2024.12.15
PENICILLIN@横浜1000CLUB
「PENICILLIN 2024 WINTER TOUR「No No No」HAKUEI Birthday LIVE SUPER HEART CORE’24」
いわゆる正負の法則にならわずとも、人生や日々の生活の中では時として喜ばしい出来事が起こる反面、場合によってはトラブルや不測の事態に見舞われたりすることもあるのが世の常であろう。そして、もし何か大変な状態に陥ったとしてもそこからなんとかして這い上がることにより、それまで以上の逞しさや経験値を身に着けることも出来るのが人間の素晴らしいところだとも言える。
先だって11月から始まっていた、PENICILLINの「2024 WINTER TOUR「No No No」」がファイナルを迎えた12月15日。横浜1000CLUBにて開催されたのは、ツアーの一環であると同時にヴォーカリスト・HAKUEIの誕生日を祝う「HAKUEI Birthday LIVE SUPER HEART CORE’24」と題されたプレミアムなライヴだ。
「横浜、こんばんは。PENICILLINです。ツアーファイナルです。そして、これはわたしのバースデーライヴということにもなっております。12月16日が誕生日なので今日が誕生日前日なんですよ。(中略)今回のツアーはとてもいい感じで廻らせていただいて、この前のセミファイナルは僕が小学校4年生から高校卒業まで過ごした青森県弘前市というところで、PENICILLINとしては初のライヴもやらせてもらいました。そういった意味でも、今回のツアーは個人的にとても感慨深いツアーになってます」(HAKUEI)
ちなみに、ここでHAKUEIの述べた“そういった意味でも”という言葉は含みを持った部分でもあったようで、彼は前回ツアーのMCで「次のツアーからはリニューアルしたシン・HAKUEIとして歌声を届けていきます」と語っていたように、今回のツアーに向けて2度目の声帯手術に臨んでいたのだという。なお、手術自体は成功したものの復調までに思っていた以上の時間がかかったらしく、11月22日のツアー初日1週間前までは“しゃべることさえままならない”状態だったというのだから驚く。
ところが、いざ11月22日に赤羽ReNYにてツアーが幕開けしてみると見事にシン・HAKUEIが我々の目前へと姿をあらわすことになり、彼のヴォーカリゼイションは確かに前回ツアーの時よりも特に中低域の声が伸びやかになっていた。また、全体的にも歌そのものにツヤ感が増していると感じたのは何も筆者だけではあるまい。
かくして、12月中盤に開催するPENICILLINにとっては年内最後のライヴということもあってなのか、“第九”こと「交響曲第9番第4楽章・歓喜の歌」をSEにして始まったこの「HAKUEI Birthday LIVE SUPER HEART CORE’24」でも、冒頭の「Virgianal」から力強い歌いっぷりを披露してくれたHAKUEIは、ツアー初日の頃よりもさらに頼もしく見えたのだった。
また、本編中盤では“PENICILLIN流の現代的メタル”を体現した最新シングル曲「No」をHAKUEIがエモいヴォーカリゼイションで歌いあげ、オーディエンスを圧倒するだけでなく歓喜させていたことも特筆すべき点だったのではなかろうか。むろん、そんなHAKUEIのことをO-JIROの安定感ある聖地なドラミングと、千聖のアグレッシヴなギタープレイがしっかりとバックアップしていたところも実にPENICILLINらしいチームワークの素晴らしさが感じられた点で、そこには30年以上のキャリア持つレジェンダリーなバンドだからこその貫録も漂っていたように思う。
「いやー、とにかく今日ツアーファイナルとこの誕生日ライヴに無事たどりつけたっていうのがほんとに良かったですよ。だって、HAKUEIくんは今年ちょっと災難続きでしたもんね。骨折のあとに喉の手術で入院が連続したっていう」(千聖)
「今年は全身麻酔2回もしましたからね。しかも、骨折したところがまだちょっと治りきってないみたいで、このあいだはあやうく3回目の麻酔かけられるとこでした(苦笑)。まあ、でも一応大丈夫みたいなんで良かったです」(HAKUEI)
そう。HAKUEIは喉の手術の前にも不慮の事故によって肩にケガを負い、前回ツアーはギプスをした状態で廻っていたとのこと。なかなかにシビアなアクシデントと直面しながらも、2回のツアーをきっちりと完遂させたプロ魂にはつくづく恐れ入る。
というわけで、まさに“The Show Must Go On”の精神をもって活動し続けてきているHAKUEIの誕生日を盛大に祝うべく、この夜はアンコールにて観客たちからの「Happy Birthday Dear HAKUEI」の歌声と、メンバーからのバースデーケーキがステージ上にて贈呈されることに。
「そういえば、まだほかにもお祝いが届いているんですよ」(O-JIRO)
ここでO-JIROが持ち出してきたのは、“元祖PENICILLIN”のテロップが入った4人が満面の笑顔をたたえた写真パネルと大きな花束。これはいずれも、毎年恒例となっている元メンバーであるGISHOからのプレゼントだ。
「いい写真ですね、これ(笑)。GISHOくん、ありがとう!!」(HAKUEI)
HAKUEIとGISHOは今もたまに連絡をとりあっているとのことで、最近のGISHOは空手にハマっており、別れ際などの挨拶では“押忍”のポーズをとりがちという謎のプチ情報がオーディエンスにもたられさたのも実に微笑ましい一幕だった。
「僕は明日54歳になるんですけど、どうなんですかね? みんなよく言うじゃないですか。年齢なんて単なる数字だとか、ドラクエのレベルみたいなもんだって。まぁ、だんだんそういう言い訳しか出来なくなってきますもんね(笑)。でも、僕は素直な気持ちを言うと別にどっちでもいいんです。長く生きてきた分、たくさん経験してきたこととか、コロナのこともそうですし、今年は骨折をしたり、喉の手術をしたこともそうなんですけど、全てが自分にとってよりライヴを大切に思う気持ちにつながってきていると感じてます。だから、歳を重ねるっていうことは全然素晴らしいことなんじゃないかなと。おそらく、みなさんは僕より年下の人も多いと思うので、これからもステージ上からパワーを送ってみんなをリードしていきますので、今後ともしっかり着いてきてくれると嬉しいです。これからもよろしくお願いします!」(HAKUEI)
彼らの名を一躍世に広めた必殺チューン「ロマンス」でアンコールを派手に盛り上げたうえ、次いでのダブルアンコールでは心を込めた「言葉にならない愛」と、ロックバンドとしての攻めの姿勢が炸裂した「God of Grind」でブチあげきり、2024年を締めくくったPENICILLIN。2025年の2月8日と9日にはPENICILLIN結成記念ライヴを行って、いよいよ33周年に突入したのちには5月に関東サーキットも既に決定しているそうだ。当然、来年のPENICILLINもたとえなにしからの試練に遭遇しようとも、決してものともせず邁進し続けていくに違いない。
◆セットリスト◆
01. Virginal
02. 永遠と花束を
03. KISS
04. make love
05. 少年ダイバー
06. LOVE DRAGOON
07. 蛍火
08. No
09. Too young to die!
10.J UMP#1
11. 憂鬱と理想
12. 記憶の固執~融けゆく時間~
13. 快感∞フィクション
14. イナズマ
En1
01. Little Love Story
02. ロマンス
En2
01. 言葉にならない愛
02. God of Grind
(文・杉江由紀/写真・Lestat C & M Project)
【ライブ情報】
●HAPPY BIRTHDAY & VALENTINES DAY LIVE SPECIAL 2025
2月8日(土)新宿ReNY
開場17:15/開演18:00
2月9日(日)新宿ReNY
開場16:15/開演17:00
オールスタンディング ¥9,000(税込・D別)
・未就学児入場不可
・客席を含む会場内の映像・写真が公開される場合がございます
・公演の延期・中止の場合以外でのチケットの払い戻しは原則行いません
問:サイレンエンタープライズ 03-3447-8822