2025.09.12
HERO@Spotify O-WEST
18th Anniversary ONEMAN「約束をする日」

HEROが、結成18周年を記念したワンマンライブ「約束をする日」を9月12日にSpotify O-WESTにて開催した。

SEに乗せて一人ひとり姿を見せたメンバーは、すぐさま新曲「No Longer Human」からライブをスタートさせた。大方、威勢のいい一言をかましてから始めるところ、この日はJIN(Vo)が意を決したように「楽しもう」と告げたのみに留まっていたことからも、得も言われぬ緊張感を感じずにはいられなかったオープニング。新境地とも言える“恨み節”を込めた歌を抜群の歌唱力で聞かせるJINと、スタイリッシュながらもステージングにアグレッシヴさを欠かさない楽器隊とが一丸となって、なによりも“周年”という節目を最新曲から始めるところに気合いや誠実さを感じられた。しかし一変、「feeling」を皮切りに場内はパッと明るい空気へとシフトし、「BEST FRIEND」では演奏直前にJINが「見てみたい」とオーディエンスに求めた“18年間で最高のぐちゃぐちゃモッシュ“がフロアに巻き起こった様子は、まさしく圧巻。これほど月日を重ねてきたHEROですら、まだまだライブ中に見てみたい、または生み出したい情景があることをまっすぐに伝えていたこのシーンは、今もなお進み続けている姿勢を早々に見せつけているようでもあった。そして、ボルテージを最高潮へと伸し上げていく「罪と罰」では、メンバーをコールする間奏部分でyusuke(Dr)が叩きつけたドラムが一際力強く、同時にYU-TAはフロアに向けるように掲げていたマイクスタンドをシモテの袖へと放って見せ、パフォーマンスの一つひとつから垣間見れるアヴァンギャルドさには、思わず身震いしてしまうほどの迫力があった。

JIN

「俺たちが、HEROです――こんにちは。HERO、18周年ワンマンですね。皆さんで楽しむ空間を作りたいものですね」と話したJINに対し、観客は「そうですね!」とレスポンスして挨拶を交わした。再び演奏に突入する際には、「イカれたメンバーを紹介します。オン・ベース、YU-TA! イカれたメンバーは、以上だ。イカれてないメンバーを紹介する……」とユーモアを交えてメンバー紹介を挟み、いじられながら紹介されたYU-TAのベースがうねるのに比例して、オーディエンスの割れんばかりの声が響いた「Listen to me」。「色合せの法則」を挟み、ウエディングベルとSARSHI(G)が奏でる細かなギターリフで華やかに幕を開けた「To The Bride…」では、ヒロイン(※ファン)たちが手を繋ぐというハピネスな空間を生みだしていく。

SARSHI

MCでJINの近況が語られるたび、爆笑を巻き起こすトークバラエティー力もHEROのライブならではといったところ。1つ前のMCセクションでは、駐輪場に停めてきた自転車に鍵をつけっぱなしで来てしまったことに触れていたが、ここでは仙台でのワンマン帰りの新幹線乗車時に起きた「神に試された」出来事をトーク。朗らかな雰囲気の中で、この日のライブは“僕(JIN)が考えた最強のセットリスト”と触れていたが、まさしくここからは、それが存分に力を発揮することとなった。しかもヒロインは、JINが自転車の鍵を忘れてきたことを忘れさせる程の盛り上がりを見せなければならないというミッション付き。しかし心配の必要はなく、最強のライブ感を持つHEROの強みを存分に発揮したとも言える後半戦は「超過激愛歌 ~Super Ultra Lovesong~」から幕を開け、お馴染みの「でてこいや!」コールを合図にフロアのみならずステージ上も臨場感を増していく。「to you…」のピアノが映えるパワーロックが炸裂したのも束の間、「めっちゃ好き」や「セツナウタ。」でも強靭な正統派ロックサウンドに圧倒されつつも、会場がハートフルな空気に包まれるというのは、なんともHEROらしい。各曲で起る、肩を組んだり手を繋いだりといった、ある種の強制力を持ってオーディエンスの連携を計っていくところには、同じ音楽を通して心を通わせてほしいというHEROが始まって以来変わることのない思いが込められている。しかも、「今日はそういうのが多い」とJINも話していた通り、そこには18周年のお祝いだけではなく、この先へ向かっていくにあたって団結力を高めていきたいという思いが込められているようでもあった。

YU-TA

いよいよライブは佳境へ突入し、JINのタイトルコールからスタートした「Shall We Sing」が愛情をポップに表すと、息をつく間を設けて意を決した様子で披露されたのは「Life」。この曲に込められた、“残りの時間をどう生きるか”という人生における強いメッセージを届ける4人の息の合った様子は、気付けばだいぶ長くなってきた彼らの歩みを実感させるのには十分で、周年という節目に聴くとそれはまた、これからも続いていくバンドの未来への決意にも重なっていく。そんな心地よい重みに浸っていたところへ、ラストと共にコールされたのは、「一緒に歌ってください」という呼び掛けに歌声が起こったバラード「カゾエウタ。」。せつないメロディーでありながらも、自己犠性も顧みず注がれる愛情がポジティブに昇華されていったのは、“出会ってくれてありがとう”という思いのこもった演奏があってこそ。HEROというバンドにある、エネルギッシュな一面に秘められた繊細な心模様が感じられるエンディングとなった。

yusuke

本編が終了し、暗転する会場に流れ出した映像によって伝えられた、20周年へ向けての本格的なアクション。それは、“最初で最後”と謳った47都道府県ツアー「俺たちが HEROです。」の開催だった。歓喜に満ちた場内へ再びメンバーが登場すると、JINは「20周年に向けて頑張るんで、よろしくお願いします!」と話したが、本編中にそこはかとなく漂っていた緊張感の要因は、この一大決心とも言える47都道府県ツアーの発表を控えていたということも理由であったことが語られた。なお、追加で発表があった“47都道府県ツアー 6大特別企画”も進行中で、現在公表されている項目のうち、1つ目は〈2026年中にHERO全曲をライブで演奏〉ということで、これまでの楽曲を4つのブロックに分け、事前告知があった上でセットリストに満遍なく織り交ぜていくというもの。さらに2つ目は、〈47都道府県ツアー開催場所在住者は当日券無料〉という大盤振る舞いも。残りの企画は順次発表となるため、続報を楽しみに待ちながら全国各地を余すことなく盛り上げていただきたい。

こうして、アンコールでは「10周年のときに、20周年に向けて作った曲です」と紹介した「タイムカプセル~10 年後の君へ~」を、「2年後、約束だから。一つの場所に集まろう」と来るべき20周年を強く意識させて披露した。さらに、“せめて歌を 言葉を 通して寄り添っていたいの。”というHEROの存在意義を優しく表した歌詞が一層心に沁みた「Dear」に続いて、オーラスを飾ったのは「ソプラノ」。「楽しかった、ありがとう! 18周年ウエスト、ありがとう!」とJINの言葉に続いて豪快に続いた孤高のメロディアスソングは、ヒロインと共に歌い合うことで曲中にも記されている“愛”を映し出す。途中、演奏をストップさせてメンバーをコールする声がこだまする中でJINは、「ずっと一緒にいてくれ!」と言い放ち、締めくくりには「そうだ、俺たちがHEROだ!」と声の限りに叫びあげた。自らの音楽を通して人々を笑顔にするために“HERO”と名乗り、誕生してから18年の月日の中で築いてきたオリジナリティは、これからも決して崩れることはない。この日掲げられていた“約束”は、2年後の近い未来へ向けてのそれであり、そこへ向けてもう一度心を一つに束ね、決意を露わにするという意味も兼ねていたように思う。人の心を繋いでいく彼らの力は、20周年という大きな節目に向けてますます加速していくはずだ。

◆セットリスト◆
01. No Longer Human
02. feeling
03. BEST FRIEND
04. 罪と罰
05. Listen to me
06. 「色合せの法則」
07. 「To The Bride…」
08. 超過激愛歌 ~Super Ultra Lovesong~
09. 「to you…」
10. めっちゃ好き
11. セツナウタ。
12. Shall We Sing
13.「Life」
14. カゾエウタ。

En
01.「タイムカプセル~10 年後の君へ~」
02. Dear
03. ソプラノ

(文・平井綾子/写真・千佳)


【ライブ情報】
●HERO最初で最後の47都道府県ツアー「俺たちがHEROです。」
2026年
1月9日(金)兵庫・Amagasaki BASS
1月18日(日)富山・MAIRO
2月8日(日)静岡・サナッシュ
2月15日(日)神奈川・Music Lab.濱書房
3月1日(日)広島・SECOND CRUTCH
3月29日(日)福島・LIVE STAGE PEAK ACTION
4月4日(土)愛媛・松山サロンキティ
4月19日(日)長崎・STUDIO DO!
4月26日(日)新潟・CLUB RIVERST
※スケジュール順次公開
OPEN 14:30/START 15:00

・HERO OFFICIAL FANCLUB PREMIUM 会員先行受付中
2025年10月27日(月)23:59まで
・一般発売
11月8日(土)10:00開始

※47都道府県ツアー開催場所在住者は当日券無料!

HERO オフィシャルサイト