2022.10.16
The Benjamin@SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
ONEMAN TOUR 2022 「BELIEVE」FINAL

「信じ続ける気持ちが詰まった力強いメッセージが放たれる。」

長く続くコロナ禍、多くのロックバンドはさまざまな試行錯誤を続けてきた。そんな中、The Benjaminは、活動方法にとどまらず、バンドの方向性をも大きく舵を切る決断をした。

今年1月にリリースした「Bark in the Garden」を皮切りに、サウンドもヴィジュアルも一新。ダークな雰囲気をまとい、ハードなサウンドに怒りや葛藤といった感情をぶつける、いわゆるヴィジュアル系の王道的なスタイルとなった。

そんな現在の流れを汲んだ3rdアルバム『BELIEVE』を引っさげ、ワンマンツアーを敢行。10月16日、渋谷PLEASURE PLEASUREで行われたツアーファイナルの模様をお届けしよう。

ツアーファイナルであり、ウスイ“Tacky”タクマ(以下、Tacky)の記念すべき40回目の誕生日、さらにバンドとして初のホールワンマンという、スペシャルにスペシャルが重なったこの日。期待で膨れ上がった会場に重々しい荘厳なSEが鳴り響き、ライブの開始を告げた。

赤を基調とした新衣装のメンバーが登場。アルバム『BELIEVE』の1曲目を飾る「ブルータス、オマエもか」で幕を明けると、「Babel」とアルバムの曲順どおりにハードな曲が続くと、客席に整然と並んでいた観客が一斉に髪を振り乱す。

最初のMCから、メンバーのワクワク感がひしひしと伝わってくる。このスペシャルなステージに緊張を感じるより、むしろ興奮が抑えられないといった様子だ。

「最高で最強のライブになることを信じてここに立っています」と、ミネムラ“Miney”アキノリ(以下、Miney)が力強く断言し、このライブの成功を約束した。

ミネムラ”Miney”アキノリ(Vo、G)

「踊りましょうか」と始まった「Bisque Doll Magic」で、広いステージをTackyとツブク“Mashoe”マサトシ(以下、Mashoe)が行き交う。笑顔を浮かべるMashoeと凛々しい表情のTackyが好対照だ。

ピアノのSEから、Mashoeがメインヴォーカルを務める「バリケード」。内に秘められた感情がサビに向かうに従って徐々に高まり、会場の空気を温める。Mashoeはコントロールの効いた歌唱力で、巧みに強弱や緩急をつけ、あふれる感情を表現した。

一方、今日の主役であるTackyは、「バズーカをぶっ放せ」でメインヴォーカルを務める。顔を歪め、精一杯の力を込めて、「ぶっ放せ!」と繰り返し叫ぶ。その叫びはいかにも彼らしくどこまでもまっすぐで、そのまま観客へと、そしてさらに広い世界へと届いただろう。

ウスイ”Tacky”タクマ(Vo、G)

ツアーでアルバム収録曲を成長させて帰ってきたこの日、彼らはさらに前進する姿勢を表すべく、新曲「ボードレールに沈む海」を披露。キャッチーなメロディや軽快なビート、ドラマチックなサビと、耳なじみのいい曲は、さらにここから突き進むThe Benjaminへのヒントとなっていたかもしれない。

温かく深みのある声で、Mashoeが「Birfurcatin」を聴かせた後、「バウムクーヘン」のイントロが始まると、会場いっぱいに温かな空気が広がり、観客を包み込んでいく。光が降り注ぐように、Mineyの歌声が優しく切なく広がっていく。

「Bridge of Rainbow」で、降る雨をものともせず、力強く意志表明するような歌を聴かせると、タイトルどおり、雨が止み、虹がかかった。そのまま、澄み渡る青空が広がるように、「SORA-Boeing229」へと自然に流れていく。歌詞や歌だけでなく、メロディやサウンドで描き出される情景は色鮮やかだ。

1月からバンドのイメージを大きく変えたことに触れ、歳を重ねても夢を追いかけていくこと、バンドとして格好をつけていくことを高らかに宣言したMiney。ヴィジュアル系と呼ばれるバンドとして活動し、派手な衣装を身にまとい、メイクを施してステージに立つのは、彼らがバンドを始めた十代、二十代の頃とは、彼ら自身の状況も時代も異なり、決して楽ではないはずだ。それでも彼らはあえて変化を選択した。

「本性をさらけ出してちょうだい」と、「ベンガルタイガー」が始まると、いよいよクライマックスに向けて、戦いの火花が切って落とされた。こぶしを振り上げ、にぎやかに、楽しく暴れるのは、おなじみ「BATTLE FEVER」。

ハッピーな空気に包まれたところで、彼らの二度目のスタートの曲とも言える「Bark in the Garden」で、3人それぞれが熱を剥き出しに吠える。コロナ禍での鬱屈した気持ちは、こんな風に吠えることでしか表現しえなかったのかもしれない。

ツブク“Mashoe”マサトシ (Vo、B)

本編最後は、アルバムのタイトル曲でもある「BELIEVE」。ファンがThe Benjaminを信じ続ける気持ち、そして彼ら3人が自分たち自身を、ファンを、音楽を、ロックを、ヴィジュアル系を、信じ続ける気持ちが詰まったポジティブな力強いメッセージが放たれる。情熱の赴くまま、勢いよく駆け抜けて本編が終了。

ツアーTシャツに着替えたMineyとMashoeが姿を現し、「本日の主役をお呼びしましょう」とTackyを招くと、なんと客席の間を通ってTackyが登場。会場に、一気にお祝いムードが広がった。

そのままTackyが元気いっぱいにハジけて「バッチグー」を歌い上げると、和気あいあいとした空気のままMCへ。このツアーでサポートを務めたKに感謝を告げ、ますます温かな空気が広がる。

Kはライブの間ずっと笑顔を絶やすことなく、プレイだけでなくその存在感でバンドを支えていた。

感謝の言葉を口にし、この日を迎えた喜びを語る3人。キラキラした表情からは達成感と満足感が感じられた。そんな彼らから最後に贈られたのは、「ブーツを脱いで」。

雨あがりに陽射しが差し込み、辺りを光で満たすような情景は、またここからスタートする彼らにふさわしい。彼らの視線は、2023年2月8日にスタートする結成8周年記念ワンマンを見つめている。

その行く先が光に満ち溢れますように。

◆セットリスト◆
01.ブルータス、オマエもか
02.Babel
03.Bisque Doll Magic
04.バリケード
05.ベージュなMoon
06.バズーカをぶっ放せ
07.ボードレールに沈む海
08.Bifurcation
09.バウムクーヘン
10.Bridge of Rainbow
11.SORA-Boeing229-
12.ベンガルタイガー
13.BATTLE FEVER
14.Bark in the Garden
15.BELIEVE

EN
16.バッチグー!
17.バスストップ
18.ブーツを脱いで

(文・村山幸/写真・米田光一郎)


【ライブ情報】
●BadeggBox 10th Anniversary Event「未来へ」
11月7日(月)SHIBUYA Spotify O-EAST
出演:
The Benjamin/怪人二十面奏/THE BEETHOVEN/花少年バディーズ/ギガマウス/the Sherry
Special Guest:UCHUSENTAI:NOIZ/えんそく
お祝い駆けつけステージ:福助。/Dacco/TЯicKY /ふたばわたるしょう。
開場15:00/開演15:30
料金:前売¥5,500/当日¥6,000 *1DRINK別途
チケット購入サイト

●The Benjamin 8th Anniversary ONEMAN TOUR 2023「Bless in the Octave」
2月8日(水)渋谷DESEO
2月18日(土)名古屋ell.SIZE
2月19日(日)大阪Fireloop
3月4日(土)仙台enn 3rd
3月5日(日)宇都宮HELLODOLLY
3月21日(火・祝)浅草花劇場

【リリース情報】
●アルバム『BELIEVE』
発売中
BDBX-0090 ¥3,500(税込)

●Single『Beelzebub』
2023年2月8日(水)発売
BDBX-0095 ¥1,650(税込)

The Benjaminオフィシャルサイト