2025.10.13
BugLug@ダンスホール新世紀
BugLug HALLOWEEN ONEMAN『秘密ごっこ』-キミとボクの学芸会-

2022年から毎年、東京・鶯谷のダンスホール新世紀でハロウィンライブを行ってきたBugLug。2023年からは一貫して『秘密ごっこ』の名を冠し、5人のメンバーが仮装しての公演を開催してきた。通常のライブとはまったく異なる、そんな年に一度の特別な夜が2025年も到来。10月13日にダンスホール新世紀で行われたライブは『「秘密ごっこ」-キミとボクの学芸会-』と銘打たれ、メンバーそれぞれにワガママな扮装を叶えて、BugLug独自のエンターテイメントを具現化してみせた。

開演ブザーが鳴るとオープニングSEがかかり、ステージに5人が現れる……かと思いきや「紅蓮華」(LiSA)に乗って『鬼滅の刃』の冨岡義勇に扮したドラムの悠介が、「そばかす」(JUDY AND MARY)をBGMに『るろうに剣心』の緋村剣心と化したベースの燕が登場。さらにマンガ『ホタルの嫁入り』の後藤進平のコスプレをしたギターの優に続いて、「GLAMOROUS SKY」(中島美嘉)を背にギターの一樹が『NANA』の人気キャラ・一ノ瀬巧の姿で現れると、場内からは悲鳴があがる。

ここまで楽器隊の4人全員がマンガ・アニメのキャラクターになりきり、となるとボーカルの一聖は?とフロアの期待が高まるなか、流れてきたのは「やっぱ好きやねん」(やしきたかじん)。そして一聖は、なんと大阪・関西万博の公式マスコット・ミャクミャク仕様のコーディネートとヘアスタイルで登場するなり「いくぞ!」と叫んで、ハロウィンライブの幕を「オオカミボウイ」で切ってみせた。

一聖(Vo)

リズミカルかつ攻撃的なアッパーチューンの投下に、オーディエンスはタオルと拳を振って、初っ端からテンションは最高潮。以後もオーディエンスが丸ごと型抜きするような勢いで飛び跳ねる「Wally?」、見渡す限りの人々が身体を折り曲げ頭を振り回す「Life is a Masquerade」と、妖しい赤いライトが似合う楽曲を並べていく。軽快で腰の据わったドラミングの上で、不穏なラインをたどるギターにゴリゴリのベースと、楽器隊が相変わらずタフな音像を叩き出せば、迫力のデスヴォイスを吐き出すボーカル・一聖はお立ち台の上に立ち上がり、オーディエンスを煽り立て、波打たせ、広がるのは狂乱の宴。アンニュイなムードの強いダンスホールで、BugLugとファンだけの“秘密”の時間を重ねていく。

「今年もやってまいりました『秘密ごっこ』2025年! どうだい? 今日のBugLugはどうなんだい!」と問いかけた一聖が「なつかしい曲があったり、いろんな曲をやっていくんで」との予告通り、直後に披露されたのは2020年にリリースされた「人間へと帰りたい」。イントロを聞いてざわめくフロアに「わかりますか? 覚えてるか!?」と問いかけた一聖は、泣き叫ぶようなボーカルで激情を迸らせ、一転、ハートの女王をモチーフにした「Queen of Heart」では、マーチ風の明朗なフレーズを皮切りにダークファンタジーな世界観を繰り広げていく。生々しい人間のリアルも、空想の世界に遊ぶフィクションも、バンド音楽を媒介にカラフルなエンタメに昇華していくのはBugLugならでは。さすが、結成時より“遊び心”をひとつのテーマとして掲げてきた彼らだけはある。

一樹(G)

オーディエンスが贈るクラップのなか、リフからメロディックに抜けていくギターが光る「ラブソングが歌えない理由」を挟み、自分の名を呼ぶ客席の声に「一聖じゃないです、ミャクミャクです」と一聖が言い捨てるのも、ハロウィンライブだけの光景。以降、メンバー5人それぞれが今回の仮装について語っていく。これまでの3年間『僕のヒーローアカデミア』のコスプレをしてきた悠介は「劇場版『鬼滅の刃』を観て感銘を受けたから」と、冨岡義勇を選んだ理由を説明。燕は最近リバイバルされた『るろうに剣心』を「世代なんですよ」と語り、しっかり逆刃刀になっている刀を持ち込む念の入れっぷりだ。

優は「好きなマンガをやろうと思って」と『ホタルの嫁入り』をセレクトしたそうだが「やってみたら“優”なんですよね! メイクもいつもより薄くて……」と、あまり仮装の手ごたえを感じられなかった模様。ちなみに後藤進平も人殺しで、それを聞いた一聖は「刀を持った人が3人いるんでね。危ないね!」とオーディエンスに警告する。また、一樹が「こんばんは、タクミです」と『NANA』のヒーローになり切って挨拶すれば、フロアからは黄色い声が。最後に「アニメがあんまりわからないんで何にしようかなと思って」という一聖は、ちょうどこの日、万博が終了することを告げて「生まれ変わりのミャクミャクとしてやっていきたいと思います!」と宣言してみせた。

優(G)

その後もBugLug特有の“遊び心”いっぱいの曲が次々に。オーディエンスもろともゾンビになって右へ左へと大移動する「THE DEADMAN’S WALKING」、一聖の“ワレワレ ハ チキュウジン ダ!”の声をフロアがリフレインする「♪えいりあん♪」に続き、「この後もまだまだ踊るよ」という一聖が予告して「とはいえ」のイントロが鳴れば、場内に歓声が。強靭かつアグレッシブなバンドプレイに踊り狂うフロアは、さらに「しこたま」で一聖が繰り返す“キャパオーバー”のリリックに合わせて一斉に振りを繰り出し、左右にモッシュ! 優がかき鳴らすヒステリックなギター音さえも、いっそ心地好い。

ここで11月から1月にかけて全国ツアーを回ること、12月にミニアルバムをリリースすることを告知し、ミニアルバム『なまいろ。』収録曲から新曲を披露。一聖が「まあまあ激しいポップなナンバーで面白い仕上がりになっております!」と伝えた通り、明と暗、激と楽が絶妙の匙加減でブレンドされたBugLugならではのロックチューンに、オーディエンスは身体を揺らして思いのままに楽しんでみせた。

燕(B)

その後はフロア中が両手を合わせて上下に、はたまた手をつないで左右に跳ねる「BUKIMI」、一聖が閻魔大王のように威風堂々とお立ち台から振り下ろすデスヴォイスに、繊細にして剛毅な演奏が轟く「ENMA」で場内を熱狂の渦に。そして、今年7月に配信リリースされたばかりの「“REIWA PARADE”~社不なbaby~」をドロップ。先の見えない展開でハイスピードに音を鳴らし、無謀にフロアをかき回すBugLugらしいアッパーチューンで場内を沸かせ切って、本編を締めくくった。

「お待ちかねの曲、行きたいと思います。よろしいですか!?」と一聖が宣言し、アンコールを幕開けたのは、ペンタトニック満載の和風チューン「GAMBLING JAPANのテーマ」。こぶしを利かせた一聖のボーカルに合わせ、オーディエンスは演歌歌手ばりの動きでフロアにしゃがみ込み、クラップと共に“東京!”コールを贈ってニッポンの心を訴える。

悠介(Dr)

ちなみに、約10年前の47都道府県ツアーに際して作られた曲を今回セットリストに入れたのは、一聖いわく11月からのツアーを前に「久しぶりの全国ツアー、本数が多いんで改めてやりたいなと思って」とのこと。「ツアーの中で大事なのって曲を育てること。どんどん『なまいろ。』の曲が育っていって、1月のSpotify O-Eastの頃には完成形となって面白い形を作れたらいいなと思っているので、みなさん、ぜひ足をお運びください」と呼びかけた。

また、今日の仮装を振り返り「一番沸いたなと思ったのは『NANA』」と、一聖が「GLAMOROUS SKY」を一節歌う場面も。すると楽器隊全員が曲を演奏しはじめ、一聖もスマホで歌詞を見ながら「できなかったらごめんね。やるだけやってみるね。だってせっかくの『秘密ごっこ』ですもの!」と、なんと「GLAMOROUS SKY」を即興で1コーラス披露! 拍手喝采を受けて「コピバンのライブやる? 今度。できるね!」と語り、フロアを喜ばせた。

そして8月9日の日比谷野外音楽堂ワンマンで配布された「ボクの終わりが見えた時」から2011年リリースの「絶交悦楽論」と、時代を14年さかのぼるダイナミックな流れでフィニッシュへ。エキゾチックなギターリフが牽引するタフなバンドサウンドに、頭を振って身体を折りたたみ、真上にジャンプして左右にモッシュするオーディエンスが証明するのは、BugLugが掲げるポリシーの変わらなさだ。日常から寄り道し、明日への英気を養う“遊び場”をオーディエンスに提供する――それを示すのに、なるほど、ハロウィンほど彼らにふさわしいテーマはないだろう。

一聖(Vo)

だが、一方で単に“楽しい”のみならず、人間や人生の本質に迫るような作品を生み続けているのもBugLugの特徴である。12月10日にリリースされるミニアルバムのタイトルは『なまいろ。』、そして11月1日に千葉LOOKを皮切りに、全国14都市で行われるツアーのタイトルは『なまいろ。-Color Identity-』。そして来年1月9日には『人格-アパートメント-』の名のもと、東京・Spotify O-Eastでファイナル公演が行われる。想像をかき立てるタイトルの数々が表すものはいったい何なのか? それは12月10日のリリースと、1月9日のツアーファイナルで明らかにされるだろう。

◆セットリスト◆
01.オオカミボウイ
02.Wally?
03. Life is a Masquerade
04.人間へと帰りたい
05.Queen Of Heart
06.ラブソングが歌えない理由
07.THE DEADMAN’S WALKING
08.♪えいりあん♪
09.とはいえ
10.しこたま
11.未発表曲
12. BUKIMI
13. ENMA
14.“REIWA PARADE”~社不なbaby~

EN
01. GAMBLING JAPANのテーマ
02.ボクの終わりが見えた時
03.絶交悦楽論

(文・清水素子/撮影・尾形隆夫)


【リリース情報】
●NEW MINI ALBUM『なまいろ。』
2025年12月10日(水)リリース
(発売元:Resistar Records)

[完全生産限定盤]RSCD-368/369 (CD+DVD) ¥13,200(税込)
*20Pブックレット封入

[CD]
01. MY nAmE is LUCiD
02. “REIWA PARADE”~社不なbaby~
03. Scary Necro Scary
04. 獏
05. 寄 生 Kiss
06. sprinkler
07. ボクの終わりが見えた時

[DVD]
・ボクの終わりが見えた時 -Music Clip-
・BugLug 15th ANNIVERSARY ONEMAN LIVE『ASOVIVA~真夏の太陽と冴わたる月の詩~』2025.8.9 日比谷野外大音楽堂
01. Dream Rush
02. マジカルモーメント
03. -7-
04. KAIBUTSU
05. MOSHPIT☆LIFE
06. HICCHAKAXMECCHAKA
07. 獏
08. akari
09. kinder
10. 夜会
11. 骨
12. 寄 生 Kiss
13.“REIWA PARADE”~社不なbaby~
14. 排水溝で一気して
15. V.S
16. ギロチン
EN1. ASOVIVA
EN2. ボクの終わりが見えた時
EN3. ブレーメン
EN4. おわりのないうた。
EN5. LOST CHILD
EN6. 猿

[通常盤]RSCD-370 (CD) ¥3,300(税込)
*トレーディングカード封入(全24種+シークレット1種よりランダム1種)

[CD]
01. MY nAmE is LUCiD
02. “REIWA PARADE”~社不なbaby~
03. Scary Necro Scary
04. 獏
05. 寄 生 Kiss
06. sprinkler
07. ボクの終わりが見えた時

【ライブ情報】
●BugLug ONEMAN TOUR 2025 「なまいろ。-Color Identity-」11月1日(土) 千葉LOOK
11月1日(土)千葉LOOK SOLD OUT
11月3日(月・祝) HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3 SOLD OUT
11月8日(土)仙台enn 2nd
11月9日(日)高崎the Groove TAKASAKI SOLD OUT
11月15日(土)静岡SUNASH SOLD OUT
11月22日(土)岡山CRAZYMAMA 2ndRoom
11月24日(月・祝)福岡OP’S
11月29日(土)高松sound space RIZIN’ SOLD OUT
11月30日(日)神戸太陽と虎
12月6日(土)金沢GOLD CREEK
12月7日(日)長野LIVE HOUSE J
12月13日(土)名古屋CLUB UPSET
12月14日(日)大阪Yogibo METAVALLEY
開場17:00/開演17:30

●BugLug ONEMAN TOUR 2025 「なまいろ。-Color Identity-」
FINAL 『人格-アパートメント-』
2026年1月9日(金)Spotify O-EAST
開場17:45/開演18:30
<チケット>※全公演共通
前売り¥6,000(D代別)/当日¥7,000(D代別)

BugLugオフィシャルサイト