NIGHTMARE

これまで以上に強いメッセージ性を持つ言葉を冠したニューアルバムの魅力に迫る!

メジャーデビュー10周年イヤーを迎え、さらに精力的に活動を展開するNIGHTMARE。彼らが最新作に選んだタイトルは、『TO BE OR NOT TO BE』。シェークスピアの描いた悲劇『ハムレット』の台詞だ。「生きるべきか死ぬべきか」――この意味深な言葉を冠した今作に収められたのは、迷いも衒いもない純然たる名曲たち。ダークな側面も覗かせつつ、「これを聴いてライブに行こうと思ってくれたらすごく嬉しい」(咲人/G)という言葉通り、ライブへの期待感が高まるナンバーが揃う。そんな最新作の魅力を、5人に語ってもらった。

◆置かれている状況とか個人的なマインドの状態に、すごくしっくりきた(咲人)

――今回、Vifのコメント動画で、咲人さんがアルバムを“暗い”と言っていましたが、意図して暗くしたんでしょうか。

咲人:特に狙ってはいないんですけど、テーマや歌詞がいつにも増して暗いなと(笑)。

YOMI:NIGHTMAREは根が暗い人が多いのかなー。陽気なイメージがあるみたいなんですけど、制作になると暗くなっちゃうみたいで(笑)。

――(笑)。ところで、今回のタイトルはどなたの案ですか?

咲人:俺です。同名の曲が先にできて、その段階ではまだアルバムタイトルが決まっていなかったんですけど、最終的にこれになりました。置かれている状況とか、個人的なマインドの状態に、すごくしっくりきたんですよ。

――直訳すると、とても重い言葉ですよね。ある種、極限状態のような。

咲人:そうですね。一番有名な訳は“生きるべきか、死ぬべきか”なので。生きていると選択の連続だと思うんです。これはその最たるものだと思います。

――今回、タイトルが文章になったことで、よりメッセージ性が強い気がしました。

咲人:これまでのタイトルは、1ワードか多くても2ワードのものが多かったんですけど、ちょっと文章っぽい感じも良いかなと。初めて強めのタイトルにしたかもしれませんね。

――今回のタイトルの意味をご自身のプレイに反映する部分はありましたか?

Ni~ya:音楽には反映しなかったけど、最近急に先のことを考えるようになったんですよね。自分のことも、バンドのことも。その時に、このタイトルが自分の中でリンクしました。個人的にすごくハマったタイトルでしたね。

柩:俺は優柔不断なんで、そこがリンクしているかも。私生活は優柔不断だから(笑)。「こっちもいいし、あっちもいい」っていうより「どっちでもいい」っていう優柔不断さがあって、自分で自分が面倒くさいことがあります(笑)。スパッと決める時もあるんですけどね。

――ところで、今回の収録曲は、歌詞に「飼われる」「死」「回る回る(廻れ廻れ)」のように、共通の言葉が使われていますよね。

咲人:あ、それは偶然です(笑)。

RUKA:製品になるまでみんなの歌詞を知らなかったりしますからね。

――ということは、NIGHTMAREのレコーディングは個人作業の集大成なんでしょうか。

RUKA:そうそう。

咲人:俺は一応、他の人の歌詞をチェックしたりはしますけどね。同じ言葉が出てくるのは、良く言えば考えていることのベクトルが同じで、自然発生的にリンクが生まれたってことだし、悪く言えばボキャブラリー不足(笑)。あと、歌詞にのせやすい言葉っていうのがあるんですけど、それがたまたま一緒だったってことですね。

――息が合っていた、ということで(笑)。

◆みんなが何を書くかわからなかったから、ふわっと…(YOMI)

――「TO BE OR NOT TO BE」は作詞に5人の名前がクレジットされていますよね。この曲の作詞はどうやったんですか?

咲人:曲を作った段階で、〈TO BE OR NOT TO BE〉という英語の部分以外は5パートに分かれるようにしたんです。そこにそれぞれの言葉で歌詞が書けたらいいなと思って、みんなに「“生きるべきか、死ぬべきか”をテーマにそれぞれ書いてください」って渡しました。で、上がってきたのがあれです。手直しせずそのまま載せてます。

――じゃあ皆さんの等身大「TO BE OR NOT TO BE」なんですね。

咲人:そうです。完全にそれぞれの性格が出ましたね。ちなみに、並びはクレジット通りです。

――この方法は書きやすかったですか?

RUKA:書きづらかったですねー。みんなからどんな歌詞が来るのかわからないから。俺、最後の部分を任されたんですけど、前に何が書かれているかわからない状態なのにどうやって書くんだ!って(笑)。前の人と全く違うことを書いたら、空気読めないやつみたいだし。

咲人:2パターンくらい書いてきたよね(笑)。

RUKA:そうそう。日本語と英語ね。こんな大変な作詞はなかった。

咲人:でも、書くの一番早かったよ。

RUKA:嘘!? でもあれは大変だったな。

――最後の人はオチをつけるのが大変ですよね。

RUKA:そうそう。このテーマって、上昇している感じの歌詞を書くこともできるじゃないですか。その後で俺が下降している歌詞を書いたら、錯乱している感じになる。だからすごく悩んで。

Ni~ya:文章だけ読んだら辻褄が合わないけど、そのバラバラ感がいいのかもよ。俺は前後が〈TO BE OR NOT TO BE〉って言葉だったから結構楽でしたね。本当は英語を使いたかったんですけど、英語に挟まれた英語って、見てくれ的に気に入らねーなと思って、極力漢字を使おうと思ったんです。

――男気を感じる歌詞ですよね。

Ni~ya:…中二っぽい…ですよね…。

全員:(笑)

――男気って言ったのに(笑)。

RUKA:でもさ、全員英詞で自分だけ日本語だったら辛い気持ちになるよね。絶対言われるよ、「ゾジーさん(YOMI)、英語わからなかったんだな」って。

――(笑)。一番手のYOMIさんの歌詞は、YOMIさんらしい綺麗で正統派な感じですが、どんな気持ちで書きました?

YOMI:みんなが何を書くかわからなかったから、ふわっと…

RUKA:すごい日本人的だよね(笑)。

咲人:当たり障りない感じ?

YOMI:そうそう、それ(笑)。だってみんな何書いてくるかわからないじゃない。最初っていうのもあったしさ。

――次が柩さんですが、2番手も難しそうですよね。

柩:俺はあんまり考えなかったんですよね。みんなの歌詞がバラバラでもいいって言われていたから。“生きるべきか死ぬべきか”…生きたくても死ぬ人もいるし、死にたくても生きちゃう人もいる。だから英詞の部分は、「なるようになる」って歌詞にしています。「TO BE OR NOT TO BE」だから「TO」って言葉を使って。

――なるほど。それにしても、5人の合作なのに見事に一つの歌詞になりましたね。

RUKA:うん。でも、普通5人で作詞っていったらリレーだと思うでしょ? これ同時発進だからね。

――しかもゴールが見えないまま(笑)。

RUKA:そう(笑)。よくゴールの方向が揃ったなと。

咲人:NIGHTMARE、13年やってますからね。

RUKA:でも、ゾジーはみんなが発車した後から付いて来た感じだよな。横を見ながら(笑)。

YOMI:「これで良いの!?」って言いながらね(笑)。

全員:(笑)

――次回、全員で作詞する時はリレーですか。

咲人:うーん、リレーでも良かったけど、前の人に影響されて色々考えちゃうかなと思ったんだよね。

柩:順番バラバラにするとかね。

咲人:順番はこのままでいいんじゃない?

――そうしたら毎回RUKAさんがオチですね。

RUKA:そうだそうだ(笑)。

全員:(笑)

◆機材が変わって、より好みの音に(柩)

――今回のアルバム、どこかアルバム『majestical parade』に通じるものを感じました。単純に「Gallows」に「Parade」のような幕開けを感じたせいもあるんですが…。

咲人:言わんとしていることはわかります。確かに、そこはかとないゴシック感があるかも。

――曲名にも「東京傷年」や「ジャイアニズム」に通じるものがあるし。

咲人:そういうのも関係しているかもしれませんね。

――「極上脳震煉獄・弌式」は「ジャイアニズム」のような位置づけになるんでしょうか。

咲人:「ジャイアニズム」シリーズを打ち止めにした時に、シリーズものというか、お約束ものがほしいなと思ったんですよね。でも、特に良い案が出なくて、そのまま寝かせていたんです。今回ふと出てきて、これならシリーズ化しようと思えばできるな、っていうところですね。続くかどうかは、まだ考えていないですけど(笑)。

――今回、レコーディングはいかがでしたか?

Ni~ya:俺は、録り方や音の作り方を、昔のやり方に戻しました。先にラインだけ録って後からリアンプして音を作る方法なんですけど、録る前に何時間もかけて音を作るより、とりあえず素の音でダーッと録って、後からゆっくり音を作る方が、はかどるんじゃないかと思って。

――作業効率が上がることで、そこからの可能性が広がりそうですね。

Ni~ya:そうですね。エフェクターもゆっくり試せたし。良い経験になりました。今回、「Dizzy」以外の全曲をその方法でやってるんですけど、実際やってみて面白かったし、今後もこれでいくと思います。

――良いターニングポイントになったんですね。柩さんは?

柩:俺は、機材が変わって、より好みの音になりました。キャビを変えたんですけど、聴き心地が良いです。

咲人:録っている時、一緒にいたんですけど、パッと聴いて「これは良い音だ!」と思って、買った方がいいよって言ったんです。

柩:でも廃盤になっているキャビなんですよ。いつも使っているレコーディングスタジオに置いてあって、「売って」って言っているんですけど、「考えとく」って言われてます(笑)。今回、レコーディングの途中から使ったんですけど、ぜひ今後も使いたいですね。

◆俺飼われてるんで!(RUKA)

――歌録りはいかがでしたか?

YOMI:今回スケジュールが詰まっていたから、レコーディングに向けてのコンディション作りが一番大変だったかも。

――今回、曲によっては微妙に掠れた声もあって、そこがまた味があって良いなと思ったのですが。

YOMI:ライブ感はあるかもしれないけどね。でも、もっと良く録れたのもあったからなー…。

――シングル『Dizzy』の時は主メロ、ハモ、ウィスパーとかなり重ねていましたが、今回はいかがでしたか?

咲人:曲によるんですけど、例えば「ドラスティカ」は、デジタルよりな部分が大きいので、場所によっては、あえて生声じゃなく、録った主メロをピッチ補正してハモりパートに割り当てたりしています。

――それ、いかにも咲人さんが好きそうな作業ですね。

咲人:最近好きですね。あと、「-TRUTH-」でサビの前に加工したゾジーさんの声が出てくるんですけど、これは「Isolation」(前作シングル『リライト』のc/w)のプリプロでみんなで合わせたときの声を細切れにして使っています。

YOMI:「Gallows」のAメロで語りみたいなのを入れているのも新しいかもね。

咲人:よく聴くと、メロの音に合わせて語りっぽい音が飛んでいるんですよ。

――今回のアルバム、色々と面白いことをやってますね。RUKAさんは?

RUKA:俺はドラムを叩かなくなったことくらいですね。ついに機械に任せ始めました(笑)。

――前に「$eam」をライブで叩けるか心配だって言っていましたよね。今回はそういう心配な要素はないんですか?

RUKA:あれは実際にライブでやってみたら平気でした。レコーディングの平常心で叩くのがきつかったんですよ。

――心拍数が上がっていれば平気だったんですね。

RUKA:そう! ブースに一人でいるときにやるのはすごく大変ですね。今回は「ヘドバン天国(「極上脳震煉獄・弌式」の仮タイトル)」かな。早いところは良いんですけど、途中で、すげー落ちるんですよ。あそこのリズムキープがめちゃくちゃ大変かも。しかもライブだと走りそうで怖い。下半身は早いのに上だけ遅いから。

――なぜそんな自分の首を絞めるようなことを(笑)。

RUKA:誤解です! 絞められてるんですよ! 俺、飼われてるんで(笑)!

YOMI:あはははは!

RUKA:デモに入ってたんですもん。「トゥルルルルルルル」って!

咲人:でも、RUKAさんも、本当にできないときはできないって言ってくれますからね。

――そ、それは締め上げた末に吐いた弱音なのでは…(笑)。

RUKA:ぐうの音みたいな(笑)。

咲人:そうか…次からはちょっと気を付けます(笑)。

◆もう一回このツアーやりたいって思えるようなツアーにしたい(Ni~ya)

――RUKAさんの怖いものシリーズに「ヘドバン天国」もとい「極上脳震煉獄・弌式」が加わったところで、4月から全国20か所のツアーが始まりますね。YOMIさん、咲人さん、RUKAさんはライブ後の行方が分からないと以前から言われていますが、今回はどんな風に過ごす予定ですか?

RUKA:俺らはホテル直行組ですからね。

柩:あ、俺とNi~yaは飲んでると思われてる(笑)。

――思っていました(笑)。咲人さんは一昨年の年末のツアーではシンセの練習をしていたそうですが。

咲人:基本的に最近パソコンばっかり触ってますからね。外に繰り出すときは繰り出しますけど、俺の本質はそっちなので(笑)。

RUKA:俺とゾジーは飯を食いに行ったりしますね。俺は食ったらすぐ眠くなっちゃうからなー。ゾジーも目的が一致すれば一緒ですけど、この人、基本単独行動派なんですよね。

――皆さんのライブ後の行動が気になるところですが、ライブではどんな「TO BE OR NOT TO BE」を提示する予定ですか?

咲人:鬼気迫る感じ、ですね。ライブ終わったら死んじゃうんじゃないかと思うような、そのくらいの気持ちが伝わればいいなと思います。

柩:普通の曲数なのに、観ている方があっという間だと思うようなライブがしたいですね。気付いたらこんな時間!って思うくらい、入り込めるライブにしたい。

Ni~ya:最終日フォーラムをやり終えたときに、もう一回このツアーやりたいって思えるようなツアーにしたいです。他のアーティストは同じツアーを「Vol.2」と銘打ってやったりするじゃないですか。そういう「もう一回やりたい」って思えるようなツアーにしたいですね。

(文・後藤るつ子)


NIGHTMARE

<プロフィール>

)

YOMI(Vo)、柩(G)、咲人(G)、Ni~ya(B)、RUKA(Dr)によって2000年に結成。2003年にメジャーデビュー。2010年に結成10周年を迎え、記念アルバム『GIANIZM』をリリース。2011年、avexに移籍。コンスタントに作品をリリースし、2014年3月19日、ニューアルバム『TO BE OR NOT TO BE』をリリース。このアルバムを引っさげ、4月から、NIGHTMARE TOUR 2014「TO BE OR NOT TO BE:That is the Question.」を行うことが決定している。

■オフィシャルサイト
http://www.nightmare-web.com/

【リリース情報】


A-type
【CD+DVD】
YICQ-10342/B
¥3,600+税

B-type
【CD+DVD】
YICQ-10343/B
¥3,600+税

C-type
【CD only】
YICQ-10344
¥2,800+税

『TO BE OR NOT TO BE』(HPQ)
2014年3月19日発売
メジャーデビュー10周年を迎えたNIGHTMAREの通算9枚目となるオリジナルアルバム。ライブが待ち遠しくなる名曲揃い1枚。

【収録曲】
[CD]
01. Gallows
02. TO BE OR NOT TO BE
03. Dizzy
04. 東京都羅刹区
05. リライト
06. Melt into blue sky
07. -TRUTH-
08. Lulla[by≠bye]
09. TERMINAL
10. ドラスティカ
11. 極上脳震煉獄・弌式
12. L.L.B
13. KENKA DRIVE -instrumental-(C-typeのみ)

[DVD](A-type)
Gallows(Music Clip)
Gallows(Making)

[DVD](B-type)
ドラスティカ(Music Clip)
ドラスティカ(Making)