2026.02.17
DRUGS@Spotify O-WEST
「DRUGS 2nd ONEMAN 【THE NORMAL 】」

脅威の化学反応により誕生したDRUGS、2nd ONEMAN【THE NORMAL】を開催。極彩のショータイムが刻んだ“生きていく”という宣言。
DRUGSの2nd ONEMAN【THE NORMAL】――それは、あまりにも“刺激的”な夜だった。視界に飛び込んでくるすべてが鮮烈なまでにリアルで、感情は絶えず高まりと鎮まりを反復する。そこから生まれた“熱”にあてられ、心の震えは今も止まらない。恐らくこの余韻は、DRUGSが我々に残した後遺症なのだ。
待ちに待った開演の時を迎え、徐々に幕が開くと共に露わになったステージには蛍光色のロープが張り巡らされており、センターに鎮座する絞首台を彷彿とさせる吊掛台がひと際目を引く。物々しい空気を漂わせながらタイゾ(G)、進藤渉(B)、Yoshiatsu(Dr)が一斉に姿を現し、最後に登場した綴(Vo)は、腕を組みながらゆっくりと歩み出てきた。DRUGS誕生時に“ドリームバンド”と称されたのは、紛れもなくこの4人が重ねてきた音楽人生の軌跡があってのこと。かつての記憶の断片が、“現在”の姿へと角度を変えて迫りくることで高揚したのも束の間、早くも彼らの存在感に圧倒されてしまう。


DRUGSにとって、昨年12月19日に行われた始動ライヴ以降2度目となる今回のライヴステージ。この日、1st FULL ALBUM『D/D/D』が最速販売(※現在はオンラインストアでも販売)されたが、なんと1曲目に披露されたのは本作にも収録されていない、初公開の新曲「感染の宴」だった。タイゾが奏でるギターが耳をつんざくようなインパクトを放ち、えぐみを持ったヘヴィネスサウンドが会場を瞬く間に掌握。その音や声は各人各様であるものの、Yoshiatsuによる絶妙なドラミングで呼吸を一つにして突入した「CARVED IN ALMA」では、ヘッドバンキングの嵐が巻き起こる。さらに、「おまえらの生きてる理由を見せろ。何のためにここにいる!? すべて出しきれ!」という綴の強い叫びが口火を切り、「UNTIL I DIE」では一段と歓声のボリュームが上がり、観客はアグレッシヴに跳ね上がっていった。


ここで暗転を挟み、空気は一転。沈黙を破るようにひりついたギターが響く中、綴が引きずるようにマイクを取り上げ、嗚咽交じりに歌い始めた「死、省察」。オーディエンスが制止して見つめる反面、ステージ上はまさに“省察”の如く、過去をリフレクションさせていく深みと昂ぶりが爆発していく。挙句、吊掛台にぶら下がりながら歌う綴の様子は、危うさのある情緒の振れ幅を表しているようでもあった。息苦しさを覚えるほどの緊迫感は、独特な浮遊感を感じさせる「Flesh and Halo」で昇華していくも、出口の見えない陰鬱さが重みとなって体内に蓄積されていく。

冒頭に触れたDRUGSのライヴにおける“刺激”を語る上で欠かせないのが、同期に縛られないバンドサウンドが生む臨場感はもちろん、視覚にもアプローチするアート性。それが、タイゾとYoshiatsuが音を重ねる中、進藤渉が繰り広げたロープパフォーマンスセクションだった。妖しげな儀式のような、スリリングかつ魅惑的な光景に目を奪われ、緊縛で吊られたモデルのアクロバットを伴い披露されたのは「NEW ORDER」。まさしく、DRUGSが初めて世の中に放った同曲のMVに覚えた衝撃を原体験させるような一幕は、ありふれたものを排除し、新たな秩序が動き始めたことを説いているようでもあった。加えて、こうしたセオリーに生きること、それが“業”とも言わんばかりに、体感として理解させる力を持っていた。

圧巻な没入感と、感情を自由に放出していく時間とが交錯するライヴは、いよいよ終盤へ。ブラックメタルを思わせる「THE LIBRA」、さらに初お披露目となった「Trite and nauseating」では、瞬時に轟音へと身を委ねていく観客のエキセントリックな様子を前に、不敵な笑みを浮かべるクラウンメイクのYoshiatsu。綴もしきりに「生きてんのか!?」と問いかけ、場内には互いの鼓動で満たし合うようなエモーショナルな光景が広がっていた。さらに、進藤渉のベースがうねりを起こした「Echoes of the Hidden Self」、「魂置いてけ。やれ!やれ!亅と綴が焚きつけた「E,M,M,M」ではタイゾのスラップ奏法も炸裂し、観客はモッシュを起こしていく。秀逸なリズムやブレイクが光るループセクションの中には、純粋にバンドを楽しむメンバーの衝動が垣間見られたことも印象的だった。

こうして、エンディングを飾った「貘」。彼らが最後に用意していたのは悪夢への道連れではなく、悪夢を食い尽くす存在をシンボルに据えた、“生きること”を切望するストーリーだった。毒々しさのあるステージには、ギラギラと光を放つミラーボールが少しばかりミスマッチで、しかしその情景はDRUGSに宿る不器用ながらも生きようとする灯火を彩っているようでもあった。
「どうか、僕が死ぬまでついてきてくれますか? これが、僕が生きていくという宣言だ。一緒に行こうぜ。いつまでもさめない夢の向こう側に」(綴)
「貘」の演奏前に綴が放った“生きる”という言葉は、深く、そして重く心に響くものがあった。人間誰しも、生きている以上は“死”と隣り合わせである。どんなに綺麗事を歌っても、そこには醜い現実がある。その中で“生きる”ことを選び、一つの生命体の上で共存することを選んだDRUGSがいかなる運命を辿るのか、これほど興味深いことはない。このバンドから感じられる異様なまでのエネルギーは、それぞれの思いがこもった音と詩によって生み出されている。複雑なようでいて、実はシンプルな感情の放出によって成り立っているものの、その威力たるや桁外れだ。それは、アンコールで何度も繰り返した「BABY……」で、狂気的なウォール・オブ・デスを起こす凶暴性にも表れていた。

終演後には、次の舞台として8月28日、WOMB SHIBUYAでの3rd ワンマンライヴ「THE DOPES」開催が発表された。「貘」を披露する前に、綴はこの場所へ足を運んだ人々に向けた感謝と同時に、“先”への気持ちも伝えていた。
「僕はWEST(Spotify O-WEST)で止まる気はありません。いつかEAST(Spotify O-EAST)にも戻りたいし、いつかZeppにも行きたいし、おまえらの見たことないところまで一緒に行きたい。これは、僕のワガママではありません。僕がこれから死ぬまでに叶える、“夢”です。ついてこい。無理にとは言わない、でも追いかけたくなるような、そんな熱い、同期のない4人の音でおまえらに爆弾を落とし続ける」
この日、確かに感じた心を震わせる“何か”。それは、4人が起こす驚異的な化学反応の力であり、自らを“DOPES”と肯定するように名乗ると明言した日から始まっていた、彼らのあるべき姿が築く、新たな世界への期待だった。

◆セットリスト◆
SE
01. 感染の宴
02. CARVED IN ALMA
03. UNTIL I DIE
04. 死、省察
05. Flesh and Halo
-Rope Performance-
06. NEW ORDER
07. THE LIBRA
08. Trite and nauseating
09. Echoes of the Hidden Self
10. E,M,M,M
11. 貘
En.
01. BABY……
(文・平井綾子/写真・マツモトユウ)

【ライブ情報】
●3rd ワンマンライブ「THE DOPES」
8月28日(金)WOMB SHIBUYA
※詳細後日発表
【リリース情報】
●1st Album『D/D/D』
2026年2月17日(火)発売
