、全然違う解釈で返ってきたとか、そういう楽しみや期待はずっと持っていきたいなというのはあります。だから僕も、すごく知ってるというところまで知らないようにしているかもしれないですね。
Shota:二人は音楽に対してもメンバーに対しても、大事なことや瞬間というのはすごく正直に話をしてくれて。それが聴いてくれる人にも伝わって、今までやってこられたというのもあるし、そこがずっと変わらずにあるなというのを感じますね。
潤:今回『Breath』を作るにあたって、Shotaをフィーチャーする歌詞が書きたかったんです。それで、知らないことも結構あるなと思って、この機会にShotaを知っておこうとロングインタビューをしたんですよ。3時間くらい。
――それはロング!
潤:学生時代の話から、どんな恋愛をしたとか事細かに聞いて、そうだったのかと気付くこともあったし、本人も気付いたことが結構あったみたいで。ちょうど10年というタイミングでそういう話が聞けたのは面白かったし、それが歌詞に反映されたと思いますね。
――今作では全楽曲の作詞者が、Shotaさんと潤さんの連名になっていますよね。
潤:「蒲公英」とかはある程度歌詞ができていたんですけど、ロングインタビューをしてから付け足したりしようかなと思ったので、基本はShotaの実体験を元にファンタジーを含めつつ書いていきました。なので、元の言葉選びとか、基本的にShotaと一緒に歌詞作りをしたので、二人で書いたという形にしました。
――どの曲もまっすぐな歌詞だなということと、現在のShotaさんやALvinoの思いが綴られているのかなという印象が強かったです。
Shota:僕が一度「Our Time」とかを書き上げてみたんですけど、ちょっとリアル過ぎるというか、その時々のShotaの景色の匂いや空気、気持ちとか、そういうものは“feat.Shota”なのでどの曲にも入れたいけど、受け取る側がそこからさらに想像できるものをと考えながら、潤くんと言葉選びをしていきました。その作業って、じっくりやったのは今回が初めてかなと。僕は一人で書いていると作文になりがちなので、そこは3人でやっている強さだなと思いますね。
――「JOKER」はShotaさんが地元・北海道から上京してきた頃の思いが反映されているのかなと。
Shota:自分は生い立ちの中でずっとジメジメしてクヨクヨして、なかなか言葉を発せなかったり、外に何かを伝えようとしない人間だったんじゃないかなと思っていたんですけど、潤くんと色々と話をしていく中で、意外と周りに流されずに自分のやりたいことに対してまっすぐに進んできたなということに気付いて。北海道から出てくる時も実際にそうだったんですけど、そういう場面がいくつもあったなと思って、できあがった歌詞です。
――最後の〈自分で選んだ道だから この掌で薔薇色に変える〉という歌詞が特に素敵です。
Shota:言い切ることって大事だなと。
潤:Shotaは言いたいことが多いんですよ(笑)。だから最初はこれもあれもという感じだったので、一つシンプルに言い切ったほうが、聴き手は聴きやすいだろうなと、相談しつつ作っていきました。
――なるほど。ところで、「Our Time」に〈放課後君を呼び出しては2人で過ごす渡り廊下〉という歌詞がありますが、皆さんこの経験は?
Shota:僕は当然あるわけですよね(笑)。
――そうですね(笑)。お二人は?
潤:いやー、恥ずかしくて学校内では会わなかったですね。僕は軽井沢が近かったので、初めて軽井沢にデートに行った時も、ちょっと人気の少ないところで手を繋いで歩いたりはしたんですけど、学校内では黙っていました。
――友達に隠すタイプだったんですね(笑)。
潤:そうですねぇ。陰険なタイプでした(笑)。
KOJI:俺は学生時代から今も意外と硬派なんですよ(笑)。渡り廊下で会うような奴らは大っ嫌いでした(笑)。
全員:(笑)
――Shotaさんとお二人の間に壁が(笑)。
Shota:学生時代のタイプが違いましたね(笑)。
KOJI:今でもクリスマスデートとか一般的に皆が羨ましくなるようなことって、背を向けちゃうタイプなんですよね。最近は表向きは柔らかくしようと思って、そういう質問をされても頑張って答えるんですけど、やっぱり実行しようとは思わないんですよね。だから、僕がこういう淡い歌詞を書く場合は、映画や本とか何か題材をもらえないと書けないかもしれないですね。自分の実体験で書いたら、すごくつまらない歌詞になると思う(笑)。
――そういえばアルバム『ALive』の時の記事で、KOJIさんは私生活では記念日は嫌いと言っていましたね(笑)。
全員:(笑)
KOJI:でも、バンド活動での記念日は好きです! 大事にしています!
――(笑)。その記事の中で、これまでALvinoで活動してきて「爽やかだね」と言われることにみなさん違和感があったというお話がありましたが、10年経った今はどう感じていますか?
KOJI:先日ファンクラブのイベントで、まだ発表する前だった今回のアー写を見せたら、皆が「爽やか~!」っていう反応だったんですよね(笑)。これまでロックをやっていて“爽やか”ってどうなんだろうっていうのがあったから「皆が思う“爽やか”ってどういうことなの?」って聞いたら、嫌な気持ちがしない、不快感がないっていう、自分が思っていた“爽やか”とちょっと違ったんですよね。友だちに言えるとか、親に見せられるとか、何を見ても「可愛い」って言う感覚と近いのかなと思っていたんです。嫌悪感がないものを爽やかだと思うという意見を聞いて、少し“爽やか”という言葉が好きになりました。
潤:例えば白い服を着て笑顔だったら“爽やか”なのかなとか、定義がまだ自分の中で決まっていないというか。Shotaのストレートな歌詞をパズルのように繋げていくと、やっぱりまっすぐだし、これも“爽やか”の一部なのかなとか思いつつ、俺が一人で書いたらこういう歌詞にはならないなというのがあるので、若干まだ悪あがきしている状態かもしれないですね。
――Shotaさんのまっすぐさが、ALvinoの“爽やか”に繋がっている部分が大きいのかもしれないですね。
Shota:僕は昔からよく「いい青年だね」と言われてきたんですよね(笑)。なので、僕の場合は自分らしいっちゃ自分らしいです。ちょっと不良に憧れて、高校時代とか不良は短ランにするのを、そこまでの勇気はなくてセミ短っていう中くらいの長さにしたりしていましたけど(笑)。
◆掴んだものが一つあって、その瞬間に何かが変わった(Shota)
――10周年記念作品3枚というのは、実質6ヶ月間で計18曲発表することになりますよね。
KOJI:10周年で何をしようという話をした時に、1年でアルバム1枚というのが定番な中、ALvinoは10年でアルバムが5枚で、少ないんですよ。じゃあ、それぞれの誕生月にミニアルバムを作ろうと。逆にアルバムを出さなかった年って何をしていたのかなと(笑)。そういう意味では、それがやれるだけのポテンシャルはあるんだから、アルバム年1くらい作れよっていうことなんですけど(笑)。
全員:(笑)
KOJI:正月明けてすぐにレコーディングに入って、それを終えていつもだったらもう出し切った、ツアーまで充電しようってなるのが、今年は作り終えたらすぐに次に取り掛かって。1作目で手応えがあっただけに、プレッシャーもあったんですけど、集中してやり切れました。ツアーを回りながら、次のレコーディングのことを考えてという感じだったけど、やれちゃったからね。すごく自信がつきました。僕はギターインストの作品を年内に出したいと思って曲作りしているので、3作を作った勢いも自分の背中を押してくれています。どんどんメロディも湧いてくるし。まぁやっぱり今後年1くらい出していかないと(笑)。
――期待しています! 今作はアコースティック作品ですが、アコースティックというものはShotaさんのバックグラウンドにあるものなのでしょうか。
Shota:元々自分で歌ってみようと思ったのが、学生時代に函館の五稜郭の交差点で、アコースティックギターを弾いて路上ライブをしたのがきっかけなんです。家にアコースティックギターがあって、父親がよくフォークソングを歌っていたり、兄貴もギターを弾いたりして、自然と気付いたら音が鳴っていました。あと、家にピアノもあって、僕にとってはピアノやアコースティックギターの音は、落ち着くんですよね。で、実際に自分が音楽をやろうと思った時に持ったのは、やっぱりアコースティックギターだったので、そういう意味では無意識の状態であった楽器なんです。
――なるほど。ALvinoは継続的にアコースティックライブを行っていますが、始めたきっかけというのは?
KOJI:埼玉のFM局でレギュラーラジオをやらせてもらっていて、その中でアコースティックライブの話が出たんです。誰も観に来ないんじゃないかなと思ったんですけど、結果お客さんは満員になって。来てくれた人は「すごく素敵だった」って言ってくれたんだけど、自分たちが目指すところという意味では、あまりにも低い平均点だったことにショックを受けて、悔しいから完成度を高めたいなという気持ちが芽生えて、アコースティックツアーをやり出したり、作品を作ったりしました。活動3年目か4年目くらいかな。
――アコースティックをやることによって得られたものはありますか?
KOJI:ちょうどdefspiralのTAKAくんと、アコースティックは自由でいいよねと話していて。特にリズムの面で言うと、ギターでリズムを刻んで、そこに歌が乗ってくるから、例えばサビの前に溜めたいと思った時に、歌が溜めだしたらそれに反応して自由にグルーヴを操れる。アコースティックの一番の魅力はそこかなと。ドラムがいるとやっぱりドラムにリズムを預けているから、自分たちがここでテンポを落としたいと思った時に、溜めの息を感じながらというのは、アコースティック編成の時のほうが大胆にできますよね。というのもありつつ、ドラムが入った時の安心感ハンパないよねっていう話で盛り上がった(笑)。
――(笑)。両方の良さを再確認できたと。
KOJI:アコースティックをやることによって、リズム楽器の偉大さもすごくわかるし、ない時は自由に弾けるし歌える。音数が少なくなる分、自由を手に入れたら、一人ひとりの責任は重くなるという部分では、チャレンジし甲斐がある。簡単なことじゃないとは思っているんですけど、だからこそやり甲斐がありますね。
潤:最初の頃にアコースティックライブに対して「Naked」と付けて、その後もアコースティックライブをやる時はいつもそのタイトルを付けているんです。まさに“裸”で全部武器を取られ、肉体だけで戦うみたいなイメージも最初はあったんですけど、だからこそ肌の温もりを直接伝えられる。当時はそこまで深く考えていなかったですけど、その言葉がすごく当てはまるようなALvinoのライフワークになってきたなというのは最近思いますね。責任感も出てくるし、逆にそれがALvinoの3人で出す音の武器になってきたんじゃないかなと思います。今はライフワークとしてできる、楽しめる良い武器になりました。
Shota:リズム隊がいるから自分でリズムを出さなくてもどうにかなっていた部分が、アコースティックだとチグハグに聴こえたり、あんまり伝わらないなと思って、自分の中でもっと変えていきたいなという時期があったんです。理解できないことも結構あって。もっとリズムを出してくれと言われても、方法がわからなかった。二人が言うことを色々と試したり、拍子の頭で言葉を強く言えばいいのかなとやってみたら全然違ったり(笑)。「そこじゃなくて、その間の裏の部分を感じられないと、次の拍子の頭にいけないんだよ」と言われて、もうこんがらがっちゃって。でも楽しみたいから練習するしかなくて掴んだものが一つあって、その瞬間に何かが変わったんですよね。しかも、そこで得たものをバンドでやってみても、同じ感覚でできたんです。アコースティックで示せるようになったものって、意外とバンドでやってもみんな聴いてくれていて反応してくれる瞬間がある。すごく音楽に向き合えて、楽しみを知ることができる良いきっかけになりました。
――バンドに良い影響を与えているんですね。ギターの弾き分けは、どのように決めているんですか?
KOJI:俺がナイロンの弦のギター、潤が鉄の弦のギターを使っているので、わかりやすく言うと指弾きに近いニュアンスのものは俺で、ピック弾きに近いニュアンスのものは潤というのが大前提でありつつ、寄り添ったり離れたり。そもそもの楽器が違うから、アプローチが一緒にならないという感じですね。
――基本的に、プレイの観点で得意不得意はお二人で違うものですか?
KOJI:不得意を言い出すと、あり過ぎて(笑)。
全員:(笑)
KOJI:ギターソロって1本の弦でメロディを奏でることが多いけど、アコースティックギターの時は2弦の和音でメロディを奏でる音の雰囲気が、エレキより綺麗に出るんですよ。ナイロンの弦って、1本で弾いた時はちょっと硬くて細くなりがちなんだけど、和音で弾くことによって綺麗な響きに聴こえやすくなる。そうやって和音を多く使っているうちに、なかなか難易度が高いこともできるようになってきて、そこが今、得意かな。
潤:PIERROT時代も含め、バンドの中でストロークでやるというくらいしかなかったので、一から始めた感じでしたね。とりあえず持ったのがスチールギターだったし、元々のキャラクターもあるから、基本的にバッキングやアルペジオを弾きながらコーラスしたり。3人でコーラスする場所も多いし。まぁキャラクターで言うとやっぱり、コードストロークを弾きながらコーラスワークをするというのが一番得意だと思うし、求められているところもそこなのかなと最近思うようになりましたね。ただ、色々と弾きたいという欲求もあるから、その他も不得意で終わらないように挑戦はしています。
――「My Favorite Journey」の“DJ”や“ヒーロー”の言葉の部分は潤さんですよね?
潤:そうです。もちろん、主旋律にハモるというコーラスもあるんですけど、自分の可能性を広げたいなというのもあって。そういうのって、結構悪ノリから始まっているんですよね(笑)。今回も何かできないかなと思って、そういえばRAPってやってないなと挑戦してみたんですけど、これはRAPと言っていいのかわからない、潤節と思ってもらえればなと。
Shota:5月の『Lovely {H} Days』の時、物語の中でALvinoのライブをやっていくという企画で全国ツアーをやっていて、毎回その土地ならではの楽しいことをやりたいなと、車で移動している時にニヤニヤしながら考えていて、こういう旅っていいなと思えたところから、どんどん広げていった歌詞なんです。その土地土地のラジオを聞いていると、旬なネタってあるじゃないですか。それを物語の脚本に取り入れたくて、こういうセリフみたいな雰囲気が入ったらいいなと思っていたので、それを潤くんが言うRAPで曲に入れてくれて、聴いていて楽しかったですね。
◆20年30年やっていくためには、どういう気持ちでやっていったらいいのか(KOJI)
――潤さん作曲のタイトルナンバー「Breath」について教えてください。
潤:自分的にはリード曲として作ったつもりはなかったんですけど、歌詞を付けていくうちにShotaという人間のまっすぐさをピュアに表現できたので、リードになったんだと思います。今のALvinoがあるのは、やっぱり聴いてくれているみんながいるからで、その関係性や繋がりを全部の曲に含めたくて、それがより色濃く出ているのが「Breath」だと思いますね。
――Shotaさんフィーチャリング作品でありながら、KOJIさん作曲のインスト曲「Emotion」を入れたのはなぜですか?
KOJI:去年12月のアコースティックライブの時に、Shotaがカホンでインストを1曲やったんですけど、Shotaはアコギもウクレレも弾くし、色々な楽器ができるんです。今回、自分としてもメロディを弾きたいという思いがあったけど、もしShotaがカホンをやらなかったら入れてなかったと思うんですよね。Shotaができる楽器で、幅広く色々な才能があるところを見せられるという意味で、入れていいかなと。
――この曲には3人の音が収められているんですね。
KOJI:そうなんです。バンドを始めてから、あんまりインスト曲はやらないほうがいいのかなと思っていたんですけど、10年ってバンドにとって一つの壁の年という風潮になっている中、自分たちは10年で一区切りという意識はなかったつもりだけど、「あぁ、10年が来るんだ」という気持ちが俺自身は正直ちょっとあったりして。そんな中で、その次の20年30年やっていくためには、どういう気持ちでやっていったらいいのかということをメンバー内で話していたんです。やっぱりやりたいことをやるのが一番だよねとなって、ちょうどバンドのライブでShotaのお着替えタイムの時にインストがあったらいいねというところから作ったのが、昨年でした。そこですごく手応えを感じて、3人でインスト曲をやりたいなと思ったんです。
――なるほど。
KOJI:Shotaの場合はピアノも弾けるので、鍵盤で入ってくるような曲を作ろうかなとか、ウクレレが際立つパートがある曲を作ろうかなとか、頭の中にこの3人で奏でる曲の構想があるので、今後も作っていきたいと思います。
――それは楽しみです。10周年記念の3作に関して、SHIGE ROCKSさん(Crack6)プロデュースだったわけですが、レコーディングなどで印象に残っている出来事を教えてください。
KOJI:すごく褒められました(笑)。俺、あんまり褒められて嬉しいと思わないタイプなんですよね(笑)。自分がすごく良いプレイをしたなという時に「今の良かったよ」って言われたらテンション上がるんですけど、自分が納得していなかったら「本当にそう思っているのかな」って思っちゃうんですよ。シゲさんは褒め方が上手いのかな。って言うと未だに疑っているみたいだけど(笑)。何かメロディを入れた時に、自分的には前の歌の部分からこのギターだと何か違和感があるから変えたいなと思っても、「いや、すげーいいから、これは残して、これに繋がるものを歌の後ろで薄ら弾きながら繋げたらいいんじゃない?」と提案してくれたり。「日本人が好きそうな音の選び方やメロディ、弾き方をするね」って言ってくれて、自分もギターでフレーズを泣かせるのとかが好きだから、すごく嬉しかったし、いっぱい自信を付けてもらえました。
潤:今回の3作はそれぞれのベクトルが行き切った作品を作りたくて、「こういうのやったら面白いですかね? やり過ぎですかね?」というのに大体乗っかってくれるんですよ。で、実際にやってみて判断するんですけど、自分がやりたいと思っていたことを具現化してくれるというか。RAPも考え過ぎると絶対に面白くなくなるから、とりあえず勢いでやったら、「もういいじゃん、これで」って本当に心から言ってくれて。聴き手に伝わるところをちゃんとジャッジしながらやってくれたのが、プロデューサーとしてすごくやりやすかったですね。
Shota:3作とも歌もディレクションしてくれたんですけど、「お前の歌、ガイドヴォーカルみたいでつまらない。伝わってこない」って言われたりして、結構レコーディングが怖かったんですよね(苦笑)。シゲさんが「録った時の空気感、雰囲気がどうなるかということだけを考えて録っていこう。いい雰囲気になるようにしよう」と。そのいい雰囲気というのは、「Shotaくんなりの、いい雰囲気で考えて歌ってくれればいいから」と言われて。その中で、自分的に「すげー良かった! ヨシ!」と思って、シゲさんを見たら「今のいいね!」ってなる時もあれば、全然いまいちの時もあったり(笑)。でも、軸を持って聴いて判断してもらえて、良いものだけを残していけたので、すごく楽しかったです。クヨクヨ考えている時って挑戦もしないし、納得できないことばかりが増えていくんですけど、これやりたい、あれやりたいと思いながら録った歌って、やっぱり自分の中でも手応えが違って、聴いていても楽しい。そういう空気感をこのfeat.Shotaの作品に詰め込めたというのが、とても嬉しいです。すごく良い出会いだったなと思います。
――9月7日からツアーが始まりますが、最後に読者の皆さんへのメッセージをお願いします。
Shota:『Breath』というタイトルがそのまま“呼吸”という意味で、人間が無意識に呼吸をするように、自分にとってはALvinoの音楽は生活の中にある、呼吸みたいなものです。タイトル曲の歌詞の最後に〈一息ついたら また歩き出そうか〉という一行があるんですけど、無意識な状態で歌っていることを実際に聴いてくれた人たちが、一息ついたらまた歩き出そうかなと思ってくれたらいいなと思います。ALvinoのライブに決まりはないし、アコースティックライブでも1曲1曲の熱量はバンドと変わらなく伝わっているなという実感が10年目にしてすごくあるので、気兼ねなく来てもらって、その熱を感じてもらえると嬉しいです。
潤:ALvinoというバンドは一つだけど、それぞれ人生も違う3人が集まったわけで、10周年の3作品は一見バラバラに聴こえるかもしれないですけど、これがALvinoだと言えるものが作れたと思います。今回はfeat.Shotaのアコースティックアルバムですけど、これもALvinoの入口というか、色々なところに入口がある音楽をやれていると思うので、一回触れて気になったら他の入口にも入ってほしいなと。ぜひライブにも遊びに来てほしいですね。
KOJI:レコーディングしている時から、前に出したアコースティックアルバムを超えたなと、音的にも曲も相当良いものが録れたなという感触があって、それを持って全国ツアーをするのが楽しみで仕方ないです。初日がリリース日なので、前半のほうに来る方は新曲感を楽しんでもらって、余裕がある方は聴き込んでくれたらなと思います。『Breath』の曲たちが、聴いてくれた人たちの人生の中での大切な曲になってくれたら嬉しいです。ライブ終演後にサイン握手会もあるので、音源を聴いてライブを観て、感想を直接伝えてもらえる場もあるということで、色々楽しめる要素があるツアーになります。ぜひ足を運んでもらえればと思います。
(文・金多賀歩美)
ALvino
<プロフィール>
Shota(Vo)、KOJI(G/ex. La’cryma Christi)、潤(G/ex.PIERROT)から成るロックバンド。バンド名には、自分たちから生み出される平凡でノーマル(normal)な物を3人の想像力(vision)と力で錬金(alchemy)し、価値のあるものに変えていこうという思いが込められている。2016年2月16日に結成10周年を迎え、4月に『G-T-R』feat.KOJI、5月に『Lovely {H} Days』feat.潤と、各メンバーの誕生月に10周年への思いを込めたミニアルバムを発表。その第3弾となる『Breath』feat.Shotaを9月7日にリリースし、同日よりアコースティック全国ツアーを開催する。
■オフィシャルサイト
http://alvino.tv/
【リリース情報】
『Breath』
2016年9月7日(水)発売
(発売元:AL FINE 販売元:PCI MUSIC)
【収録曲】
01. Breath
02. My Favorite Journey
03. Our Time
04. Emotion
05. JOKER
06. 蒲公英
【ライブ情報】
●2016 ALvino Naked Tour「Breath」feat. Shota
9月7日(水)新横浜 strage
9月9日(金)宇都宮悠日カフェ
9月11日(日)仙台 Park Square
9月15日(木)広島 Live Juke
9月17日(土)博多 INSA
9月18日(日)熊本 CIB
9月19日(月・祝)岡山城下公会堂
9月21日(水)大阪シャングリラ
9月22日(木・祝)名古屋 BL cafe
9月24日(土)札幌 DUCE
10月2日(日)新横浜 strage
10月10日(月・祝)渋谷 duo MUSIC EXCHANGE
●「Crazy Monsters」
~HALLOWEEN PARTY 2016 IN OSAKA~
10月22日(土)大阪MUSE
●「Crazy Monsters」
~HALLOWEEN PARTY 2016 IN NAGOYA~
10月23日(日)名古屋E.L.L
●「Crazy Monsters」
~HALLOWEEN PARTY 2016 IN TOKYO~
10月30日(日)新宿ReNY
●ギターイベント「Legend Guitarist 〜Electric Star〜」※KOJI出演
12月21日(水)Zepp DiverCity