2016.7.20
GARI@TSUTAYA O-WEST
「Runway Lights」

GARI「Runway Lights」O-WEST(撮影:Kana Tarumi)_1

-敵わない-。 -勝てない-。
GARIのライブを観る度、そんな”敗北感”に襲われてきた。”敗北感”と言っても、それは出口の見えないブラックホールに落ちていくような感覚とは違う。リスナーの固定概念ごと別次元へと吹き飛ばしてくれる圧倒的音像は、”敗北感”という感情をぶち破り、GARIでしか味わうことの出来ない、心地良い敗北感を味あわせてくれるから不思議だ。

そんな彼等が、昨年11月のO-WESTでの活動休止ライブから8ヶ月。遂に封印を解く時が来た。

昨年8月、実に4年ぶりとなるアルバム『stereoscope』をリリースするも、YOW-ROW(Vo)が、今井寿(BUCK-TICK)と藤井麻輝(minus(-)、睡蓮)のユニット”SCHAFT”での活動に専念する為、期間限定での充電期間を取っていたGARI。大抵のファンは、「遠くない未来に活動再開するはず」と予感していたに違いないが、7月20日のO-WESTは、ド平日にも関わらず、開演前から異様なまでの熱気と期待感に包まれていた。

GARI「Runway Lights」O-WEST(撮影:Kana Tarumi)_2

予定の開演時間を10分程まわった頃、暗転と共に流れ出す荘厳なSE。特段飾ることもなくステージへと上がってくるメンバー達を暖かく迎え入れるファン達。ここまではライブハウスでよく観る光景だ。だが、そんな光景は、GARIのライブでは必要ないということだろう。暖かい空気感をぶった切るかのように流れ出した、乾いたドラムン・ベースのリズム。昨年リリースのアルバム『stereoscope』の1曲目を飾った「SHAKEDOWN」だ。バンドの大黒柱である日下部圭(Dr)が叩き出す地鳴りのようなビートの上に、藤本直樹(Ba)のベースが時に暴力的に、時に妖艶に絡み付き、変幻自在の獨古のギターが描き出す、万華鏡のような色彩。そして、陰と陽が交差するYOW-ROWのヴォーカルが全て支配する。そうだ、これがGARIだ。それはまるで“音のドラッグ”。

Vo.YOW-ROW(撮影:Finn)_2

“感情”というメーターを一瞬で振り切るようなパフォーマンスは、同じく最新作である「Exactly」へと続き、2005年発売の1stアルバム収録の「SPEEDMASTERⅡ」「next CRIME」へ。10年以上前の楽曲を、まるで未来から届いたかのようなサウンドで鳴らせるバンドは、この世の中にGARIしか居ないだろう。

Gt.獨古豊(撮影:Kana Tarumi)

セットリスト上はMCタイムであったであろう時間も、ロクなMCは無く、互いにアドレナリンの放出が止まらないバンドとオーディエンスの間には、異様な緊張感が張り詰める。そんなライブならではの空気感を切り裂いたのは、「stereoscope」収録曲の中でも、最もへヴィーでパンキッシュな「WE BELONG」。一心不乱にパフォーマンスするメンバー達と、歓喜し暴れまくるオーディエンスの姿から伝わる一体感は、続く4thアルバム『Harmonik / Electrik』収録の「IMAGE GRIDER」で更に加速し、サービス精神ゼロのMCタイム(無論いい意味で)を挟んでからの「F・A・M・E」から、会場は更に異空間へと突入する。

Ba.藤本直樹:Dr.日下部圭(撮影:Kana Tarumi)

CGが駆使されたMusic Videoも話題を呼んだ『stereoscope』収録の「Serious Drive」、YOW-ROWのタイトなラップが冴えわたる初期の代表曲「Drop Zone」、同じバンドとは思えないJAZZYチューン「Dis-KOOL」を挟み、GARIの楽曲の中で最もパーティー感の強い「Hey Now!」で、場内には更なる一体感が。そんな彼等のパフォーマンスを見ていると、常々思わされる。“このバンドはカメレオン”だと。曲ごとに様々な色彩を放つが、そのサウンドは全て“GARI”でしかない。こんな芸当を成せるのは、世界を見渡してもギターポップ~ハードロック~ハウス~ダブまでを消化してきたPrimal Screamぐらいだろう。と、改めてGARIの凄さを実感していると、最後の最後でまともなMCタイムが(笑)。日本人離れしたクールなビジュアルとは裏腹に、MC時には可愛らしさも覗かせるYOW-ROW。彼の「新作作るよ」とのアナウンスと共に演奏されたのは、「無題」の新曲。GARIの次なる“進化=深化”の片鱗が見えた気がしたが、ラストの2ndアルバム収録の「X-TREME」で、その予感は再び闇の中へと葬り去られた。やはり、GARIを一つのジャンルへ当て嵌めるなんて到底不可能だ。ヴォーカル、ギター、ベース、ドラム。ロックバンド然とした編成の4人が鳴らすのは、「過去」と「現在」と「未来」を繋ぐ、「GARI」という全く新しいジャンルなのだから。

Vo.YOW-ROW(撮影:Finn)_1

GARI「Runway Lights」O-WEST(撮影:Kana Tarumi)_3

今回のイベント・タイトルはRunway Light=滑走路灯。彼等の次なる着陸地点ではどんな音が鳴っているのか?メンバーが現れることはないと分かりながらも、アンコールが鳴り止まない終演後のフロアで、僕はGARIとの再会を誓った。次作でも彼等が心地よい“敗北感”を味あわせてくれるのは間違いない。勿論、何年も待たされるのはまっぴら御免だが(笑)。

Vo.YOW-ROW(撮影:Kana Tarumi)

◆セットリスト◆
01. SHAKEDOWN
02. Exactly
03. SPEEDMAS TERⅡ
04. Next,CRIME
05. LOVE IS NOW
06. go the DISTANCE
07. Coming Up
08. PLAYBACKS
09. i NEED YOUR LOVE
10. WE BELONG
11. IMAGE GLIDER
12. F・A・M・E
13. Serious Drive
14. Drop Zone
15. Dis-KOOL
16. Hey Now!
17. 新曲
18. X-TREME

(文・寿福知之/写真・Kana Tarumi、Finn)


【GARI「Runway Lights」2016.07.20 TSUTAYA O-WEST】

【ライブ情報】
「King Chimera」〜2016.MIXTURE IS BACK!!〜
2016年9月9日(金)大阪・心斎橋BIGCAT
開場:16:00 / 開演:17:00
チケット:前売¥3,800 ※一般発売:7月23日(土)
出演:山嵐 / UZMK / RIZE / GARI / KNOCK OUT MONKEY / Xmas Eileen / and DJ’s

2016年9月21日(金)東京・渋谷club asia
開場:16:00 / 開演:17:00
チケット:前売¥3,800 ※先行発売:7月23日(土)〜7月28日(木)
出演:山嵐 / UZMK / the BONES / BACK-ON / GARI / HER NAME IN BLOOD / INKT / MINOR LEAGUE / PRAISE / ROOKiEZ is PUNK’D / UZI / Xmas Eileen / ラッバ我リヤ / and DJ’s

【リリース情報】
5th Album『stereoscope』
2015年8月5日(水)発売

FABC-117 ¥2,160(tax in)
全9曲収録

「SHAKEDOWN」MV

「Serious Drive」MV

GARI オフィシャルサイト:http://www.gari.net
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